「ウィリアム・シェイクスピア」を編集中
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| 地域 = イングランド | | 地域 = イングランド | ||
| 属性 = 中立・中庸 | | 属性 = 中立・中庸 | ||
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| 性別 = 男性 | | 性別 = 男性 | ||
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: 『[[Fate/Apocrypha]]』では聖杯大戦において赤のサーヴァントとして召喚される。本来の召喚者であるマスターではなく[[天草四郎時貞|シロウ]]達に与し、彼らの野望を知りながら協力しているが、自らの「物語」への欲から[[スパルタクス|バーサーカー]]にミレニア城塞の在り処を教え、暴走させるトラブルメーカーでもある。 | : 『[[Fate/Apocrypha]]』では聖杯大戦において赤のサーヴァントとして召喚される。本来の召喚者であるマスターではなく[[天草四郎時貞|シロウ]]達に与し、彼らの野望を知りながら協力しているが、自らの「物語」への欲から[[スパルタクス|バーサーカー]]にミレニア城塞の在り処を教え、暴走させるトラブルメーカーでもある。 | ||
: ユグドミレニア攻撃の際はシロウの援護に努め、[[フランケンシュタイン|黒のバーサーカー]]の足止めを行う。大聖杯奪取後は、空中庭園内部に「工房」という名の個人的な書斎を作り、ひたすら執筆活動に明け暮れる。 | : ユグドミレニア攻撃の際はシロウの援護に努め、[[フランケンシュタイン|黒のバーサーカー]]の足止めを行う。大聖杯奪取後は、空中庭園内部に「工房」という名の個人的な書斎を作り、ひたすら執筆活動に明け暮れる。 | ||
− | :『[[Fate/Grand Order]] | + | :『[[Fate/Grand Order]]』第四特異点『死界魔霧都市 ロンドン』では西暦1888年のロンドンに出現した魔霧から召喚され、一応、居合わせた主人公達に付く(基本的にジキルのアパルトメントに籠り、戦闘に参加したのは時計塔の探索時のみ)。 |
− | : | + | :終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚され、他のサーヴァント達と共にⅣの座を統括する[[バルバトス|管制塔バルバトス]]と交戦する。 |
; 人物 | ; 人物 | ||
: 中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を身に纏った伊達男。 | : 中世ヨーロッパ風の洒脱な衣装を身に纏った伊達男。 | ||
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::初期にロールアウトしたことと戦力として優秀だったため、量産させられた。 | ::初期にロールアウトしたことと戦力として優秀だったため、量産させられた。 | ||
:;「ロミオとジュリエット」 | :;「ロミオとジュリエット」 | ||
− | :: | + | ::彼が作り出した創作幻想の一つ。体が融合した男女の姿をしている。 |
− | :: | + | ::触れた物を融解して取り込むという悍ましい能力を持っている。周囲を無差別に巻き込むため、試作品一体で出番は終了。 |
::エネミーとしては、ピンク色をしたヒュージゴースト。 | ::エネミーとしては、ピンク色をしたヒュージゴースト。 | ||
:;「マクベス」 | :;「マクベス」 | ||
− | ::彼が作り出した創作幻想の一つ。外見は[[ラーマ]] | + | ::彼が作り出した創作幻想の一つ。外見は[[ラーマ]]のシャドウサーヴァントという、上記2つと比較すると非常に雑なもの。 |
::ロールアウトされたのが最終盤だったことと、気合いを入れて作りすぎると本物の英霊マクベスのほうが来かねなかったために意図的に手を抜いた結果らしい。 | ::ロールアウトされたのが最終盤だったことと、気合いを入れて作りすぎると本物の英霊マクベスのほうが来かねなかったために意図的に手を抜いた結果らしい。 | ||
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: しかし「物語の展開的にあまり意味を持たない」「企画段階『Apocrypha』で設定が作られてから小説版『Apocrypha』までの間に魔法使い([[蒼崎青子]]のことと思われる)が登場した」という理由で没となり、効果が後述の『国王一座』のアップグレード版に変更された。 | : しかし「物語の展開的にあまり意味を持たない」「企画段階『Apocrypha』で設定が作られてから小説版『Apocrypha』までの間に魔法使い([[蒼崎青子]]のことと思われる)が登場した」という理由で没となり、効果が後述の『国王一座』のアップグレード版に変更された。 | ||
:「ファースト・フォリオ」とはシェイクスピアが手掛けた戯曲をまとめて出版した最初の作品集のことである。 | :「ファースト・フォリオ」とはシェイクスピアが手掛けた戯曲をまとめて出版した最初の作品集のことである。 | ||
− | :『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃 | + | : 『Grand Order』では作り出した多数の「物語の演者」達の幻影を直接相手に突撃させるというモーションになっている。 |
− | + | :『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃&敵全体に低確率でスタン状態を付与<ref group = "注" name="3ターン">3ターン</ref><ref group = "注" name="オーバーチャージで確率UP">オーバーチャージで確率UP</ref>」という効果のBuster宝具。 | |
− | |||
=== 企画段階での宝具 === | === 企画段階での宝具 === | ||
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== 真名:ウィリアム・シェイクスピア == | == 真名:ウィリアム・シェイクスピア == | ||
− | : | + | :ウィリアム・シェイクスピア。劇作家であり俳優。英文学史上に燦然と輝くその名は、英国の偉人において世界に轟かせた。 |
− | :彼は卓越した人間観察眼からなる繊細な内面の心理描写により、四大悲劇をはじめに数多くの傑作を執筆し、英文学史上において名声は留まるところを知らなかった。<br> | + | :彼は卓越した人間観察眼からなる繊細な内面の心理描写により、四大悲劇をはじめに数多くの傑作を執筆し、英文学史上において名声は留まるところを知らなかった。<br>当時の先輩劇作家から「成り上がりのカラス」と罵倒されるほどには、やっかまれていたが、彼の半生は謎に包まれていた。 |
− | :ともあれ、彼が数々の著作を興したことは紛れもない事実であり、それが近代・現代におけるおおよそ全ての「物語」に影響に及ぼしたのだ。<br> | + | :ともあれ、彼が数々の著作を興したことは紛れもない事実であり、それが近代・現代におけるおおよそ全ての「物語」に影響に及ぼしたのだ。<br>何せ、シェイクスピアの名は、彼が記した物語は、そしてその名言の数々は、世界の殆どがそれらを知らぬ者などいないのだから。 |
=== 関連 === | === 関連 === | ||
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: 「赤」のサーヴァントとして登場。 | : 「赤」のサーヴァントとして登場。 | ||
; [[Fate/Grand Order]] | ; [[Fate/Grand Order]] | ||
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===その他=== | ===その他=== | ||
; [[ちびちゅき!]] | ; [[ちびちゅき!]] | ||
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; [[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]] | ; [[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]] | ||
: 「マスター」と呼び、彼の物語を描くために積極的に協力している。 | : 「マスター」と呼び、彼の物語を描くために積極的に協力している。 | ||
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; [[セミラミス|赤のアサシン]] | ; [[セミラミス|赤のアサシン]] | ||
: 一応同志。彼女には宮廷道化師のような態度で接しているが、敬う気持ちはあまり見受けられず、一方のアサシンからもあまり信用はされていない。だが、シロウと最も近いサーヴァント二騎と言う事で、彼らが会話するシーンは多い。 | : 一応同志。彼女には宮廷道化師のような態度で接しているが、敬う気持ちはあまり見受けられず、一方のアサシンからもあまり信用はされていない。だが、シロウと最も近いサーヴァント二騎と言う事で、彼らが会話するシーンは多い。 | ||
142行目: | 130行目: | ||
: 自由奔放に振る舞う彼が戦闘代行者であるサーヴァントとして余りに無能かつ無自覚な事に呆れ果てており、加えて性格的にもかなり相性が悪いため、「汝の頭がおかしいのは知っている」と冷たい事を言われている。当然、戦力としてカウントされていない。 | : 自由奔放に振る舞う彼が戦闘代行者であるサーヴァントとして余りに無能かつ無自覚な事に呆れ果てており、加えて性格的にもかなり相性が悪いため、「汝の頭がおかしいのは知っている」と冷たい事を言われている。当然、戦力としてカウントされていない。 | ||
; [[カルナ|赤のランサー]] | ; [[カルナ|赤のランサー]] | ||
− | : ランサーは彼の非常に特殊な性癖を持った心を何度か分析し、容赦のないコメントを送っている。 | + | : ランサーは彼の非常に特殊な性癖を持った心を何度か分析し、容赦のないコメントを送っている。<br>だがそれに動じることはなく、いつもの仰々しい態度を変えない。 |
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; [[スパルタクス|赤のバーサーカー]] | ; [[スパルタクス|赤のバーサーカー]] | ||
: より面白い物語を求めて彼にミレニア城塞の在処を教え、その暴走を加速させる。 | : より面白い物語を求めて彼にミレニア城塞の在処を教え、その暴走を加速させる。 | ||
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: 「'''哀れで狂った田舎娘'''」。英国だの仏国だの歴史的なことは彼にとってはどうでも良く、最早含むところもないが、『最高の物語』の邪魔をする彼女は容赦せず潰そうと考えている。 | : 「'''哀れで狂った田舎娘'''」。英国だの仏国だの歴史的なことは彼にとってはどうでも良く、最早含むところもないが、『最高の物語』の邪魔をする彼女は容赦せず潰そうと考えている。 | ||
: 一応、生前に著作で彼女を散々悪し様に描いたことに関しては、多少悪いことをしたと思ってはいる模様。 | : 一応、生前に著作で彼女を散々悪し様に描いたことに関しては、多少悪いことをしたと思ってはいる模様。 | ||
− | + | ; ジーン・ラム | |
− | ; | ||
: 漫画版で正式決定した本来の赤のキャスターのマスター。 | : 漫画版で正式決定した本来の赤のキャスターのマスター。 | ||
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:ダ・ヴィンチによると、彼/彼女をこよなく賞賛するのは、彼/彼女を通して素晴らしい物語が描けると信じているから。 | :ダ・ヴィンチによると、彼/彼女をこよなく賞賛するのは、彼/彼女を通して素晴らしい物語が描けると信じているから。 | ||
;[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]] | ;[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]] | ||
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:第四特異点では同じ作家としてディスカッションをしながら、事件のあらましを書き綴ってゆく。 | :第四特異点では同じ作家としてディスカッションをしながら、事件のあらましを書き綴ってゆく。 | ||
− | : | + | :亜種特異点Ⅰでも終盤に共演し、それぞれの宝具を同時使用することで黒幕を追い詰める決定的な一手とした。 |
;[[ガイウス・ユリウス・カエサル]] | ;[[ガイウス・ユリウス・カエサル]] | ||
:自著『ジュリアス・シーザー』で主役として登場させた。もっとも「死んでからが本番な感じで書いた」とやや辛辣。 | :自著『ジュリアス・シーザー』で主役として登場させた。もっとも「死んでからが本番な感じで書いた」とやや辛辣。 | ||
171行目: | 156行目: | ||
;[[クレオパトラ]] | ;[[クレオパトラ]] | ||
:自著『アントニーとクレオパトラ』で主役として登場させる。 | :自著『アントニーとクレオパトラ』で主役として登場させる。 | ||
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== 名台詞 == | == 名台詞 == | ||
===Fate/Apocrypha=== | ===Fate/Apocrypha=== | ||
; 『―――<ruby><rb>馬だ</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引け</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引いてきたら王国をくれてやるぞ</rb><rt>My_kingdom_for_a_horse</rt></ruby>!』 | ; 『―――<ruby><rb>馬だ</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引け</rb><rt>A_horse</rt></ruby>!<br> <ruby><rb>馬を引いてきたら王国をくれてやるぞ</rb><rt>My_kingdom_for_a_horse</rt></ruby>!』 | ||
− | : 初登場時のセリフ。'''彼のセリフは大体この調子で、頻繁に自作のセリフが引用されている。''' | + | : 初登場時のセリフ。'''彼のセリフは大体この調子で、頻繁に自作のセリフが引用されている。'''出典は「リチャードⅢ世」で、強欲で滑稽な支配者リチャードⅢ世の最後の台詞。 |
: 恐らくバーサーカーが暴走を始めたという、緊急事態が発生した事を暗示する意味で、このセリフを選んだのだと思われる。 | : 恐らくバーサーカーが暴走を始めたという、緊急事態が発生した事を暗示する意味で、このセリフを選んだのだと思われる。 | ||
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; 「ははは、これは手厳しい。しかし世のキャスターが皆、吾輩のように優れた文筆家ということはないでしょうな!」 | ; 「ははは、これは手厳しい。しかし世のキャスターが皆、吾輩のように優れた文筆家ということはないでしょうな!」 | ||
: 赤のアサシンに痛いところを突かれながらも、平然とこう切り返す。 | : 赤のアサシンに痛いところを突かれながらも、平然とこう切り返す。 | ||
− | : | + | : 自画自賛しつつキャスターにこういった人種のものは少ないと語るが、メタ的には「魔術師」のサーヴァントに文筆家出身のものが多くなっている現実がある。 |
; 「大して盛り上がりもしない場面を無理矢理に引っ張ろうとするのは、愚作の特徴ですからな!」 | ; 「大して盛り上がりもしない場面を無理矢理に引っ張ろうとするのは、愚作の特徴ですからな!」 | ||
204行目: | 174行目: | ||
; 「おお、なるほどなるほど! それでは愛しく憎悪しているであろう彼に会わせてあげましょう!<br />『<ruby><rb>人間の一生は彷徨い歩く影法師</rb><rt>Lifes but a walking shadow</rt></ruby>、<ruby><rb>哀れな役者に過ぎぬ</rb><rt>a poor player</rt></ruby>。<br> <ruby><rb>己の出番の時は</rb><rt>That struts and</rt></ruby>、<ruby><rb>舞台の上でふんぞり返って喚くだけ</rb><rt>frets his hour upon the stage</rt></ruby>!』」 | ; 「おお、なるほどなるほど! それでは愛しく憎悪しているであろう彼に会わせてあげましょう!<br />『<ruby><rb>人間の一生は彷徨い歩く影法師</rb><rt>Lifes but a walking shadow</rt></ruby>、<ruby><rb>哀れな役者に過ぎぬ</rb><rt>a poor player</rt></ruby>。<br> <ruby><rb>己の出番の時は</rb><rt>That struts and</rt></ruby>、<ruby><rb>舞台の上でふんぞり返って喚くだけ</rb><rt>frets his hour upon the stage</rt></ruby>!』」 | ||
− | : | + | : 宝具『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』。悪辣なる虚構の劇場。 |
;「あれが聖杯……! 良い! あれは良すぎる!<br> 素晴らしい! 素晴らしい、素晴らしい、素晴らしいッ!!<br> ここから、吾輩ですらも感じ取れるあの圧倒的な魔力!<br> 飛び込み溺れ、一体化したいとさえ願う! その癖、あの剥き出しの人体のような醜さ!<br> まさに『<RUBY><RB>綺麗は汚く、汚いは綺麗</RB><RT>Fair is foul and foul is fair</RT></RUBY>!』」 | ;「あれが聖杯……! 良い! あれは良すぎる!<br> 素晴らしい! 素晴らしい、素晴らしい、素晴らしいッ!!<br> ここから、吾輩ですらも感じ取れるあの圧倒的な魔力!<br> 飛び込み溺れ、一体化したいとさえ願う! その癖、あの剥き出しの人体のような醜さ!<br> まさに『<RUBY><RB>綺麗は汚く、汚いは綺麗</RB><RT>Fair is foul and foul is fair</RT></RUBY>!』」 | ||
211行目: | 181行目: | ||
;「それは無論、“面白そうだから”に決まっているではありませんか!<br> 何しろ人類救済ですよ、誰かを救いたいなどという矮小なものではない。全人類、この世界に住む六十億の救済。<br> しかも彼はただの聖人などではない。善行を積み、祈るだけで救われようとした面白味のない連中とは訳が違う!<br> 彼は戦い、そして敗北し――無残に全てを奪われた!<br> そう彼は全てを恨んでいる筈です! 三万七千人を皆殺しにした統治者を! それをただ見過ごした人々も!<br> だが彼は恨まない! そればかりか、彼らすら救済の対象だ!<br> 全人類を救うという事は、そういうことでしょう。それも彼も理解している!<br> その苦悩、その煩悶、何たる悲劇!<br> それ故――彼はひどく面白い。<br> ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!」 | ;「それは無論、“面白そうだから”に決まっているではありませんか!<br> 何しろ人類救済ですよ、誰かを救いたいなどという矮小なものではない。全人類、この世界に住む六十億の救済。<br> しかも彼はただの聖人などではない。善行を積み、祈るだけで救われようとした面白味のない連中とは訳が違う!<br> 彼は戦い、そして敗北し――無残に全てを奪われた!<br> そう彼は全てを恨んでいる筈です! 三万七千人を皆殺しにした統治者を! それをただ見過ごした人々も!<br> だが彼は恨まない! そればかりか、彼らすら救済の対象だ!<br> 全人類を救うという事は、そういうことでしょう。それも彼も理解している!<br> その苦悩、その煩悶、何たる悲劇!<br> それ故――彼はひどく面白い。<br> ならば退屈なマスターなど放逐して当然でしょう。吾輩はマスターに仕える者ではなく、物語に仕える者故に!」 | ||
− | :何故シロウに手を貸すのか問われて。<br>「ただ面白いからマスターに手を貸し、その思想自体には何の興味も無く、『物語』こそ全てに優先される」と言い切る。<br> | + | :何故シロウに手を貸すのか問われて。<br>「ただ面白いからマスターに手を貸し、その思想自体には何の興味も無く、『物語』こそ全てに優先される」と言い切る。<br>英霊として気高くもなく、立派な振る舞いであると呼べず、どちらかというと「信念」より妄執に近い。だが紛れもない本心からの言葉であり、ここまでの領域に至ると誰もが認めざるを得ない。 |
;「――何を視たのです? 何を知覚したのです?<br> 愚かなこと。何を視ようと、それは最早<RUBY><RB>過去の残骸に過ぎませぬ</RB><RT>・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>。<br> 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」 | ;「――何を視たのです? 何を知覚したのです?<br> 愚かなこと。何を視ようと、それは最早<RUBY><RB>過去の残骸に過ぎませぬ</RB><RT>・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>。<br> 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」 | ||
− | : | + | :何も知らぬはずの道化の言葉は、これ以上ないほどに純潔の狩人の心底を抉り出し彼女を憤激させた。 |
;「受け入れましょう、必要とあらば。『<RUBY><RB>逆境こそが人に与える最高の教訓なり</RB><RT>Sweet are the uses of adversity</RT></RUBY>。<RUBY><RB>それは蟇の如く醜く毒があり</RB><RT>Which like the toad,ugly and venomous,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>しかして心に貴重な宝石を結ぶ</RB><RT>Wears yet a precious jewel in his head</RT></RUBY>』ですからな」 | ;「受け入れましょう、必要とあらば。『<RUBY><RB>逆境こそが人に与える最高の教訓なり</RB><RT>Sweet are the uses of adversity</RT></RUBY>。<RUBY><RB>それは蟇の如く醜く毒があり</RB><RT>Which like the toad,ugly and venomous,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>しかして心に貴重な宝石を結ぶ</RB><RT>Wears yet a precious jewel in his head</RT></RUBY>』ですからな」 | ||
− | : | + | :悲劇を書くことを令呪で禁じられたことを嘆くも、シロウから「悲劇を書くつもりかと問われれば嘘をつかざるを得ないだろう」と指摘され、道化は大仰に嘆息して、肩を竦めた。出典は「お気に召すまま」の登場人物である弟に追放された公爵の台詞から。半ば自棄になったような文句。 |
− | |||
;「宮廷道化師と致しましては、精一杯に生存理由を主張したいところですな。<br> 我が本、我が書物は<RUBY><RB>必ず</RB><RT>・・</RT></RUBY>不完全でありますが、それ故に美しい物語であると請け合いますぞ」 | ;「宮廷道化師と致しましては、精一杯に生存理由を主張したいところですな。<br> 我が本、我が書物は<RUBY><RB>必ず</RB><RT>・・</RT></RUBY>不完全でありますが、それ故に美しい物語であると請け合いますぞ」 | ||
227行目: | 196行目: | ||
;「では、一つの問い掛けをお許し頂きたい。女帝殿、貴女はどちらがよろしいのでしょう?<br> 我らのマスターの悲願が達成される方がいいのか、それとも<RUBY><RB>彼の悲願を踏みにじる方が楽しいのか</RB><RT>・・・・・・・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>」 | ;「では、一つの問い掛けをお許し頂きたい。女帝殿、貴女はどちらがよろしいのでしょう?<br> 我らのマスターの悲願が達成される方がいいのか、それとも<RUBY><RB>彼の悲願を踏みにじる方が楽しいのか</RB><RT>・・・・・・・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>」 | ||
+ | :シロウのいない、この時に女帝の本音を吐き出させるべく吐かれた虚を衝いた問い掛け。これに女帝は達成に決まっていると答えるが、それで納得して引き下がる道化では当然ない。 | ||
+ | |||
;「……おや」<br>「そのような上っ面だけの答えなど! アサシンよ、破滅を見たいのか見たくないのか。さあ、お答えを!」 | ;「……おや」<br>「そのような上っ面だけの答えなど! アサシンよ、破滅を見たいのか見たくないのか。さあ、お答えを!」 | ||
− | : | + | :女帝の取り繕った答えを道化は是とせず、再度言葉の刃を突きつける。現在生き残っているサーヴァントの中で間違いなく最弱である彼は、しかして何者をも恐れない。女帝もこれを、彼ならではの真剣な問答であると認識した。 |
− | |||
;「ふむふむ、なるほど……。ご存知ありませんかな?<br> 古来、その焦がれるような想いをして"恋"というのです!<br>『<RUBY><RB>望んで得た恋は素晴らしい</RB><RT>Love sought is good,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>だが望まずして堕ちた恋はさらに良い</RB><RT> but given unsought is better.</RT></RUBY>』<br> これは受けますぞ!女帝の恋物語、うん間違いなく受ける!」 | ;「ふむふむ、なるほど……。ご存知ありませんかな?<br> 古来、その焦がれるような想いをして"恋"というのです!<br>『<RUBY><RB>望んで得た恋は素晴らしい</RB><RT>Love sought is good,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>だが望まずして堕ちた恋はさらに良い</RB><RT> but given unsought is better.</RT></RUBY>』<br> これは受けますぞ!女帝の恋物語、うん間違いなく受ける!」 | ||
− | : | + | :アニメ版で追加された台詞。上記の問いに対し真摯に答えた女帝の心底と本質を、この上もなく抉り取った発言であり、さらに茶目っ気までも加味した結果、女帝の逆鱗に触れ、危うく己の舌で死刑宣告書に署名しかけた。出典は「十二夜」の登場人物である伯爵令嬢オリヴィアの台詞から。 |
− | |||
− | ;「初めまして、片田舎の狂人娘! いやこれは失礼、ついいつもの調子が出てしまった。<br> 然様、吾輩が"赤"のキャスターです。どうです、落胆しましたか?<br>『<RUBY><RB>だがジャンヌ・ダルクよ。この天地の狭間においては我々の哲学など思いもよらぬことがある</RB><RT>There are more things in heaven and earth, Joan of Arc. Than are dreamt of in your philosophy.</RT></RUBY>!』」 | + | ;「初めまして、片田舎の狂人娘! いやこれは失礼、ついいつもの調子が出てしまった。<br> 然様、吾輩が"赤"のキャスターです。どうです、落胆しましたか?<br>『<RUBY><RB>だがジャンヌ・ダルクよ。この天地の狭間においては我々の哲学など思いもよらぬことがある</RB><RT>There are more things in heaven and earth,Joan of Arc.Than are dreamt of in your philosophy.</RT></RUBY>!』」 |
− | : | + | :生前あれだけ論った聖処女との初対面。芝居がかった口調で相変わらず好き勝手にのたまう。出典は「ハムレット」の主人公ハムレットが親友でもある臣下のホレーショへの台詞をジャンヌに差し替えたもの。 |
− | ;「条件一、心情の問題。<br>『<RUBY><RB>忘恩の人間より恐ろしい怪物はいない</RB><RT>O,see the monstrousness of man When he looks out in an ungrateful shape!</RT></RUBY>』と言うように、吾輩は"赤"の側で禄を<RUBY><RB>食</RB><RT>は</RT></RUBY>んでおります。<br> 吾輩、ダンディぶりでは"赤" | + | ;「条件一、心情の問題。<br>『<RUBY><RB>忘恩の人間より恐ろしい怪物はいない</RB><RT>O,see the monstrousness of man When he looks out in an ungrateful shape!</RT></RUBY>』と言うように、吾輩は"赤"の側で禄を<RUBY><RB>食</RB><RT>は</RT></RUBY>んでおります。<br> 吾輩、ダンディぶりでは"赤"の側でも一、二を争う自身がありますし―――知性なき怪物になどなりたくもない!」<br>「そして条件二、娯楽の問題。<br>『<RUBY><RB>詩人の瞳は天恵を得て回転し</RB><RT>The poet`s eye,in fine frenzy rollings,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>天から地、地から天と広く見渡す</RB><RT>Doth glance from heaven to Earth,from Earth to heaven.</RT></RUBY>』我が目はただいま絶好調!<br> まさに<RUBY><RB>霊感</RB><RT>スピリッツ</RT></RUBY>を得た<RUBY><RB>創作者</RB><RT>クリエイター</RT></RUBY>。つまり、今この瞬間この一時が愉快極まる!」<br>「そして最後に条件三、戦力の問題。<br> 我々の戦力は、貴女が想像するより遥かに、遥かに絶望的なのですよ。<br> 貴女は急ぎに急いでやってきたが間に合わなかった。いや、恐らくはどれほど急いでもその分必ず間に合わなかった!アキレウスと亀のようなもの。<br> そして間に合わなかった以上、貴女は此処で―――――――死ぬ」 |
:サーヴァントとしての力の差から降伏を申し出られるキャスターだが、逆に降伏の条件三つをそちらが満たしていないと突っ撥ね、大胆にも聖女に死を宣告した。 | :サーヴァントとしての力の差から降伏を申し出られるキャスターだが、逆に降伏の条件三つをそちらが満たしていないと突っ撥ね、大胆にも聖女に死を宣告した。 | ||
− | : | + | :しかし、第二、第三の条件はまだしも、一番初めの条件に至っては、自身を召喚したマスターを退屈とのたまって放逐し、「面白いから」とシロウに乗り換えている時点ではっきりいって目も当てられない。というより、この道化は"恩"なんてもので動く玉では断じてない。少なくともサーヴァントとしては、どこぞの[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|毒舌童話作家]]に言わせれば一点たりともくれてやれない失格者であろう。 |
− | : | + | :出典は上から順に「アテネのタイモン」のタイモンの台詞と「夏の夜の夢」の登場人物であるアテネの公爵シーシュースの台詞から。 |
;「さあ、我が宝具の幕開けだ! 席に座れ! 煙草は止めろ! 写真撮影お断り! 野卑な罵声は真っ平御免!<br> 世界は我が手、我が舞台! 開演を此処に―――万雷の喝采を!」 | ;「さあ、我が宝具の幕開けだ! 席に座れ! 煙草は止めろ! 写真撮影お断り! 野卑な罵声は真っ平御免!<br> 世界は我が手、我が舞台! 開演を此処に―――万雷の喝采を!」 | ||
− | :この世界を閉塞させ、<RUBY><RB>脚本</RB><RT>ちつじょ</RT></RUBY>を産み出し、<RUBY><RB>物語</RB><RT>みちすじ</RT></RUBY> | + | :この世界を閉塞させ、<RUBY><RB>脚本</RB><RT>ちつじょ</RT></RUBY>を産み出し、<RUBY><RB>物語</RB><RT>みちすじ</RT></RUBY>を強制させる悪辣にして聖女にとって致命的な舞台宝具が幕を開ける。 |
;「そして貴女は、彼を利用せざるを得なかった。<br> 何故なら、彼のサーヴァントとしての力こそが、我々に対抗するのに必要だったからだ!<br> そう、あのホムンクルスを此処に辿り着かせたのは彼の選択ではない!<br> 貴女が選択したのだ、<RUBY><RB>貴女が彼を殺すのだ</RB><RT>・・・・・・・・・</RT></RUBY>!」 | ;「そして貴女は、彼を利用せざるを得なかった。<br> 何故なら、彼のサーヴァントとしての力こそが、我々に対抗するのに必要だったからだ!<br> そう、あのホムンクルスを此処に辿り着かせたのは彼の選択ではない!<br> 貴女が選択したのだ、<RUBY><RB>貴女が彼を殺すのだ</RB><RT>・・・・・・・・・</RT></RUBY>!」 | ||
:道化の<RUBY><RB>短剣</RB><RT>ことば</RT></RUBY>は、狙い違わず聖女の心臓を容赦なく貫く。 | :道化の<RUBY><RB>短剣</RB><RT>ことば</RT></RUBY>は、狙い違わず聖女の心臓を容赦なく貫く。 | ||
− | ;「さあ、この舞台劇の<RUBY><RB>分類</RB><RT>ジャンル</RT></RUBY>が決まったぞ!<br> <RUBY><RB>喜劇</RB><RT>コメディ</RT></RUBY>だ! なあ、聖女よ! ようこそ人殺しの世界へ!<br> 一度としてその手を汚さなかった貴女が最初に選んだ犠牲者は、貴女を心から慕う少年だったとは!」 | + | ;「さあ、この舞台劇の<RUBY><RB>分類</RB><RT>ジャンル</RT></RUBY>が決まったぞ!<br> <RUBY><RB>喜劇</RB><RT>コメディ</RT></RUBY>だ! なあ、聖女よ! ようこそ人殺しの世界へ!<br> 一度としてその手を汚さなかった貴女が最初に選んだ犠牲者は、貴女を心から慕う少年だったとは!」 |
− | : | + | :高らかに告げるあんまりと言えばあんまりな悪辣なる勝利宣言。聖女の慟哭を生前の史劇以上に煽り嘲り貶める。 |
− | + | ||
+ | ;「道化の時間はこれにて終了、<RUBY><RB>救済</RB><RT>おわり</RT></RUBY>の支度が整いました。<br> ―――これより我がマスター、天草四郎時貞の再臨です」 | ||
+ | :道化の勝利と同時に、一つの喜劇が終わり、もう一つの喜劇が凱歌を上げる。 | ||
;「<RUBY><RB>彼女は小娘です</RB><RT>・・・・・・・</RT></RUBY>。聖女のように振る舞い、聖女として己を律して、聖女の力を行使してもなお、彼女はありきたりの少女に過ぎない。<br> 聖女のように振る舞うあまり、彼女は<RUBY><RB>自分自身</RB><RT>ジャンヌ・ダルク</RT></RUBY>を置き去りにした。<br> まあ、無理からぬことでしょう。サーヴァントとして召喚される際に必要なのは、ダルク家の娘として過ごした十七年ではなく、故国の英雄として走り抜けた二年です」 | ;「<RUBY><RB>彼女は小娘です</RB><RT>・・・・・・・</RT></RUBY>。聖女のように振る舞い、聖女として己を律して、聖女の力を行使してもなお、彼女はありきたりの少女に過ぎない。<br> 聖女のように振る舞うあまり、彼女は<RUBY><RB>自分自身</RB><RT>ジャンヌ・ダルク</RT></RUBY>を置き去りにした。<br> まあ、無理からぬことでしょう。サーヴァントとして召喚される際に必要なのは、ダルク家の娘として過ごした十七年ではなく、故国の英雄として走り抜けた二年です」 | ||
:大聖杯から凱旋したシロウに語った聖女の本質。というか自分でズタボロにしておきながら、かなり恥知らずな物言いではある。 | :大聖杯から凱旋したシロウに語った聖女の本質。というか自分でズタボロにしておきながら、かなり恥知らずな物言いではある。 | ||
− | ;「ははははは! <RUBY><RB>終わりだ</RB><RT>ジ・エンド</RT></RUBY>! これで終わりだ! 完結した! 完結したぞ!<br> | + | ;「ははははは! <RUBY><RB>終わりだ</RB><RT>ジ・エンド</RT></RUBY>! これで終わりだ! 完結した! 完結したぞ!<br>彼等の物語は素晴らしい結末を迎えた!<br>これが、我輩の新作である!」<br> 「ああ、だがしかし――主役は我輩が演じたかったなぁ!」 |
− | |||
:邪竜の飛翔が全ての終わりを告げ、崩れ行く空中庭園の中、稀代の劇作家は己の物語を一心不乱に書き上げ、終止符を打った。 | :邪竜の飛翔が全ての終わりを告げ、崩れ行く空中庭園の中、稀代の劇作家は己の物語を一心不乱に書き上げ、終止符を打った。 | ||
:その胸に去来するのは、かつて役者を目指し、挫折した過去であろうか。 | :その胸に去来するのは、かつて役者を目指し、挫折した過去であろうか。 | ||
287行目: | 257行目: | ||
;「ほう! そうきましたか! 元来それは人生において悩み苦しむことは全て、所詮は夢の中の出来事に過ぎないという儚い無常の意。<br/> しかし、しかし貴方は違いますな。貴方は違う意味を見出している。<br/> 夢とは希望。希望とは勇気と決断によって手向けられるもの。<br/> ならば、この場で戦うは自明の理。貴方たち自身が、夢であるのだから!」 | ;「ほう! そうきましたか! 元来それは人生において悩み苦しむことは全て、所詮は夢の中の出来事に過ぎないという儚い無常の意。<br/> しかし、しかし貴方は違いますな。貴方は違う意味を見出している。<br/> 夢とは希望。希望とは勇気と決断によって手向けられるもの。<br/> ならば、この場で戦うは自明の理。貴方たち自身が、夢であるのだから!」 | ||
:幕間の物語『カーテンコール』にて、無意味な戦いをするのかという問いに「我らは、夢と同じものだ」と返した場合。 | :幕間の物語『カーテンコール』にて、無意味な戦いをするのかという問いに「我らは、夢と同じものだ」と返した場合。 | ||
− | : | + | :主人公の台詞を含めた元ネタは、シェイクスピアの「テンペスト」から。 |
;「ふふふ、やはりそうきましたか! その通り、まったくその通りですよマスター!<br/> 悪魔の囁き、合理的な結論、有無を言わさぬ正論、そういったものは全て。『くそくらえ』で片付けてしまっていいのです!<br/> 何故なら、それは正論に名を借りた邪悪。邪悪を理論という名の上塗りで誤魔化そうとする卑怯な企み。<br/> やってしまえばいいのです!」 | ;「ふふふ、やはりそうきましたか! その通り、まったくその通りですよマスター!<br/> 悪魔の囁き、合理的な結論、有無を言わさぬ正論、そういったものは全て。『くそくらえ』で片付けてしまっていいのです!<br/> 何故なら、それは正論に名を借りた邪悪。邪悪を理論という名の上塗りで誤魔化そうとする卑怯な企み。<br/> やってしまえばいいのです!」 | ||
:同上。無意味な戦いをするのかという問いに「哲学なんか、くそくらえ」と返した場合。 | :同上。無意味な戦いをするのかという問いに「哲学なんか、くそくらえ」と返した場合。 | ||
− | : | + | :主人公の台詞を含めた元ネタは、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」から。 |
====イベント==== | ====イベント==== | ||
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;「ともかく大半の男子サーヴァントはチョコを貰うアテもなく、チベットスナギツネの如き目で世界を睥睨しております。<br/> まあ、気にしてはいない男らしい男子サーヴァントもいることにはいるのですが、そこはそれ。<br/> “<ruby><rb>嫉妬とは緑の目をした怪物であり、人の心を食物にして玩弄する</rb><rt>It (Jealosy) is the green-eyed monster whici doth mock The meat it feeds on.</rt></ruby>”<br/> ……というやつです」 | ;「ともかく大半の男子サーヴァントはチョコを貰うアテもなく、チベットスナギツネの如き目で世界を睥睨しております。<br/> まあ、気にしてはいない男らしい男子サーヴァントもいることにはいるのですが、そこはそれ。<br/> “<ruby><rb>嫉妬とは緑の目をした怪物であり、人の心を食物にして玩弄する</rb><rt>It (Jealosy) is the green-eyed monster whici doth mock The meat it feeds on.</rt></ruby>”<br/> ……というやつです」 | ||
:同上。これを聞いた主人公は「自分が配れば喜ぶだろうか?」と考え、チョコを作ろうと行動した。 | :同上。これを聞いた主人公は「自分が配れば喜ぶだろうか?」と考え、チョコを作ろうと行動した。 | ||
− | : | + | :台詞の元ネタは「オセロ」から。 |
;「大体この手の御仁はバレンタインデーになるとブッ壊れる。これエンターテイメントの王道ですな。<br/> “<ruby><rb>ぶっちゃけるとご子息は頭がイカれてますぞ</rb><rt>I will be brief : your noble son is mad.</rt></ruby>”的なアレです」 | ;「大体この手の御仁はバレンタインデーになるとブッ壊れる。これエンターテイメントの王道ですな。<br/> “<ruby><rb>ぶっちゃけるとご子息は頭がイカれてますぞ</rb><rt>I will be brief : your noble son is mad.</rt></ruby>”的なアレです」 | ||
− | :同上。[[エドワード・ティーチ|黒髭]]が[[スパルタクス]] | + | :同上。[[エドワード・ティーチ|黒髭]]が[[スパルタクス]]とともにバレンタインを潰そうとする様を評して。 |
+ | :台詞の元ネタは「ハムレット」から。 | ||
;「……あー、なるほど。あの方ですか。<br/> 憂い顔で『良かれと思って……』といっておけばいいんじゃねえの、と思ってる感じの。<br/> “<ruby><rb>微笑み、微笑み、微笑む大悪党</rb><rt>That one may smile, and smile, and be a villain.</rt></ruby>”というあの方」 | ;「……あー、なるほど。あの方ですか。<br/> 憂い顔で『良かれと思って……』といっておけばいいんじゃねえの、と思ってる感じの。<br/> “<ruby><rb>微笑み、微笑み、微笑む大悪党</rb><rt>That one may smile, and smile, and be a villain.</rt></ruby>”というあの方」 | ||
− | :同上。黒幕の手駒として現れた[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]] | + | :同上。黒幕の手駒として現れた[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]がその人物の人となりを語って。 |
+ | :台詞の元ネタは「ハムレット」から。 | ||
;「マスター、お気をつけ下さい。 そも、魔術師というのは作家の〆切みたいなもの。<br> うっかり信用すると一杯食わされるというアレです!<br> 我々にとって金曜の夕方までに提出とは即ち月曜の朝までオッケー、やりようによっては夜でも可!」 | ;「マスター、お気をつけ下さい。 そも、魔術師というのは作家の〆切みたいなもの。<br> うっかり信用すると一杯食わされるというアレです!<br> 我々にとって金曜の夕方までに提出とは即ち月曜の朝までオッケー、やりようによっては夜でも可!」 | ||
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;「色褪せぬ永遠の夏を留めておくことはできても、享楽を永遠とするには代償が必要なのです。<br/> “<ruby><rb>悲報が訪れる時は、軍団で押し寄せてくる</rb><rt>When sorrows come, they come not single spies. But in battalions.</rt></ruby>”と相場が決まっておりますので」<br>「――そう、甘いお菓子、甘い紅茶、それらを代償として、君は――――――――。<br/> 虫歯になります」 | ;「色褪せぬ永遠の夏を留めておくことはできても、享楽を永遠とするには代償が必要なのです。<br/> “<ruby><rb>悲報が訪れる時は、軍団で押し寄せてくる</rb><rt>When sorrows come, they come not single spies. But in battalions.</rt></ruby>”と相場が決まっておりますので」<br>「――そう、甘いお菓子、甘い紅茶、それらを代償として、君は――――――――。<br/> 虫歯になります」 | ||
− | : | + | :同上。お茶会をなおも続けようとするナーサリーに対してシェイクスピアは残酷な真実を突きつける。 |
:虫歯になると耐え難い苦痛が襲うという事実にナーサリーは追い詰められ、最終的に召喚された[[フェルグス・マック・ロイ|歯医者]]によって退散したのであった。 | :虫歯になると耐え難い苦痛が襲うという事実にナーサリーは追い詰められ、最終的に召喚された[[フェルグス・マック・ロイ|歯医者]]によって退散したのであった。 | ||
+ | :台詞の元ネタは、「ハムレット」から。 | ||
== メモ == | == メモ == | ||
− | *筆者泣かせなキャラクター。東出氏によれば「描写がものすごく大変」で、シーン毎に合っている名言を必死になって漁らなければならず、かといって既存の翻訳をそのまま使うわけにもいかないので、原文を引っ張り出してそれっぽく独自訳をしているとのこと。その後Apocrypha/ | + | *筆者泣かせなキャラクター。東出氏によれば「描写がものすごく大変」で、シーン毎に合っている名言を必死になって漁らなければならず、かといって既存の翻訳をそのまま使うわけにもいかないので、原文を引っ張り出してそれっぽく独自訳をしているとのこと。その後Apocrypha/materialでも「会話シーンは毎回後回しにする程頭の痛い代物」とコメントしており、かなり苦労していたことが伺える。 |
− | ** | + | **奈須氏も、「他のキャラクターだと一行で済むところが、三行に膨らんでしまう」とコメントしており、作者と原作者から苦言を呈されている。 |
− | *サーヴァントとしてはかなり特異な立ち位置だったが、『[[Fate/EXTRA CCC]]』で同じようなスタイルの[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|童話作家]]が登場。また、僅かに先行して『[[Fate/strange fake]]』にも似たタイプの[[ | + | *サーヴァントとしてはかなり特異な立ち位置だったが、『[[Fate/EXTRA CCC]]』で同じようなスタイルの[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|童話作家]]が登場。また、僅かに先行して『[[Fate/strange fake]]』にも似たタイプの[[アレクサンドル・デュマ|小説家]]が登場している。 |
* 『Fate/Grand Order』で開催されたイベント「ネロ祭 ~勝ち抜け熱闘コロシアム~」予選初級にて、アンデルセンと[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|アマデウス]]とともに「サロン・ド・キャスター」を結成して参戦。その際の名義は「働く男」。「働かない男」名義であったアンデルセンと比べると、確かに作家としては熱心すぎる程に働く男である。 | * 『Fate/Grand Order』で開催されたイベント「ネロ祭 ~勝ち抜け熱闘コロシアム~」予選初級にて、アンデルセンと[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|アマデウス]]とともに「サロン・ド・キャスター」を結成して参戦。その際の名義は「働く男」。「働かない男」名義であったアンデルセンと比べると、確かに作家としては熱心すぎる程に働く男である。 | ||
− | **[[ | + | **[[アレクサンドル・デュマ|デュマ]]が本作に実装されていたら「たまたま居合わせた男」名義であったアマデウスではなく作家繋がりでその三人だったかもしれない。 |
*アンデルセンとデュマがそれぞれ現代に適応し、パソコン等の電子機器を普通に扱っているのに対して、シェイクスピアはタイプライターすらまともに扱えないという機械音痴の側面がある。 | *アンデルセンとデュマがそれぞれ現代に適応し、パソコン等の電子機器を普通に扱っているのに対して、シェイクスピアはタイプライターすらまともに扱えないという機械音痴の側面がある。 | ||
− | **『Fate/Grand | + | **『Fate/Grand Order』の絆礼装ではタイプライターを使用しているが、興が乗って全力で執筆した結果タイプライターの方が耐えきれずに壊れてしまった<ref group = "注">テキスト上で壊れたのはEのキーであったが、シャーロック・ホームズシリーズでも指摘されているように英語ではEの文字を最も良く使うため、真っ先に壊れるとしたらこのキーである。</ref>ので、耐久性の高い年代物のほうが好みなのかもしれないが。 |
*『Fate/Grand Order』の最終再臨画像では黒を基調とした衣服で非常に胡散臭く、ポーズもこちらを向いて座っている悪の黒幕然としたものになる。主人公にもとある事件への関与を疑われた際「お前の最終再臨を知っている」と突っ込まれていた。 | *『Fate/Grand Order』の最終再臨画像では黒を基調とした衣服で非常に胡散臭く、ポーズもこちらを向いて座っている悪の黒幕然としたものになる。主人公にもとある事件への関与を疑われた際「お前の最終再臨を知っている」と突っ込まれていた。 | ||
− | ** | + | **後に亜種特異点Ⅰで召喚された時は反転していたため、この姿になっている。とは言うものの、元々中立・中庸であるためにやたらと自著から引用しないだけで普段とはほとんど変わっていなかった。興味が移ったら平然と裏切ろうとする所も含めて。 |
*『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』によるバッドステータス「放心」は、1ターン行動不能になる状態異常「スタン」を付与するという形で再現されている。 | *『Grand Order』では『開演の刻は来たれり、此処に万雷の喝采を』によるバッドステータス「放心」は、1ターン行動不能になる状態異常「スタン」を付与するという形で再現されている。 | ||
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== 話題まとめ == | == 話題まとめ == | ||
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: 彼は初期に作った史劇『ヘンリー六世 第1部』で、[[ジャンヌ・ダルク]]を魔女・売女として描いている。 | : 彼は初期に作った史劇『ヘンリー六世 第1部』で、[[ジャンヌ・ダルク]]を魔女・売女として描いている。 | ||
: この作品の彼女は自分が神に選ばれた神聖な存在であると喚き、高貴な生まれであり羊飼いの娘ではないと主張し、処刑される寸前までイングランドへの呪詛を叫び続け、妊娠していながら聖処女を自称するなど徹底的に異端者の淫婦として描かれている。 | : この作品の彼女は自分が神に選ばれた神聖な存在であると喚き、高貴な生まれであり羊飼いの娘ではないと主張し、処刑される寸前までイングランドへの呪詛を叫び続け、妊娠していながら聖処女を自称するなど徹底的に異端者の淫婦として描かれている。 | ||
− | : | + | : シェイクスピアに限らず、15世紀以降の入手可能な英語の文献ではジャンヌ・ダルクは同様に描写されている。このような扱いをされたのはジャンヌがイングランドの敵だったからである。当時アルマダの海戦で[[フランシス・ドレイク]]がスペイン無敵艦隊を破り、イングランドの愛国心は頂点に達していた。この愛国心が観客の史劇への関心を高めることになり、史劇の内容もその時勢に合うものが選ばれていた。 |
− | : | + | : そういった時代背景が存在するが、彼の描いた「魔女」ジャンヌ・ダルクは特に有名で、その描写からは悪意すら感じられる。何の因果か、聖杯大戦にはルーラーとしてジャンヌが召喚されており、彼女に対し宝具で[[ジル・ド・レェ]]を召喚、トラウマを抉るというえげつない攻撃を行った。『Grand Order』ではジャンヌからこのことを根に持たれており、マイルーム会話で釘を刺されている。 |
: 『Grand Order』2017年バレンタインイベントでは、[[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕|黒い方のジャンヌ]]に対しても大嘘を吹き込みおちょくっている。……後でバレてきっちり報復はされたようだが。 | : 『Grand Order』2017年バレンタインイベントでは、[[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕|黒い方のジャンヌ]]に対しても大嘘を吹き込みおちょくっている。……後でバレてきっちり報復はされたようだが。 | ||
; ファーストフォリオ | ; ファーストフォリオ | ||
− | : | + | : 2016年4月に新たな本物のファーストファリオが発見された。これで確認されている数は234冊になっている。 |
− | : | + | : またファーストフフォリオに載っていない、シェイクスピアが執筆したか怪しく定かではない作品群を「シェイクスピア外典(Shakespeare Apocrypha)」と呼ぶ。 |
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
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