;「―――ここはな、本来私が守らなければならぬ場所、即ち、『影の国』、スカイ島の一部だ。」<br>「影の国も例外なく人理焼却に巻き込まれたが、何かの拍子にこの島だけが分断されたのだろう。」<br>「一体どういう経緯を辿れば、ここに生物が住み着き、文明を築き上げたのか。」<br>「どういう奇跡が起これば、我々がここに漂着できたのか。」<br>「この島はもう、あらゆる人理から解き放たれた。私たちが抜け出せば、迷い込む者など二度とあるまい。」<br>「この島が楽園になるのか、それともやはり島の本質―――死と暗黒が支配する影の国に堕ちるのか。」<br>「ま、人間が暮らしているならともかく、あの呑気こいたうりぼうたちなら……大丈夫だろうさ。どれほど文明を発達させようとも、結局あいつらは武器らしいものを何一つ持たなかった。」<br>「であれば、外敵が存在せぬ限り、平和に過ごしていくだろう。」<br>「……これは皆には内緒だが。念のため、島には忘却のルーンを仕掛けておいた。うりぼうたちはいずれ文明を忘れ、言葉も忘れ、ありきたりの動物として、のんびりと過ごしていくはずだ。」 | ;「―――ここはな、本来私が守らなければならぬ場所、即ち、『影の国』、スカイ島の一部だ。」<br>「影の国も例外なく人理焼却に巻き込まれたが、何かの拍子にこの島だけが分断されたのだろう。」<br>「一体どういう経緯を辿れば、ここに生物が住み着き、文明を築き上げたのか。」<br>「どういう奇跡が起これば、我々がここに漂着できたのか。」<br>「この島はもう、あらゆる人理から解き放たれた。私たちが抜け出せば、迷い込む者など二度とあるまい。」<br>「この島が楽園になるのか、それともやはり島の本質―――死と暗黒が支配する影の国に堕ちるのか。」<br>「ま、人間が暮らしているならともかく、あの呑気こいたうりぼうたちなら……大丈夫だろうさ。どれほど文明を発達させようとも、結局あいつらは武器らしいものを何一つ持たなかった。」<br>「であれば、外敵が存在せぬ限り、平和に過ごしていくだろう。」<br>「……これは皆には内緒だが。念のため、島には忘却のルーンを仕掛けておいた。うりぼうたちはいずれ文明を忘れ、言葉も忘れ、ありきたりの動物として、のんびりと過ごしていくはずだ。」 |