ビースト
- 真名:666の獣
『Fate/Prototype』に登場する「獣」のサーヴァント。東京地下・大聖杯の中で蠢く、不気味な影。
- 略歴
- その真名は黙示録において、『徒波の彼方より来る冒涜者、七つの首に人間の罪業・欲望の象徴である十の王冠を被った罪深き者、主の敵対者である赤き竜から言祝ぎを受けし者』と伝えられる、強欲をもって災いを世に招く『獣』。
- 『Prototype』の世界の聖杯戦争は、最初から魔術師達が根源を目指すために始めた物ではなく、元々は聖堂教会の枢機卿の一人が秘密裏に模倣聖杯を持ち出して極東の地で奇跡の再現を企んで始めた物だった。
- 善き魂である英霊を召喚するための「小聖杯(シンボル)」と、人間の想念という形而上の力を溜める「地下大聖杯(セイントグラフ)」、召喚された七人の「サーヴァントの魂」を呼び水として使うことでさらなる高位存在を呼び出す事こそが当初の目的であり、集まった魔術師達はこの聖杯を根源に通じる願望器と売り込まれていた。
- 聖杯戦争を始めた枢機卿はこの聖杯が起動した暁には、東京は聖都として生まれ変わる、と確信していた。だがこの聖杯が作られた真の目的は、「溜めこんだ人間の欲望や悪意を用いて『黙示録の獣』を呼び出し、世に災いを齎すことで、逆説を以て失われた主の愛を証明する」ことで、その誕生から狂っていた。東京地下にある大聖杯の中は黒い泥上の液体で満ち溢れており、その中から受肉しようと蠢いている肉塊がビーストである。
- 『蒼銀のフラグメンツ』では愛歌がセイバーの願いである『ブリテンの救済』を叶えるためにビーストを目覚めさせようとしていたが、それは「ブリテンが滅ぶ過去」を覆すために「現在に至るまでの人類史」を破壊することを意味している。愛歌はそれを承知で、むしろ愛する人のために人の積み重ねてきた人類史を壊して、ブリテンを復活させることを目論んだ。
- セイバー以外のサーヴァント6騎の魂と、セイバーの代用品として凄まじい数の少女の生贄によって、不完全ながらも受肉を果たし、愛歌の手で最後の生贄である綾香を食らおうとしたが、綾香と出会ったことで世界と綾香を守る決意を固めたセイバーに離反されて愛歌は殺害され、その影響で暴走してしまう。無理矢理現界してセイバーを追い込むも、拘束を半分開放した『約束された勝利の剣』で焼き払われた。
- しかし完全には滅んでおらず、『Prototype』終盤、セイバーのかつての願いを叶えようとする愛歌の手で受肉し、彼女をマスターと認め、八年前の聖杯戦争に参加した6騎の黒化英雄達と共に地上に現界する。
- 『Fate/Grand Order』では『蒼銀のフラグメンツ』の一度目、『Prototype』の二度目の戦いで完全にセイバーによって葬られたはずだったが、このビーストとのあり得ないはずの異常事態の三度目の戦いになってしまうということがマーリンからセイバーに伝えられる。マーリンの推測ではどこかで『原種』なるモノが目覚めたためらしい。
- 人物
- 「英霊」どころか、「人間」ですらない。そもそも、人間の欲望や悪性を凝縮して生まれた存在であるため、生き物ですらない。
- 「獣」であるため人間の言葉を発さず、知性を示す事は滅多にないが、世界に生まれ落ちたいという欲望と、思考能力は確かに有しており、マスターである愛歌の命令には忠実。
- また根源接続者である愛歌は「彼」の意志を読み取り、意志疎通を行うことが出来る。
- 能力
- 現界した場合、世界が確実に滅びる程の災厄を撒き散らす事とされている。
- 実際、竜種すら問題にならないほどの遥かに凌ぐ暗黒の魔力を有しており、無理矢理現界した不完全な状態でもその絶大な力でセイバーを追い詰めている。
- 他にも世界の壁を越えて対象に干渉することができ、『Labyrinth』の世界に移動した愛歌を強引に元の『Prototype』の世界へ引き戻している。
- 受肉前の伊勢三少年の肉体に埋め込まれた状態でさえ、触れたものは即座に発狂し、破壊衝動と憎悪のままに暴れる存在と成り果てるほど。
- 取り押さえようとした者も即座に発狂するという感染性もあり、その触れ込みに相応しい災厄を秘めている。
登場作品と役柄
- Fate/Prototype
- 愛歌のサーヴァントとして、終盤に登場。
- Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
- 愛歌に召喚されるが、セイバーに倒される。
- Fate/Labyrinth
- 直接の登場はしないが、物語後半にて愛歌が別世界に行っていることに気づき、無理矢理引っ張り戻した。
人間関係
メモ
- 役回りとポジションは『Fate/stay night』に登場する「この世全ての悪」へと受け継がれている。
- TYPE-MOON作品で、「獣の数字」というキーワードは他のキャラクターにも影響を与えており、ネロ・カオスは能力と異名に、赤セイバーは生前に自身に付けられたイメージから関係する。
- 「英雄どころか人間ですらない」という変わった出自なので、サーヴァントの中でも同類は非常に少なく、似たようなケースは「病」や「怨霊の集合体」や「物語の化身」や術式が受肉した存在位なもの。
- コンプティーク連載版では第四の獣と表記されたが後に、単行本化において第六の獣に修正された。恐らく『Fate/Grand Order』では既に第四の獣であるビーストⅣが登場していることからか。
- 第六の獣にあたるビーストⅥは『Fate/Grand Order』で登場するビーストⅡが持つ『ネガ・ジェネシス』と同類のスキル、ネガメサイヤを有しているが、それがどのような効果を有しているかは不明。
- このビーストにはビーストの要件である人類愛が転じて人類悪になるという要素が現在伺える情報では確認できていない。また、『原種』なる存在がいるというマーリンの言葉からすると正規のビーストではなく派生存在という可能性も出てきた。正規のビーストであるなら一度でも世界に顕現すればさらに他のビースト達が連鎖的に顕現するという災厄に襲われる宿命の世界となってしまうというルールには該当しない模様。セイバーが綾香と別れてアヴァロンへと至っていることからそのことも伺える。
- セイバーは『Grand Order』では三度目の戦いになると言われており、『L』と『R』なる存在を追跡している。また、このビーストの真名である666の獣、ひいては黙示録の獣という存在は伝承においては複数の要素で構成される存在であり、『七つの頭と十の角を持つ赤い竜』と『七つの頭と十の角を持つ獣』と『二本の角を持ち言葉を話す獣』の三体一セットで構成されている。このことからこのビーストは複数の個体が一セットで構成されている存在ではないかという推測もある。
- 後に、ビーストⅢ/Rの登場を皮切りに『L』と『R』は対の概念を示すことが判明した。