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;略歴
 
;略歴
:原因不明の記憶喪失に陥っており、自らの素性も詳しい状況も分からぬまま、命をかけた聖杯戦争の舞台に投げ出される。聖杯戦争を通じ他者と関わり合うことで、迷い悩みながらも成長していく。<br>霊子虚構世界であるムーンセルでは夢を見ることはない(そもそも電脳にダイブすること自体が夢と同じカテゴリであり、夢の中でさらに夢を見ることはないため)とされているが、主人公はたびたび「火に包まれ焼け落ちていく、廃墟と化した都市の風景」を夢に見る。<br>正体は、NPCが何らかの故障(エラー)によって自我を獲得した存在。故に、記憶喪失ではなく、そもそも過去の記憶を持ち得ない。他のNPC同様、過去の人物の「再現」である。<br />主人公の基本となった人物は、既存の医療技術では治療不可能な難病(記憶障害を引き起こし、最後には死に至る脳症)に侵され、冷凍睡眠によって数十年にわたり保存されている。しかしながら、主人公自身はあくまで元NPC=データのみの存在であり、その眠っている人物とは別の存在である。その人物自身が冷凍睡眠中にムーンセルへ来ているわけではなく、主人公の「本体」として繋がっているわけでもない。<br>ムーンセルにとって主人公は故障によって生じた「不正なデータ」であり、見方によっては「網霊(サイバーゴースト)」でもある。
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:原因不明の記憶喪失に陥っており、自らの素性も詳しい状況も分からぬまま、命をかけた聖杯戦争の舞台に投げ出される。聖杯戦争を通じ他者と関わり合うことで、迷い悩みながらも成長していく。<br>霊子虚構世界であるムーンセルでは夢を見ることはない(そもそも電脳にダイブすること自体が夢と同じカテゴリであり、夢の中でさらに夢を見ることはないため)とされているが、主人公はたびたび「火に包まれ焼け落ちていく、廃墟と化した都市の風景」を夢に見る。<br>正体は、NPCが何らかの故障(エラー)によって自我を獲得した存在。故に、記憶喪失ではなく、そもそも過去の記憶を持ち得ない。他のNPC同様、過去の人物の「再現」である。<br>主人公の基本となった人物は、既存の医療技術では治療不可能な難病(記憶障害を引き起こし、最後には死に至る脳症)に侵され、冷凍睡眠によって数十年にわたり保存されている。しかしながら、主人公自身はあくまで元NPC=データのみの存在であり、その眠っている人物とは別の存在である。その人物自身が冷凍睡眠中にムーンセルへ来ているわけではなく、主人公の「本体」として繋がっているわけでもない。<br>ムーンセルにとって主人公は故障によって生じた「不正なデータ」であり、見方によっては「網霊(サイバーゴースト)」でもある。
    
;人物
 
;人物
:記憶喪失(実際は先述の通り、過去の記憶はもとより無い)ではあるが、一個人としての名前や、社会生活を送る上で必要な一般常識等は持ち合わせている。<br />聖杯戦争を通して成長していくが、初期は確たる目的意識はなく、ただ「死にたくない」という生存本能に衝き動かされて行動している。<br />個性に乏しい上、確たる目的意識もないことから覇気にも欠けている。そのためか「存在感が薄い」とよく言われる。その存在感の薄さは[[遠坂凛]]との初対面時にNPCと間違えられるほど。それでいて、他マスターと損得勘定抜きで交流を持ったり、ただ他者を助けるためだけに令呪を行使したりと、お人好しな一面も見られる。<br>逆境においても決して諦めない往生際の悪さが特徴で、悪足掻きを得意とする。その必死の行動は下馬評を覆し、数々の格上のマスターたちにさえ抗しうるほど。忍耐力も高く、ボロボロに傷付こうが絶望の淵に立たされようが、激マズの料理を食わされようが決して前に進むことを止めない不屈の意志の持ち主。<br>所謂、一級フラグ建築士であり、程度の差こそあれど'''同性からもモテる'''。特に女主人公が顕著で、CCCまで入れると、確定的な場合のみ取り上げても8人の女性(パートナーのセイバーとキャスター・桜・BB・凛・ラニ・パッションリップ・ランサー(CCC・赤))とから好意を寄せられている(メルトリリスが確実なのは男主人公のみ)。<br>自覚症状があるかどうかは微妙なラインだが、CCCのルートでの桜への態度やセイバーと式を挙げたりするのに抵抗がないため、'''満更でもない'''らしく、やはり性別の問題より気持ちが通じ合っている事の方が遥かに重要なようである。<br>また女主人公自身セイバーを押し倒したりキャスターにドキドキしたり、桜とキアラの公には見せられないようなやり取りを覗きに行こうとしたり、リップの谷間に突っ込もうとするなど、怪しい反応を見せる。<br>また、性別がどちらでも大幅に性格が変わらないためか、作中の描写を見る限り女性主人公は「かっこいい女性」として見られているようで、外見は小動物系で内面は割と乙女なのに女性(特にパートナーサーヴァント)からはあまり同性として意識されていない様子。<br>奈須氏にも“おとなしい外見なのに内面は鉄の少女”とマテリアルにてコメントされる。ラニルートではラニを抱えあげる。<br>[[アーチャー (EXTRA・赤)]]によれば、立派に男役をこなし彼女たちをエスコートできるという。<br>男主人公も負けておらず、BBに激しい告白をしたり、彼に感化され自らの宿業を打ち破った'''漢'''達は、自らの命を引き換えにしてまで彼のために血路を切り開いた。また当初から厳しい態度で彼に接していたアーチャーや[[ギルガメッシュ]]ですら最終的に彼に背中を預け、「剣を預けるに相応しい主」や「我が雑種」と呼んで全幅の信頼を寄せるようになり、やはり彼の魅力も相当なものである。<br><br>また、基本鈍感で恋愛には疎い方とはいえ、たまには積極的になり、セイバーを思わず押し倒したり、女主人公の場合、「頼れる兄」と「ちょっと気になる異性」の中間にいるアーチャーの思わぬ言動に胸を高鳴らせたりしている。<br>ただしキャスターからの有り余る求愛は持て余しており、真剣な場合を除いてはR-18展開につながりかねない場合は全力で逃亡、スルー、却下が基本。
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:記憶喪失(実際は先述の通り、過去の記憶はもとより無い)ではあるが、一個人としての名前や、社会生活を送る上で必要な一般常識等は持ち合わせている。<br>聖杯戦争を通して成長していくが、初期は確たる目的意識はなく、ただ「死にたくない」という生存本能に衝き動かされて行動している。<br>個性に乏しい上、確たる目的意識もないことから覇気にも欠けている。そのためか「存在感が薄い」とよく言われる。その存在感の薄さは[[遠坂凛]]との初対面時にNPCと間違えられるほど。それでいて、他マスターと損得勘定抜きで交流を持ったり、ただ他者を助けるためだけに令呪を行使したりと、お人好しな一面も見られる。<br>逆境においても決して諦めない往生際の悪さが特徴で、悪足掻きを得意とする。その必死の行動は下馬評を覆し、数々の格上のマスターたちにさえ抗しうるほど。忍耐力も高く、ボロボロに傷付こうが絶望の淵に立たされようが、激マズの料理を食わされようが決して前に進むことを止めない不屈の意志の持ち主。<br>所謂、一級フラグ建築士であり、程度の差こそあれど'''同性からもモテる'''。特に女主人公が顕著で、CCCまで入れると、確定的な場合のみ取り上げても8人の女性(パートナーのセイバーとキャスター・桜・BB・凛・ラニ・パッションリップ・ランサー(CCC・赤))とから好意を寄せられている(メルトリリスが確実なのは男主人公のみ)。<br>自覚症状があるかどうかは微妙なラインだが、CCCのルートでの桜への態度やセイバーと式を挙げたりするのに抵抗がないため、'''満更でもない'''らしく、やはり性別の問題より気持ちが通じ合っている事の方が遥かに重要なようである。<br>また女主人公自身セイバーを押し倒したりキャスターにドキドキしたり、桜とキアラの公には見せられないようなやり取りを覗きに行こうとしたり、リップの谷間に突っ込もうとするなど、怪しい反応を見せる。<br>また、性別がどちらでも大幅に性格が変わらないためか、作中の描写を見る限り女性主人公は「かっこいい女性」として見られているようで、外見は小動物系で内面は割と乙女なのに女性(特にパートナーサーヴァント)からはあまり同性として意識されていない様子。<br>奈須氏にも“おとなしい外見なのに内面は鉄の少女”とマテリアルにてコメントされる。ラニルートではラニを抱えあげる。<br>[[アーチャー (EXTRA・赤)]]によれば、立派に男役をこなし彼女たちをエスコートできるという。<br>男主人公も負けておらず、BBに激しい告白をしたり、彼に感化され自らの宿業を打ち破った'''漢'''達は、自らの命を引き換えにしてまで彼のために血路を切り開いた。また当初から厳しい態度で彼に接していたアーチャーや[[ギルガメッシュ]]ですら最終的に彼に背中を預け、「剣を預けるに相応しい主」や「我が雑種」と呼んで全幅の信頼を寄せるようになり、やはり彼の魅力も相当なものである。<br><br>また、基本鈍感で恋愛には疎い方とはいえ、たまには積極的になり、セイバーを思わず押し倒したり、女主人公の場合、「頼れる兄」と「ちょっと気になる異性」の中間にいるアーチャーの思わぬ言動に胸を高鳴らせたりしている。<br>ただしキャスターからの有り余る求愛は持て余しており、真剣な場合を除いてはR-18展開につながりかねない場合は全力で逃亡、スルー、却下が基本。
    
;能力
 
;能力
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;「なんという魂の叫び―――!<br> そ、そうだよね。女同士でも―――<br> って、とどまれわたし!」
 
;「なんという魂の叫び―――!<br> そ、そうだよね。女同士でも―――<br> って、とどまれわたし!」
:私服で誘惑し、同性相手でも「愛があれば常識など関係ねぇーっ!!」と主張するキャスターへの反応。女同士とわかっていながら、キャス狐の私服の凄まじいほどの可愛さと色気に落ちかけている。ちなみに、彼女の未来はこの時点で既にキャスターの「旦那様」になるか、桜と手を取り合って新しい世界で生きていくかのニ択になっており、'''同性と結ばれる運命は決定している'''。<br />もっとも彼女の先の発言もキャスターを嫌ったわけではなく、ただ単に恥ずかしいからと、押し負けると色々順番飛ばすことになりそうだから。桜とも幸せそうなので、やはり性別の問題より気持ちが通じ合っていることの方が大切なようである。
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:私服で誘惑し、同性相手でも「愛があれば常識など関係ねぇーっ!!」と主張するキャスターへの反応。女同士とわかっていながら、キャス狐の私服の凄まじいほどの可愛さと色気に落ちかけている。ちなみに、彼女の未来はこの時点で既にキャスターの「旦那様」になるか、桜と手を取り合って新しい世界で生きていくかのニ択になっており、'''同性と結ばれる運命は決定している'''。<br>もっとも彼女の先の発言もキャスターを嫌ったわけではなく、ただ単に恥ずかしいからと、押し負けると色々順番飛ばすことになりそうだから。桜とも幸せそうなので、やはり性別の問題より気持ちが通じ合っていることの方が大切なようである。
    
;「何度も出てきて恥ずかしくないんですか?」
 
;「何度も出てきて恥ずかしくないんですか?」
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*女性主人公が「黒色の現代衣装」を着て伊達眼鏡をかけたアーチャーを見ると、大分暴走気味に眼鏡に関する持論を語ってくれる。今後も着けてくれるというなら[[令呪]]を一つくらい消費しても構わない、とまで言うのだから相当である。
 
*女性主人公が「黒色の現代衣装」を着て伊達眼鏡をかけたアーチャーを見ると、大分暴走気味に眼鏡に関する持論を語ってくれる。今後も着けてくれるというなら[[令呪]]を一つくらい消費しても構わない、とまで言うのだから相当である。
 
*主人公の令呪は左手にある。だがドラマCD版では他の全マスターは令呪が右手にある。
 
*主人公の令呪は左手にある。だがドラマCD版では他の全マスターは令呪が右手にある。
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*サウンドドラマ等で男主人公を演じているのは阿部敦氏だが、女主人公にも声がついたことがある。『[[まほうつかいの箱|TYPE-MOON VOICE PHANTASM「ひびちからじお!」]]』(81杯目)内の箱番組『Fate/EXTRA 月海原学園放送部』冒頭のショートドラマである。CVは下屋則子。<br>ただし、このショートドラマは間桐桜・BBを演じる下屋則子女史がゲストとして招かれた回であり、しかもドラマ自体が夢オチとなっている。正式にキャスティングされたと判断するには難しい例外的なものである。
    
;主人公の基本となった人物について
 
;主人公の基本となった人物について
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;残された謎
 
;残された謎
 
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*「もう一人の主人公」<br>ゲームでは予選において、主人公ではなく「新聞部に所属する男子生徒」がまず4日間の学園生活を過ごし、予選を突破できずに敗退する。しかる後に主人公が登場し、プレイヤーの視点では4日目のみを過ごして予選を突破する。<br>主人公は4日目に「新聞部に所属する男子生徒」の後姿を追うなど、両者は別人として描かれている。<br>にもかかわらず本戦において、主人公が別に過ごしたはずの学園生活は、「新聞部に所属する男子生徒」が経験したはずのものと全く同じであるかのように描写される様が散見される。<br>しかもこれは、主人公一人ではなく、本戦に出場した他のマスター(間桐慎二、[[レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ]]、[[ありす]])やNPC([[柳洞一成]])も同様に認識し、主人公と接している。特に一回戦における慎二との関係に顕著で、慎二と主人公は互いを友人として扱う。<br>これは単に、『省略された予選の最初の3日間に、描写されていないところで主人公も似て非なる経験をしていた。例えば慎二にとって「新聞部に所属する男子生徒」も主人公も、複数いた友人の中の一人だった』という解釈もできるのだが……。<br>一回戦時はこのことに疑問を覚えなかった主人公だが、四回戦において慎二のことを思い出すきっかけがあった際に、「……本当に? 慎二の友人だったのは本当に自分か……? 駄目だ――上手く思い出せない。記憶がもやに覆われている。それ以上進もうとすると、柔らかいが、確固たる力で押し返されてしまう」と、自身の記憶に疑問を覚えるシーンが存在する。<br />結局、この伏線には『EXTRA』で明確な解答は示されていない。
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*「もう一人の主人公」<br>ゲームでは予選において、主人公ではなく「新聞部に所属する男子生徒」がまず4日間の学園生活を過ごし、予選を突破できずに敗退する。しかる後に主人公が登場し、プレイヤーの視点では4日目のみを過ごして予選を突破する。<br>主人公は4日目に「新聞部に所属する男子生徒」の後姿を追うなど、両者は別人として描かれている。<br>にもかかわらず本戦において、主人公が別に過ごしたはずの学園生活は、「新聞部に所属する男子生徒」が経験したはずのものと全く同じであるかのように描写される様が散見される。<br>しかもこれは、主人公一人ではなく、本戦に出場した他のマスター(間桐慎二、[[レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ]]、[[ありす]])やNPC([[柳洞一成]])も同様に認識し、主人公と接している。特に一回戦における慎二との関係に顕著で、慎二と主人公は互いを友人として扱う。<br>これは単に、『省略された予選の最初の3日間に、描写されていないところで主人公も似て非なる経験をしていた。例えば慎二にとって「新聞部に所属する男子生徒」も主人公も、複数いた友人の中の一人だった』という解釈もできるのだが……。<br>一回戦時はこのことに疑問を覚えなかった主人公だが、四回戦において慎二のことを思い出すきっかけがあった際に、「……本当に? 慎二の友人だったのは本当に自分か……? 駄目だ――上手く思い出せない。記憶がもやに覆われている。それ以上進もうとすると、柔らかいが、確固たる力で押し返されてしまう」と、自身の記憶に疑問を覚えるシーンが存在する。<br>結局、この伏線には『EXTRA』で明確な解答は示されていない。
    
*「欠けた夢」<br>ゲーム中で主人公が時折見る「欠けた夢」。やがて主人公はこれを「これは確かに、自分の夢のような気がする。あの光景を、自分はたしかに経験している」と認識するようになる。また同時に、「ネット上に無数に散らばった、どうでもいい動画の一つを見ている気分」といった、実感を伴わない遠い風景であるようにも感じる。<br>この夢のことを凛やラニに告げた際、二人からは「魂に焼き付いた記憶」「原風景」「トラウマ」といった解釈も示されているが、予想の範疇を超えるものではなく、確定的な情報ではない。<br>「欠けた夢」は映像のみではなく、そこへ、この風景を見ているものの思想らしきものが含まれている。「地獄から『私』は生まれた」「何故。何故。何故。何故、憎しみながら、こんなにも焦がれるのか。何故、悼みながら、こんなにも愛しいのか」「――是非を問え。その繁栄に、果たして、千年の価値はありや」など、その内容は、トワイス・H・ピースマンが語る過去の経験や、戦争への価値観、現在の世界への疑問、といったものを彷彿とさせる部分があり、この夢がトワイスの記憶である可能性も読み取れる。<br>主人公は「あの光景を、自分はたしかに経験している」と言うが、「1999年に極東で起きたバイオテロ」に主人公の基本となった人物とトワイスは共に遭遇していることから、二人は同じ風景を見ているはずである。<br>トワイスが送りつけてきたメッセージを自分の記憶であると誤解した、または主人公とトワイスの記憶が何らかの故障等によって混ざってしまっている、などの可能性が考えられる。<br>あるいは、主人公は「欠けた夢」について言及することはあっても、そのバイオテロ自体について言及していないことから、ゲーム中の「欠けた夢」はプレイヤーへのミスリード(ゲーム中に出てくる「欠けた夢」と、主人公が見ている「欠けた夢」が同一の物ではない)である可能性も考えられる。勿論、こちらもまた推測の範疇を超えるものではなく、確定的な情報ではない。<br>「欠けた夢」で見る「火に包まれ焼け落ちていく、廃墟と化した都市の風景」自体は、確かに主人公の基本となった人物は経験している。しかし、件の回想シーンで語られているモノローグまでもが主人公の基本となった人物のものかどうかは、明確な判断はできない。
 
*「欠けた夢」<br>ゲーム中で主人公が時折見る「欠けた夢」。やがて主人公はこれを「これは確かに、自分の夢のような気がする。あの光景を、自分はたしかに経験している」と認識するようになる。また同時に、「ネット上に無数に散らばった、どうでもいい動画の一つを見ている気分」といった、実感を伴わない遠い風景であるようにも感じる。<br>この夢のことを凛やラニに告げた際、二人からは「魂に焼き付いた記憶」「原風景」「トラウマ」といった解釈も示されているが、予想の範疇を超えるものではなく、確定的な情報ではない。<br>「欠けた夢」は映像のみではなく、そこへ、この風景を見ているものの思想らしきものが含まれている。「地獄から『私』は生まれた」「何故。何故。何故。何故、憎しみながら、こんなにも焦がれるのか。何故、悼みながら、こんなにも愛しいのか」「――是非を問え。その繁栄に、果たして、千年の価値はありや」など、その内容は、トワイス・H・ピースマンが語る過去の経験や、戦争への価値観、現在の世界への疑問、といったものを彷彿とさせる部分があり、この夢がトワイスの記憶である可能性も読み取れる。<br>主人公は「あの光景を、自分はたしかに経験している」と言うが、「1999年に極東で起きたバイオテロ」に主人公の基本となった人物とトワイスは共に遭遇していることから、二人は同じ風景を見ているはずである。<br>トワイスが送りつけてきたメッセージを自分の記憶であると誤解した、または主人公とトワイスの記憶が何らかの故障等によって混ざってしまっている、などの可能性が考えられる。<br>あるいは、主人公は「欠けた夢」について言及することはあっても、そのバイオテロ自体について言及していないことから、ゲーム中の「欠けた夢」はプレイヤーへのミスリード(ゲーム中に出てくる「欠けた夢」と、主人公が見ている「欠けた夢」が同一の物ではない)である可能性も考えられる。勿論、こちらもまた推測の範疇を超えるものではなく、確定的な情報ではない。<br>「欠けた夢」で見る「火に包まれ焼け落ちていく、廃墟と化した都市の風景」自体は、確かに主人公の基本となった人物は経験している。しかし、件の回想シーンで語られているモノローグまでもが主人公の基本となった人物のものかどうかは、明確な判断はできない。
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