妖精騎士トリスタン

2023年1月29日 (日) 18:34時点における (トーク | 投稿記録)による版 (→‎リンク)
アーチャー
真名 バーヴァン・シー
外国語表記 Tam Lin Tristan
Baobhan-Sith
異名 赤いカカトのバーヴァン・シー
性別 女性
身長 170cm
体重 54kg
好きな物 ヒールの高い靴(第一、第二再臨時)
月光(第三再臨時)
苦手な物 ごちゃごちゃうるさい雑魚共、主人公(第一、第二再臨時)
太陽、他は思い出せない(第三再臨時)
出典 イギリス妖精史、ブリテン異聞帯
地域 妖精國、ダーリントン付近
属性 混沌・悪
一人称
二人称 貴方/お前(第一、第二再臨時)
あなた(第三再臨時)
三人称 名前呼び(第一、第二再臨時)
あいつら(第三再臨時)
声優 和氣あず未
デザイン 望月けい
レア度 ☆4
初登場作品 Fate/Grand Order
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概要

弓兵」のサーヴァント

略歴
Fate/Grand Order』Lostbelt No.6『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』に登場した妖精で、女王モルガンの「娘」であり「妖精國ブリテンの後継者」。モルガンによって「トリスタン」の着名を与えられており、妖精國ブリテンの住民には本名を認識することが出来なくなっていた。
前編ではキャメロットの女王会議にて、書記官達の態度が気に食わない事と話が退屈な事を理由に法務大臣を含めた幾人かを惨殺、自分が『予言の子』を何とかしてみせると喚くも先の件でモルガンから待機という名の謹慎処分を受けるが、本人は懲りずにグロスターのオークションに出掛け、そこで『予言の子』として売られていた千子村正に目をつける。だが、同時に競り落としで主人公達と本物の『予言の子』ことアルトリア・キャスターに遭遇しムリアンの策略で魔術比べをけしかけられて敗北、激昂するがモルガンを盾に出され言い汲められる形でその場を立ち去る。中盤からはベリル・ガットにくっつく形でシェフィールド侵攻に同行。妖精騎士ガウェインランスロットの隙をついてベリルに言われるがままボガードをなぶり殺しにし撤退。
後編でもそのまま彼と行動を共にしており、モルガンからの伝言係としてロンディニウム侵攻への準備を進めるウッドワスの下へ向かい、事を済ませるとベリルの「面白いものが見られるかも」という誘いに乗ってそのまま駐在。そしてウッドワスがパーシヴァルに敗走したタイミングを見計らって彼に教わった魔術を発動する。その後ムリアン主催の妖精舞踏会の裏におけるオークション会場で再び主人公とアルトリア達に対峙。ベリルをマスターとした戦闘[注 1]になるも再び敗北。同時に「バーヴァン・シー」という自身の真名を暴露されて焦燥のままに逃走。『予言の子』に情けをかけられプライドを傷付けられた事とモルガンお母様からの叱責を恐れた末に、切り札として欺瞞を剥がしとる礼装『失意の庭ロストウィル』を持ち出し、アルトリアと彼女を庇った主人公を閉じ込めることに成功[注 2]する。
実はウッドワスに使用した魔術には『使用者の魂を腐敗させる』副作用があり、それが原因で次第に手足が腐食してまともに起き上がれなくなっていってしまった。そのためベリルの手で用済みとされてキャメロットの自室に軟禁されていた所を、今度はモルガンへの切り札としてその身柄をスプリガンに連れ出され利用される事になり、オーロラの吹聴に踊らされた上級妖精達の手によって目の前でモルガンが惨殺されてしまった事で心が壊れ意気消沈、そのままバラバラに切り刻まれて大穴に投げ捨てられた。その際に漏れた、彼女の今際の妖精と世界に対する嘆きの言葉が核となり、妖精國中に振り撒かれていた呪いの実態である『大厄災』が目覚め、ブリテン異聞帯は終焉と滅亡の一途を辿ることになる。
人物
赤いゴシック調ドレスを着た赤髪の少女姿の妖精。
「退屈な事」を最も嫌う気まぐれで残虐な性格であり、外交的かつ能動的。自分の欲求を臆面もなく正直に口にし、それらを実現させる為にまわりをこき使う典型的なワガママで支配者気質。
汎人類史・妖精國どちらでにも共通する大凡の妖精達と同じく「いまその場が面白ければいい」と考える刹那的快楽主義であり、つまらなければすぐさま飽きるしすぐさま放棄し、ただひたすら妖精と人間問わず『弱いもの』を苦しめ、痛めつけ、悲鳴を上げさせる事を自身の至高の喜びとする。
…以上の人物像は女王モルガンによって「創られた性格」である。
異聞帯における本来の彼女は純粋かつ心優しく、当時の救世主トネリコに対しても常に感謝と気遣いを忘れない、誰にでも好かれる妖精だった。だが、その善良な性格故に他の妖精達からは玩具として使い潰され、人間達からは妖精に対する不満への捌け口として乱暴にされ、たとえ「次代」が誕生してもまた同じ道を辿ってボロボロにされてしまう末路を迎えており、トネリコがどれほど急いで彼女を見つけても後の祭りだった事がほとんどであった。そのため『女王モルガン』として再活動を始めた頃のバーヴァン・シーはすでに再生が不可能となるまでに魂が摩耗してしまっており、それを良しとしなかった彼女は妖精國で生きていけるよう真逆の悪性を強めた性格に教育し、さらに「トリスタン」の名と「自身の娘で後継者」という肩書きを『着名』させて庇護する。この結果として彼女は妖精も人間も嫌う悪逆な妖精となり、ブリテン中の妖精達から恐れられ忌み嫌われる存在となった。この点は皮肉にも第六特異点における『反転』のギフトを得たトリスタンとある意味似た経緯を辿ったと云えよう。
ただし、性格は反転したとはいえどバーヴァン・シーの『本質』そのものは変わっていないため、弱者を嘲り笑うことはあれど本心から憎悪することは出来ず、また他人を騙すことも全くできない。何かを壊すと罪悪感で泣いてしまう癖があったり、ダーリントンでのグレイマルキンの失態による事件やモルガンの惨殺についても、周りを責めるよりも自分が何も出来なかった事を悔やみ嘆くといった、結局の所は表上でモルガンの期待に合わせた自己流の振る舞い方をしているだけに過ぎず、その上モルガン自身の愛情表現の不器用さが相成って「お母様に言われた通りの性格悪役を演じないと見捨てられてしまう」という恐怖と思い込みから来る衝動をベリルにつけ込まれて無理に無理を重ねた結果、逆に今まで以上の苦痛と苦悩に苛まれる事になる。
カルデアにサーヴァントとして召喚されて以降も基本的にこの偽悪的な性格は変わらないが、上述の反動なのか第三再臨以降になると様子が急変。見るからにやつれたボロボロの見た目へと変化し、性格も気弱かつ消極的、そして常に身体の痛みや飢餓を訴えるようになり、戦闘時には今まで以上の凶暴性を見せるなど、今まで見せていた人格が完全に崩壊したような言動を見せるようになる。他にも時折発作的に生前のトラウマや恨みを口にする一方、思い出した事をすぐに忘れてしまったり、いきなり泣き叫んだりと、心身ともに非常に不安定で危険な状態であることが明らかとなっている。
能力
赤い棘のようなものを地面や空中から出現させて使用する他、オリジナルのトリスタンと同じくフェイルノートを小型化したような竪琴を使って真空刃を生みだして戦う。他にもモルガンから転移用に使う『合わせ鏡』の子機といった魔術礼装をいくつか持たされている事が窺える。
彼女の宝具『フェッチ』もまた、ベリルから教わった魔術を応用したものである。

ステータス

クラス マスター 筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具 クラス別能力 保有スキル 備考
アーチャー 主人公 (Grand Order) A C A B D E 対魔力:EX
騎乗:A
陣地作成:A
グレイマルキン:A
祝福された後継:EX
妖精吸血:A

宝具

痛幻の哭奏(フェッチ・フェイルノート)
ランク:E
種別:対人宝具
レンジ:無限
最大捕捉:1人
対象がどれほど遠く離れていようと関係なく、必ず呪い殺す魔の一撃(口づけ)。
髪の毛、爪等の相手の肉体の一部から「相手の分身」を作り上げ、この分身を殺すことで本人を呪い殺す。
要するに妖精版の藁人形による丑の刻参り。モーションでもファンシーな人形に対してファンシーな槌を振り下ろしている。
「フェッチ」というのはドッペルゲンガーの別名であり、相手の分身を作り出すことからと思われる。
また、妖精騎士の名前元になっているトリスタンの「痛哭の幻奏(フェイルノート)」とは対照的な名前になっている。
『Fate/Grand Order』では、自身に必中効果を付与した上で、敵単体に強力なQuick攻撃+呪いと呪厄を相手に付与する効果。

真名:バーヴァン・シー

スコットランド・ハイランド地方に伝わる女性の妖精で、緑色のドレスに鹿の蹄に似た踵がある足を持ち、人間の血を吸う吸血種といわれる。夜毎美しい美貌で人間の男性を誘惑しては血を吸い、日光と鉄に弱いとされている。
汎人類史のバーヴァン・シーは『悪害』そのもので、それは妖精國においても変わらないが、異聞帯における彼女の『本質』は、本来ならば真逆の『善良』であった。
この本質故に彼女は周囲の悪害に成すすべなく甚振られる運命にあったのだが、それをよしとしなかったモルガンによる歪な愛の果てにその表面を変質させ、冷酷な女王の娘たる妖精姫になった。
それが逆にサーヴァントとなった後のバーヴァン・シーを心壊させてしまう事になるとは知らないまま…。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/Grand Order
Lostbelt No.6『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻』配信後に実装。
ストーリーガチャ限定サーヴァントであり『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』クリア後ガチャに追加される。

Fate関連作品

Fate/Grand Order フロム ロストベルト
18話のメインとして登場。

人間関係

Fate/Grand Order

ガラテア
カルデアでは靴作りで意気投合して一緒になっているとか。
エリザベート=バートリー
いわゆる「似た者同士」。ただし彼女からしたら「たくさんがいるのに狂わないのか、むしろもう狂ってるのか」との事。
カーミラ
アイアンメイデンをドレスにしている発想に対抗意識を抱いており、自分もアダルト路線を画策中。
グレイ
『メイキング・クリスマス・パーティー!』にて、エピローグのパーティーで構っていた。
グレイは戸惑っていたが、隣にいたエルメロイⅡ世が止めに入っていないことからすると特に問題はなさそうである。
理由は不明だが、「銀髪のセイバー顔」ということでモルガンを連想したのか、趣味が靴磨きということで意気投合したのではと推測されている。
後の期間限定イベント『カルデア妖精騎士杯 ~二代目の凱旋~』でも同じチームを組んでおり、そこで「いい顔なのに化粧っ気が全然ないのが気に入らない」というのが縁だったことが判明した。
ジェームズ・モリアーティ
Fate/Grand Order 藤丸立香はわからない』にて、悪についていろいろと教えてもらおうとしていた。
その実態は講義形式の上に引っ掛け問題の連続だったため、キレて腰に宝具をぶち込んで[注 3]医務室送りにした結果悪属性の中で一目置かれるようになったとか。
ブリトマート
期間限定イベント『カルデア妖精騎士杯 ~二代目の凱旋~』にて、モルガンに妖精騎士として仕えたがっていた彼女に助け舟(実際には諦めさせるため)を出し、カルデア妖精騎士杯に挑戦させた。
決勝では互いが所属するチーム同士が激闘を繰り広げたが、残念ながら敗北してしまった。

生前

モルガン
ブリテン異聞帯の女王であり「お母様」。誰よりも善良で誰よりも優しいが故に、誰にも顧みられず使い潰され続けていた彼女を助けた恩人。だか、そこにつけこまれ、最終的にモルガンの死因にもなってしまった。
お互いに共依存に似た愛情を抱いているが、モルガンが不器用で言葉足らず故に「叱られている」と彼女は感じており[注 4]、『認められたい』と云う承認欲求から無理強いをした結果、無自覚ながらも精神的に追い詰められかかっていた。
もちろん大好きなお母様がカルデアにやってこようものなら大喜び。一方で、主人公を前にしたモルガンは彼女いわく「猫かぶっているどころかライオンかぶってる」状態らしい。
妖精騎士ガウェイン
ブリテン異聞帯での妖精騎士の同僚。
彼女の本能と葛藤を知っていたのか、恋愛の在り方については可哀想すぎて楽しいから好きとのこと。一方で彼女の実力には信を置いている様子。
妖精騎士ランスロット
ブリテン異聞帯での妖精騎士の同僚。
彼女自身にはあまり関心はないが、元々の主との関係について思うところがあったようで、カルデアでは「あのクズ女もこっちに来ないかな」などと恐ろしいことを言っている。
ベリル・ガット
ブリテン異聞帯のクリプター。
汎人類史の話を彼から聞かされて以降「レッド・ベリル」と呼んで懐いている。
ベリルの方も「レディ・スピネル」と呼び満更でもなかった様だが、結局のところは『使用者の魂を腐らせる』黒魔術のスケープゴートにするために利用した悪辣に過ぎなかった。
ウッドワス
モルガンの配下である「牙の氏族」の長。
かつての戦績を知らなかった事と、一転して自分を過信してる故に腑抜けともとれる言動のせいか「ロートル」と呼び嘲笑っていた。
皮肉にもモルガンを心から慕っていたが故に第三者に付け込まれて破滅の引き金トリガーになってしまった共通点がある。
アルトリア・キャスター
『予言の子』。本来なら「お母様モルガン」の敵であるはずだが、初対面時は「田舎者」と嘲笑ってこそいたものの、他の妖精達のように嫌悪感が湧かず不思議がっている。
モルガンと同じ『楽園の妖精』であったため、無意識の内に似た気配を感じ取っていたのかもしれない。
マシュ・キリエライト
シェフィールドで敵対した少女騎士。
マシュ側からみれば恩人のボガードを嬲り殺しにした上に主人公までも貶めた張本人なので良い印象は持たれていない。
ただし、両者共に第三者に使い潰され続けた存在であるため、今後の展開によって仲良くなれる可能性は大いに有りうる。
グレイマルキン
バーヴァン・シーのスキル名の一つで、彼女が仕えていた旧ダーリントンの領主。
「動く屍を見てみたい」という愚直な好奇心からバーヴァン・シーに人間の血を吸わせて屍人にし、それを地下でネズミ式に増やして人造兵士や奴隷として使えるようにしようと目論んでいたようだが、拡散能力が高すぎたため領内中に溢れ出し当時の領民共々滅びてしまった。

名台詞

Fate/Grand Order

戦闘

マイルーム会話

「サーヴァント、アーチャー。妖精騎士トリスタン、召喚に応じ参上したわ。騎士の名に恥じない活躍を約束します。
……なーんて、キャハハハハハ!なにアナタ、まだ私のコト知らないんだ!滑稽すぎて気に入っちまうぜ!
ええ、それならそれで、仲良くしましょ?私、正義のミカタ、なんだものね?」
召喚時。お淑やかな言葉の後に見せる嗜虐的な言動。まだ何も知らず、助けを求め召喚した主人公を嘲笑う悪逆の妖精。
「赤いカカトのバーヴァン・シー。挨拶とか、それだけで十分だろ。
どこに行こうと何をしようと、私は私。ここでも好きなように振る舞って、みーんなメチャクチャにしてやるよ」
召喚時(Lostbelt No.6クリア後)。1つの国の終焉を見た主人公の前に現れた妖精。その振る舞いは同じ様に『結末』を知るが故か、はたまた……。
「嫌いなもの? ごちゃごちゃうるせえ雑魚共だろ。あとお前な」
マイルーム会話「嫌いなこと」について。続けざまに主人公への嫌悪も口にするが、それでも色々と付き合ってくれる分面倒見は良いのかもしれない。
「ヒールのある靴が好き。私のコレクション、見る?」
マイルーム会話「好きなこと」について。赤いカカトの妖精は靴を愛する。
かつてベリル・ガットから教えて貰った汎人類史のおしゃれ文化は未だ気に入っている様で、カルデアに来てからも靴集めと靴作りに勤しんでいる。
「はい、これプレゼント。貴方の靴、作業用のものばかりだから。一足ぐらいはこういうのが無いとね。
……はあ? 何その顔。誕生日なんだから贈り物は当然じゃない。常識よ常識」
マイルーム会話「誕生日」。マスターの事が嫌いだと言いつつも良い靴を用意してくれる彼女からは、根底の優しさや善良さが伺える。
なにより妖精である彼女が人に物をプレゼントするという行為を「常識」と称する点からも、本来の性格である真面目さがにじみ出ている。
「聖杯をヒールにするって良くない?こんなに背徳的な発想、私以外誰が出来───んん?
鍋、ベル、丼ぶり……あちらのお客様から、だと……!?……聖杯ヒールはなし。同レベルと思われたくない」
マイルーム会話「聖杯について」。第三魔法の産物、万能の願望器。悪逆の妖精はそれをぞんざいに、俗悪に扱う野望を口にする。
……しかし悲しきかな、カルデアではそんな事もはや日常茶飯事。ある剣豪はそれでうどんを茹で、それをご飯を食べる丼ぶりにした。
ある王子はそれをクリスマスベルにし、ある魔術師はグラスの様に滑らせてきた。ある悪女はアイスの容器に、あるうつけ者は爆弾に……。お前ら大概にしろ。
自身のイカれたアイデアを上回るイカれっぷりの実例にドン引いた彼女はその野望を無かった事にした。
「今更だけど、あなたってホラー耐性高かったのね。付き合い、ここまで続いたのは初めてかも。
……?ていうか、怖いのが好きなんだ。相性バッチリじゃんか、私たち。
いいぜえ?これから嫌っていうほどたくさん作ってやるよ。あなたの……ト・ラ・ウ・マ♪」
マイルーム会話「絆レベル5」。悪辣な妖精の脅かしや嫌がらせにも屈せず、嘲笑に対しても笑い返せるマスターに対して。
これからも楽しくからかってやる一緒に仲良くしてやるという宣言を、いたずらっぽく口にしてくれる。
……しかし、マスターは恐らく『より先へ進んだ』状態の彼女より、別の意味のトラウマを植え付けられる事になるだろう。
「……あれ? 私、今まで何を……。……幸せな夢を、見ていた気がする……。ああ……喉が痛い……痛いの。
まるで首から下が、無くなってしまったみたい……。私、どうなって、るの」
霊基再臨3回目。その変貌は未だ語られぬ彼女の末路。
ボロボロのドレス、口に嵌められた猿轡、虚ろな瞳、涙のような隈、憔悴しきった弱々しい声。そして壊れた心と崩れた記憶。
彼女の見ていた幸せな夢はこれで終わり。ここからは覚めることのない悪夢のような現実。
「あぁ……あああぁ……あああああ!思い出した、思い出した……あんたのせいで、あんたのおかげで、全部全部思い出せた!
殺してやる、殺してやる、殺してやる!くだらない妖精も、弱っちい人間も、みんなみんな殺してやる!
見ていてお母様……私、今度こそ女王になってみせる!」
霊基再臨4回目。記憶の欠片を繋ぎ合わせ、彼女は末期の絶望と憎悪を思い出す。
壊れた妖精はこの世の全てへの怒り、自身を利用した者愛する母を踏みにじった者達への憎しみ、そして狂ってもなお消えない母への想いを叫ぶ。
「マスター……? マス、ター……? ああ、私のマスターのこと……? ……やった。私、誰かのサーヴァントになれたんだ……!」
マイルーム会話3(霊基再臨3回目以降)。使い潰されてきた過去を持つ彼女は、誰かから本当に必要とされることを心の奥底で求めていたのだろうか。
過去の彼女が「最高のオモチャ」と口でバカにしていたマスターに対して、今の彼女は悲しげな笑顔と共にささやかな願いが叶った事を喜ぶ。
「生まれて来た日……大変、贈り物を用意しないと。一日が終わるまでに……うまく、出来るかしら……」
マイルーム会話「誕生日」(霊基再臨3回目以降)。こんな状態に成り果てても、誕生日に誰かへ物を贈ろうとする。
根底の善良さは狂ってもなお変わっていないようだ。
「聖杯……! 知ってるわ……知ってるの……! 何でも願いが叶うんですって……! あぁ……! それで村が豊かになれば、みんなも私に優しくしてくれるかしら……!」
マイルーム会話「聖杯について」(霊基再臨3回目以降)。万能の願望器へ向ける願いは自分の為ではなく誰かの為の願い。
自身を虐げた村を未だ救おうと願う言葉は、誰よりも純粋で心優しかった妖精の名残。
「あっはははは! 見つけた見つけた!ありがとう、ありがとう見知らぬ人!あなたのおかげでアイツらを見つけたわ!
潰れろ……潰れろ、潰れろ!!蜜に集るアリども……みんな私のヒールで潰されろ!!ウッフフ、フフ……アッハハハハ!」
マイルーム会話「絆レベル5」(霊基再臨3回目以降)。共に絆を深めた筈のマスターを「見知らぬ人」と呼び、もう何者であるかすらも認識出来なくなるほど自身の認知に狂いが生じている模様。
ソレは見つけ出した「アイツら」への憎悪を剥き出しにし、踏み殺し嬲り殺そうと猛り狂う。「アイツら」とは何か、自分や母を虐げた妖精たちか、自分を利用した人間か、最早誰にもわからない。

本編

「次はちゃんとしてみせるから。次はもっと殺してみせるから。私は自由ワガママで、優雅ざんこくで、冷酷かわいい、ブリテンの人気者。
みんなに愛されたバーヴァン・シー。その通りに振る舞うから。女王の後継者らしく振る舞うから。」
『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』後編にて。グロスターで予言の子異邦の魔術師に敗北し自室で一人泣きながらのモノローグ。
かつてモルガンに酷く叱られた時の事を思い出し、愛するお母様の期待に応える為に、お母様が望む理想の後継者になる為に、必死に乞われるまま『悪辣』たろうと努力する。
実際は思い出そのものが「間違い」で、彼女自身が忘れてしまった過去のトラウマと、モルガンの不器用さが重なった上に生じた「過ち」が原因だと全く気がつかないまま……

イベント

バーヴァン・シー「はぁ!?何言ってんのお母様!?
私のヒールを!?コイツに履かせんの!?」
モルガン「───難しいのですか?」
バーヴァン・シー「難しくは、無いけど……ま、仕方ないか。お母──モルガン陛下のご命令だもんね!」
モルガンのバレンタインイベントにて、彼女から靴の踵を壊してしまった妖精騎士ガウェインのために新しいものを作って欲しいと頼まれての会話。
「いくらお母様モルガンでも変な事頼まないでよ!」と我儘を言うが、娘が最近お友達と靴作りに励んでいるのを見込んでの頼み事としょんぼり顔に絆されてしまうバーヴァン・シーの、ちょっとほっこりする母娘のやり取り。
「夫/妻!?聞き間違い、だよな……?
でもお母様が幸せなら、私も祝福しな……いやしねぇよ。その前に素行調査だろ?百点中千点じゃなきゃゴミ箱行き
誰だろうとメチャクチャにしてやろうじゃない!あの暇人マスターにも手伝わせてやる!」
同上。チョコ作りよりもお母様モルガンの(自称)伴侶が何処の馬の骨か探さねばと俄然張り切る彼女だが、まさかその相手があなたの言う所の『暇人マスター』だとは夢にも思うまい……
「あとは資料を纏めて、リスト化して、
 パワポも作って、と。」
バレンタインイベントにて、バーヴァン・シーにチョコを貰う時の一幕。
すごいのを作ろうと張り切るお母様の手伝いとして他のサーヴァントが作っているチョコの情報のリサーチをし、その調査結果を纏めているのだが…最新の機械は妖精にとって毒であるはずなのだが、サーヴァントになったら平気になったのか、色々とPCを使いこなしている。リスト化などと言っているあたり、恐らくパワポだけでなくエクセルやワードも履修済みだと思われる。

その他

「こんなところ、もう、いたくない…」
『フロムロストベルト』にて、穴の底に投げ落とされる直前の最期の言葉。
何度も生まれ、無垢なまま利用され、モルガンの助けも間に合わずに死に、悪逆に生きることも本質的にはできなかった悲しみと絶望がこれでもかと詰まっている。
そして他の全てを擲ってまで固執した「國」を、誰よりも助けたかった「娘」にこう評されたモルガンが聞いていたら何を思ったのであろうか。バーヴァン・シーよりも先に惨死したことはある意味救いであったのかもしれない。

メモ

  • 第二再臨までのナチュラルに残虐な言動や全体的に赤っぽいカラーリングや吸血関連の要素から、エリザベート=バートリーを連想するプレイヤーも多かったとか。トリちゃん
    • トリスタン本人もエリザベート及びその成長後の姿であるカーミラについてコメントしており、意識しているフシがある。共演する日は意外と近いのかもしれない。
    • ファンの間での愛称は「トリ子」。「バゲ子」に倣った形だが、同様の愛称である「メリュ子」と違い自分自身の真名由来ではない。
    • 実装年である2021年のハロウィンイベントでは登場こそ叶わなかったが、モルガンと一緒に、まさかのケルヌンノス…のぬいぐるみを抱え概念礼装での登場を果たした。
  • 第三再臨では「誰かのサーヴァントになれた」ことを喜んでいるのだが、本来サーヴァントは大体のケースにおいて「聖杯で願いを叶える為に召喚に応じている」、ないし単に戦好きだったり騎士の忠を尽くすなどで直接的に聖杯を得る必要はないというだけで、いずれにしても「誰かのサーヴァントになること」自体を欲している英霊は極めて稀なのではないかと推察される。彼女の生い立ちを考えれば単に「誰かに必要とされたかった」という願望があった可能性も勿論考えられるのだが…
    • 妖精騎士や一部の上級妖精等に関しては比較的人類に近い性格及び行動原理が描写されていたが、それでも妖精と人間では決定的な部分に違いがある、ということを示唆しているのかもしれない。
    • その一方で、人間離れした思考の多い下級妖精の生まれでありながら誕生日には誰かへ贈り物をするという事を「常識」と称する姿はかなり人間臭い。悪辣な性格である第1〜2段階の状態でも同じ事を言う為、妖精騎士の例に漏れず彼女もまた異聞帯ブリテンの妖精としては異端児なのがわかる。
  • いわゆる「メスガキ」風のキャラクターだが、第三再臨の余りにも悲惨な姿に、「誰がここまでやれと言った」「分からせってこういう事じゃない」という悲鳴が続出。お陰で霊基再臨を拒否したり、しても即第一、第二再臨の姿に戻すプレイヤーが大量に現れた。まあ、その姿に嗜虐心をそそられ愉悦するプレイヤーも多かったそうだが。
    • なお、一般的な創作で見られる「メスガキ」像と比較するとこちらの方が格段に口は悪く、しかも身長が170cmもある[注 5]など割と大人びているため、彼女を設定どおりに描くと果たしてメスガキと呼んでいいのかどうかは微妙。
  • ベリルとコンビを組んでいた際に「レディ・スピネル」の名で彼に(表向きは)可愛がられていたが、宝石のスピネル(尖晶石)は含有する物質に応じて様々な色合いに変化する特性を持つ。
    その特性から透明なものはダイヤモンド、赤いものはルビーやレッドベリルの代用品として用いられやすく、それらより価値が低いことが多い。それ故に、「ルビーのまがい物」「代用品の宝石」という印象を持つ人も少なくはないとか。
    一方でベリル(緑柱石)も同じ様に含有する物質に応じて色合いを変化させるが、鉄を含めばアクアマリン、クロムを含めばエメラルド、マンガンを含めば……上記のスピネルで代用されやすいレッドベリルとなる。
    そういう意味を踏まえると、彼女に向けたレディ・スピネルの渾名は愛称というより、遠回しな皮肉か蔑称とも取れてしまう。
    • さらに余談だが、レッドベリルと同じくマンガンを含んで淡い赤色となったベリルの事をモルガナイトと呼ぶ。これはモルガン」という人物が発見したのでその人名を由来としているそうだ。
    • スピネルの名誉のために書くと、鮮やかな赤いスピネルはかなり希少性が高く、その価値は本物のルビーやレッドベリルに匹敵する価値を持つことも。
      事実、大英国王冠に据えられた「黒太子のルビー」も実は赤いスピネルだったりする。
  • 第二再臨にて「緑色のスカートなんて上品すぎて履いてらんねえよ」と口にするが、これは元ネタのバーヴァン・シーは緑色の服を着ているとされるため。
    普段の彼女の赤いドレスと髪をネガポジ変換すると、伝承通りの緑色に変化する。
  • 先述の通り、「反転」のギフトを与えられたトリスタンとの共通点を持っているが、宝具は「遠隔呪殺による、敵単体への超強力なQuick属性攻撃」という、奇しくもそのトリスタンを倒した呪腕のハサンのそれとも似通った性質を持つ。

話題まとめ

バーヴァン・シーとケルヌンノス、第三再臨について
  • 第三再臨の悲惨すぎる状態に関しては現状一切説明がない。第三再臨への変更で外見以外に大きな変化を起こすことがクエスト上でも明示される妖精騎士ランスロットの正体、本編で姿は見せていない第三再臨で示される妖精騎士ガウェインの宿業はどちらも本編での顛末で明示されていたわけだが、彼女に関しては第三再臨に通ずる要素は終盤、最後の対決でのボイスのみとされている。
    • 同僚二人は第三再臨にて自身の本質とも言える姿に回帰するのに対し、彼女の場合は発言を信じるなら二臨で本質と言える姿へ変わっている点も異なる。
    • ただし、本編での描写や末路・設定などを見る限り、こうなっても仕方がないような絶望や苦難を受け続けた事だけは察する事が出来る。そして恐らく、本編以上のロクでもない真実と現実が判明しそうなので、既にプレイヤーは戦々恐々としている。
    • 現状、これに関するユーザーの推論上で最も有力な説は『バーヴァン・シーが大厄災ケルヌンノスの核に取り込まれた際、殺害された祭神の巫女の魂、あるいは性質と同化してしまったため』というもの。彼女の身体中にある縫い目のような刺青も、「首から下が無くなってしまった」という台詞も、巫女が妖精達の手でバラバラに切り刻まれた時の姿と記憶と考えれば最も違和感がないが、彼女と祭神の巫女について何らかの関係を示唆する公式な明言は存在しない。
      • 厄災戦のBGMには関連する妖精騎士のテーマ曲の原曲という共通項があり[出 1]、そして妖精騎士トリスタンのテーマ曲はケルヌンノス戦BGMのアレンジとなっている。さらにケルヌンノスがゲーム中でのバトルにおいて使用することがあるスキルに「グレイマルキン」「妖精吸血」が含まれるなど、バーヴァン・シーとケルヌンノスを結びつける要素が多数ちりばめられているあたり彼らのつながりは制作上意図されたものであることは間違いないのだが、どういった経緯でそのつながりを第三再臨の形で持ち越すようになったのかについては不明のままである。

脚注

注釈

  1. この戦闘のベリルは強化魔術しか使用しておらず、令呪はおろか「大令呪」も発動される気配がないまま終わる。
  2. ただしアルトリアは礼装の性質を見抜くとすぐさま魔術によるプロテクターをかけて回避し、一度は呑み込まれて自己喪失しかけた主人公も、恩師であり先導者の言葉を思い出し自力で脱出した。
  3. 日本でいう所の「ぎっくり腰」は、ドイツやイタリアでは「魔女の一撃」と呼ばれており、一種のブラックジョークも兼ねている。
  4. Fate/Grand Order フロム ロストベルト』では、大好きな踊りや歌を止めるよう忠告を受ける場面があるが、これにもバーヴァン・シーが好奇心旺盛な妖精に目を付けられない様に滅多な事をするなという意図があった。
  5. この身長がヒール込みなのかは不明だが、かなり高いヒールの靴を履いている上で170cm設定の他キャラと見た目上の高さが近い。もしもヒール抜きで170cmと言う設定の場合、ヒール込みとなる見た目上の身長は180cm近くになるはずである。

出典

  1. 竹箒日記 現状文面削除済み

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