;「気づかされたのだ。私はこれまで剣術に愉しみを覚えたことなどなく、そのような者だからこそ、<br> 父は私に古き新陰流を継がせなんだ。新陰流より生じたもの、柳生新陰流とな。<br> ……それで良いと思った。どれほど高説を重ねようが、剣の道は殺人の道。<br> そこに特別な意味など―――人生の価値など求める事こそ不純だと。<br> だが違った。齢この歳、貴様と立ち合って今さらに気付かされたわ。<br> 立ち合いの妙。刹那に生死が融け合う感覚。己が心と対手の心が同一する境地。<br> ―――成る程。剣者の道というものは、面白い。」 | ;「気づかされたのだ。私はこれまで剣術に愉しみを覚えたことなどなく、そのような者だからこそ、<br> 父は私に古き新陰流を継がせなんだ。新陰流より生じたもの、柳生新陰流とな。<br> ……それで良いと思った。どれほど高説を重ねようが、剣の道は殺人の道。<br> そこに特別な意味など―――人生の価値など求める事こそ不純だと。<br> だが違った。齢この歳、貴様と立ち合って今さらに気付かされたわ。<br> 立ち合いの妙。刹那に生死が融け合う感覚。己が心と対手の心が同一する境地。<br> ―――成る程。剣者の道というものは、面白い。」 |