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| ;略歴 | | ;略歴 |
| + | :これらを『stay night』て言峰の内面の経歴を辿るなら |
| :[[言峰璃正]]の子として生まれる。清く美しくあれと「綺礼」の名を付けられる。 | | :[[言峰璃正]]の子として生まれる。清く美しくあれと「綺礼」の名を付けられる。 |
| :ある朝、他人の語る美しさを理解できない自分に気が付く。 | | :ある朝、他人の語る美しさを理解できない自分に気が付く。 |
− | :10代から璃正に従い、[[代行者]]見習いとして修行する。父の十数年に渡る巡礼に付き合い、断食などの苦行も経る。璃正から八極拳も習う。 | + | :10代の頃は自らの性質(悪)を理解し、苦悩した。璃正に従い、[[代行者]]見習いとして修行する。父の十数年に渡る巡礼に付き合い、二十代の頃はその事実を否定し、克服するため断食などの多くの苦行、試練の中に身を置いた。璃正から八極拳も習う、自傷と呼べるほどの鍛錬を重ねた。 |
| :22歳でマンレーサの聖イグナチオ神学校に進み、代行者として2度目の洗礼を受ける。 | | :22歳でマンレーサの聖イグナチオ神学校に進み、代行者として2度目の洗礼を受ける。 |
− | :ある異端審問でクラウディアを娶り、神学校を退職、神父への道を断つ。家庭を持てば一般的な幸せを手に入れられるのではないかと考えてのことだった。 | + | :ある異端審問でクラウディアを娶り、神学校を退職、神父への道を断つ。家庭を持てば「人並みの幸福の実感」を得る最後の試み手に入れられるのではないかと考えてのことだった。 |
− | :クラウディアとは2年連れ添い、子も成すが、幸せは実感できなかった。そのことを妻に告げると教義を破って自殺される。だが自殺されたことよりも自分で殺せなかったことを惜しむ自分に何度目ともしれない絶望を覚える。その後は背徳に喜びを見出す自分に気付かないふりをしていた。 | + | :クラウディアとは2年連れ添い、子も成すが、だが言峰にとって、女の苦しみ・我が子の絶望だけが幸福だった。愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどその女の嘆きが見たいと思うだけ。家庭を持っても歪みを直す事が出来なかった。そんな自らに絶望した彼は、自分は間違って生まれた・間違いは正さなければならないと決断、自殺を図ろうとした。その際に自身の試みに付き合わせた者の責務としてそれをクラウディアに告げたところ、逆に彼女がその身を以って「言峰が人を愛せる、生きる価値のある人」だと証明しようとした。 |
| + | :しかし言峰が彼女の死に際して抱いた悲しみの感情は「どうせ死ぬならば自分の手で殺したかった」という女の死を愉しめなかった事に由来する損得の感情だった、この瞬間、彼は自らの主の教と決別したという。 |
| + | :それが自らの歓喜によるものなのか、それとも愛したものだからこそ、自身の手で終わらせたかった悲哀なのか、それが脳裏に掠めるたびに彼は常に思考をカットした。結局、言峰は彼女の死に意味を感じることこそできなかったものの、無価値なものにはしたくないという感情を抱かせ、自身の自害を思い止まらせた。 |
| :3度目の転属で[[第八秘蹟会]]に移る。第四次聖杯戦争を3年後に控え、令呪の兆しが現れる。これを受けて[[魔術協会]]に派遣され、[[遠坂時臣]]に弟子入りする。 | | :3度目の転属で[[第八秘蹟会]]に移る。第四次聖杯戦争を3年後に控え、令呪の兆しが現れる。これを受けて[[魔術協会]]に派遣され、[[遠坂時臣]]に弟子入りする。 |
| + | :これらを『Zero』て言峰の内面の経歴を辿るなら―― |
| :28歳で第四次聖杯戦争を迎え、[[ハサン・サッバーハ〔百貌のハサン〕|アサシン]]を召喚。表向きは師から離反・敵対したよう装いつつ、裏では時臣の補助に回って活動。諜報に秀でた[[サーヴァント]]を使って、情報収集と監視に徹していた。 | | :28歳で第四次聖杯戦争を迎え、[[ハサン・サッバーハ〔百貌のハサン〕|アサシン]]を召喚。表向きは師から離反・敵対したよう装いつつ、裏では時臣の補助に回って活動。諜報に秀でた[[サーヴァント]]を使って、情報収集と監視に徹していた。 |
| :事前の情報収集で[[衛宮切嗣]]の経歴に関心を持ち、彼が自分と同じく「心の虚無を埋める為に、あえて苛烈な人生を選んだ人物」と推測した。彼の聖杯にかける願いを知れば自分の悩みにも答えを見出せるのではないか、と固執するようになる。また時臣のサーヴァントであった[[ギルガメッシュ|アーチャー]]に自分を誤魔化していることを見透かされる。 | | :事前の情報収集で[[衛宮切嗣]]の経歴に関心を持ち、彼が自分と同じく「心の虚無を埋める為に、あえて苛烈な人生を選んだ人物」と推測した。彼の聖杯にかける願いを知れば自分の悩みにも答えを見出せるのではないか、と固執するようになる。また時臣のサーヴァントであった[[ギルガメッシュ|アーチャー]]に自分を誤魔化していることを見透かされる。 |
− | :聖杯戦争が進み璃正が殺されると、妻が死んだ時に自分がどう思ったかを思い出す。監督役の死亡を受け、預託令呪を引き継ぎ、非公式ながら神父となる。 | + | :聖杯戦争が進み璃正が殺されると、妻が病死んだ時に自分がどう思ったかを思い出す。監督役の死亡を受け、預託令呪を引き継ぎ、非公式ながら神父となる。 |
| :間もなく、アインツベルン陣営との休戦協定で綺礼の国外退去が決まる。時臣から修了の証として受け取ったアゾット剣で彼を殺害。密約に従ってアーチャーと再契約し、聖杯戦争を影から操る。 | | :間もなく、アインツベルン陣営との休戦協定で綺礼の国外退去が決まる。時臣から修了の証として受け取ったアゾット剣で彼を殺害。密約に従ってアーチャーと再契約し、聖杯戦争を影から操る。 |
| :その後、切嗣の実像を知るが、それは理想の為に己の幸福すら捨てる姿だった。これに神経を逆撫でされ、綺礼にとっては幸福に釣り合わない彼の理想を砕くために戦うことを決意する。 | | :その後、切嗣の実像を知るが、それは理想の為に己の幸福すら捨てる姿だった。これに神経を逆撫でされ、綺礼にとっては幸福に釣り合わない彼の理想を砕くために戦うことを決意する。 |
| :切嗣との最終決戦で心臓に銃弾を撃ち込まれるが、アーチャーとのパスを通して[[聖杯]]の泥を浴び、それが心臓となって蘇生。 | | :切嗣との最終決戦で心臓に銃弾を撃ち込まれるが、アーチャーとのパスを通して[[聖杯]]の泥を浴び、それが心臓となって蘇生。 |
− | :その後10年、第四次聖杯戦争の真実を隠し、時臣の長女[[遠坂凛]]の後見人を務めるなどしている。また代行者としての業務の中で[[バゼット・フラガ・マクレミッツ]]と知り合う。 | + | :『zero』にて切嗣が聖杯の正体にいち早く気付き、セイバーに命じて聖杯を破壊させ閉じた事になっている。だかその前に、新都の住宅街に降臨した聖杯に言峰が触れた際に彼の願いが聞き届けられ、膨大な死傷者を生み出す大火災が引き起こされてしまった。『Zero』にて聖杯自体も約束された勝利の剣によって破壊される、その蛇口に過ぎない小聖杯であったため、溢れた中身の泥が周囲を侵食し、後々まで大きな爪痕を残す大火災を引き起こすこととなる。 |
| + | :第四次聖杯戦争の真実を隠し、時臣の長女[[遠坂凛]]の後見人を務めるなどしている。また代行者としての業務の中で[[バゼット・フラガ・マクレミッツ]]と知り合う。 |
| :第五次聖杯戦争に際しては、聖堂教会と[[魔術協会]]の双方に顔が利くことも手伝い、正式に監督役に就任。 | | :第五次聖杯戦争に際しては、聖堂教会と[[魔術協会]]の双方に顔が利くことも手伝い、正式に監督役に就任。 |
| :自らマスターに推薦したバゼットを騙し討ちし、[[令呪]]と[[クー・フーリン|サーヴァント]]を奪い、第五次聖杯戦争の裏で暗躍を始める。その目的は生まれ出るであろう「[[アンリマユ|この世全ての悪]]」の誕生を見届け、それを祝福することにある。 | | :自らマスターに推薦したバゼットを騙し討ちし、[[令呪]]と[[クー・フーリン|サーヴァント]]を奪い、第五次聖杯戦争の裏で暗躍を始める。その目的は生まれ出るであろう「[[アンリマユ|この世全ての悪]]」の誕生を見届け、それを祝福することにある。 |
| ;人物 | | ;人物 |
− | :万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、他者の苦痛に愉悦を感じる。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。 | + | :『stay night』て万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、醜いものを好み、他者の苦痛と不幸にしか幸福を得られない欠陥者。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。[[アトラム・ガリアスタ]]に対しては聖杯戦争に無関係の生贄の子供達が無駄死にしないように、偵察と子供達の救助にランサーをアトラムの元に仕向ける。 |
− | :若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という繰り返し。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。 | + | :しかし[[ギルガメッシュ]]に子供達を生贄に捧げる(ただしアトラムとは違って子供達を殺してなどはいない)など、常人には理解し難い独自のルールと歪んだ倫理感を持つ。 |
− | :第四次聖杯戦争の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。 | + | :『stay night』10代の頃は自らの性質を理解し、苦悩した。若い頃は教えられた道徳を理解し、信じ、人として善であることが正しいとする良識を持っていたため、常識から外れた自分を正し、人並みの幸福を得ようとひたすら苦行や試みを繰り返していたが結局どうあっても正すことはできず、主の教えに決別した時に悪しか愛せない自身を受け入れ、悪を行うことで快楽を求めながら、同時に悪である自身が生まれた理由を探すようになる。 |
| + | :『Zero』若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という繰り返し。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。 |
| + | :『Zero』の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。 |
| :冬木教会の神父となってからの10年間は地元民からの受けも良く、神父として好かれていたようである。冬木教会で結婚式を挙げた人も居り、神父として非の打ち所のない綺礼に祝福されて満足していたりする。大晦日のミサは、行く年来る年を1日で台無しにできることから、彼にとってその年で一番の楽しみだが、参加者は全員、自分自身を見つめ直すきっかけになって「参加してよかった」と思うとか。<ref group="出">「[https://www.typemoon.com/users/vote/fate2nd_chara.html 第2回『Fate/stay night』キャラクター人気投票-言峰綺礼 「心に残る新年ミサ」]」</ref><ref group="注">長いこと「まともな」神父としての仕事は描写されていなかったが、2022年5月に『衛宮さんちの今日のごはん』特別編にてミサの司会、聖体拝領、告解などの業務の様子が描写された。</ref> | | :冬木教会の神父となってからの10年間は地元民からの受けも良く、神父として好かれていたようである。冬木教会で結婚式を挙げた人も居り、神父として非の打ち所のない綺礼に祝福されて満足していたりする。大晦日のミサは、行く年来る年を1日で台無しにできることから、彼にとってその年で一番の楽しみだが、参加者は全員、自分自身を見つめ直すきっかけになって「参加してよかった」と思うとか。<ref group="出">「[https://www.typemoon.com/users/vote/fate2nd_chara.html 第2回『Fate/stay night』キャラクター人気投票-言峰綺礼 「心に残る新年ミサ」]」</ref><ref group="注">長いこと「まともな」神父としての仕事は描写されていなかったが、2022年5月に『衛宮さんちの今日のごはん』特別編にてミサの司会、聖体拝領、告解などの業務の様子が描写された。</ref> |
| :士郎に対する聖杯戦争のルール説明、時臣の遺産管理、凛への誕生日プレゼントなど、非常に大雑把で適当な処理を行うことがままある。 | | :士郎に対する聖杯戦争のルール説明、時臣の遺産管理、凛への誕生日プレゼントなど、非常に大雑把で適当な処理を行うことがままある。 |
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| === グレゴリー・ラスプーチン === | | === グレゴリー・ラスプーチン === |
− | 『[[Fate/Grand Order]]』では[[疑似サーヴァント]]という形で登場している。クラスはLostbelt No.1時点では不明。 | + | 『[[Fate/Grand Order]]』では[[疑似サーヴァント]]という形で登場している。クラスは[[アルターエゴ]]。 |
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| 詳細は「[[グレゴリー・ラスプーチン]]」を参照。 | | 詳細は「[[グレゴリー・ラスプーチン]]」を参照。 |
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| ===その他=== | | ===その他=== |
| ;クラウディア | | ;クラウディア |
− | :亡き妻。綺礼の価値観の逆転を理解しており、彼がそれに絶望して死のうとした時、彼が愛せることを証明しようと自らが命を断つ。 | + | :亡き妻。『Fate/Zero』では綺礼の本性に気付かないままの病死であったが、『stay night』では綺礼の価値観の逆転を理解しており、他人の苦しみで喜ぶ男ではないと考え、彼がそれに絶望して死のうとした時、彼が「人を愛せる。生きる価値のある人だ」ことを証明しようと自らが命を断つ。 |
| :名は『TYPE-MOONエース』にて明かされた。<ref group="出">「アーネンエルベへようこそ♡-教えて! タイプムーンQ&A」『TYPE-MOONエース』Vol.8</ref> | | :名は『TYPE-MOONエース』にて明かされた。<ref group="出">「アーネンエルベへようこそ♡-教えて! タイプムーンQ&A」『TYPE-MOONエース』Vol.8</ref> |
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| ;「酒の味とは、思いの外化けるものだ」 | | ;「酒の味とは、思いの外化けるものだ」 |
| :すぐ下で繰り広げられていた駒同士による愛憎劇をギルガメッシュと共に鑑賞した後に酒を飲んだ感想。 | | :すぐ下で繰り広げられていた駒同士による愛憎劇をギルガメッシュと共に鑑賞した後に酒を飲んだ感想。 |
− | :始めて自らが書いた台本はギルガメッシュが言うように本人も認める三文芝居だった。が、時臣の死体という舞台装置でそれを取り巻く役者は言峰の描いた台本通りに演じてくれた。それをつまみにして飲んだ酒は以前と同じ銘柄だが、かつて飲んだ時よりも美酒と感じた。正に、人の苦しみや絶望こそが彼にとって酒をより極上にしてくれるつまみであった。 | + | :初めて自らが書いた台本はギルガメッシュが言うように本人も認める三文芝居だった。が、時臣の死体という舞台装置でそれを取り巻く役者は言峰の描いた台本通りに演じてくれた。それをつまみにして飲んだ酒は以前と同じ銘柄だが、かつて飲んだ時よりも美酒と感じた。正に、人の苦しみや絶望こそが彼にとって酒をより極上にしてくれるつまみであった。 |
| :聖職者でありながら、悪辣である自らの本質を悟り始めていた。 | | :聖職者でありながら、悪辣である自らの本質を悟り始めていた。 |
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| *『stay night』では妻の死の時泣いてないとされているが『Zero』だと妻の時も父の時も涙を流しているとされている。だがこの場面では黒塗りの表現が度々出ており、信頼できない語り手になっている。 | | *『stay night』では妻の死の時泣いてないとされているが『Zero』だと妻の時も父の時も涙を流しているとされている。だがこの場面では黒塗りの表現が度々出ており、信頼できない語り手になっている。 |
| *奈須氏は綺礼の妻を「アルビノで、免疫機能が欠如した人でした。なので些細な傷でも死に繋がるし体もボロボロでした」と説明している。<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』"/> | | *奈須氏は綺礼の妻を「アルビノで、免疫機能が欠如した人でした。なので些細な傷でも死に繋がるし体もボロボロでした」と説明している。<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』"/> |
| + | *彼女のなりたかった職業については『聖歌隊になるのが夢だった』と綺礼に対して語っている。<ref group="出">竹箒日記 2023/11/29</ref> |
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| ;綺礼の懊悩と悟り | | ;綺礼の懊悩と悟り |