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{{サーヴァント概要
 
{{サーヴァント概要
 
| タイトル = バーサーカー
 
| タイトル = バーサーカー
| 真名 = 項羽
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| 真名 = 項羽<br>項籍
 
| 依代 =  
 
| 依代 =  
| 読み = こうう
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| 読み = こうう<br>こうせき
 
| 外国語表記 = Xiang Yu
 
| 外国語表記 = Xiang Yu
 
| 初登場作品 = [[Fate/Grand Order]]  
 
| 初登場作品 = [[Fate/Grand Order]]  
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| サーヴァント階位 =  
 
| サーヴァント階位 =  
 
| 特技 =  
 
| 特技 =  
| 好きな物 = 自身が必要となくなる日<br/>[[虞美人]]
+
| 好きな物 = 自身が必要なくなる日<ref group ="注">マイルームの「好きなこと」で挙げてはいないが、もちろん[[虞美人]]も好き。</ref>
| 苦手な物 = 砂上の楼閣、偽りの安寧、未来に災いの種を残したままの仮初の平和。
+
| 苦手な物 = 砂上の楼閣、偽りの安寧、未来に災いの種を残したままの仮初の平和
 
| 天敵 =  
 
| 天敵 =  
 
| デザイン = danciao
 
| デザイン = danciao
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;略歴
 
;略歴
:『Fate/Grand Order』では第二部の[[人智統合真国 シン|中国異聞帯]]にて登場。
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:Lostbelt No.3『[[人智統合真国 シン]]』にて登場。
 
:[[始皇帝]]の部下として登場し、[[芥ヒナコ]]に合流して共に主人公らと戦うことに。
 
:[[始皇帝]]の部下として登場し、[[芥ヒナコ]]に合流して共に主人公らと戦うことに。
:異聞帯では汎人類史と異なり[[始皇帝]]が滅びず、彼が埋もれる事も無かった為、「項羽」の名前や記憶については当然ながら持っておらず、ヒナコが自身に執着する事についても首を傾げている。
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:異聞帯では汎人類史と異なり始皇帝が滅びず、彼が埋もれる事も無かった為、「項羽」の名前や記憶については当然ながら持っておらず、ヒナコが自身に執着する事についても首を傾げている。
 
:異聞帯における項羽(会稽零式)の扱いは、基本的に「モノ」に対するそれである。[[秦良玉]]は彼を指して「あれ」と呼び、始皇帝はヒナコに対して精神的苦痛を与えるためだけに自壊を命じている(そして項羽は即座にそれを実行しようとした)。<ref group="注">なお、項羽に対するこの扱いにヒナコ([[虞美人]])が怒りを持つ描写は無い。</ref>
 
:異聞帯における項羽(会稽零式)の扱いは、基本的に「モノ」に対するそれである。[[秦良玉]]は彼を指して「あれ」と呼び、始皇帝はヒナコに対して精神的苦痛を与えるためだけに自壊を命じている(そして項羽は即座にそれを実行しようとした)。<ref group="注">なお、項羽に対するこの扱いにヒナコ([[虞美人]])が怒りを持つ描写は無い。</ref>
 
:物語の後半にヒナコが始皇帝に自身の身体データを提供した褒美として払い下げられ、共に異聞帯の片隅でひっそりと生きていくことを提案されるが、ヒナコから教えられた汎人類史の自分の話から再度戦う事を決意。
 
:物語の後半にヒナコが始皇帝に自身の身体データを提供した褒美として払い下げられ、共に異聞帯の片隅でひっそりと生きていくことを提案されるが、ヒナコから教えられた汎人類史の自分の話から再度戦う事を決意。
 
:始皇帝がカルデアの戦いの果てに残るのは汎人類史だという結論に異を唱え、既にメンテナンスが追いつかずボロボロであるにも関わらずカルデアと奮戦し、虞美人への無念を零しつつ機能停止した。
 
:始皇帝がカルデアの戦いの果てに残るのは汎人類史だという結論に異を唱え、既にメンテナンスが追いつかずボロボロであるにも関わらずカルデアと奮戦し、虞美人への無念を零しつつ機能停止した。
:2部4.5章『[[虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル]]』ではノーチラスによる虚数潜航の試運転にカルデアのサーヴァントとして同行する。
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:2部4.5章『虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル』ではノーチラスによる虚数潜航の試運転にカルデアのサーヴァントとして同行する。
 
;人物
 
;人物
 
:ケンタウロスのような下半身、何本も生えた腕、3mを越える巨体という人間とは思えない恐ろしげな風貌をしているが、その正体は始皇帝によって[[哪吒]]の残骸を元に製造された人造人間「会稽零式」。
 
:ケンタウロスのような下半身、何本も生えた腕、3mを越える巨体という人間とは思えない恐ろしげな風貌をしているが、その正体は始皇帝によって[[哪吒]]の残骸を元に製造された人造人間「会稽零式」。
 
:カルデアで召喚された本人も何故このような姿になったのかと不思議がる程だが、実際は「中国異聞帯で改造され続けた果ての異形の姿に、汎人類史での人型のまま機能を停止した彼の精神が搭載されたもの」という扱い。元が機械であるため、不思議がりはしてもすぐに納得した。
 
:カルデアで召喚された本人も何故このような姿になったのかと不思議がる程だが、実際は「中国異聞帯で改造され続けた果ての異形の姿に、汎人類史での人型のまま機能を停止した彼の精神が搭載されたもの」という扱い。元が機械であるため、不思議がりはしてもすぐに納得した。
:実際は機械であるため、恐ろしい外見とは裏腹に理知的な様子も見せるが、演算の結果によっては一切の説明もなく過激な破壊行動を行う。演算の結果も降って湧いたように与えられる上、それに従う事は本能や衝動と同じレベルの行為である為、他者に説明することがそもそもできずトラブルの原因になる事も多い。
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:実際は機械であるため、恐ろしい外見とは裏腹に物静かで理知的な様子も見せるが、演算の結果によっては一切の説明もなく過激な破壊行動を行う。演算の結果も降って湧いたように与えられる上、それに従う事は本能や衝動と同じレベルの行為である為、他者に説明することがそもそもできずトラブルの原因になる事も多い。理解し難いその行動は狂気と形容する他ないだろう。
 
:また、正体が正体であるためか全体的に喋り方が機械的である。
 
:また、正体が正体であるためか全体的に喋り方が機械的である。
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:しかし「感情」と呼ぶことのできる精神活動は備えており、自らの内で「達成感」の賞罰を行っている。また、彼の理想である平和なひとときを目の当たりにすれば「歓喜」ないし「安堵」を懐くこともある。彼とコミュニケーションを取るには、その人ならざる情動を理解する必要がある。
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:カルデアにおいては後述するように未来予知が外れる可能性があるので「未来に縛られず今を生きる」という観点を手に入れて、生命ならではの驚きや喜びといった感情を体感している。
 
;能力
 
;能力
 
:その体躯を活かして嵐のように複数の剣を振り回して戦う他、全身からビームのような物を発射する等人間離れした戦い方を見せる。
 
:その体躯を活かして嵐のように複数の剣を振り回して戦う他、全身からビームのような物を発射する等人間離れした戦い方を見せる。
 
:だがそれらは戦闘の為の後付けであり、力の本質は超高速演算による未来予知じみた行動の先読み。本来は文官としての用途で製造された機能の流用であり、戦闘以外でも最大限に活用するとその日の博打の勝ち負けや次のルーレットの目くらいは簡単に当てられる。
 
:だがそれらは戦闘の為の後付けであり、力の本質は超高速演算による未来予知じみた行動の先読み。本来は文官としての用途で製造された機能の流用であり、戦闘以外でも最大限に活用するとその日の博打の勝ち負けや次のルーレットの目くらいは簡単に当てられる。
 +
:しかしそれも万能ではなく、カルデアにおいては数多の英霊の運命が交錯しており、多数の特異点とも繋がる特殊な環境下であるため、その未来予知を大幅に阻害する条件が揃っている。
    
== バリエーション ==
 
== バリエーション ==
 
;奇怪剣の項羽
 
;奇怪剣の項羽
:[[サーヴァントユニヴァース]]における項羽。「機械剣」のシャレであろうか。
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:[[サーヴァントユニヴァース]]における項羽。二つ名は「機械剣」のシャレであろうか。
 
:[[スペース神陰流]]の六剣客の一員であり、惑星ゼンジョーにあるクイーンズ女学院の新しい理事長に納まっている。
 
:[[スペース神陰流]]の六剣客の一員であり、惑星ゼンジョーにあるクイーンズ女学院の新しい理事長に納まっている。
 
:女学院では古参の教職員を次々にやめさせてロボットに置き換え、校風も「セイバーこそが至上」という価値観に変えてしまい、反発する生徒はスペース神陰流直営の教導施設に送り込んでいる。
 
:女学院では古参の教職員を次々にやめさせてロボットに置き換え、校風も「セイバーこそが至上」という価値観に変えてしまい、反発する生徒はスペース神陰流直営の教導施設に送り込んでいる。
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: 中国史屈指の勇名を誇る項羽の、故事成語ともなった武の具現。
 
: 中国史屈指の勇名を誇る項羽の、故事成語ともなった武の具現。
 
: 人間型の躯体で召喚された場合には対人宝具として発動するが、異聞帯において付加された人馬型という異形の形態は、個人の武の威力を大量殺戮兵器にまで拡大してしまった。
 
: 人間型の躯体で召喚された場合には対人宝具として発動するが、異聞帯において付加された人馬型という異形の形態は、個人の武の威力を大量殺戮兵器にまで拡大してしまった。
:『Fate/Grand Order』では「自身の宝具威力をアップ(1ターン)<オーバーチャージで効果アップ>+敵全体に強力な攻撃[Lv]」という効果のQuick宝具。
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:『Grand Order』では「自身の宝具威力をアップ(1ターン)<オーバーチャージで効果アップ>+敵全体に強力な攻撃[Lv]」という効果のQuick宝具。
    
== 真名:項羽 ==
 
== 真名:項羽 ==
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=== Fateシリーズ ===
 
=== Fateシリーズ ===
 
;[[Fate/Grand Order]]
 
;[[Fate/Grand Order]]
:Lostbelt No.3『人智統合真国 シン』配信に伴い実装。
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:Lostbelt No.3『人智統合真国 シン』開幕に伴い実装。
    
=== その他 ===
 
=== その他 ===
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== 人間関係 ==
 
== 人間関係 ==
 
=== Fate/Grand Order ===
 
=== Fate/Grand Order ===
 +
;[[ジェームズ・モリアーティ]]
 +
:抹殺しておくべき危険分子と判断している。
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:しかし将来的にカルデアに貢献する可能性も少なからず見出しているようで、執行保留中という扱いの様子。
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;[[殺生院キアラ〔アルターエゴ〕]]
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:やはり抹殺しておくべき危険分子と判断している。
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:しかしこちらも将来的にカルデアに貢献する可能性があるようで、執行猶予中としている。
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;[[BB (Grand Order)]]
 
;[[BB (Grand Order)]]
 
:期間限定イベント『虚数大海戦イマジナリ・スクランブル~ノーチラス浮上せよ~』にて、ノーチラス号が陥る危機を見越して虚数領域でも行動できる礼装の作成を依頼していた。
 
:期間限定イベント『虚数大海戦イマジナリ・スクランブル~ノーチラス浮上せよ~』にて、ノーチラス号が陥る危機を見越して虚数領域でも行動できる礼装の作成を依頼していた。
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:最愛の妻。京劇の「'''覇王別姫'''」は、彼女との別れの場面を描いたものである。
 
:最愛の妻。京劇の「'''覇王別姫'''」は、彼女との別れの場面を描いたものである。
 
:もっとも、史書において彼女の記述はほとんど無く、「項羽の寵姫に虞美人という者が居たといわれる」こと以外はまったく不明である。
 
:もっとも、史書において彼女の記述はほとんど無く、「項羽の寵姫に虞美人という者が居たといわれる」こと以外はまったく不明である。
:『Grand Order』においては不死の精霊種。自分と別れた後も永遠を生きる彼女の行く末が、機械として生きた彼にとっての唯一の心残りとなった。
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:『Grand Order』においての彼女は不死の精霊種。項羽の生涯において唯一の理解者であった。自分と別れた後も永遠を生きる彼女の行く末が、機械として生きた彼にとっての唯一の心残りとなった。
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:カルデアにおいては彼女が許容しているという点だけで、カルデアは守護するに値すると判断している。
 
:本人が天然なのか自分の前での彼女しか知らない為か、'''「温和な淑女」'''と実態とはかけ離れた印象<ref group = "注">しかしよく見られるツンケンした性格は、人類に迫害された過去に基づくものなため、本来の性格が項羽だけに見せる「温和な淑女」である可能性もある</ref>を抱いている。
 
:本人が天然なのか自分の前での彼女しか知らない為か、'''「温和な淑女」'''と実態とはかけ離れた印象<ref group = "注">しかしよく見られるツンケンした性格は、人類に迫害された過去に基づくものなため、本来の性格が項羽だけに見せる「温和な淑女」である可能性もある</ref>を抱いている。
 
:中国異聞帯では[[芥ヒナコ]]と名乗る彼女と出会い、想いを寄せられていた。
 
:中国異聞帯では[[芥ヒナコ]]と名乗る彼女と出会い、想いを寄せられていた。
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:史実では故国を滅ぼした怨敵。始皇帝の巡行の列を見て放った「彼奴に取って代わってくれるわ」という挑戦の叫びは、覇王・項羽のスタートラインでもある。
 
:史実では故国を滅ぼした怨敵。始皇帝の巡行の列を見て放った「彼奴に取って代わってくれるわ」という挑戦の叫びは、覇王・項羽のスタートラインでもある。
 
:『Grand Order』においては自身を設計・製造した存在であり、本来仕えていた相手。中国異聞帯では彼の治世が続いているため、そのまま仕え続けている。
 
:『Grand Order』においては自身を設計・製造した存在であり、本来仕えていた相手。中国異聞帯では彼の治世が続いているため、そのまま仕え続けている。
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:異聞帯の彼はかつて試作品だった自身の完成形であり、汎人類史では実現せずとも並行世界でその優位が示された事は喜ばしいとか。
 
;陳勝・呉広
 
;陳勝・呉広
 
:秦の圧制に対し、中国史上初の農民一揆を起こした英傑達。彼等の反乱に呼応して項梁達は挙兵した。
 
:秦の圧制に対し、中国史上初の農民一揆を起こした英傑達。彼等の反乱に呼応して項梁達は挙兵した。
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== メモ ==
 
== メモ ==
*中国史において「最強の武将は誰か?」という問いに[[呂布奉先|呂布]]や関羽と共に必ず名前が挙がる人物。なお、呂布とは「狂戦士」のクラスという共通点がある。
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*中国史において「最強の武将は誰か?」という問いに[[呂布奉先|呂布]]や関羽と共に必ず名前が挙がる人物。なお、呂布とは「狂戦士」のクラスという共通点がある。
 
**対秦戦争の山場である鉅鹿戦では、手持ちの兵力が5万から10万なのに対し、敵の秦軍は30万以上、率いるのは秦最後の名将、章邯<ref group = "注" >どれくらいの化け物かというと、跳梁跋扈する反乱軍を一匹残らず殲滅した秦の白い悪魔というべき存在。柔軟な思考の持ち主で、陳勝・呉広の乱を囚人兵(敵を倒せば自由にすると約束し、その約束を守った)で鎮圧し、頂梁も章邯に敗北して戦死している。鉅鹿戦の後も互角以上の戦力を有していたが、首都に向かわせた使者から「負けても殺されるし、勝っても冤罪を着せられて殺される」という報告を受けたので頂羽に降伏した。余力を残した状態で降伏したため、後に章邯と数名の高級将校以外は生き埋めという悲劇を迎えることになってしまった。劉邦が漢中に左遷された後は、監視役として旧秦領に留め置かれたが、生き埋めの一件で秦の旧臣達からはかなり恨まれ、劉邦との戦いでは孤立無援の状態となり、最期は張良の策略に引っ掛かって大敗し自害に追い込まれてしまう。</ref>という化け物を相手に、手持ちの食料だけで狂戦士のような突撃を繰り返して勝利。この結果、秦の最後の戦力は壊滅し、対秦軍領袖の地位を不動の物とした。その一方で劉邦軍が回り道をする形で進撃し、項羽よりも先に秦の首都を落としていた。
 
**対秦戦争の山場である鉅鹿戦では、手持ちの兵力が5万から10万なのに対し、敵の秦軍は30万以上、率いるのは秦最後の名将、章邯<ref group = "注" >どれくらいの化け物かというと、跳梁跋扈する反乱軍を一匹残らず殲滅した秦の白い悪魔というべき存在。柔軟な思考の持ち主で、陳勝・呉広の乱を囚人兵(敵を倒せば自由にすると約束し、その約束を守った)で鎮圧し、頂梁も章邯に敗北して戦死している。鉅鹿戦の後も互角以上の戦力を有していたが、首都に向かわせた使者から「負けても殺されるし、勝っても冤罪を着せられて殺される」という報告を受けたので頂羽に降伏した。余力を残した状態で降伏したため、後に章邯と数名の高級将校以外は生き埋めという悲劇を迎えることになってしまった。劉邦が漢中に左遷された後は、監視役として旧秦領に留め置かれたが、生き埋めの一件で秦の旧臣達からはかなり恨まれ、劉邦との戦いでは孤立無援の状態となり、最期は張良の策略に引っ掛かって大敗し自害に追い込まれてしまう。</ref>という化け物を相手に、手持ちの食料だけで狂戦士のような突撃を繰り返して勝利。この結果、秦の最後の戦力は壊滅し、対秦軍領袖の地位を不動の物とした。その一方で劉邦軍が回り道をする形で進撃し、項羽よりも先に秦の首都を落としていた。
 
**楚漢戦争の彭城の戦いは、寝込みを急襲したような形になったとはいえ、3万の軍勢で56万の漢軍を殲滅、そのうち20万を殺害…という冗談としか思えないような戦果を上げている。
 
**楚漢戦争の彭城の戦いは、寝込みを急襲したような形になったとはいえ、3万の軍勢で56万の漢軍を殲滅、そのうち20万を殺害…という冗談としか思えないような戦果を上げている。
***ちなみにこの戦いの詳細は楚軍の本拠地を占領して油断した漢軍56万を楚軍3万で強襲し、城内の漢軍は10万人が討ち取られ、残りの10万人は敗走中に睢水の川に追い込まれ、溺死したと伝えられる。大量の漢軍兵士の死体で川が塞き止められたとも、真っ赤に染まったとも伝えられており、劉邦も戦死一歩手前にまで追い詰められた。後世の後漢末期の「合肥の戦い」<ref group = "注">呉の孫権が率いる10万の軍勢を、魏の将軍で呂布の元部下の張遼が僅か7000で破った戦い。この戦いで張遼の武名は天下に轟き、呉では「遼来々(張遼が来た)!」と言うだけで泣く子供も黙りこんだとされる。なお、合肥の戦いに限らず「官渡の戦い」や「赤壁の戦い」、「夷陵の戦い」と言った三国志の代表的な戦いは、寡兵が大軍を破った戦いとなっている。</ref>や五胡十六国時代の「淝水の戦い」<ref group = "注">西暦383年に華北の前秦と江南の東晋が激突した戦い。前秦軍120万に対し、東晋軍は8万で対峙。しかし、雑多な民族の集まりで統制が取れていなかった前秦軍は作戦ミスで混乱状態に陥り、そこに突撃してきた東晋軍によって潰滅してしまう。前秦は参加兵力の実に80%以上を失い、数年後に滅亡する。</ref>や日本戦国時代の「桶狭間の戦い」と共に、寡兵で大軍を討ち破った代表的な戦いだと伝えられている。
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***ちなみにこの戦いの詳細は楚軍の本拠地を占領して油断した漢軍56万を楚軍3万で強襲し、城内の漢軍は10万人が討ち取られ、残りの10万人は敗走中に睢水の川に追い込まれ、溺死したと伝えられる。大量の漢軍兵士の死体で川が塞き止められたとも、真っ赤に染まったとも伝えられており、劉邦も戦死一歩手前にまで追い詰められた。後世の後漢末期の「合肥の戦い」<ref group = "注">呉の孫権が率いる10万の軍勢を、魏の将軍で呂布の元部下の張遼が僅か7000で破った戦い。この戦いで張遼の武名は天下に轟き、呉では「遼来々(張遼が来た)!」と言うだけで泣く子供も黙りこんだとされる。なお、合肥の戦いに限らず「官渡の戦い」や「赤壁の戦い」、「夷陵の戦い」と言った三国志の代表的な戦いは、寡兵が大軍を破った戦いとなっている。</ref>や五胡十六国時代の「淝水の戦い」<ref group = "注">西暦383年に華北の前秦と江南の東晋が激突した戦い。前秦軍120万に対し、東晋軍は8万で対峙。しかし、雑多な民族の集まりで統制が取れていなかった前秦軍は作戦ミスで混乱状態に陥り、そこに突撃してきた東晋軍によって潰滅してしまう。前秦は参加兵力の実に80%以上を失い、数年後に滅亡する。</ref>や日本戦国時代の「桶狭間の戦い」と共に、寡兵で大軍を討ち破った代表的な戦いだと伝えられている。
 
*項羽は非常に直截的な性格の持ち主だった。これは彼を英雄と慕う楚兵にとっての大きな魅力だったが、一方でそれに伴う数々の政治的失敗があり、結果的に劉邦に敗北する。
 
*項羽は非常に直截的な性格の持ち主だった。これは彼を英雄と慕う楚兵にとっての大きな魅力だったが、一方でそれに伴う数々の政治的失敗があり、結果的に劉邦に敗北する。
**特に『史記』を編纂した司馬遷は項羽を「自らの失敗を認めないのは、荒唐無稽にすぎる」と手厳しい。しかし一方で、史記において項羽を王者として扱っており、その行跡に関する描写も豊かである<ref group = "注">家臣たちの記録である「列伝」や諸侯の記録である「世家」ではなく、中華の支配者の記録である「本紀」に項羽を位置づけている。秦末の動乱期に王を称した人物はほとんど列伝か世家で、項羽のみ別格の扱いとなっている。そもそも、項羽というのは性+字(あざな)で姓名ではない。中国では目上以外の人間が、当該人物を名で呼ぶのは無礼とされ、その代わりに字で呼んでいた。従って、本来なら項籍と書くべきところを、項羽と書くのは尊敬の現われであり、史書において実名を書かない待遇を受けているのは、皇帝を除いてはほんの僅かである。ちなみに、劉邦の正室で中国三大悪女の一人とされた呂雉も「本紀」に記載されている。</ref>。「史記」は司馬遷が亡父の遺志を継ぎ、個人として編んだ史書であるため、劉邦(漢王朝の創始者)と敵対した項羽に対しても、好意的とさえいえる視点で書かれている(無論欠点についても項羽・劉邦ともにしっかりと書かれている)。
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**特に『史記』を編纂した司馬遷は項羽を「自らの失敗を認めないのは、荒唐無稽にすぎる」と手厳しい。しかし一方で、史記において項羽を王者として扱っており、その行跡に関する描写も豊かである<ref group = "注">家臣たちの記録である「列伝」や諸侯の記録である「世家」ではなく、中華の支配者の記録である「本紀」に項羽を位置づけている。秦末の動乱期に王を称した人物はほとんど列伝か世家で、項羽のみ別格の扱いとなっている。そもそも、項羽というのは性+字(あざな)で姓名ではない。中国では目上以外の人間が、当該人物を名で呼ぶのは無礼とされ、その代わりに字で呼んでいた。従って、本来なら項籍と書くべきところを、項羽と書くのは尊敬の現われであり、史書において実名を書かない待遇を受けているのは、皇帝を除いてはほんの僅かである。ちなみに、劉邦の正室で中国三大悪女の一人とされた呂雉も「本紀」に記載されている。</ref>。「史記」は司馬遷が亡父の遺志を継ぎ、個人として編んだ史書であるため、劉邦(漢王朝の創始者)と敵対した項羽に対しても、好意的とさえいえる視点で書かれている(無論欠点についても項羽・劉邦ともにしっかりと書かれている)。
 
**項羽と劉邦の双方に仕え重用された陳平は、劉邦の人柄を「傲慢で無礼」としている一方で項羽の人柄を「恭敬で人を愛する」と評している。なので「理知的で礼儀正しい項羽」というのは、史実からそう外れたキャラ付けではない。
 
**項羽と劉邦の双方に仕え重用された陳平は、劉邦の人柄を「傲慢で無礼」としている一方で項羽の人柄を「恭敬で人を愛する」と評している。なので「理知的で礼儀正しい項羽」というのは、史実からそう外れたキャラ付けではない。
 
**ただし上記の評価はその後に「褒美を出し惜しむので人が従わない」「人を信じることができず、愛し任せるのは一族か妻の親族だけである」と続き、劉邦のほうは「褒美をよく出すので利を好む連中が集ってくる」と続く。項羽がケチであることは、同時代の人物の多くが証言しており、秦末から楚漢戦争に突入していく切っ掛けの一つにもなった。一個人としてどちらの人格が優れていたかはともかく、君主として劉邦が項羽に勝っていたのは間違いないだろう。
 
**ただし上記の評価はその後に「褒美を出し惜しむので人が従わない」「人を信じることができず、愛し任せるのは一族か妻の親族だけである」と続き、劉邦のほうは「褒美をよく出すので利を好む連中が集ってくる」と続く。項羽がケチであることは、同時代の人物の多くが証言しており、秦末から楚漢戦争に突入していく切っ掛けの一つにもなった。一個人としてどちらの人格が優れていたかはともかく、君主として劉邦が項羽に勝っていたのは間違いないだろう。
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