カルナ

2016年5月18日 (水) 20:53時点におけるカリス (トーク | 投稿記録)による版 (→‎Fate/Grand Order)

ランサー (Apocrypha・赤)

  • 真名:カルナ
  • 身長:178cm / 体重:65kg
  • 出典:マハーバーラタ
  • 地域:インド
  • 属性:秩序・善
  • 性別:男性
  • イメージカラー:暗中に輝く鋭利なる黄金
  • 特技:ポジティブシンキング
  • 好きな物:友情・努力・和解 / 嫌いな物:コミュ力という言葉
  • 天敵:異父兄弟の三男
  • キャラクターデザイン:pako / 設定制作:奈須きのこ
  • CV:遊佐浩二

槍兵」のクラスのサーヴァント聖杯大戦では「赤」の陣営に属する。肉体と一体化した黄金の鎧と胸元に埋め込まれた赤石が目を引く青年。

略歴
真名はインドの叙事詩「マハーバーラタ」に登場する不死身の大英雄カルナ。赤のライダーと双璧を成す、“赤”の陣営最強のサーヴァント。
その比類なき力からシロウ達から便利な駒として重宝されており、彼らから聖杯戦争を司るルーラーの抹殺を命令された。そこで黒のセイバーと出会い、夜明けまで撃ち合うが決着はつかず、お互いを称えながら、再戦を誓い別れを告げる。
“黒”と“赤”の全面対決では、黒のランサーと対峙し、最大限の地の利を生かした猛攻を受けるが、マスターの負担を慮って鎧以外の宝具を封じた状態でも、その比類なき武練と精神力で圧倒し、あと一歩まで追い込む。だが黒のランサーがダーニックによって吸血鬼化し、ルーラーの討伐命令によって黒のサーヴァントと共闘する事となる。
そして、ダーニックを追った先で自らのマスターがシロウ達に傀儡とされていた事を知る。そこで憤慨する赤のアーチャー赤のライダーと異なり、シロウを守り彼に協力する姿勢を見せる。だが「施しの英雄」である彼にとって「マスター」とは、例え顔も名前も分からなくても、自分の力を必要とし助力を乞おうと決意した召喚者に他ならず、シロウに協力するのも「マスターのため」に過ぎなかった。
また黒のセイバーに乞われた「再戦の約束」にも応える為、自分が利用されていると知りながらも彼らの敵対者である赤のサーヴァントとして全霊を以て戦うことを決意する。
人物
全ての物事を「それも有り」と解釈し、下された命令の好悪は考えず、その命令がどういう事態を引き起こすのかも敢えて思考を止めている。彼にとっての第一義は自らを召喚したマスターに仕えることであり、命令に逆らう事はまず無い。そもそも逆らうという考え自体が存在しないように振舞っている。
絶世の美男子だが、目付きは鋭く、他人を寄せ付けないものがあり、幽鬼のような白い肌といつも表情を崩さないため冷酷な人物に見られがち。敵には容赦なく、言動も余分なものが無いため、一見すると人間性を感じさせないが、本当は大変思慮深く義理堅い人物で、英霊の中でも特に人間的に優れた人物。顔の知らないマスターであろうとも、その安否や負担を忘れる事は無く、戦闘中は常に自らの能力に制限を用いて戦っている。
その徳を積んだ人柄と生前の生き方から「施しの英雄」と称され、他者の頼みは道理さえ通っていれば大抵は断らず、それは敵対する者であっても例外ではない。我欲が薄く、快楽とは遠い人物ではあるが自らの力を振るえる戦場は唯一の例外であり、闘いのみが彼の心を踊らせたという生粋の戦士。特に強敵であればある程にその喜びは増し、自身と対等に渡り合った黒のセイバーの武練を賞賛する。
彼の言葉は非常に率直で、あらゆる欺瞞、虚飾を切り捨てる鋭さがある。これが『悪』と勘違いされる最大の原因で、自らを偽る言動、取り繕う態度や信念などを全て見抜いた上で、相手が言われたくない事やその本質を語ってしまい、余りの率直さによって相手の怒りを買いやすく大抵の相手に嫌われて戦闘を余儀なくされてしまう。
しかし、彼の言動は他者の短所を嫌悪してのものでない。彼に取って、相容れぬ信念も理解出来ない美醜も尊ぶもの。人それぞれの立ち位置を肯定する彼にとって、相容れぬ信念も理解できない美醜も嫌悪の対象にはならず、「それもまた良しだ。…いや。正直、少しばかり羨ましい」と内心では感心している。
だが彼は無口で激昂した相手を宥められるほど器用ではなく、“本当に伝えるべき感想”を表だって出さないため、結果として“あらゆるものを嫌っている”人物であると誤解されてしまう。サーヴァントとしてこれ以上ないほどの人物だが、敵どころか自分のマスターにすら嫌われやすいのは、この口下手さが原因である。
能力
英雄王と同等の力を持った、破格の大英雄。
人が扱うものとは思えないほどの大槍を並ぶ者無き技量で操り、石壁の如き神速の槍撃を放つ。その近接能力は黒のセイバーに匹敵し、技の卓越性では僅かに上回る。
彼の槍撃はBランク以上の攻撃でなければ傷一つ負わない黒のセイバーの鎧を貫く威力を有している。これは武器の性能だけでなく、凄まじい膂力と卓越した技があってこその物でスキル『魔力放出(炎)』によって、燃え盛る炎が魔力となって槍に宿っており、更に攻撃力が増している。またこの炎を翼のように広げ飛行することも出来る。ただし、マスターにかける負担が大きいため、彼自身最大出力での使用は自重しており、10秒未満に限っている。また「アーチャー」の適正も持っているため、夜、数キロ離れた先にいる車のナンバープレートを確認することが出来るほどの超視力を有している。
だが彼の最大の武器とは神々から与えられた宝具でも、生まれ持った異能でもなく、“意志”の強さである。彼はあらゆる不幸を受け入れながら誰一人として恨まず、誰よりも特別な物を与えられても、それによって己を他者とは違う「特別」としなかった「施しの英雄」である。故に臓腑を抉られ、腕の神経を断たれ、体内に炎を循環させるという荒行でも彼に膝をつけさせることは出来ず、例え致命傷を負おうと、その強靭な意志の強さで瀕死の状態のまま存命する事が可能である。

ランチャー (Fate/EXTRA CCC)

ジナコ=カリギリのサーヴァントとして登場。クラスは「ランサー」だが、後にジナコからは「ランチャー」と称され、マトリクスでもランチャー表記になる。

略歴
ムーンセルの聖杯戦争に参加していたサーヴァントの一人。ジナコは黙っていたが、気付いていた桜の言葉で存在が発覚し、主人公 (EXTRA)に協力を求められるが、事情あって断る。
後にBBの手に落ちたジナコのサーヴァントとして主人公の前に立ちはだかる。
人物
寡黙な武人であり、たいていのことを「それもあり」と認める度量を持つ。マスターに仕えることのみが彼の願いであり、それゆえに主の命令がどのようなものであれ忠実に従う。しかし、その行動がマスターに取って最も必要な事だと判断したならば、例えマスターの命令だろうと刃向かう意志を見せる。彼に取って全ての人間は等価値であり、ソレは強大な力を持つ自身も含まれている。故に自身を求める声があるなら無条件で召喚に応じるし、どのようなマスターであれ仕えるのは変わらない。
そして、主である以上は自らの命がある限り守るのは変わらないという。ジナコの生活習慣について良い印象は持っていないが、苦言を洩らすものの改竄させる気はない。本人の意思で変わらなければ意味は無いと思っており、あくまで彼女自身の意思を尊重させる。
物静かで冷静な態度を崩さないが、言葉の端々から気遣いや優しさのようなものが見え、主人公には良い印象を抱かれている。また、やや天然の一面があり、素でボケている場面がしばしば見られる。
ジナコにはやや口うるさいことが災いして嫌われているが、カルナ本人がジナコを尊重しているため、険悪なムードには見えない。その態度はこちらのサーヴァントにも同様で、的確な評価をしているが悪意をもって悪し様に言うことはない。
『施しの英霊』としての在り方も変わっておらず、主人公に頼み事をされた際、ある事情から断ったものの、ジナコはその時のカルナが本心では「力になりたくてたまらなかった」のだろうと考えている。
能力
最上級の英霊とされ、最強クラスのサーヴァントであるギルガメッシュや、十全の状態のガウェインと同格、あるいはそれ以上ではないかとまで目される程の存在感とそれに違わぬ強大な力を持つ。だが、ジナコが魔術師として平均以下なためにその能力を十全に発揮できておらず、宝具の火力もマスター差でガウェインには及ばないと評されている。
『Apocrypha』では槍を主体としているが、『CCC』においては魔力供給が不足しているせいか拳による殴打を主体とし、槍は一瞬だけ実体化させて闘う。それでも強大なサーヴァントであることには変わりなく、中盤における壁として主人公達の前に立ちはだかる。
なお、宝具の一つである「黄金の鎧」は所持しておらず、耳輪しか残っていない。『Apocrypha』では肩に装備されているが『CCC』の彼はそれすら装備していない。ただ、これは失くしたのではなくとあるところに置いてきたためで、終盤にその所在が判明する。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
ランサー シロウ・コトミネ B C A B D EX 対魔力:C 貧者の見識:A
騎乗:A
無冠の武芸:-
魔力放出(炎):A
神性:A
ランサー

ランチャー
ジナコ=カリギリ B A A B A+ A++ 対魔力:C
騎乗:B
貧者の見識:-
無冠の武芸:-
神性:A
ウィザードとして平均以下とされるジナコがマスターで、
なぜ『Apocrypha』時を上回る能力値を発揮できているかは不明。
ムーンセルでは知名度によるステータスの下落が無い為と推測される。
BBからのバックアップによる強化の可能性もある。
また、幸運のランクは自己申告であり、本来はもっと低いと思われる(内部データ的にはDランク相当)。
ランサー 主人公 (Grand Order) B C A B D EX 対魔力:C
騎乗:A
貧者の見識:A
無冠の武芸:-
魔力放出(炎):A
神性:A

宝具

日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)
ランク:A
種別:対人(自身)宝具
レンジ:0
最大捕捉:1人
由来:彼の母クンティーが未婚の母となることに恐怖を感じ、 息子を守るためにスーリヤに願って与えた黄金の鎧と耳輪。
太陽の輝きを放つ、強力な防御型宝具。光そのものが形となった存在であるため、この鎧は神々でさえ破壊は困難で、彼の肉体と一体化している。ただし、神々にも破壊困難なのは鎧であって、纏う対象はその限りではない。その性能は凄まじく、黒のセイバーの「幻想大剣・天魔失墜」が直撃しても問題なく行動出来るという圧倒的なまでの防御性能を誇る。
極刑王の杭程度であれば容易に弾くとされるが、同時にダメージを9割方削減するという表現も混在されており、破壊不能の黄金の鎧が露出した部分に対して得られるのは、被るダメージや干渉を大きく削減する効果に留まるようで作中で生身の部分を傷つけられたり、露出した首を狙われて窮地とされる場面がある。
『CCC』における効果は、この宝具を身に纏う限り、彼への攻撃は物理、概念を問わず10分の1しかダメージが届かない、というもの。ムーンセルでもこの鎧を完全破壊することは不可能で、「空間内の全てを完全に消去する」というムーンセルの定めた法則と矛盾させることで、纏った対象をも守る。防具として使う物の中では、破格の力を持つの宝具であり、他者へ装備させる事も可能。
『CCC』本編中は諸事情により耳飾り以外を失っているが戦闘中に耐久強化スキルとして使用する。その際は名称が「日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ・クンダーラ)」であり&表記ではなくなっている。
この宝具の効果によるものか、カルナは致命傷に近い傷も即座に回復する高い自己治癒能力も持ち、体に負った多少の傷は戦闘を行いながらでも瞬時に完治してしまう。
唯一、内側からの攻撃だけは防御の対象外であるが、この高い治癒能力で傷は即座に修復され、体内から生み出される炎によって異物は一瞬で燃え尽き、(物にもよるだろうが)例え死に至る苦痛でも意志の力によって彼の動きが止まることはないため、実質的に弱点は存在しない。ただしやはり纏うだけでも魔力を消耗するらしくマスターにかかる負担要素の一つに上げていた。
ギルガメッシュの宝物庫にも存在せず、マハーバーラタで彼が「不死身の英雄」と称えられた理由の一つである。
梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)
種別:対軍・対国宝具
由来:彼がバラモンのパラシュラーマから授けられた弓術の奥義。
クラスがアーチャーなら弓、他のクラスなら別の飛び道具として顕現する。
ブラフマー神の名を唱えることで敵を追尾して絶対に命中するが、呪いにより実力が自分以上の相手には使用できない。
『CCC』では目からビームを撃つという演出になっている。実際はビームではなく、彼が放つ強烈な眼力を視覚化させたモノで、ビームのように見えるのはゲーム的な演出との事。因みにこの眼力が放たれるのは普段髪で隠れている右眼でありオッドアイになっている。
『Apocrypha』では五巻クライマックスで使う展開が用意されていたものの、ジャンボジェットを大量撃墜する光景が「ギャグ過ぎた」との事でカットされている。
『Grand Order』ではエクストラアタックのモーションで、目からビームが再現されている。
梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)
ランク:A+
種別:対国宝具
レンジ:2~90
最大捕捉:600人
隠された彼の奥の手。飛び道具のブラフマーストラに、彼の属性である炎熱の効果を付与して発射する。もとより広い効果範囲を持つブラフマーストラの効果範囲をさらに広め、威力を格段に上昇させる。
……はずなのだが、『CCC』でも『Apocrypha』でも「目から出したビームに炎熱を付与する」のではなく、炎熱を伴った槍の投擲として表現されている。むしろ「飛び道具」がビームなのは何かの間違いで、投槍が本来の飛び道具なのかもしれない。
『CCC』では上空へ槍を投擲後、天から巨大な劫火を敵に落とす。ゲーム的には毎ターン、ランダムな手でダメージを発生させる。このダメージ効果はコードキャストと同じ扱いであるため、こちらのエクストラターンの発生を大幅に阻害するというかなり嫌な特性がある。
日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)
ランク:A++(CCC) / EX(Apocrypha)
種別:対軍・対神宝具(CCC) / 対神宝具(Apocrypha)
レンジ:40~99(CCC) / 2~5(Apocrypha)
最大捕捉:千単位(CCC) / 1人(Apocrypha)
由来:インドラが黄金の鎧を奪う際、彼の姿勢が余りにも高潔であったため、 それに報いて与えた光槍。
雷光でできた必滅の槍。黄金の鎧と引換に顕現し、絶大な防御力の代わりに強力な"対神"性能の槍を装備する。
『Apocrypha』では、桁外れの火力であらゆる存在、神をも滅ぼす究極の力とされており、令呪で強化された『幻想大剣・天魔失墜』をも退けている。『蒼天囲みし小世界』に防がれはしたものの、その後に盾も砕けている。
『CCC』ではカルナの背中左側にある四枚の羽の装飾を展開し、左右四対の炎の翼の如き状態になった後、翼及びその中心である背、そして槍の輝きが増したところで穂先から強烈な光の一撃を放つ。奈須きのこ氏曰く「インド版バスターランチャー」。発射後、槍自体は残るが背中にある装飾は破壊される。
ゲーム中では表示されないが、この宝具使用後、防御力が若干低下する代わりに、攻撃力が急上昇する。発動に不可欠な黄金の鎧をカルナが身に纏っていなかったためかランクがA++となっており、威力も少なくともゲーム上の数値としてはそこまで高くはない。
ギルガメッシュの宝物庫にも収蔵されていない。伝承では鬼神ガトートカチャを倒すために使われたとされるが、Fateにおいては最後まで使用しないまま戦死したことになっている。そのため原典や用途が分からないためギルガメッシュは持っていたとしても取り出せないという。

真名:カルナ

パーンダヴァ王家とカウラヴァ王家の戦いを描いたインドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する、「倒される側の英雄」。人間の姫であるクンティーと太陽神スーリヤとの間に生まれた黄金の英雄で、インド神話の大英雄アルジュナのライバルとして名高い。

彼の母・クンティーはクル王パーンドゥの妻だったが、パーンドゥは子供を作れない呪いを掛けられてため、后達は各々の手段で子供を設けるしかなかった。クンティーは任意の神々と交わって子供を産むマントラを会得していて、この方法でパーンドゥの子供を産んだ。だが彼女はパーンドゥの妻となる前にマントラの実験でスーリヤを呼び出し、子を一人設けていた。クンティーはしたたかな女で、初出産の恐れと神々が自分の子を認知するかという不安から、スーリヤに“この子供が貴方の息子である証拠が欲しい”と願った。スーリヤは彼女の言葉を聞き入れ、生まれてくる子供に自らの威光を与え、後の不死身の黄金の英雄・カルナが誕生した。

だが、王の后となる事が決まってたクンティーにとって、息子は無用な存在でしかなく、これほどの恩寵、誠実さを示されながら彼女はカルナを捨ててしまう。こうして母に捨てられたカルナは自らの出自を知らず、ただ太陽神スーリヤを父に持つ事のみを胸にして生きていく。母の顔を知らず、またその母が彼を産んだ動機が不純であったためか、カルナの姿は見目麗しいものとは言えず、父の輝かしい威光は備わっているものの、その姿は黒く濁っていた。顔は常に酷薄なままで、母が居なかった為に人の感情の機微を学べず、その一挙一動は粗暴だったため、周りの人間からは煙たがられる日々を送っていた。そんな境遇で育ったカルナだが、彼は母や周囲の人間を一切恨まなかった。むしろ全てを肯定していた。

俺が生を受けたのは父と母あってこそ。
 母がどのような人物であれ、俺が母を貶める事はない。
 俺が恨み、貶めるものがあるとすれば、それは俺自身だけだ

カルナはその外見とは裏腹に優れた徳と悟りを得た少年であった。神の子でありながら天涯孤独の身であったため、カルナは弱き者達の生と価値を問う機会に恵まれた。その結論として、彼は自らの潔癖さを貫く道を選んだ。

人より多くのものを戴いて生まれた自分は、人より優れた“生の証”を示すべきだ。
 そうでなければ、力無き人々が報われない

カルナにあるものは「父の威光を汚さず、報いてくれた人々に恥じる事なく生きる」という信念だけで、“冷酷、無慈悲ではあるが、同時に尊厳に満ちている”という英雄カルナのスタンスはこうして形作られていった。

そうして青年に成長したカルナはクル族の競技会に参加することとなる。協議会ではパーンダヴァ五兄弟がその武芸によって名声を欲しい侭にし、特に三男アルジュナの弓の腕は素晴らしく、誰も敵う者はいまいと称えられていた。普段誰も羨まず、誰も憎まないはずだったカルナは、アルジュナと彼の武芸を目にしたことで消極的な姿勢を守り切れず、飛び入りで協議に参加しアルジュナに並ぶ武芸を披露する。そして優劣を決しようとアルジュナに挑戦しようとするが、王族であるアルジュナに挑戦するにはクシャトリア(カースト制度でいう所の武門、王族。カルナは商人である「ヴァイシャ」、あるいは奴隷の「シュードラ」であったと言われる)以上の資格が必要とされ、身分の差から挑戦を断られ笑いものにされてしまった。

そんなカルナを救ったのはパーンダヴァと対立する王家であるカウラヴァ百王子の長兄、ドゥリーヨダナだった。彼はカルナを気に入り、その場で王族として迎え入れた。これによってカルナは不名誉から救われたかに見えたその時、彼の出世を聞きつけた養父が現れたことで本来の出自が判明してしまった。

パーンダヴァ五兄弟は自分達より上の武芸を見せたカルナを更なる笑いものにした。“御者の息子風情が恥を知れ”と。カルナはこの言葉に激怒した。自分の事なら甘んじて受けるが、養父を侮辱された事は聞き逃せない。例えそれが欲に駆られて名乗り出た養父だとしても、カルナにとっては捨て子の自分を育ててくれた、大恩ある父であったからである。

ここにカルナと五兄弟の対立は最早引き下がれない物となるが、日没を迎えたことで協議会は幕を下ろした。以後、カルナは自分を救い、王族として扱ってくれたドゥリーヨダナを友とし、彼らカウラヴァ百王子のために奮戦することとなる。その先に待つ、パーンダヴァ五兄弟――血を分けた大英雄・アルジュナとの過酷な戦いを理解した上で。

カウラヴァ百王子とパーンダヴァ五兄弟の対立は激しさを増し、カルナはドゥリーヨダナ達を勝たせるために、その力を振るい続けた。パーンダヴァでカルナに対抗できるのはアルジュナだけで、そのアルジュナをもってしてもカルナとの直接対決は死を覚悟しなければならないものだった。いくつかの衝突、因縁、憎しみ合いを経て、両陣営の戦いは最終的に「クルクシェートラの戦い」で決着を迎える事となった。

戦いが本格的に始める前、カルナの母であったクンティーは彼に自らの出自を明かし、パーンダヴァ陣営に引き入れようという最後の賭けに出た。クンティーはアルジュナの従者にして戦友であるクリシュナに事情を明かし、二人だけでカルナと面会する事に成功する。カルナは宿敵アルジュナの友人であるクリシュナに礼を欠かさずに迎え入れ、実の兄弟同士で戦うことの無益さを涙ながらに語り、アルジュナ達と共に戦い、栄光を手にするべきだと説得する母の言葉を静かに聞き入れた。その後に、カルナは告げた。

貴女の言葉は分かった。兄弟たちと手を取り、正しい姿に戻る。
 それは何一つ欠点のない、光に満ちた物語だろう。
 だが、一つだけ答えて欲しい。
 貴女はその言葉を、遅すぎたとは思わないのか?

母と名乗るのが遅すぎた。カルナを省みるのが遅すぎた。それを恥と思わないのであれば、どうか答えて欲しい。

――母を名乗る貴女が、自らに何の負い目もないというのなら、自分も恥じる事なく過去を受け入れる、と。

クンティーは身勝手な女ではあったが、それは生来の天真爛漫さと無邪気さから来るもので、決して恥を知らない女ではなかった。彼女とて、自らの行いが我欲に満ちたものだと自覚、自責はあった。今まで独りで育ち、養父たちに感謝し、何の憎しみも抱かないカルナに、醜い嘘をつく事だけは彼女には出来ず、答えられずに項垂れて立ち去ろうとした。だがカルナは「母親としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒したクンティーの覚悟に応え、アルジュナ以外の実力に劣る兄弟たちには手を出さない事を誓う。そうして、カルナなりの母への愛として館の外にクンティーを自ら送り出し、これが親子の最後の別れとなった。

そして最終決戦直前、カルナの懐柔は出来ないと悟ったアルジュナの父である雷神インドラはバラモン僧に化け、沐浴をしていたカルナから黄金の鎧を奪った。だがカルナは父から授かった不死性を失い、自らの破滅を受け入れたにも関わらず、戦いを辞めると言わなかった。アルジュナへの愛しさの余りに姑息な計略で鎧を奪った自分への恨みすら口にしないカルナの潔さに感じ入り、インドラは何故と問う。

アナタを恨む事はない。一枚上手だっただけの話だろう。
 むしろ――そうだな。
 神といえど父親である、というのが俺には喜ばしい

では戦いに赴くのは何故だ、とインドラは尋ねた。

俺にとって敗北とは、父の威光を汚す事だ。
 死が待っているにしても、逃げることは出来ない

何しろ、その為だけに生きてきた。自らを産み、育ててくれた者たちに胸を張れるように生きてきたカルナにとって、自らの命は、自分自身のものですらなかった。

それに、ドゥリーヨダナにも恩がある。
 俺は何故か、あの厚顔で小心な男が眩しくてな。
 我が父への不敬となるが、偶にあの甘い光こそが、日の暖かさだと思うのだ

カルナの背負う太陽の火でもなく、絶対的なスーリヤの輝きでもなく、人間が見せる不完全な魅力こそが太陽だとカルナは語る。その姿にスーリヤそのものの神性を見たインドラは自らの槍を彼に与えた。

自分はこの高潔な英雄から命以上の物を奪った。その見返り当る物を与えなければ自らの名誉を貶める事になるし、何より己の息子にも与えなかった最強の槍を、この男なら使いこなせるのでは、惚れてしまったのだ。

こうしてカルナはインドラを見送り、自らの肉体と一体化していた鎧を失い、幽鬼のように痩せ細った姿となって戦場に向かった。そして迎えたアルジュナとの最後の戦い。カルナの周囲に既に味方は無く、身を任せる戦車の御者すらパーンダヴァに内通する敵だった。呪いによる数々の重荷、異母兄弟である弟への感情に動きを狭められ、戦車の車輪は轍に嵌り、カルナの動きが止まった。そこで長く、見えない縁に操られるように覇を競い合った兄弟はここぞとばかりに渾身の一撃を放ち合う。

――果たして、アルジュナの弓は、太陽を撃ち落した。

カルナは死後、父スーリヤと一体化したと言われている。『施しの英雄』と呼ばれ、何かを乞われたり頼まれた時に断らない事を信条とした聖人。非常に高い能力を持ちながら、血の繋がった兄弟と敵対する悲劇を迎え、様々な呪いを受け、その真価を発揮する事なく命を落とした英雄――それがカルナである。

余談ではあるが、アルジュナがカルナは自分の兄である事を知っていたかどうかは定かではない。カルナがクンティーの息子である事を知っていたのは当事者であるカルナとクンティー、スーリヤ、それとクリシュナだけと思われる。

登場作品と役柄

Fate/Apocrypha
「赤」のサーヴァントとして登場。
Fate/EXTRA CCC
ジナコのサーヴァントとして登場。
Fate/EXTRA CCC FoxTail
引き続きジナコのサーヴァント。ガウェインとコンビを組み、消耗しているとはいえパッションリップメルトリリスを二人纏めて圧倒するなど圧倒的な強さを示す。
Fate/Grand Order
ランサーのサーヴァントとして参戦。レア度は☆5(SSR)。イラストレーターはpako氏。
好敵手であるアルジュナとは全くの同時期、同レア度での実装となった。
カプセルさーばんと
さーばんとの一匹。
一度きりの筈の「神殺しの槍」を何と連発してくる。攻撃の間隔は短くはないが、その超火力・長射程の一撃は歩兵や補給役は勿論、ギルガメッシュや魔人アーチャーのような砲台役も容赦なく葬り去る。しかも移動しながら撃てるので、その制圧力は凄まじい。
コスト:1000 / 戦闘力:A / 突破力:D / 移動力:E / 体力:A / 忍耐力:A / リキャスト:E
ちびちゅき!
学生役で、相変わらずジナコにパシられているため、藤村大河からはイジメと勘違いされた。

人間関係

Fate/Apocrypha

黒のセイバー
聖杯大戦で出会った好敵手。
彼の眼差しから生前因縁のあった人物を見出し、夜明けまで打ち合い、別れ際共に再戦を願っていたが………。
黒のランサー
彼の王としての誇りを認め、自らの手で討ち果たそうと決意する。だが……
シロウ・コトミネ
すべての事柄を「それも有り」と捉える性格が災いし、彼らに有用な駒として扱われている。
赤のアーチャーや赤のライダーは彼をマスターと認めたがカルナにとってマスターは「自分の力を求め、助けを乞うた召喚者」であるため、シロウの事はマスターとして一切認めていない。
赤のアーチャー
そのあらゆる嘘を見抜く眼力と比類なき実力を信頼しており、何度も意見を求める。
赤のライダー
赤のアーチャーと同じく非常に高い評価。
「インド屈指の英雄相手に五分の力で相手をするなど失礼千万。アイツと打ち合う時は殺し合う時だけ」と戦士としての敬意を以て接している。
赤のアサシン
「顔も名前も知らない前のマスターにそのまま仕える」と表明した彼を愚か者と蔑むが、直後に語った「オレはただの槍に過ぎない」という最強の大英雄が口にするとは思えないような謙虚な姿勢に唖然とする。
赤のキャスター
「物語に仕える」と公言し、詰まらないという理由でマスターを切り捨て、戦闘代行者としての義務を全く果たさないなど赤のキャスターが余りにサーヴァントとしてアレ過ぎるせいか、時折的確かつ辛辣なコメントを送っている。でも赤のキャスターは全く気にしておらず、相変わらず慇懃無礼な態度で受け流している。

Fate/EXTRA CCC

ジナコ=カリギリ
マスター。彼女のあまりのダメ人間ぶりには苦言を呈するが、マスターとして彼女の意思を尊重しており、命令には従う。
ジナコの態度にため息を付きつつ、甲斐甲斐しく付き合うその姿勢は「お父さん」あるいは「世話焼きな兄弟」にも見える。
なお、ジナコの父と言われた際は「すまんが、年齢的に無理がある。弟ということにして欲しい」と返答し、ジナコに憤慨された。
主人公 (EXTRA)
ジナコを気にかけている為か、比較的好意的な対応をする。
セイバー
一見すると正反対な性格なため相性が悪いように思えるが、彼女の生き方を賞賛し、その最後に共感を覚えている。
セイバーの方も不本意な戦いを強いられている彼に同情しており、自分達に相応しい舞台で戦いたかったと語っている。
アーチャー
弱き者のために戦い、「悪」として裁かれたもの同士。
だが最終的に「正義」をとるアーチャーと、義が有れば「悪」となるのも善しとする彼は相容れない。そのため互いに同族嫌悪に近い感情を抱いている。
キャスター
自身よりも格上の神霊と評し、全力で闘う事を決意する。
彼女の方は主から避けられ、忠義を全うすることもできない彼の境遇に同情しており、彼の心境を思うと寂しくなると主人公に吐露していた。
また共に「日輪」を司る者同士でもある。
ギルガメッシュ
初めて会った際、自身を上回りかねないその桁違いの力と、宝物庫に存在しない無敵の鎧と槍を持っているが故に強い興味を持たれている。
だが「施しの英雄」と呼ばれた彼と無慈悲な略奪者でもあるギルガメッシュは生き方からして到底相容れないと評している。
だがギルガメッシュの方からは「その実力と気品は申し分ない」と高く評価され、一方的に好感を抱かれている。
臥藤門司
身を挺してまでジナコを救おうとしてくれた彼の行いに深く感謝している。
臥藤もカルナと会話した際、「神話に語られた通りの高潔な人物であったことが嬉しい」と述べている。
また「赤き翼を背負いし漆黒の太陽(レッドウィング・シュバルツさん)」という有り難い(?)別名を送られている。

Fate/Grand Order

トーマス・エジソン
第五章にて西部アメリカ合衆国大統王としてカルナを客人にして最高戦力の人員として迎え入れる。極めて実利主義で俗物的であり、指導者として問題も多い。
しかし仮に方法が間違っていてもエジソンの民を守るという意思は間違っていないことを知っていた故か、人理焼却を少しでも食い止めようと前線でその槍を振るった。
何を言われても基本従っているが、主人公達に追い詰められ明らかに体に悪い試験薬でパワーアップしようとするのを止める程度のことはする。
また、そんな人間臭さの極みである彼にドゥリーヨダナの面影を見ている。

生前

アルジュナ
「マハーバーラタ」における宿敵で、カルナに並ぶ力量を持つ大英雄。
正義がそのまま形になったような実直で誠実な性格(少なくともカルナを含めた周囲はそう認識していた)の正しく英雄と言える人物とされ、カルナはそんな彼に自分でも分からない奇妙な執着心を抱いたという。
異父兄弟でもあり、最期は呪いで行動不能になった所を彼の弓矢によって討たれるが、カルナ本人はあの男が道義に反してまで自分を殺そうとする事に喜びを覚えていた。
尚、アルジュナはカルナが異父兄だと知らぬまま闘っていたという。
Fate/Grand Orderでは第五章のシナリオで因縁の対決を実現する。
ドゥリーヨダナ
かつての主君であり、アルジュナ達と対立したカウラヴァ百王子の長兄。
カルナは彼のことを「厚顔で小心な男」と評しているが、かつて救ってくれた恩は今だ忘れておらず、彼の人としての温かさを持った生き方を好ましく思っている。
インドラ
インド神話を代表する雷霆の神でアルジュナの実父。
アルジュナを勝たせるべく密かにカルナの『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)』を盗み隠しカルナの不死性を奪ったが、カルナの武人としての立ち振舞いに感銘を受け、敢えて原典に於いては一度限りのみ使える神槍『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』を与えた。
スーリヤ
インド神話の太陽神にして、カルナの父親。
彼からカルナは、黄金の鎧を授かった。

名台詞

Fate/Apocrypha

「お前と似た目をした男と、一度会ったことがある。
 その男は紛れもない英雄だった。……お前がその目でオレを見るならば、
 オレと戦うは偶然ではなく必然ということだ」
聖杯大戦で出会った、黒のセイバーを前にして。
何かに苦しみながらも己の役割を全うしようとするセイバーの瞳に生前出会ったある英雄を思い出す。そして、聖杯大戦の開幕を告げるべく、両者の闘気は静かに燃え上がる。
「―ああ、オレは実に運が良い。
 黒のセイバー、
 初戦にお前と打ち合えた幸運を心から感謝しよう」
好敵手への惜しみない賞賛。
「お前を打ち倒すのは我が剣であり、槍であって欲しい」という、無垢な少年の夢のような思いを込め、彼らは互いを称える。
「―――なるほど。苛烈だな、串刺し公カズィクル・ベイよ。お前にとって、この杭は攻撃であり防御であり、示威であり恐怖なのか。
 領地を定め、城を定め、守るべき物を定め、つまりお前はただ一騎で国家を形成しようとしている。
 祖国への愛が為せる業か。あるいは為政者おうとしての責任感故か。
 だが、ここには従えるべき配下がいないぞ?王とは孤高であるべきかもしれぬ。だが、供回りのおらぬ王など存在しない。
 ……失策だったな、串刺し公。
 オレは英霊だ、国を相手取っても恐れはせん」
黒のランサーとの戦闘時。
「神」に対する考えの違いから、怒りと憎悪を滾らせる串刺し公に対し、彼の心を見抜きながら静かに闘志を燃やす。
領王の誇りを称えながらも、不遜なまでの戦意を以て対峙し、自らの手で獲る事を決意する。だが……
「―執念、怨念、あるいは妄念か。
 魔術師でもなく、英雄でもなくなったお前は最早、誰でもない。
 『己ではない誰か』に為ったお前の苦痛は生半可なものではあるまい。
 未練を残すな、怪物。く消え去るがいい」
吸血鬼へと変貌し、ダーニックに取り込まれてしまった黒のランサーに対して。いつもの冷たい口調で、ともするとヴラドを見下しているように聞こえる。
だが実際は、名誉も誇りも奪われ、堕ちていった強敵への深い憐憫の念が込められている。
「施しの英雄」と呼ばれた彼でも、日輪から目を背ける「人間でなくなった者」を救う事は出来ない。出来るのは、これ以上の屈辱を味わわせることなく、塵に帰すことだけであった。
「聖杯戦争において、マスターは魔力供給と令呪を以て英霊を使役する。
 だが、我々サーヴァントにもマスターを選ぶ権利はある。
キャスターのマスターが如何なる存在であったかは知らないが……その選択は尊重されて然るべきだろう、大賢者よ」
 黒のアーチャーが黒のキャスターの寝返りを制止しようと射た矢を神槍で弾き彼を見据えて述べる正論。
「……確かにマスターは変わったが。
 オレを召喚しようと決意し、助力を乞おうとしたのは、他ならぬあのマスター達の1人に違いない。
 そして、オレのマスターは滅びかけた肉体でなお聖杯を望んでいる。
 ならば、オレはこの槍を振るうだけだ。
 それが願いであり、召喚されたオレへの報酬だ」
シロウと真実を知った赤のサーヴァント達の問答の場で。
他のサーヴァント達がシロウをマスターとして認める方に動いていく中で、神の瞳でシロウを見据えながら、変わらず「マスター」への忠義を誓う。
全ての人間、全ての英霊を信念だけで引き摺り込む聖人でさえ「施しの英雄」の在り方は一片も変えられず、逆にシロウは彼に見据えられたことで丸裸にされたような感覚すら抱いてしまった。
また、シロウはカルナに計画を看破される可能性を考えて、赤のサーヴァントを支配下におく以前は意図的にカルナを遠ざけてもいた。
「確かにお前の言葉は正しい、アサシン。
 マスターとサーヴァントとして、これ以上ないほど正当に結びついているのは、こちらの陣営ではお前たちだけだ。
 マスターはお前を利用し、お前はマスターを利用する。
 だが、そこには互いの奉仕と信頼がある。
 お前は彼を裏切ることはできない、せいぜい想像するだけで精一杯だろう」
赤のアサシンからあくまで元のマスターへの義理を果たす彼に苦言を呈された際の返答。
あまりにさらりと彼女のもっとも深い部分にあった『何か』を指摘され、彼女を絶句させた。
「……愚問だ。アサシン、お前は恋しい相手を殺したくなる偏執狂パラノイアなのか?」
赤のアサシンの「我が裏切らないと思っているのか」という問いに対して。本音をずばり言い当てた返しに、さしもの女帝も酷く取り乱してしまった。
「――どうやら、オレの役割は済んだようだ。マスター、あなたとは言葉を交わすこともできなかったが、どうか幸運を」
もう自分のマスターが始末されることはないと確信し、会話することすらできなかったマスターに別れを告げる。
「それは構わない。
 オレが全力で戦うことを誓うのと、お前が全力を出さずに引き分けを狙う戦術を取るのとは全くの全く無関係の事柄だ。
 そも、その場合は三分間で仕留めきれなかったオレに圧倒的な非がある」
己のマスターを救う見返りとしてカウレスが提示した「三分でジークを倒しきれなかったら見逃す」という提案を受け入れた彼にジークが「自分が三分以上戦闘を引き延ばすとは思わないのか?」と問い掛けた際に全く平然とした表情で返答した、絶大なる自信。そして、清々しいほどの英雄理念。
「オレが彼らを救うのはおかしいか、“黒”のセイバーの心臓を持つホムンクルス」
ジークが何故、元のマスター達を助けるのだと問うた際の返答。慈悲深き英雄であれば、彼らを救いたいと思うだろう。だけど、物事には限度というものがある。富める者が貧しき者を救いたい、と願ってもそれは己の破滅を選んでまで行うべき願望ではない。にも拘らず、施しの英雄は平然と躊躇もなく、それを選ぶ。生前も、そして今も。
「彼らはオレのマスターだった。理由はそれで充分。
 オレは彼らを守れなかった。サーヴァントでありながら、その役割を果たせなかった。
 だが、聖杯大戦からは脱落しても命だけは救いたい。
烏滸がましい、傲慢な願いだとオレ自身ですら思うが……」
上記の返答に対しジークが重ねて問うた際の返答。その余りに清廉な在り方に、――どこが傲慢なのだろう、と三人はただ唖然とする。

Fate/EXTRA CCC

「そうだな。オレの扇動スキルは、お前の卓越した荒らし技術に遠く及ばない。
 しかしそれは自明の理。その域に達するには、人生の大半を無駄に使うよりあるまい。
 武芸に生きたオレにはお前の技術は余りに遠い。一種、異様にさえ見える。
 ……実に大したものだ。何の役に立つかは理解できないが、他人の評価にそれほどの情熱を持つとは。
 オレには真似のできん苦行。我が主人、ジナコ=カリギリ。お前は何のために生きている?」
ジナコに買出しもスレ監視もできない役立たずと評された際の反応。
マスターに対して余りに失礼な発言だが、彼はずっとこの調子らしい。
「我が主人は役に立たないマスターだ。サーヴァントとしてそれは断言できる」
ジナコを評して。マスターが相手でも一切容赦無し。
「――――――。
 信頼と忍耐は得難い徳だ。
 オレは勇猛さより、その二つこそ恐ろしい。
 いずれ敵に回す時がくるかと思うと気が引き締まるが、嬉しくもある。
 聖杯戦争も悪くはないな。」
協力を渋るジナコに対し誠実で粘り強い説得を繰り返し、見事口説き落とした主人公に対する称賛の言葉。
「真の英雄は眼で殺す!」
宝具「梵天よ、地を覆え」、発動。
妙な笑いを誘う台詞だが、本当に目からビームを放つ
高威力かつ1ターンに2度使用することもままあるので、直撃すれば言葉通りの状態にされるだろう。なお、このスキルの使用をきっかけに、ジナコから「ビームの英霊ランチャー」と呼ばれることとなる。
正しくは「武具など無粋。真の英雄は眼で殺す……!」だったが、尺の関係で前半がカットされたとのこと。
「華々しいな、薔薇の皇帝。
 多くの市民はその在り方に喝采を送っただろうが、オレには悲劇にしか見えん。
 出来事という出来事を全て舞台にしなければ立ち行かぬほど、お前の生は絶望と悲哀に満ちている。
 ……お互い様とはよく言ったものだ。オレにはお前の苦悩が分かる。何が救いになるのかさえもな。
 幕を下ろしてやろうセイバー。
 主役が消えれば、その舞台もおしまいだ。」
セイバー (EXTRA・赤)の彼女らしい、決戦を前にした口上を聞いて。
多くの苦難にさらされながらも決して華やかさを失わなかったその在り方を称え、彼女が胸に秘めた悲しみに共感する。
それは、自らと同じく、落陽が最後に見たものであるゆえか。
「余計な世話だ、口にするな。
 正しい人間を見れば、敵であろうと気にかけるのは貴様の悪癖だぞアーチャー。
 いさめる相手を間違えているのはそちらだ。
 正義という集団秩序を善しとしておきながら、お前は弱者の味方であろうとする。
 その矛盾に気づいているか、弱き者よ。
 非情になりきれぬのなら、正義に肩入れするのだけは止めておけ。」
アーチャー (EXTRA・赤)に「この戦いは本当に必要なのか、お前がいさめるべき者は他にいるのではないか」という問いに対して。
冷たく突き放し、逆に「正義の味方」が抱える最大の問題を突きつける。
誰よりも「正しい行い」をしながら、「悪」と呼ばれ命を終えた者の苦悩を知るがために。
「浅慮なのはそちらの方だ。オレは正しい英霊などではないし、そもそもジナコには何も期待していない。
 ジナコの将来性を期待する者がいるとすれば、それはジナコ本人だけだ。
 何者であれ、彼女の在り方に口出しすることはできない。
 お前とてそうだろう。マスターを守るでもなく導くでもなく、寄り添う事を良しとしている。
 たとえその先が報われぬ未来でも、己の我儘で運命を捻じ曲げる事はしない。
 口では色々と欲望ダダ漏れだがな。本性は主に殉じる純情狐というワケだ。」
キャスター (EXTRA・青)に「将来性を信じられても、重荷になるだけの人間もいる。貴方が正しくあろうとすればするほど主を追い詰めていると分かっているのか?」という問いに対して。毒舌を交えつつも、互いが抱く主への真摯な想いを認め合う。
かつて主が「悪」と知りながら、忠義に殉じた者であるからこそ。
もっとも、後に彼女は己の我儘で主の運命を捻じ曲げてしまうが……
「―――今は何も無い。
 出来る事は確約だけだ。古代ウルクの王、天地の理を与えられた裁定者よ。
 この首が落ちる運命があるのなら、それをお前に委ねよう。まだヒトの認識セカイちいさい黎明にのみ地上を統べた最古の男よ。
 その力でオレを砕けるものならな」
ギルガメッシュと初めて出会った際。
丁寧に断りを入れたのにも関らず、退かないどころか主の身を脅かし、鎧か槍か彼の首を求める傲慢な王に告げる。
主を守るためその不動の姿勢を崩さない。
そして二人の黄金の英雄は冷たく睨み合う。
「―――命令とあらば従おう。
 我が槍の暴威を以って、彼らを焼き尽くす。
 ジナコお前の内にある暗き炎が、お前自身を燃やし尽くすまで消えぬと云うならオレは風雨を遮る覆いになるまで。
 ゆくぞ。時期尚早だが、ここが貴様の死地と知れ。」
狂気に染まったジナコの叫びに応えて。
自らの勝利が絶対に主の為にならないことを知りつつも、サーヴァントとして主の叫びに応えるため、そして戦いに果てに主が救いを見出すことを信じ、彼は永き眠りについていた神槍を執る。
「能天気さなら間違いなく。オレも恥が高い」
ジナコの「自分ってAランクのマスターなんじゃない?」という自惚れに対する一言。即座にそこは鼻が高いと言うべきと突っ込まれる。
「神々の王の慈悲を知れ。
 インドラよ、刮目しろ。
 絶滅とは是、この一刺。
 灼き尽くせ、『日輪よ、死に随えヴァサヴィ・シャクティ』!!
 ふ……是非もなし……」
最終宝具解放。
「日輪よ、死に随え」。一撃のみの神をも射殺す、必滅の槍。
「アルジュナの真似事ではないがな………ッ!」
「我が身を呪え………『梵天よ、我を呪えブラフマーストラ・クンダーラ』!!」
「頭上注意だ、悪く思え」
宝具「梵天よ、我を呪え」、発動。
師から与えられた極意にして、三界を焼き尽くす天からの劫火。
というか、アルジュナも同じような事できるのか…。
「その話は無意味だ。オレはおまえたちには協力しない。ジナコと契約を切るつもりもない。
 生徒会室に戻るがいい。ジナコがなんと言おうと、オレはおまえたちには手を貸さない。」
「オレはここで消える運命ではない。こんな所で死ぬ気もない。BB退治はしたいものにやらせればいい」
神話礼装取得のためにジナコのサーヴァントである彼を借り受けようとした際の返答。
普段のカルナからすれば不自然なほどの意固地な態度だが、これには理由があった。
「―――いや、それは違う。お前の人生は、ただ、間が悪かっただけであろう」
自暴自棄に陥ったジナコに対して。
ガトーと同じ事を語り、彼女を諭す。
「無論だ。特別ではない君を、命ある限り、オレは庇護し続ける。」
彼にとって全ての人間は同じ価値。「施しの英霊」と呼ばれる彼のあり方を感じさせる。
「―――そうだったのか。……そうだったのか……そう……だったのか……」
ジナコに誤解される原因は伝えたい事を途中で切るからと指摘された際の一言。
全く自覚してなかったようで、思わず三回も呟く程ショックを受けた。
「生きるがいいマスター。必ず誰かが、誰でもないおまえを待っている。」
ジナコとの別れ。言いたいことを全て言う、最初の練習にして最後の言葉。
長年孤独と死を恐れていたジナコは、この言葉を受けて涙と共に息を呑む。

Fate/Grand Order

「武器など前座。真の英雄は眼で殺す!」
 エクストラアタックの変更後の台詞。
「神々の王の慈悲を知れ。絶滅とは是、この一刺。『 日輪よ、死に随えヴァサヴィ・シャクティ』!」
 変更前の宝具発動の台詞。
「かつてとあるマスターに言われた。俺は一言多いのではなく、少ないのだと。爾来、なんとかしようと思っているのだが、なんとかな罹っているか?……そうか…そうか」
 絆レベル5での台詞。ジナコからの忠告を今でも心に刻んでいることが分かる。
 カルナ「…確かにお前の言う通りかもしれない。オレは忠実であろうという病に罹患している。
      望んだモノを立ち所に見抜くのは看護師という職業故か」
 ナイチンゲール「いいえ、貴方が分かりやすいだけです」
 カルナ「………………………………………………なるほど」
 ナイチンゲールからの指摘にジナコの時と同様凹むカルナ。どうやら己が自覚していなかったことを他者にズバリと指摘されるのが弱いようである。
カルナ「……そうだな、アルジュナ。オレもお前も、言えることのない宿婀しゅくあに囚われているようだ。」
アルジュナ「……だが。」
カルナ「ああ。」
「「―――――――だからこそ、それは歓喜。」」
カルナ「この世界に神はなく、呪いもなく、宿命すらもない。」
アルジュナ「無いからこそ、私は貴様と決着を付ける事だけを願望器せいはいへの望みとした。」
おそらく二度とは無いカルナとアルジュナの同時現界。アルジュナの望みを知っているカルナは、人類の救済という理由などでアルジュナが止まらない事も知っていた。
そしてカルナ自身も一人の武人として、そんな言い訳をすることは無い。
カルナ「腐れ縁だが、付き合いは誰よりも長いのがオレたちだ。その縁に免じて、一つだけ約束しろ。
     オレを討った時は本来の英霊としての責務を果たせ。その『炎神の咆哮アグニ・ガーンディーヴァ』で世界を救え。
     ………言いたくはないのだがな。その手の仕事は、貴様の方が遙かに上手い。」
アルジュナ「………いいだろう。だが決した後、それを敗北の理由にしない事だ。」
カルナ「まさか。敗北のために戦う事はない。この槍に誓って、この肉体に誓って。父と母に誓って――――勝利を奪う。」
あくまで個人的な理由でアルジュナに決闘を『許した』カルナ。その代償として求めたのは、己が倒れた時の代行だった。それは後に、己の対極にあり敵であったカルナという男を最後まで理解できなかったアルジュナにとっての、紛れも無い救いとなった。

生前

「それは欺瞞、独りよがりの愛だ。
 貴女の愛で救えるのは、貴女だけだ。貴女の愛は貴女にしか向けられていない。
 だが―――その気持ちに応えよう。
 以後、戦において俺に及ばぬ兄弟を仕留める事は無い。俺が全力を尽くすのは、我が宿敵アルジュナだけだ。
 自ら手にした場所へ帰るがいい。
 ………一度だけだが、息子と呼ばれた事には、感謝している。」
説得に訪れた実の母クンティーへの答え。最後に「母としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒してまで自分を説得しようという彼女の覚悟は「施しの英雄」である彼にとって酬いるに値するものだった。
この決断と誓いが自らの破滅を呼ぶことを理解していながら、彼はこの母に誓った言葉を守り続けた。
「利己的な母から生まれた」というのもセイバー (EXTRA・赤)との共通点だが、セイバー (EXTRA・赤)はいつも傍にいたはずの「母」と最後まで分かり合うことが出来ず公衆の面前で切り捨てる事になったのに対し、彼は幼い頃に自分を捨てた「母」を許し最後の最後で気持ちが通じた、という皮肉な違いがある。

メモ

  • キャラクターデザイン原案はpako氏。設定制作を担当したのは奈須きのこ氏。
  • 奈須氏お気に入りのキャラクター。『Fate/EXTRA CCC』に参戦が決まったのは、『Fate/Apocrypha』の企画が没になっていた当時、そのままお蔵入りさせるには勿体無いという理由で採用したためとの事。
    奈須氏は『CCC』での彼の実力について
    「確かにギルガメッシュと同格の英雄ではありますが、なんたってマスターがアレですからね(笑)どうなるかはお楽しみという事で」、「カルナはギルガメッシュと同格の非常に強力な英霊です。ストーリー前半における最大の壁として主人公達の前に立ち塞がります」とコメントしている。
  • 『Apocrypha』においても強大な英霊という扱いは変わらず、シロウからは圧倒的な知名度補正によって最強クラスの実力になった黒のランサーに匹敵する戦力に数えられていた。実際は自分から魔力消費を制限した状態でも黒のランサーを圧倒するほどで、計り知れない強さを見せつけた。
    • その前評判に違わず、『CCC』内において皆から一目置かれており、彼と初めて対峙した主人公はその圧倒的な存在感から、「ひょっとすると何のペナルティもないギルガメッシュでもこのサーヴァントには一歩譲ってしまうのではないか?」「両者の実力は拮抗している」等々と発言。ギルガメッシュ本人も「戦う時が楽しみだ。申し分ない実力」と非常に高く評価している。
      また、用語集では最上級のAランクサーヴァントの中でも強力な特Aランクサーヴァントと紹介され、メディア媒体でも、最強のサーヴァントの一角であるギルガメッシュと同等、もしくはそれ以上の英雄として紹介されている。
      それほどまでの実力を誇りながら、ジナコの力量では彼の力を完全に引き出せておらず、マスター差で火力ではガウェインには及ばないと評されている。
      更に怠惰で臆病な彼女の方針で闘う機会に恵まれず、鎧も失うという弱体化を果たしている。
    • CCCのシナリオでは前半の実質最強ボスであり、高い攻撃力と防御力、HPに最強レベルの宝具やスキルを持ち、テストプレイした奈須氏が「本気で殺しにかかっている」と評する性能を持つ。
  • サーヴァントとしてはひどく燃費が悪いらしく、常時展開している黄金の鎧、武器として使用する神槍、敵の宝具でさえ溶解させる魔力放出と尋常ではない魔力喰いらしい。特に魔力放出を最大限に使用した場合、並の魔術師なら指先一本動かせず、一流と呼ばれる者でも自身の魔術を行使できない程に疲弊するらしい。
    月の聖杯戦争で、例えカルナが万全の状態でも、三流マスターであるジナコが主では性能を出し切れる筈もない。彼がいるのに、ギルガメッシュが「参戦すれば優勝が確定してしまう」と評されたのも、こういった事情も大きいと思われる。そして、実際にジナコがマスターであるというハンデは非常に大きく、彼自身も自分の力でジナコを優勝者にするのは無理だろうと認めている。
    • 「燃費が悪い」とされてはいるもののカルナ本人も魔力消費の多さをそれを自覚して普段から的確にコントロールしており、窮地の場面にもならない限り魔力放出や宝具の使用は控えている。魔力消費の多い行動をとらずに戦う分には大した問題ではないようで、魔力放出と鎧以外の宝具の使用を控えたジークフリートとの戦いでは数時間以上戦い続け、もっと戦っても構わないと発言している。
  • 『CCC』では、『Apocrypha』と少しデザインが変わっている。
    ワダ氏曰く、「大ぶりのファーを3Dモデルで再現するのが難しいとのことで、随分形を変えることになってしまいました。ですが、できるだけ印象を同じにしつつ、清廉さを少しでもお借りできるよう念じて描かせていただきました」との事。
    だが本編においてハードのスペック不足だけではなく、鎧を失ったことでデザインが変わったという事実が判明した。
  • スキル「神性」により神性B以下の太陽神系英霊に対して高い防御力を発揮する。当てはまるサーヴァントはクー・フーリンオジマンディアスといったところか。
  • 伝承に伝われるようにその生涯は悲惨なもの。ジナコ曰く「(自分より)カルナの方が無念でいっぱいなのに、カルナがどれだけ欲しいものがあったか。どれだけ酷い生涯だったかなんてわかっているよ」。しかし、当の本人は不幸だと思っていないのか、幸運のランクをかなり高いランクに自己申告して変更している。また『CCC』では満足げに最期を迎えた。
  • 伝承では宿敵アルジュナに味方する神々の策に嵌められ、鎧と槍を失い、自身の戦車の操縦を任せた御者に裏切られている状態で最後の戦いに臨むことになる。
    更に戦いの最中、過去に受けた呪いによって弓と戦車が使えなくなったところをアルジュナが放った矢で首を刎ねられ、実力を発揮できないまま敗れ最後を遂げた。
  • 闘うつもりがないジナコからは辛辣な言動もあって役立たずと低い評価。また知名度自体はかなり低い為かジナコはマイナーな英霊と呼び、彼の力量に気付いていない。
    それでも仲自体は険悪でもないのは、彼がジナコを尊重しているからだという。
    • ダメダメなマスターと小言を言いつつも静かに見守る彼の姿は、まるで親子のよう。サーヴァントとして現界した際の年齢的には彼の方が下らしいが。
    • 因みに、日本でこそ知名度は無いに等しいものの、彼の出身地であるインドでは絶大な人気を誇る。また1980年代の話になるがインドで放映されたドラマ「マハーバーラタ」は最高視聴率92%を誇るなどインド人にとって身近で知りぬかれた物語である。
    • インドの文学作品で10万部以上を売り上げる異例の大ヒットを記録したものに、「マハーバーラタ」のカルナを主人公にした『死の征服者』(著:シヴァージー・サーヴァント)がある。小説や詩集が1000部から2000部売れれば上々とされるインド出版界においてなお圧倒的な売れ行きは、カルナの人気を如実に表しているといえよう。
  • 本来の属性は「秩序・善」だが、スキル「無冠の武芸」の効果により真名を知らない相手に対しては属性が「混沌・悪」と正反対に表示される。また『CCC』では属性が「中立・善」となっている。
  • 自己主張の少ないカルナだが、父であるスーリヤ神の威信を守る事には固執しているという。自らが強大な力を誇るのは父による処もあるが故に父の栄誉を汚す訳にはいかないと考えている。ただし小説版『Apocrypha』にて父スーリヤを「人と交わり人と媾う醜悪な怪物」と罵られた際にはそこまで強く反論していない。
    • また、自身の味方や拾い上げてくれた者への侮辱にも反応する。義には義で応じる義理堅い彼の本質を表すモノだという。
  • 本人によると仮にジナコが令呪を使っても、逆らう事が出来る。曰わく石に躓くようなモノ。これはジナコの魔術師としての力量の低さに加え、彼の霊格が極めて高いことが影響していると思われる。
    もっとも、主人に仕えることを第一と考えるカルナにとってはマスターの命令は始めから絶対のもの。あらゆる物事を「それも有り」と認めているため、どんな事であれ主の命には黙して従うまで。それは未熟なジナコでも同じであり、本来ならば強制のための令呪を使うまでもない。
    そんな彼が自分の信念すら曲げて命令に背くならば、そこにはよほどの理由が存在するということである。
  • スキル「貧者の見識」によって相手の欺瞞や嘘を見抜く特性があり、彼自身も優れた洞察力を誇る。不審な素振りを見せたユリウスにも即座に警戒した。
    • とはいえ抜け道も存在しており、結果的に嘘を言わなければ対象の嘘や策略を見抜く事は出来ないという欠点がある。シロウもその点を利用し、指示を本来のマスターから経由して伝える事で彼を欺く事に成功した。
    • 後に赤のライダーと赤のアーチャーがシロウの尋問を行う際に彼の返答の度にカルナをチラ見して、真偽を確認するというシュールな光景からファンからは「嘘発見器」と呼ばれたりする。
  • 生前のカルナは本来戦車に乗り弓を引く「ライダー」と「アーチャー」を兼ねた戦士。その彼がランサーとして召喚されるのは黄金の鎧と引き換えに神殺しの槍を手に入れたが故。
  • 設定段階~小説版『Apocrypha』第1巻までは「どのような命令にも忠実に従う冷酷な武人」というイメージを持つ人が多かった。しかし『CCC』発売後は、忠実な武人であるが、同時に意外と面白みのある人柄なことが判明した。
    性格はやや天然ぎみで、主人の言動にツッコミをいれつつも時々素面でボケるなど、大英霊らしからぬ人間味溢れた姿が見られる。
  • 大きな実力を持ちながらも、説教臭いこととネットサーフィンやゲームのスキルを持ち合わせていないこと等の理由により、普段ジナコからは「ハズレ」「ダメサーヴァント」扱いされている。
    • この時の台詞で「ゲームも下手~」とジナコが言っていることから、一応は付き合ってあげたことが伺える。いくらムーンセルから現代の知識を与えられたとはいえ、生前を武芸に生きた彼にコンピュータゲームの腕を求めるのは酷な話だろう。
      サーヴァントの中にはハードごと購入してゲームを楽しむ人もいるにはいるが。
  • 『CCC』におけるカルナのクラス名は、前述した通り「ランチャー」で通っている。
    これはジナコが命名したもので、曰く「目からビームがでるからランチャーっす!」とのこと。
    本人が勝手に付けたクラス名だが、召喚時のクラスの「『ラン』サー」と適性を持つ「アー『チャー』」を複合したものと考えれば、ネーミングセンス的にはあながち間違っていないエクストラクラス名なのではないだろうか。ギルガメッシュ、キャスター (EXTRA・青)からも「らしいクラス名」と称されている。因みに本人は数奇なマスターをもった自身の宿命として、受け入れている。
  • 原典では呪いや策略により本来の実力を失っていってしまうが、原典において彼の本来の実力は彼と比肩する大英雄アルジュナ以上と目されている。
    悪竜を踊りながら倒す等の数多の偉業を持つクリシュナにすら、「アルジュナのあらゆる武器や私の戦輪でも傷つけられない」と言わしめ、神々の王インドラでさえ黄金の鎧を失った状態でも(渡した神殺しの槍の存在故に)勝てないと戦慄させ、実力の大半を奪われ挑んだ最後の戦いでも相対したアルジュナを何度も追い詰めるなど互角以上の激闘を繰り広げている。
    呪いや武器や武具の紛失がない万全の状態での彼であれば神々を含めた三界(天界、地界、人界の事)を単身で制覇するとまで言われ武芸者としての実力は比類なく、インド圏屈指の大英雄と言える。
  • ちなみに誰がカルナに呪いを掛けれたかと言うと、師匠であるパラシュラーマとされる。
    Fate上では理由は判明されていないものの、奥義を思い出せなくなるという呪いは「バラモンであると偽って弟子入りしたことが露呈し、パラシュラーマの逆鱗に触れた」というもので、
    緊急の際に戦車が動かなくなる呪いは「バラモンが飼っていた牛を誤って殺してしまった」というものから来ている模様。
  • BBのカルナに対する評価は「レオのガウェインと組まれるとタジタジ」。ただしガウェインのことを「カルナと同規模のサーヴァントだと侮っていた」と評した上で、そのガウェインを余裕綽々で瞬殺しているので、嘘をつく機能を基本的に持ち合わせていないAIの発言としてはかなり矛盾が生じているように見える。
    • 推測としては、単純に二人掛りならば話が変わるか、或いは『日輪よ、死に随え』の存在故と考えられる。BBやアルターエゴらは極めて強力な能力を持っているが、神霊すら殺せる威力を持つ『日輪よ、死に随え』ならば致命傷を与えられる可能性もある。
  • 彼を演じた遊佐浩二氏は『空の境界』でコルネリウス・アルバ役も演じている。
  • 天敵はギルガメッシュとパッションリップ。おそらくギルガメッシュの方は性格的な問題、パッションリップの方は特殊能力・id-esにより、「日輪よ、具足となれ」ごと圧縮させられてしまうためだろうか。
  • 『CCC』と『Apocrypha』の二作品に出演しているカルナだが、その両方において優勝こそ叶わなかったものの、自身を召喚したマスターを生還させることには成功している。
  • ギルガメッシュとの対戦時、ギルガメッシュが「風神の矢とはいかぬが我の弓もなかなかだ」と口にするが、この「風神の矢」とはカルナの終生のライバルであるアルジュナの弓矢のことではないかと推測される。ヴェーダ神話の弓持つ暴風雨神ルドラは破壊神シヴァの前身であり、またインドの聖典『リグ・ヴェーダ』においてはシヴァを別名としている。そのシヴァがアルジュナに与えた自らの身体の一片、投槍とも鏃とも語られるのが宝具『パーシュパタ』である。
  • Fate/GrandOrderの第五章のPVにおいて初めて映像化されたカルナを見られたが案の定槍の一振りで眼前に広がる崖を焼き払ったり、『日輪よ、死に随え』を使うなど派手な光景を見せていた。また、第五章のPVによってカルナの肩にある棘のある車輪状の鎧は空中浮遊しているものであるという事が判明した。

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