ここでは『Fate/Grand Order』における殺生院キアラについて説明する。
『Fate/EXTRA CCC』での殺生院キアラについては「殺生院キアラ」を参照。
ビーストⅢ
- 真名:ビーストⅢ/R
- 性別:女性
- CV:田中理恵
『Fate/Grand Order』におけるキアラ。
七つの人類悪の一つ、『快楽』の理を持つ第三の獣・ビーストⅢ。その片割れであるビーストⅢ/R。
- 略歴
- 『EXTRA CCC』とは異なり、山の外からやってきた医者の治療で回復し、山に囚われる事なく下山。幸福な学生時代を送る。
- 年齢は不明だが、礼拝堂に残されていた記録が正しければ、2017年の時点で25歳。
- その後持ち前の善性で様々な人々を救うが、成果を上げながら金銭を取らないキアラの方針を快く思わなかった既得権利団体から攻撃を受け、徐々に居場所を失う[1]。
- 最終的に海上油田基地セラフィックスに流れ着き、教会で人々の悩みを聞き、解決するセラピストとして勤務するようになった。
- 仏教徒なのに西洋の教会をあてがわれた時には呆れたものの、誠心誠意自らの職務に務めていたが、2017年1月に時間神殿から逃亡しセラフィックスを活動拠点に定めたゼパルに隠れ蓑という形で取り憑かれ、魔神の手先としてセラフィックスを支配する為の傀儡となってしまう。
- そんな中、ゼパルが数多ある並行世界から最も優れ、なおかつ特異な運命にあった『月世界』――月の裏側と呼ばれた虚数空間でムーンセルを手に入れたキアラを見つけ出し、これと同機させられた事で能力が引き出される。この結果セラフィックスはSE.RA.PHに変換され、キアラは『EXTRA CCC』の自分と同じ運命を辿ることになってしまう。
- 即ち、己の快楽の為に周囲の人々を徹底的に踏み台にするという運命。
- 魔性に目覚めたキアラは精神を病んだセラフィックスの職員達を本格的に自らの狂信者に変え、自身を操っていた筈のゼパルさえ逆に支配する魔人となる。さらにSE.RA.PHに残されていたとある機構を利用し、聖杯戦争と称して大量のサーヴァントを召喚。延々と殺し合いを続ける彼らを栄養源にする事で、いつしか『快楽』の理を持つ獣、ビーストⅢとして成長してゆく。
- この過程で『EXTRA CCC』のキアラに取り込まれたアルターエゴを分離させ手駒として利用するが、これが後に彼女が敗北する事となった最大の要因のひとつだったと言えるだろう。
- そんな状態のSE.RA.PHから発信されたSOSを聞きつけてレイシフトして来た主人公には、当初は既に故人であるマーブルの遺体を隠れ蓑として「マーブル・マッキントッシュ」として振る舞い、共に行動していた。終盤にて唯一の生存者であるアーノルドと共にエミヤ・オルタに銃撃されるものの、これを強引に自身の味方として取り込むが、主人公がエミヤ・オルタを倒した事でついに正体を現した。
- 彼女の最終目的はSE.RA.PHと一体化し、地球の内核に到達して星と同化。これを以て人類救済を成すというもの。
- この計画を阻まんとした主人公達を一度は圧倒するが、BBの90秒分の時間逆行によって取り逃がす。実は一度キアラと戦い敗れていたメルトリリスの報告を受け、BBが密かに作っていた秘密兵器、アンチR-18フィールド『Wisdom Hold Intelligence Powered』───メルトちゃんデスwhipの力を借りて再挑戦した主人公の前に敗北。主人公の勝利を認めながらもSE.RA.PHから主人公たちを切り離し、単独で地球の核へと潜行し始める[2]。
- だが、これを予見していたメルトリリスが、パッションリップとの合体宝具「ヴァージンレイザー・パラディオン」で捨て身の追撃を行う。これにより致命傷を負い肉体の崩壊が始まるも、メルトリリスを髪で捕縛し、霊基を乗っ取った上で主人公を消し再起を図らんとする[3]。
- しかしそれも死に体だった筈のエミヤ〔オルタ〕の銃撃を受けて失敗。動かせば崩れる腕でメルトリリスを捕まえようとするが、ある起因からくる判断の遅さによって、エミヤオルタがメルトリリスにワイヤーを取り付け離脱させる時間を作ってしまった。その巨体では浮上も叶わず、鉄のように沈みながら分解されて消滅した。
- しかしその間際に同じ『快楽』から生まれながら、快楽に沈んだ己自身と快楽の湖面から飛んだメルトリリスの違いを見つけようと、自分もまたアルターエゴになる顛末を受け入れるのだった。
- 人物
- セラフィックスの職員の頃のキアラは紛れもなく聖人であり、実際ゼパルからも「偽りなく聖女」「救世主の器を持ってさえいた」と評されており、干渉されなかったら慎ましやかだが幸福な人生を送り、小さなコミュニティにおいて最後まで人々にうやまれるに足る人物とされた[4]。
- しかしゼパルの手で善性を封じ込められたことで、内に眠った魔神に相応しいと言われる内面の醜さを見せ、狂乱状態に陥ったセラフィックスの人々をみて楽しんだり、SE.RA.PHで召喚されるサーヴァントのマスターを死体がすり切れるくらいに悪夢を見せる形で酷使している[5]。
- 彼女は人間を愛する、と心の底から語り、救いたいとも述べていたが、キアラにとって「人間」とは自分だけであり、それ以外の人間は人の形をした獣か虫に過ぎない、という自己愛の怪物。故に彼女は誰よりも人間を愛し、そのために他の全ての命を利用する。
- 本来なら救世主にだってなれる資質の全てを自分への愛だけで使い潰し、有り余る慈愛も、心を癒す言葉も、美しく見える真心も、全て自分のためだけに使っており、その姿が聖母のようだったから周囲が勘違いしただけにすぎない。
- ビーストになった動機も、ゼパルが持っていた時間神殿での戦いの記憶が彼女には夢のようで、自分も星の数ような英霊たちに責められ、殺されたいと願うが、人の身はおろか、魔神の身ではその願いが叶えられないため、という常軌を逸した物。
- また、善性を封じられた影響なのか、CCCにおけるキアラと比較すると、他者に対する言動に悪意が目立ち、諦めの悪さが散見される。
- 一方で学生時代から年上扱いされたことを気にしており、そこを突かれると感情的になる一面を見せた。
- 能力
- ビーストとして未だ蛹である為自由に動けないという制限があり、加えてSE.RA.PHに依存していた為、強さに関しては『EXTRA CCC』のキアラには及ばない。
- しかし、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。五感全てを誘惑し、一つでもその色香に惑えばたちまち相手を妄信的な信徒にする魅了スキル『万色悠滞』や魔性菩薩化するスキル『五蘊黒縄』やビーストのスキル『獣の権能』を有している。『ロゴスイーター』は知性体なら問答無用でテクノブレイクし、欲望あるものはどんな生命体であれ彼女に勝ち目はない。
- 実際に初戦では主人公に協力したサーヴァントをいとも簡単に葬って敗北に追い込み、その後の会議でロビンやBBからは「サーヴァントが100騎いても太刀打ちできない」「現状ではビーストⅢを倒すことは困難」と評されていた。
- SE.RA.PHにはいくつもの防衛機構があり、その一つであるセンチネルに植えつけられたキアラの因子KPをすべて消去してようやく、キアラの全能に翳りができる。KPを消去された彼女の姿は魔性菩薩としてものから翳りが出た部分を魔神柱の部品で埋め合わせたような姿となっている。
宝具
- スカーヴァティー・ヘブンズホール
- ヘブンズホール時の宝具。
真名:ビーストⅢ/R
登場作品と役柄
- 〔アルターエゴ〕キャラクターデザイン:ワダアルコ / 設定作成:??? / レア度:☆5
- 『深海電脳楽土 SE.RA.PH』の開催に伴い期間限定でガチャに追加。イベントガチャ限定サーヴァントであり、恒常的な入手手段は現状ない。
- 期間限定イベント『深海電脳楽土 SE.RA.PH』ではビーストという形でラスボス、さらにプレイアブル化という衝撃の登場を果たした。
人間関係
Fate/Grand Order
- 魔神ゼパル
- セラフィックスを活動拠点に定めた彼によって取り憑かれた上に善性を封じ込められてしまうが、その結果、セラフィックスの職員は正気を失ったのみならず、ゼパルも逆に彼女に乗っ取られるという結果を招いた。
- 小指先しかない意識はその状態で解放されれば消滅するという事実に発狂し、魔神としての誇りをかなぐり捨て彼女への隷属を望んだが、キアラはゼパルをいとも簡単に捨てていった。
- この魔神は悲惨な末路を迎えたものの、その発端となった行為によりセラフィックスは最悪な方向に動き出した上に、『Grand Order』でのキアラは破滅を迎えたので、BBによる「因果応報」の評を否定することは出来ない。
- マーブル・マッキントッシュ
- セラフィックスでの同僚。
- 生前の関係は不明だが、どこかの時点から彼女の皮を被り、彼女のふりをして行動していた。
- パッションリップ、メルトリリス
- 『EXTRA CCC』では彼女たちを取り込んでいたが、『Grand Order』の『深海電脳楽土 SE.RA.PH』においては月世界のキアラの中に取り込まれたリップやメルトをサルベージし、センチネルにした。
- エミヤ〔オルタ〕
- 『Grand Order』でのマテリアルではキアラが彼を失墜させた原因であることを示唆されており、『深海電脳楽土 SE.RA.PH』ではさらにそのことについて踏み込んでいる。
- 最終的には彼の妨害を受けてメルトリリスの吸収は失敗に終わってしまう。
その他
- 殺生院キアラ
- 『EXTRA CCC』での自分自身。
名台詞
ビーストⅢ
- 「―――それは、羨ましかったのです。
だってずるい。
あんな、あんな―――
あんな素晴らしい光景が他にあったでしょうか?
ゼパル様が持っていた記憶―――
時間神殿での戦いが、私 にはもう夢のようで。
ゼパル様が。ゲーティアが。
いえ、あの時にあった全てが、とても―――
とても、気持ちよさそうで。
いつしかこう願うようになりました。
私 もあんな風に責められたい。
星の数のような英霊たちに殺されたい―――」 - キアラが人類悪になった、余りにも常軌を逸した理由。
- 人の身、魔神の身では叶わないからビーストになったという理解しがたい行動は、主人公を絶句させるには十分なものだった。
- もはや紛れもない聖母としてのキアラはどこにもなかった。
- 「この世に人は私だけ。
私以外の人間はすべてケダモノ。
私はそのように育てられました。
そのような世界で生きたのです。
私を悪と断じたのはごく少数の希少種だけ。
ですが、そういうヒトに限って―――
あのように、人間社会から逸脱した罪人とされました。
私のような悪を処断しようと努めた者を、
自分たちの利益にならないからと排斥する―――
そのようなケダモノ達が人間だとでも?
それでは無銘の英雄たちが、あまりにも報われません」 - パッションリップから悍ましい自己愛の怪物と糾弾されるも、それを肯定した。
- 彼女の世界において、人間はキアラ自身だけであり、他の人間を人間とみなさない。そして、自分のような悪を処断しようとした無名の英雄を排斥した人々たちをケダモノと嘲笑った。
- だが、その言葉を聞き流すわけにはいかないと、死に果てたはずの男は立ち上がった。自分を虚仮にしたからではなく、無銘の英雄を排斥した人々――彼が本当に守ろうとした者たちを虚仮にしたのだから。
- (……でも、愉しかったのは紛れもなく
何が違ったのでしょう―――
私と彼女。快楽に沈んだ私 と、
快楽の湖面から翔んだ、あの―――
……ああ、そうですね
その疑問こそ、私に与えられた罰ならば……
彼女のように、アルターエゴになってみる顛末も、
有り得るのかもしれませんね―――) - 間際。自己愛で人類悪に変生した女は、恋に羽ばたいた少女の一撃と、正義の味方――否、悪の敵である男の妨害によって海底に沈んだのであった。
- 彼女はその疑問の答えを得ようとアルターエゴになることを受け入れるが・・・?
メモ
- 『Grand Order』内で初めて主人公 (Grand Order)を殺害した人物。
- 何があっても決して死亡する事は無いと思われていた主人公の死は、プレイヤー達に大きな衝撃を与えた。
- メルトリリスが捨て身の行動で時間を巻き戻して「無かった事」になったが、今後のイベントで死亡する可能性を示した。
- アルターエゴとして主人公と契約する事になるが、性格はほとんど変わっていない。
脚注
- ↑ だが本人はこの事について全く気にしていないので、決して不幸という訳ではなかったらしい
- ↑ この時、SE.RA.PH内の魔神柱の反応も虚数空間から溢れ出す位に増大しており、このままでは爆発増殖して海域一帯が魔神柱の雨で埋め尽くされる。魔神柱を殲滅することは当然現実的ではなく、1秒の間に44本魔神柱を殺さないと間に合わないとされている。…このペースは冠位時間神殿の戦いで管制塔バルバトスが討伐される速度とほぼ同等だったりする。
- ↑ メルトリリスだけでなく、パッションリップとBBのリソースを取り込んでも、ビーストⅢラプチャーに変生したキアラ程の霊気には届かない。
- ↑ 竹箒日記でも、ゼパルさえ現れなければセラフィックスの職員たちの荒れた心はキアラに癒やされていたと語っている。
- ↑ 残酷な夢に関しても70回を越えたあたりからカウントをやめたと語っている。