ルーラー
- 真名:ジャンヌ・ダルク
- 身長:159cm/体重:44kg
- スリーサイズ:B85/W59/H86
- 属性:秩序・善
聖杯大戦を監督し、正しく導くために行動する、大聖杯に召喚された「統治者」のサーヴァント。
- 略歴
- 真名はフランスの百年戦争の英雄、カトリックの聖女ジャンヌ・ダルク。オルレアンの乙女(ラ・ピュセル)と呼ばれた救国の英雄である。
フランスの学生寮で、レティシアという少女に憑依するイレギュラーな形で召喚された。マスターが存在しない聖杯戦争の管理者として、トゥリファスの小さな教会に滞在する。
- 人物
- 信心深く清廉で善良な少女。二つの人格が統合しているため、フランス人の少女の記憶も大部分持ち合わせている。中立のサーヴァントとして振る舞うときは規律を第一とし、たとえ身に危険が迫るときも公明正大であろうとする高潔な精神を持つ。
元々教養とは無縁の生涯を送ってきたため、聖杯から与えられる知識と憑依した少女の知識以外のことはあまり知り得ず、せいぜい署名ができる程度が限界。また農家の娘であったからか、食欲の塊のような野卑な兵士たちにも引けを取らなかった健啖家である。
- 能力
- 武器は「旗」。少女の体に憑依して現界しているため、霊体化できない。しかし聖杯戦争を管轄する絶対的な特権を有しており、部外者を巻き込むなどの規律に違反する者には注意を促し、場合によってはペナルティを与える。
その任を遂行するための能力を多数備えていて、自身の半径十キロ圏内に及ぶ強力な索敵能力と聖水を用いたサーヴァントの探索機能を有し、アサシンの『気配遮断』すら完全に無効化する。また自らが召喚された「聖杯戦争」に参加している全てのサーヴァントの真名を把握しており詳細な情報も持っている。
クラス別スキル『聖人』を有しており、4つの能力から“聖骸布の作成”が選択された。さらに非常に高い『カリスマ』を持ち、その応用で自らの言葉を第三者に信じさせることが出来る。
聖杯戦争に参加しているサーヴァント達に聖杯から与えられる知識も、ルーラーに関する情報は厳重に秘匿されており、その存在には謎が多い。
- 宝具
登場作品と役柄
- Fate/Apocrypha
- 中立のサーヴァント・ルーラーとして召喚されるが、やがて戦争の裏に存在する陰謀に気付く。
- Fate/Zero
- キャスターの回想に登場。
BD版特典の「お願い!アインツベルン相談室」においてもキャスターが語っている。
人間関係
- レティシア
- 憑依したフランス人の少女。聖杯大戦以外の知識は彼女のものがベースとなっている。
極めて感受性が強く、信仰心に篤かったせいか、自身に宿った聖女の人格を受け入れた。若干男性恐怖症気味。
- アルマ・ペトレシア
- 下宿した教会のシスター。
純朴で神の愛以外に必要なものは存在しないような女性。
- ジーク
- “黒”のセイバー脱落の真相を確かめるために探していた。
黒の陣営で魔力供給源として使い捨てられているホムンクルスたちを救出せんとする彼と、同じくマスター以外からの魔力供給を問題視していたルーラーとの間で目的が一致し、行動を共にすることになる。
聖杯大戦の被害者として、保護対象とみなしている。
- ライダー (Apocrypha・黒)
- ジークを助けようとするアストルフォとルーラーの間で目的が一致している。
なお、ルーラーはアストルフォの真名を把握しているはずなのに彼の事を一貫して「貴女」や「彼女」と呼んでいる。
- ジル・ド・レェ
- かつて共に轡を並べ、戦場を駆け抜けた戦友。
名台詞
- 「―――主よ、この身を委ねます―――」
- 生前の最後の言葉。
弾効され、罵倒され、責め苦を受けてもなお、彼女の心にはただ祈りしかなかった。
- 「私のような農家の子女でも教育を受けられる。……良い世の中です。」
「……さっぱり分かりません。」 - 聖杯は現世で活動するのに必要な知識は授けてくれるが、教科書の中身までは教えてくれない。
悪戦苦闘の予感を覚えながらも、真面目な彼女は数学の教科書という強力な敵に立ち向かう。
- 「ふふ……あざといですか?あざといですって?
最高の褒め言葉です、ワン!」 - 神風魔法少女ジャンヌ、降臨。
可愛過ぎて、旦那が見たら発狂すること間違いなし。
ただ番外編でキャラが崩壊するのはお決まりだが、まだ一巻しか出ていないのに早すぎやしないだろうか?
メモ
- キャラクターデザイン原案は武内崇氏。設定制作を担当したのは奈須きのこ氏。
- ジルがセイバーをジャンヌと勘違いした事から、よく彼女もセイバーと似たような顔だと思われがちだが、武内氏によるとデザイン自体はセイバーは特に意識していないとの事。
また外見の共通点も金髪白人という事のみでセイバーとはあまり似ていないと語られている。彼が勘違いしたのは顔ではなくその雰囲気による所が大きい模様。- エイプリルフール企画では一連のセイバー系ヒロインとしてカウントされてはいるが、弓塚さつきとリーズバイフェからは本家セイバーとは別に似てないと発言されている。そして最大の違いは、やはり女性らしさというか、母性の大きさというか……つまるところ、ジャンヌのほうには夢とロマンがつまっているのである。実にあざとい。
- 武内氏お気に入りのキャラクター。
武内氏の彼女への入れ込みようは凄まじく、最初の頃の打ち合わせ中「ジャンヌは女子高生ってよくない?」が口癖であったため、奈須氏を含むTYPE-MOONのスタッフに「何を言っているんだこいつは」と正気を疑われてしまう。
結局それは周囲から「いや、気持ちはわかるけど落ち着け」と抑えられてしまうが、抑圧された反動からか、「Zero」の描きおろしイラストで「マスター・アルトリア」が誕生した。奈須氏曰く、ダメだしされた怨念から生まれたイラストであるという。
武内氏の「彼女を女子高生にする」という野望は藻屑と消えたかと思われていたが、この話を聞いた東出氏によって、「女子高生に憑依して現界する」という離れ業により、武内氏の願望は達成されることとなった。 - 東出氏は彼女の人物設定で大変苦労したらしい。
「信仰心」を強調すると、史実の過激な狂信者としての面が出てきてしまい、夢見がちな乙女にし過ぎると、シェイクスピアに馬鹿にされ続けたキャラクターに非常に近いものとなってしまう。
また過去の作品の登場人物と密接な関係を持ち、「抑止力」とも関係がある彼女の人物設定は慎重に行わなければならない、という配慮もあったと思われる。 - 『聖人』の能力は召喚された時に"秘蹟の効果上昇"、"HP自動回復"、"カリスマを1ランクアップ"、"聖骸布の作成が可能"から、ひとつ選択される。
- 「ルーラー」のクラスに選ばれる条件は現段階では不明。
- 『空の境界』で霊長の抑止力の話を聞いた黒桐幹也が、彼女も何かに後押しされた結果ではないだろうかと連想している。
- かつて轡を並べたジル・ドレェは、努力しても署名ができる程度にしか読み書きが上達せずに悩んでいた彼女を「それだけ書ければ充分でしょう」と大いに笑って励ましたという。
………救国のためにジャンヌと共に戦っていた彼は輝いていた。 - ルール違反に厳格なように見えるが、仕方の無い事情が有る場合は許容することもある。
聖杯戦争は一都市で行うものであるため、トゥリファスから離れたシギショアラに駐屯している赤のサーヴァント達は、ルール違反をしていると言える。だがトゥリファスはユグドミレニア一族の管理地であり、隠れ潜む場所が非常に少ないことを考慮すれば、彼らの戦略も致し方の無いものとして許容している。 - 彼女の「ルーラー」としての方針は、聖杯大戦による人的被害や公共物の大規模な破壊だけでなく、宝具による自然破壊にまで気を使っている。
黒のアサシンが既に多くの人的被害を出しているのだが、まだ出会っていないためにソレに対する反応及び言動も無い。 - 唯の田舎娘だった筈な割にはそのステータスはかなりハイスペック。知名度補正もその英霊の全盛期まで押し上げる効果しかないので、聖杯大戦参加者に容易に拘束、または殺害されないための防御手段としてこの数値になったクラス「ルーラー」特有の恩恵か、もしくはTYPE-MOON世界の彼女は素でこれ程の能力を誇るかのどちらかだと思われる。
まあ、どこぞのパン屋の娘が並の魔術師の100倍の魔力を持つ事もあるので、この世界では充分有り得る事である。また抑止力に後押しされていたのも一因かもしれない。 - 2013年のTYPE-MOONエイプリルフール企画『路地裏さつき』ではなんと露出度の高い魔法少女コスチュームで登場、その名も「神風魔法少女ジャンヌ」。コンセプトは「キュアでピースで真っ黄色」。
「まだキャラが固まっていないので好き放題できる」との名目で語尾に犬の鳴き声を付けるなど圧倒的あざとさと計算高さを誇り、相対した弓塚さつき達を戦慄させた。
更に公開中公式HPの彼女の紹介イラストまでこの姿に変更されていた。なお、当該回のシナリオもイラストもApocryphaの作者・東出氏と挿絵担当の近衛氏がそのまま執筆している。公式が病気。- 魔女として処刑された彼女が魔法少女になるのはどうかと思うが、ガチでヒロインを狙ってきているピンクに対抗するために形振り構っていられないという事情もあるようだ。
企画段階でのステータス
クラス | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | 備考 |
ルーラー | B | B | A | A | C | A++ |
保有スキル:対魔力:EX、啓示:?、カリスマ:?、聖人:?
話題まとめ
- 悲劇的な最期
- 彼女が火刑に処されたのは、遺体が残らないために最後の審判で生き返ることができない、キリスト教徒にとって最も苛烈な刑罰のためである(キリスト教徒の遺体は土葬が普通)。
また、彼女が高温と酸欠で窒息死したのち、一度火は遠ざけられ、裸体を群集にさらされるという屈辱も受けた(魔女は両性有具だとされていたため)。
そして燃やされたのち、灰は土に決して返さないという意味で、川に流されたとされている。
敬愛する相手がこんな目に遭わされたら、ジルじゃなくたって世界や神に絶望するだろう。- 尤も彼女自身は最初からこの結末を覚悟しており、無念も後悔も無いと語っている。誰もに愚か者と罵られ、虐げられるのならせめて自分自身だけは裏切らない。彼女の胸にあったのはそんな高潔な想いであったという。
- シェイクスピアから史劇で、彼女の想いを嘲り笑うような余りに酷い扱いをされている。これも当時の時代背景によるものではあるのだが……詳しくは彼の項目にて。
- 過激だった聖処女
- 『Apocrypha』では大人しい少女という設定だが、史実の彼女はかなりの強硬派だったらしい。
ランスでの戴冠式後、現状維持を望んだシャルル王や貴族たちに反対してあくまでパリ攻略を主張し、捕虜となったイングランドの騎士たちは容赦なく殺害したとも伝えられている(当時は身代金との交換が普通)。
戦場での戦いぶりも凄まじく、大砲の集中投入や夜襲・奇襲・朝駆けも当たり前(当時は戦端は昼間に開き、日没と共に矛を収めるのが普通)で、勝利の為にはあらゆる手段を用いた。
農民出身の彼女に政治的な考えや貴族社会の常識が欠けていたのは仕方のないことだが、この苛烈さは王宮内における彼女の孤立を深め、自身が捕虜となった際に身代金惜しさから見捨てられるという末路を招くこととなる……。- ある意味自業自得の末路とも言えるのだが、悲劇的な最期と強固な信仰心が強調されるせいか(Fateに限らず)近年のほとんどの創作において、こういった過激な面が描かれる事はない。もしかすると、吸血鬼伝説を広められた結果、「無辜の怪物」のスキルによって変貌したランサー (EXTRA・黒)とは逆に、聖女としての伝説を広められたがゆえに元の苛烈さを失い高潔な性格として召喚されているのかもしれない。
- 竹筆日記にて
- 『Fate/Zero』放送時、奈須きのこ氏は自身のブログである竹箒日記にて、ジャンヌ・ダルクについて以下のように語っている。
ジャンヌダルクの最期はもう悲惨なんて言葉で表せないぐらいのもので、異端裁判から処刑までの間、あらゆる陵辱が行われ、彼女から尊厳も奇跡を奪いつくしたと言われています。
「神の声を聞いたのは嘘だったと言え」
ただ一言、そう口にすれば解放される―――その状況で彼女がどこまで信仰的純潔を守り通せたかは諸説様々ですが、どうあれ、救国の乙女はこの上なく無惨な方法で処刑されます。
その過程で精神を病み、廃人になっていてもおかしくはない。むしろ狂ってしまった方が救われたかもしれない。救国の乙女に与えられた報酬は、そんな暗いものだったのです。
- この話が『Fate/Apocrypha』の彼女にどれほど影響しているかについては不明である。