;「…………ああ。なんて──」<br />輝かしい記憶。<br />眩しくて視界がぼやけてしまうほど。<br />あの時は恐怖しかなかった。絶望しかなかった。<br />私の性能ではあの人を守りきれないと、<br />決定的な場面がいつ来てしまうかと、夜ごと泣いていた。<br />でも───あの人は笑っていたから。<br />弱かった私は全力で後を追った。<br />楽しすぎて泣いていた。<br />辛すぎて笑っていた。<br />何をしても、<br />どんな過酷な状況だろうと輝いていた。<br />アナタの為なら、<br />アナタとならどこまでも行ける気がした。<br />そう、何が相手でも戦えると、戦うと誓った。<br />あんなにも最悪の状況だったけれど、<br />あの人がいるかぎり、私には最高のものに見えたのだ。<br />「“たとえ、この<RUBY><RB>両手</RB><RT>つばさ</RT></RUBY>が砕け散っても。アナタの元に飛んで見せるわ。”」<br />……そんな言葉も、口にしたっけ。 | ;「…………ああ。なんて──」<br />輝かしい記憶。<br />眩しくて視界がぼやけてしまうほど。<br />あの時は恐怖しかなかった。絶望しかなかった。<br />私の性能ではあの人を守りきれないと、<br />決定的な場面がいつ来てしまうかと、夜ごと泣いていた。<br />でも───あの人は笑っていたから。<br />弱かった私は全力で後を追った。<br />楽しすぎて泣いていた。<br />辛すぎて笑っていた。<br />何をしても、<br />どんな過酷な状況だろうと輝いていた。<br />アナタの為なら、<br />アナタとならどこまでも行ける気がした。<br />そう、何が相手でも戦えると、戦うと誓った。<br />あんなにも最悪の状況だったけれど、<br />あの人がいるかぎり、私には最高のものに見えたのだ。<br />「“たとえ、この<RUBY><RB>両手</RB><RT>つばさ</RT></RUBY>が砕け散っても。アナタの元に飛んで見せるわ。”」<br />……そんな言葉も、口にしたっけ。 |