概要
アルジュナの中に潜む“黒”。アルジュナの主観によって「悪」と判定された行為を為す一種の別人格。
なおヴィシュヌの転生、第八化身であるクリシュナはアルジュナの人格とは別個に存在する英雄。
- 略歴
- 生前のいつからアルジュナの中にこのような存在が構築されたのかは不明だが、恐らくは幼少の頃には既に心に巣食っていたとされる。アルジュナはこの裏人格が存在する事実を受けいれることができず、カルナに矢を放った時のようなわずかな悪行は彼が囁いたことにしたり、アルジュナの傍らにいた従者クリシュナがやったこととして無意識に処理してきていた。
- 人物
- 誰かを憎み、嘲り、奸計を謀る邪悪。「邪悪」と称されるがそれ自体は誰の心にも在り得るもので、しかしアルジュナが決して受け入れることのできなかった部分。所謂「悪の象徴」であると同時に「味方」でもあり、主人格であるアルジュナとは全く異なる思考系統、優先順位、道徳倫理を保有しており、その内側から助言していた。
- 『Fate/Grand Order』にて、アルジュナの第四再臨で見られる、黒い笑みを浮かべ哄笑する姿がその現れであると考えられ、アルジュナが見られる事を病的に忌避する「私」そのものである。
登場作品と役柄
Fateシリーズ
- Fate/Grand Order
- アルジュナの幕間の物語「問い掛け続けることにこそ」にて、彼の深層心理の中で登場した。同クエストにおけるラスボスでもあり、エネミー名もそのまま「黒」となっている。
人間関係
Fate/Grand Order
- 主人公 (Grand Order)
- 様子のおかしかったアルジュナをただ心配して夢への呼び出しに応じ、結果的に邂逅。己の存在を知られることになる。そのためカルナだけでなく彼/彼女も殺害対象となっていたが、最終的には無事に生還した。
- “黒”にとっては己の正体を見た者に深淵まで踏み込まれたのは初めてらしく、傍らで様子を見ていたカルナからは「いつになく騒々しい、焦っている」と指摘されている。
生前
- アルジュナ
- 自分自身であり、“黒”からしてみれば主人格。
- “黒”はカルナ[注 1]によればアルジュナが幼い時からその心にあったとされ、アルジュナはその事実を受け入れられず苦しみ続けたが、一方で“黒”は彼にとってある種の防衛機構でもあったと言える。
- カルナ
- 宿敵にして、恐らくは唯一アルジュナの本質、“黒”の存在があることを見抜いていたと推測される。
名台詞
Fate/Grand Order
- 「アルジュナのご帰還か。否、あるいは遠征か? 闇を打ち払い、光を求めて此処に来たのか?」
「度し難いな、我が友よ!
“輝く王冠” とすら呼ばれた私が救われるのは、最奥の暗黒だけ。
──何て皮肉。何て無様。強くなり、絆を結べば結ぶほどに───。
私は、どうしようもなく。結んだ相手を殺さねばならなくなる。
となればほら、そこに殺すべき相手が二人いるな?」 - アルジュナの夢、その深淵にてついに邂逅した、アルジュナの抱える「闇そのもの」。
- それこそが「黒」、かつての親友「クリシュナ」の名を与えられた、もう一人のアルジュナ自身である。
- 「その通り、この男が醜いと恥じることを為す。それが、この私の役割だ。
故に、私はあなたを殺戮しよう。速やかに、静かに、穏やかに。」 - アルジュナが受け入れられなかった「影」の部分である“黒”。
- 自身の心に踏み込む者、即ち「顔」を見た者にもたらすべき死を、“黒”は厭わない。
- 「その通りだ、アルジュナ!
私の、この顔を見た者に例外はない。誰であれ、何であれ、殺さなくてはならない。
そうでなければ、私は英雄でいられない。私が英雄であるために、必要な殺人だ……!」 - 「悪心なんて誰にでもある」と言った主人公に対しての返答。
- その誰にでもある「悪心」すら己には本来存在してはいけない、それがあるのは英雄に相応しくない……彼が幼い頃より抱え続け、隠し続けていた悲痛な叫び。
- 例えそれが宿敵であっても、マスターであっても、「黒」を見た者は手に掛けなければならない。そうしなければ、己は恥辱で死に絶えるのだから。
- 「黙れ……黙れ、黙れ、黙れ!恥を知れ、カルナ!俺と同じように、貴様も邪悪そのもの。それ故に討ち滅ぼされたのだ……!!」
「くっ……!まだだ、手を貸せアルジュナ!我らは共に立ち上がり、邪悪と戦わねばならない!」 - カルナに対しては激しい憎悪をぶつける“黒”。同時に、己と同様にカルナを「邪悪」と定めることでアルジュナを守ろうとしているのかもしれない。
- 「言うな、アルジュナ!言えば、数千年の呪いが掛かる!」
「……おまえは自らの悪性を認めることになる。生前であっても、死後であっても英霊である以上、変わらない。
一生涯、後悔し続けることになるぞ。」
「そうか……ならば、その後悔はこちらで預かろう。」
「もしかすると、もしかすると。俺という存在が、蟻の一穴となるやもしれん。」 - 自らの悪性を認めようとするアルジュナを止めようとした“黒”だが、カルナの進言もあり、アルジュナはついに闇を受け入れる。“黒”もアルジュナの覚悟を受け止め、最後に意味深長な言葉を残して消えてゆくのだった。
メモ
- 主人格との相違など
- 出会い頭からいきなりあのニタリとした笑みを見せるほか、「玉座に座り、嘲弄の笑みを零す。戦士としての路を外れることを恐れもしない」と言及されている。これは最終再臨のセイントグラフにも当てはまる特徴であるため、突然の高笑いや何かを企むような笑みを零しているのも“黒”が発露しているからではないか、ともとれる。
- 一人称は「私」のほかに「俺」が存在する。アルジュナも「俺」と言うことがあるものの、こちらの方が使用回数は多い。また口調も丁寧ではあるものの、主人格と違って敬語は完全に外れている。
話題まとめ
脚注
注釈
- ↑ 一応はカルナの姿、言葉を借りているが、厳密に言えばこれもアルジュナの別人格であり、そこにカルナの姿が当てはめられている状態。そのためカルナ本人が実際にそう発言したわけではない。
出典