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: 『Fate/Grand Order』のキャラクエストでは現世に復活してしまい、再度封印するためにかつての友と戦うことになる。
 
: 『Fate/Grand Order』のキャラクエストでは現世に復活してしまい、再度封印するためにかつての友と戦うことになる。
 
==真名:ジークフリート==
 
==真名:ジークフリート==
ジークフリート。「ニーベルンゲンの歌」に謳われる万夫不当の英雄。
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:ジークフリート。<br>「ニーベルンゲンの歌」に謳われる万夫不当の英雄。
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ネーデルランドの王子であり、幾多もの冒険を重ねてニーベルンゲン族の財宝や聖剣バルムンク、姿を消す外套を手に入れた彼は、ついに邪竜ファヴニールを打ち倒し、彼は「竜殺し(ドラゴンスレイヤー)」の称号を冠するまでに至った。
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:ネーデルランドの王子であり、幾多もの冒険を重ねてニーベルンゲン族の財宝や聖剣バルムンク、姿を消す外套を手に入れた彼は、ついに邪竜ファヴニールを打ち倒し、彼は「竜殺し(ドラゴンスレイヤー)」の称号を冠するまでに至った。
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かつて「求められればそれに応じる」という、善も悪も問わず叶える『願望機』のような生き方を過ごしていた。<br>
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:かつて「求められればそれに応じる」という、善も悪も問わず叶える『願望機』のような生き方を過ごしていた。<br>彼に取って善と悪など立ち位置の問題でしかなかった。悪人であろうと求められたなら手を貸し、求められなければ善人であろうと見捨てた。全ての人を救えないなら、せめて求められたならば応じる、それだけを決めていたという。
彼に取って善と悪など立ち位置の問題でしかなかった。悪人であろうと求められたなら手を貸し、求められなければ善人であろうと見捨てた。全ての人を救えないなら、せめて求められたならば応じる、それだけを決めていたという。
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打ち倒したファヴニールの血を浴び、雫を飲んだジークフリートは不死身の存在となり、あらゆる攻撃が自分には通用しなくなったが、それはただ無造作に敵を屠るだけ、と『闘争』は何時の間にか『作業』となり、戦いに高揚を感じる感覚も失われていった。<br>だがある時、彼は「自らが何を望んでいるのかまるで分らない、希望も夢もなく、未来を思い描くことも出来ない」と自分が知らず知らずの内に行っていた欺瞞に気づいてしまう。
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:打ち倒したファヴニールの血を浴び、雫を飲んだジークフリートは不死身の存在となり、あらゆる攻撃が自分には通用しなくなったが、それはただ無造作に敵を屠るだけ、と『闘争』は何時の間にか『作業』となり、戦いに高揚を感じる感覚も失われていった。<br>だがある時、彼は「自らが何を望んでいるのかまるで分らない、希望も夢もなく、未来を思い描くことも出来ない」と自分が知らず知らずの内に行っていた欺瞞に気づいてしまう。
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人を、世界を愛しているのに、その空虚さを埋めることは出来なかった。そして彼の華々しき栄光は、彼がブルグントの姫クリームヒルトと添い遂げたあたりから影が差す。
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:人を、世界を愛しているのに、その空虚さを埋めることは出来なかった。そして彼の華々しき栄光は、彼がブルグントの姫クリームヒルトと添い遂げたあたりから影が差す。
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義兄の望みを叶えた結果、義兄の妻とクリームヒルトが対立状態に陥り、戦いを防ぐためにはジークフリート自身が死ぬしかない、という状況にまで追い込まれた。自分の命で事を収めるため友であったハーゲンに自分を殺すよう願いを告げる。<br>友は彼の願いを叶えたが、それは彼の意に反した惨劇を引き起こし、「争いを止めたい」という彼自身の望みは叶えられなかった。
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:義兄の望みを叶えた結果、義兄の妻とクリームヒルトが対立状態に陥り、戦いを防ぐためにはジークフリート自身が死ぬしかない、という状況にまで追い込まれた。自分の命で事を収めるため友であったハーゲンに自分を殺すよう願いを告げる。<br>友は彼の願いを叶えたが、それは彼の意に反した惨劇を引き起こし、「争いを止めたい」という彼自身の望みは叶えられなかった。
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だが彼は英雄として生き、死んだことに何ら後悔は無く、死の間際、ようやくやりたいことが明瞭に浮かび上がった。<br>誰に認められなくてもいい、誰に賞賛されなくても構わない、ただ自分が信じるものの側に立って生きていきたい。<br>誰かのためでもなく、己のためでもなく、自らの信じるものの為に戦う者。
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:だが彼は英雄として生き、死んだことに何ら後悔は無く、死の間際、ようやくやりたいことが明瞭に浮かび上がった。<br>誰に認められなくてもいい、誰に賞賛されなくても構わない、ただ自分が信じるものの側に立って生きていきたい。<br>誰かのためでもなく、己のためでもなく、自らの信じるものの為に戦う者。
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―――そう、彼の願いは'''『正義の味方』になること'''だった。
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:―――そう、彼の願いは'''『正義の味方』になること'''だった。
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===関連===
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;バルムンク
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:彼の愛剣「バルムンク」は作中で『聖剣』と呼ばれているが、その来歴は血塗られている。<br>バルムンクは元々ニーベルンゲン族のシルブンクとニベルンクが、彼に財宝の分配を依頼した際に贈る品だった。だが分配に不平を漏らすものがおり、彼はその依頼を果たすことは出来なかった。怒った二人の王とニーベルンゲン族の勇者たちに襲われたために反撃(ジークフリートが怒って勇者達を斬り殺したと言われることもあるが、古くからある写本にはそのように書かれていないため、近代の創作である)、結果としてバルムンクを初めとする彼らの宝を手に入れることになった。<br>要するに'''持ち主を殺して奪い取った宝具'''である。<br>尤も、これはニーベルンゲンの財宝の呪いのようなものでもあり、この後に財宝を狙うハーゲンによって彼は暗殺され、バルムンクも奪われる。そして「彼がくれた贈り物」として財宝を奪い返そうとするクリームヒルトによって財宝と復讐の争いがおき、最後にはクリームヒルトが動けないハーゲンを奪い返したバルムンクで斬首。そして彼女もハーゲンの旧友ヒルデブラントに切り殺された。<br>強い呪いを孕むこの剣を『聖剣』と呼んでいいかは怪しいものだが、本作では"使い手次第で聖剣にも魔剣にもなり得る"という設定なので、この剣を手にした後に理想的英雄足らんとしてそう振る舞い続けた入手後の彼に応じて、聖剣としての性質を帯び、『呪われた聖剣』という矛盾した代物となった模様。<br>その後、この剣は行方知れずとなっているが、写本によってはヒルデブラントが所有している事になっている。
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;英雄ジークフリートの性格
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:上記のような経緯に限らず、彼には英雄と呼ぶには相応しくない粗暴な振る舞いも多いが、その大半は作中初期(彼がまだ年若い頃)の時代の話であり、精神的成長を果たしている中盤以降の彼は誠実で落ち着いた人物である。<br>『ニーベルンゲンの歌』においては、彼は徹頭徹尾クリームヒルトに一途な愛を誓っており、ブリュンヒルトとは面識があった程度で、むしろ彼は高慢なブリュンヒルトから見下されていた節もある。<br>彼の伝承は時代・地域ごとに様々な作品が存在し、性格に統一性が見られない(これは、ジークフリートの伝説は5・6世紀頃に成立し、その後各地域に拡散して1,000年以上に渡って様々な作品が作られている上に、著作権が無いので現代の編者が自己解釈で改変を加えることがあるのが原因)ため、あながち作中の高潔な性格は伝承と相違ないとも言える。<br>このような「粗暴な振る舞いが多いにも関わらず、Fate作品内では紳士的な人物として描かれた英雄」は彼の他に(虎聖杯の影響を受けている可能性もあるが)[[ヘラクレス]]が挙げられる。<br>余談だが、本作では魔剣グラムをバルムンクの原典としたため、『ヴォルスング・サガ』のシグルスが『ニーベルンゲンの歌』のジークフリートの原典と認識する人も居るが、この二作は先述の通り、起源を同じくする別の派生した叙事詩であり各作品の推定成立時期も同じなので、この認識は間違いである。
 
== 登場作品 ==
 
== 登場作品 ==
 
; [[Fate/Apocrypha]]
 
; [[Fate/Apocrypha]]
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== 話題まとめ ==
 
== 話題まとめ ==
;バルムンク
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:彼の愛剣「バルムンク」は作中で『聖剣』と呼ばれているが、その来歴は血塗られている。<br>バルムンクは元々ニーベルンゲン族のシルブンクとニベルンクが、彼に財宝の分配を依頼した際に贈る品だった。だが分配に不平を漏らすものがおり、彼はその依頼を果たすことは出来なかった。怒った二人の王とニーベルンゲン族の勇者たちに襲われたために反撃(ジークフリートが怒って勇者達を斬り殺したと言われることもあるが、古くからある写本にはそのように書かれていないため、近代の創作である)、結果としてバルムンクを初めとする彼らの宝を手に入れることになった。<br>要するに'''持ち主を殺して奪い取った宝具'''である。<br>尤も、これはニーベルンゲンの財宝の呪いのようなものでもあり、この後に財宝を狙うハーゲンによって彼は暗殺され、バルムンクも奪われる。そして「彼がくれた贈り物」として財宝を奪い返そうとするクリームヒルトによって財宝と復讐の争いがおき、最後にはクリームヒルトが動けないハーゲンを奪い返したバルムンクで斬首。そして彼女もハーゲンの旧友ヒルデブラントに切り殺された。<br>強い呪いを孕むこの剣を『聖剣』と呼んでいいかは怪しいものだが、本作では"使い手次第で聖剣にも魔剣にもなり得る"という設定なので、この剣を手にした後に理想的英雄足らんとしてそう振る舞い続けた入手後の彼に応じて、聖剣としての性質を帯び、『呪われた聖剣』という矛盾した代物となった模様。<br>その後、この剣は行方知れずとなっているが、写本によってはヒルデブラントが所有している事になっている。
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;英雄ジークフリートの性格
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:上記のような経緯に限らず、彼には英雄と呼ぶには相応しくない粗暴な振る舞いも多いが、その大半は作中初期(彼がまだ年若い頃)の時代の話であり、精神的成長を果たしている中盤以降の彼は誠実で落ち着いた人物である。<br>『ニーベルンゲンの歌』においては、彼は徹頭徹尾クリームヒルトに一途な愛を誓っており、ブリュンヒルトとは面識があった程度で、むしろ彼は高慢なブリュンヒルトから見下されていた節もある。<br>彼の伝承は時代・地域ごとに様々な作品が存在し、性格に統一性が見られない(これは、ジークフリートの伝説は5・6世紀頃に成立し、その後各地域に拡散して1,000年以上に渡って様々な作品が作られている上に、著作権が無いので現代の編者が自己解釈で改変を加えることがあるのが原因)ため、あながち作中の高潔な性格は伝承と相違ないとも言える。<br>このような「粗暴な振る舞いが多いにも関わらず、Fate作品内では紳士的な人物として描かれた英雄」は彼の他に(虎聖杯の影響を受けている可能性もあるが)[[ヘラクレス]]が挙げられる。<br>余談だが、本作では魔剣グラムをバルムンクの原典としたため、『ヴォルスング・サガ』のシグルスが『ニーベルンゲンの歌』のジークフリートの原典と認識する人も居るが、この二作は先述の通り、起源を同じくする別の派生した叙事詩であり各作品の推定成立時期も同じなので、この認識は間違いである。
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;すまないさん
 
;すまないさん
 
:『Grand Order』ではサービス開始当初から、ストーリー登場時の彼の数々の卑屈な発言や共闘時にはあまり活躍できない性能面などが'''逆に人気を呼んでしまい'''、結果的に'''すまないさん'''という愛称が付けられてしまった。
 
:『Grand Order』ではサービス開始当初から、ストーリー登場時の彼の数々の卑屈な発言や共闘時にはあまり活躍できない性能面などが'''逆に人気を呼んでしまい'''、結果的に'''すまないさん'''という愛称が付けられてしまった。
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