;―――夕暮れに、金砂のような髪が揺れている。<br>私はこの時、ようやく王の真実に触れた気がした。<br>騎士たちはもうずいぶんと王の笑う姿を見ていない、と恐れていた。そうではない。そうではないのだ。<br>この王は己の事で笑うのではなく。<br><ruby>他人<rb></rb><rt>ひと</rt></ruby>の幸福な姿を見て、穏やかに微笑むのだと。 | ;―――夕暮れに、金砂のような髪が揺れている。<br>私はこの時、ようやく王の真実に触れた気がした。<br>騎士たちはもうずいぶんと王の笑う姿を見ていない、と恐れていた。そうではない。そうではないのだ。<br>この王は己の事で笑うのではなく。<br><ruby>他人<rb></rb><rt>ひと</rt></ruby>の幸福な姿を見て、穏やかに微笑むのだと。 |