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200年前に始まりの御三家(アインツベルン・マキリ・遠坂)により敷設され、その術式は冬の聖女[[ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン]]の魔術回路を拡張・増幅したもの。<br>この儀式にはかの[[キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ|魔導元帥ゼルレッチ]]も立ち会っており、[[ギルガメッシュ]]までもが「考案したものは神域の天才であろうよ」と賞賛している。<br>
 
200年前に始まりの御三家(アインツベルン・マキリ・遠坂)により敷設され、その術式は冬の聖女[[ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン]]の魔術回路を拡張・増幅したもの。<br>この儀式にはかの[[キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ|魔導元帥ゼルレッチ]]も立ち会っており、[[ギルガメッシュ]]までもが「考案したものは神域の天才であろうよ」と賞賛している。<br>
 
小聖杯が破壊されようとも大聖杯さえ無事ならば、器が用意される限り何度でも聖杯降霊儀式は執り行える。<br>だが、Fate・UBWシナリオにおいては切嗣が第四次の後に用意した霊脈の瘤による局地的大地震により、またはHFシナリオにおいては宝石剣ゼルレッチで大暴れした凛により、龍洞が崩落、大聖杯は破壊される。このため、聖杯戦争は第五次で最後となり、今後開かれることはなくなった。<br>第五次の十年後、魔術協会は大聖杯の復活を画策し、遠坂の当主とロード・エルメロイII世により完全に解体される必要を残していた。<br>平行世界ではナチスドイツに御三家が敗退し、[[ユグドミレニア]]の本拠地であるルーマニア・トゥリファスに持ち去られている。
 
小聖杯が破壊されようとも大聖杯さえ無事ならば、器が用意される限り何度でも聖杯降霊儀式は執り行える。<br>だが、Fate・UBWシナリオにおいては切嗣が第四次の後に用意した霊脈の瘤による局地的大地震により、またはHFシナリオにおいては宝石剣ゼルレッチで大暴れした凛により、龍洞が崩落、大聖杯は破壊される。このため、聖杯戦争は第五次で最後となり、今後開かれることはなくなった。<br>第五次の十年後、魔術協会は大聖杯の復活を画策し、遠坂の当主とロード・エルメロイII世により完全に解体される必要を残していた。<br>平行世界ではナチスドイツに御三家が敗退し、[[ユグドミレニア]]の本拠地であるルーマニア・トゥリファスに持ち去られている。
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*なお、『stay night』における冬木の聖杯は「使用者が過程を思い描かずとも、聖杯が(勝手に)過程を補完して願望を叶える事が出来る」もの。それこそが聖杯が、魔術とは全く別の領域の特別な存在である理由となっている。そして、汚染された聖杯は「その過程を必ず悪意的に補完する」と言う物になってしまっている。
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**ところが『Zero』の聖杯は、同じ冬木の聖杯でありながら「過程を思い描けなければ願望が叶わない」と言う物に設定が変更されている。ただ、代わりに汚染聖杯でありながら「悪意的な補完をした過程で願望を叶えない」と言う面もあるが。この辺りの変更は、「切嗣の葛藤を描くため」「冬木大火災の真犯人を言峰に押し付けるため」と言った理由が考えられる。なお、汚染されていない『Apocrypha』の聖杯も、『Zero』の設定を踏襲している。
      
==『Prototype』の聖杯==
 
==『Prototype』の聖杯==
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*奈須きのこ氏曰わく『Fate/EXTRA』は『Fate/stay night』世界の1970年代から分岐した世界観だが、ムーンセルがあるのはあくまでも『EXTRA』世界だけで、『stay night』には存在しないとの事。
 
*奈須きのこ氏曰わく『Fate/EXTRA』は『Fate/stay night』世界の1970年代から分岐した世界観だが、ムーンセルがあるのはあくまでも『EXTRA』世界だけで、『stay night』には存在しないとの事。
 
*第三次聖杯戦争でアインツベルン家がアヴェンジャーを呼び出した為に聖杯は「この世全ての悪」に染まってしまい、願望は歪んだ形で顕現する呪いのアイテムになってしまう。<br>それ以前に、多くの流血を強いながらも聖杯をまともに手にした者は皆無で、作られた当初から呪いのアイテムになる事が決定付けられている。それでもなお聖杯を手に入れようとする者が後を絶たないあたり、人間のエゴや業の深さを感じさせる。
 
*第三次聖杯戦争でアインツベルン家がアヴェンジャーを呼び出した為に聖杯は「この世全ての悪」に染まってしまい、願望は歪んだ形で顕現する呪いのアイテムになってしまう。<br>それ以前に、多くの流血を強いながらも聖杯をまともに手にした者は皆無で、作られた当初から呪いのアイテムになる事が決定付けられている。それでもなお聖杯を手に入れようとする者が後を絶たないあたり、人間のエゴや業の深さを感じさせる。
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== 話題まとめ ==
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;願望機の特徴と、設定の変遷
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:一般的な魔術において、目的を達成するためにはそのための過程を考える必要がある。例えば「空を飛びたい」と願った場合、「重力を制御して体を浮かす」でも「翼を生やして羽ばたく」でも「魔力を脚から噴出する」でも良いが、とにかく何らかの方法を定義する必要がある。
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:一方、冬木の聖杯は、ただ「こうなって欲しい」と思い描くだけで、その願望を実現する事が出来る。その際、使用者が過程を思い描く必要がない。なので「空を飛びたい」と願うだけで、過程も理論も吹っ飛ばして即座に「空を飛ぶ」と言う結果のみを叶えられる。
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:これこそが、聖杯の願望機としての大きな特徴であり、魔術との大きな違いである。そもそも、過程と理論(と、それを実現するための魔力)さえあれば魔術でも大抵の事はできる。だが、過程と理論を吹き飛ばして結果のみを現出させる事は、聖杯にしか出来ないのだ。
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:イリヤが魔術理論を知らずに魔術を行使出来るのも、これと同じ原理。また、アヴェンジャーによって汚染された聖杯が「必ず悪意を持って願いを叶える」ようになってしまったのも、この聖杯の特徴が仇になったためと言える(過程が定義されておらず、願いの叶え方は聖杯に一任されているからこそ、悪意に取る事が可能となる。過程を定義する必要があるなら、悪意に取りようがない)。
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:……と言うのが『stay night』における聖杯の設定であったのだが、『Zero』の聖杯は「切嗣が過程を思い描けなかったため、願いを叶える事が出来ない」と言う、初期設定と明らかに矛盾した描写が為されている。これでは聖杯の特徴が失われてしまい、「ただ魔力が沢山入っているだけの器」になってしまう(それはそれで貴重だが)。何より、『stay night』におけるイリヤや汚染聖杯の設定とも大きな齟齬をきたす事になる。
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::ただ、聖杯戦争の根幹を為すこの設定を公式が勘違いしていた、と言うのはあまりにお粗末であるため、「意図的に設定が変更された」と考えるのが自然ではある。変更理由は語られていないが、「冬木大火災の真犯人を言峰に押し付けるため」と言う説が推測として成り立つ。
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::『stay night』元設定では「切嗣が願った世界平和を叶えるため、汚染聖杯が大火災を起こした」と言うものであるが、「主人公の願いのせいで大量殺戮が発生した」と言うエンディングはあまりに後味が悪い上、実際に描写してしまうと切嗣が悪人であるかのように取られてしまう。
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::そこで、「大火災は主人公(切嗣)ではなくラスボス(言峰)のせいだった」とするために、設定を変更した……と言う訳である。もちろん公式発言がない以上、推測にすぎないが。
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:なお、汚染されていない『Apocrypha』の聖杯も、『Zero』の設定を踏襲している。物語の都合によるものか、最新の設定に倣っただけなのかは不明。
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:ただ、イリヤや汚染聖杯の事がある以上、『stay night』本編の設定まで変更されたとは考えにくい。「『Zero』と『Apocrypha』はパラレルワールドなので、本編と聖杯の設定が違う」と考えておいた方が良いだろう。
    
== リンク ==
 
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*[[小辞典]]
 
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