ジル・ド・レェ

2013年8月15日 (木) 23:25時点におけるPEN (トーク | 投稿記録)による版

キャスター(第四次)

  • 真名:ジル・ド・レェ
  • 身長:196cm/体重:70kg
  • 属性:混沌・悪
  • イメージカラー:濁った黒
  • 特技:イベント立案・プロデュース
  • 好きなもの:ボーイッシュな少女、フェミニンな少年/苦手なもの:政治・財政管理
  • 天敵:ディルムッド、ランスロット
  • CV:鶴岡聡

魔術師」のクラスのサーヴァント第四次聖杯戦争において、雨生龍之介によって召喚される。
カエルめいた異相(いわゆるインスマウス顔)をした長身の男性。

略歴
マスターである雨生龍之介が戯れに行った儀式殺人が契機となり、第四次聖杯戦争にキャスターとして参戦することになる。
触媒のない召喚であったため、マスターと同じく殺人に耽溺する汚染された精神の持ち主として召喚された。
真名は「ジル・ド・レェ」。百年戦争でフランス軍元帥を務め、救国の英雄とまでいわれた騎士だった。ただしマスターの影響で戦場の英雄としてではなく、悪政を敷き領民を虐殺した悪鬼として召喚されている。
人物
残忍・狡猾な性格であるが、慎重とは言い難い。
聖杯の召喚に応じたのは聖処女ジャンヌ・ダルクの復活を求めるゆえであったのだが、セイバーのことをジャンヌであると誤解してしまっており、「もう願いは果たされた」と聖杯そっちのけで彼女を追い求める。
目的(セイバー)のためなら後先を考えない。
生前は深い信仰心の持ち主であったが、ジャンヌが異端として処刑されたことで深い絶望を味わい、神を見失う。彼の残虐行為は、(悪徳を罰する筈の)神の不在を証明する手段でもあった。
能力
騎士・魔術師としての能力は皆無だが、強力な魔道書である宝具「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)」による補佐を得て召喚術を行使する。
戦闘スタイルは、ほぼ無限に召喚が可能なヒトデに似た海魔による物量作戦。シンプルな戦法ながら、対人宝具しか持たない相手への効果は絶大で、対城宝具を封じられていたセイバーは敗北寸前まで追い込まれ、ランサーの加勢後も途中までは有利に戦いを進めていた。
その一方で対軍宝具に対しては通常サイズの海魔ではまったく歯が立たず、ライダーには工房の守りとして大量に召喚してあった海魔を一方的に蹂躙されている。
そもそも魔術師ではないため魔術の秘匿には全く無頓着で、魔術の痕跡を隠そうともせずに垂れ流した結果ウェイバーに工房を発見されている。
だが工房それ自体の立地は切嗣でも発見できなかったほど秘匿性が高く、セイバーを誘き出し有利な状況で戦いを挑んだり、工房の破壊の度合いからライダーとの相性の悪さを認識するなど、かつて一国の軍を率いた武将としての才覚は失われていない。
終盤に制御を度外視して召喚した大海魔は、クトゥルーの神を模した百メートル以上ある巨大な怪物で、彼自身と融合している。その巨体に加え、戦闘機を捕獲するほどの俊敏な触手と体の半分を吹き飛ばされても即座に復元できる再生能力を誇り、ライダーの「王の軍勢」すら圧倒した。
また、ランクは低いものの「芸術審美」のスキルを持ち、芸能面における逸話を持つ宝具を目にすれば低確率で真名を看破できる。

宝具

螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)
 ランク:A+
 種別:対軍宝具
 レンジ:1〜10
 最大捕捉:100人
 由来:フランソワ・プレラーティーがイタリア語に訳したルルイエ異本。
それ自体が魔力炉を内蔵した魔導書。キャスター自身は正規の魔術師ではなく魔術の素養も無いのだが、代わりにこの魔導書が魔術を行使している。
言うなれば、彼専属の魔術師である宝具。所有者の技量に関係なく魔導書そのものが大魔術・儀礼呪法を代行し、具え持つ属性に従って深海系の水魔の召喚を行う。
ただし、あくまでも「魔導書が行っている召喚魔術」であり、召喚そのものは「宝具の奇跡」ではない。召喚中の魔物は常時魔導書からの魔力供給がなければ現界を保ってはいられず、一瞬でも供給が途切れると消滅する。
なお、この魔道書は、ラヴクラフトの創作神話であるクトゥルー神話に登場する架空の書籍であり、魔神クトゥルーや異界ルルイエについて記述されている。

登場作品と役柄

Fate/Zero
マスターともども聖杯戦争そっちのけで市民の虐殺、セイバーへのストーカー行為に明け暮れる。

人間関係

雨生龍之介
聖杯戦争中のマスター。美学・哲学・芸術面でお互い共感するものがあある。
セイバー
彼女の正体を、生前憧れたジャンヌ・ダルクであると勘違いしている。
その勘違いが元で彼女にストーカーじみた執着を見せる。
ジャンヌ・ダルク
英仏百年戦争の英雄であり、彼女に崇拝に近い感情を抱いていた。イングランド軍の捕虜になった後、魔女に仕立てられた事であらゆる人権や尊厳を奪われ、陵辱の限りを尽くされた末に火刑で処刑される。
彼女の悲惨な最期から、彼は神に絶望し、殺人鬼へと堕ちて行く。
アニメ版では『Fate/Apocrypha』のデザインで登場している。
プレラーティー
生前パトロンをしていた友人。
史実では詐欺師として知られており、「クトゥルフ神話」では邪教の魔術師である。
そのためジルは彼の事を「友人」だと思っていたようだが、彼がジルの事をどう思っていたかは不明である。

名台詞

「――怖がらなくていいんだよ。坊や」
「立てるかい?」
「さぁ坊や、あそこの扉から部屋の外に出られる。周りを見ないで、前だけを見て、自分の足で歩くんだ。――ひとりで、行けるね?」
 ――(子供を殺害する)――
「恐怖というものには鮮度があります」
「怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。真の意味での恐怖とは、静的な状態ではなく変化の動態――希望が絶望へと切り替わる、その瞬間のことを言う。
 如何でしたか? 瑞々しく新鮮な恐怖と死の味は」
初登場時。この台詞に龍之介は心を奪われ、キャスターの事を心の底から慕うようになる。
なお、子供を殺害したこの手口は実際に行った行為を再現したものである。
「許さぬ……思い上がるなよ匹夫めがァ!!」
VSランサー。匹夫とは「身分のいやしい男、または、道理をわきまえない男」のこと。
……キャスターの言う道理って……
「何をぼそぼそ囁いているのです? さては末期の祈りですかな?」
さあ、恐怖なさい。絶望なさい! 武功の程度だけで覆せる“数の差”には限度というものがある。
ウフフ、屈辱的でしょう? 栄えもなければ誉れもない魍魎たちに、押し潰され、窒息して果てるのです! 英雄にとってこれほどの恥はありますまい!」
セイバー、ランサーを相手に怪魔の軍勢で包囲した時の台詞。
キャスターの残虐性だけでなく、生前は元帥であっただけに、確かな戦術を心得ていることが伺える。
だがこの後に、匹夫とこき下ろしたランサーに一杯食わされることになる。
「ご期待あれリュウノスケ! 最高のCOOLをご覧に入れましょう!」
アニメ版で追加された海魔召喚直前の2人の様子。
夕焼けをバックに心を通わせてお互いを呼び合う姿は大変微笑ましい。
無論、これから彼らがやろうとしていることを知らなければの話だが……
「結末が恥辱と憎悪に染められどんなに貶められたとしても、あの日の記憶は、過ぎし日の栄光だけは、私の胸の内に刻まれていた。
いかなる神にも運命にも奪えない、穢されない、あの光だけは――」
原作では地の文だったが、ドラマCD版では台詞に変更。
「約束された勝利の剣」によって消滅する寸前、どのような悲惨な末路を迎えようとも、ジャンヌと共に得た光が確かに存在していたことを思い出す。
第五次聖杯戦争でセイバーが得た答えにも似ているのは皮肉と言うべきなのだろうか。ちなみに、この時に幻視した光景が彼の救いになった事が「アインツベルン相談室」で語られている。
「そして着ているローブも同じブルー。
これはもう仲間と見て間違いないかと。
むしろ……貴方、私の2Pカラーですかな?」
とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』にて。
共通点が多いキャスター (EXTRA・青)を自身の2Pカラー呼ばわりする。
余りの屈辱に、言われたキャス狐は怒るのを通り越して泣きそうになっていた。
「……………違うのですよねぇ。金髪ショートで男装をしているからジャンヌ、というワケではないのです
そこの貴女、チェンジです。私生活を改めてから出直してきてください。」
『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』にて。
セイバー (EXTRA・赤)をジッと見つめてジャンヌと勘違いしているのかと思いきや、すぐに別人と看破してこう言い放つ。彼なりの基準があるようだが、それにしてもあまりにも扱いがぞんざいである。
ちなみに彼女の真名を見抜いており、これは彼の保有スキル『芸術審美』の効果と思われる。本編で活躍の無かったこのスキルが漸く日の目を見た。

メモ

  • クトゥルー神話に登場するタイプの異相の持ち主。「螺湮城教本」もクトゥルー関連。螺湮城(らいんじょう)とは中国語で「ルルイエ」のことを指し、螺湮城教本とはクトゥルー神話に登場する「ルルイエ異本」の別名。
    「ルルイエ」とは旧支配者の一柱であるクトゥルーが封印されている場所であり、海底にあるとされている。底本の中国語版は人皮で装丁されており、この宝具もそれに倣ったのか同じく人皮で装丁されている。
    さらに表紙にデスマスク、背表紙に美少年の裸像の飾り付けがされており、かなり悪趣味なデザイン。
  • 「螺湮城教本」はルビの通り、本来の持ち主は魔術師フランソワ・プレラーティーである。ジルの朋友であり導師であった彼の宝具だが、キャスターのクラス固有スキル「道具作成」を代償にして再現された。
    • つまり彼が使っているのは「ルルイエ異本」を何度も劣化コピーした物に過ぎないのだが、それでも神秘性が極めて高いランクA+になったのは、神霊級を呼び出せる聖杯もかくやという礼装を原典としているからだろう。
  • ちなみに、本家のルルイエ異本は、本作品の著者である虚淵氏の所属するニトロプラスが発売しているゲーム『デモンベイン』シリーズに登場している。もともとニトロプラスの作品のいくつかはクトゥルー神話が反映されているものがあり、Fate/Zeroにクトゥルーが絡むのはもはや必然であった、といっても過言ではないかもしれない。
    一応、作中ではTYPE-MOONに配慮してかクトゥルー神話の直接的な用語は登場せず、「異界の邪神」などと表現されている。
  • 彼自身はあくまでプレラーティーのパトロンであって、本来「魔術師」のクラスたりえない。
    このイレギュラーは第三次の影響によるものである。
  • 本来は元帥にまでなった騎士。虚淵氏に「騎士ということで、結構ガタイは良いです」と評されている。ただし、「彼の一番の凄さは武勇よりも財力ですからね〜」とのこと。
    実際、彼の財の総量は国庫が百年戦争によって消耗していたこともあり、当時のフランス王室のそれを上回るほどだったともいう。
    彼が異端として告発された理由も「その財力を国王や教会に狙われた」「黒魔術の資金を得る為にその所領を敵国に売り渡しかねないと思われた」などとする意見もある。
  • 残されている肖像画には騎士甲冑を身に付け、元帥らしい威厳に満ちた姿で描かれているものがある。
  • 宝具特化型のサーヴァントで、海魔の召喚・使役しかできないように見えがちだが、龍之介の「作品」がすぐに死なないように処置を施したりなど、別の魔術を使う場面もある。これも「螺湮城教本」の力で、この宝具は海魔の召喚・使役しかできないわけではない。
    • 「道具作成」のスキルが失われているにも関わらず、遠見の水晶球を使い、龍之介に子供を操る腕輪を与えてもいる。どうやってこれらの道具を入手したのかは不明。
      「螺湮城教本」の力で単なる道具にそうした魔力を付与しただけなのか、それとも龍之介の実家に隠されていたものなのかは考察の余地がある。
  • マスターである龍之介は、魔術回路という適性こそ有しているものの、魔術師としての能力は皆無である。
    にもかかわらず彼が現界し続けることに支障をきたさなかったのは、「螺湮城教本」自体が魔力炉を内蔵していたためである。また描写は無いが、虐殺した子供たちから「魂喰い」をして魔力を補っていた。
  • 宝具「螺湮城教本」から召喚された大海魔は、セイバーの蛸(タコ)嫌いの原因となったと言われている。
    尤も、もともと彼女の出身である英国(及び西欧諸国)で蛸は「悪魔の魚」と呼ばれるなど、忌み嫌われる存在。
    大海魔が全ての原因なのか、もともと忌避していたものを更に嫌うようになったのかは、判断し難い面がある。
    • 余談ながら、ライダーが蛸に抵抗がないのは、地中海に臨むギリシャでは古来より蛸を食べる伝統的な食文化があるため。だからと言って、いくらライダーでも大海魔を見て「茹でて食べたら美味しそうだ」などとは言うまいが。
      尚、クトゥルーの落とし子は蛸によく似た姿と描写される。また、蛸と同じく茹でて食べることができるらしい。
  • 最初からインスマウス面だったわけでなく、邪教の知識(宝具)の影響でこのような容姿になっているが、「アインツベルン相談室」では昔から眼球が飛び出しやすい体質だったと自ら語っており、その度にジャンヌが目潰しをして元に戻していたとかなんとか。
  • 「Fate/Zero material」では昔の顔のデザインも確認できる。また、異相たらしめているのはその双眸によるところが大きく、目を細めて笑みを浮かべた顔は、むしろ優しいとすら言える顔になっている。
  • stay night発売前におけるセイバーの正体についての予想はジャンヌ・ダルクであるとの声が最も多かったとのこと。
    いわば逆輸入の形で彼がセイバーをジャンヌと勘違いするという展開が作中に取り入れられた。
  • セイバーの方はといえば、キャスターの生前の知り合いでないのは当たり前である上に、彼の真名である「ジル・ド・レェ」と、彼の口にする「ジャンヌ・ダルク」の名前自体に心当たりが無かった。
    これはセイバーが未だ正しい意味での英霊ではなく、英霊として時を超えた知識を持っていないため、自身が生きた時代以後に現れた両者の伝承を知らないからである。
  • 最後はセイバーの「約束された勝利の剣」で大海魔ごと粉砕される。
    光に灼かれるその瞬間に、かつてジャンヌ達と外敵を打ち破り、ランスにて成し遂げたフランス国王の戴冠式のことを思い出す。この時に流した涙は彼に残された僅かな良心と人間性だったのかもしれない。
  • 『Zero』に3人もいる幸運E組の一角。
    しかし最高に相性の良いマスターと巡り合ったのを皮切りに、セイバーとランサーに追い詰められた時にはたまたまケイネスが再起不能になった隙を突いて逃走に成功し、工房がライダーに襲撃された際は龍之介共々偶然外出していたため難を逃れる。
    更に龍之介の言葉により新たな啓示を得るなど、妙に幸運に恵まれている。
  • 一見仲良く見える龍之介とのコンビだが、奈須氏曰く実は全然噛み合っていないとの事。
    事実、互いに殺人を好む二人だがその考え方はかなり異なっており、大量虐殺も元はキャスターだけの案である。
    本編では短期間の付き合いの上にその噛み合わなさが一回りして上手くいったが、召喚直後に龍之介を殺す事も充分有り得たとようで二人の間柄はかなりギリギリの間で動いていたという。これでよく、大してモメずに済んだものである。
  • 龍之介に名乗った「青髭」はシャルル・ペロー作の童話のタイトルで、ジルが主人公のモデルとされているが、一方でイギリス国王のヘンリー八世がモデルだとも言われている。
    また、J・R・Rトールキンはジルが登場した歴史小説に感銘を受けており、彼を「指輪物語」に登場する冥王サウロンのモデルにしたと語っている。

各マスターごとのステータス

マスター 筋力  耐久  敏捷  魔力  幸運  宝具  備考
龍之介  D   E   D   C   E   A+  

保有スキル:陣地作成(B)、道具作成(−)、精神汚染(A)、芸術審美(E-)

話題まとめ

キャスターの口調
活字である原作小説では読者の想像に委ねられているが、ドラマCD・アニメでのキャスターの口調は、非常に独特なものがある。
キャスター役の鶴岡聡氏がラジオにゲストで出演した際に語ったところによると、キャスターの演技は歌舞伎を参考にしているとのこと。
なお、アニメではあっという間だったが、ドラマCDではキャスターの末期のシーンに長めの尺があてられており、そこでのみ普段とは違う落ち着いた口調になっている。

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