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{{登場人物概要
 
{{登場人物概要
 
| 読み = ことみね きれい
 
| 読み = ことみね きれい
| 外国語表記 = KIREI KOTOMINE<ref group="出>「[http://www.typemoon.com/products/fate/chara/other.html 「Fate/stay night」キャラクター紹介-3/その他の人々-言峰綺礼]」</ref>
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| 外国語表記 = KIREI KOTOMINE<ref group="出>「[http://www.typemoon.com/products/fate/chara/other.html 「Fate/stay night」キャラクター紹介-言峰綺礼]」</ref>
 
| 初登場作品 = [[Fate/stay night]]
 
| 初登場作品 = [[Fate/stay night]]
 
| 声優 = 中田譲治
 
| 声優 = 中田譲治
| 身長 = 185cm(Zero)<br>193cm(stay night)
+
| 身長 = 185cm(Zero)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.70">「言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.70</ref><br>193cm(stay night)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90">「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90</ref>
| 体重 = 82kg(Zero、stay night共通)
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| 体重 = 82kg<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
| 誕生日 = 12月28日
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| 誕生日 = 12月28日<ref group="注">『Fate/stay night』では1967年生まれとされていたが、現在は1965年生まれと思しい。傍証は以下の通り。
| 血液型 = B型
+
*『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』によれば、綺礼が28歳の時に璃正を亡くしている。
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*『Fate/Grand Order』によれば、(璃正が死亡した)第四次聖杯戦争は1994年に開催。
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*『Fate/Zero』によれば第四次聖杯戦争は11月開催。</ref><ref group="出" name="TYPE-MOON BOOKS版『Fate/Zero』第1巻口絵">TYPE-MOON BOOKS版『Fate/Zero』第1巻口絵</ref>
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| 血液型 = B型<ref group="出" name="TYPE-MOON BOOKS版『Fate/Zero』第1巻口絵" />
 
| 性別 = 男性
 
| 性別 = 男性
| イメージカラー = 黒
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| イメージカラー = 黒<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
| 所属 = [[聖堂教会]]<br />[[魔術協会]]
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| 所属 = [[聖堂教会]]<br>[[魔術協会]]
| 特技 = 鍛錬(Zero)<br>特になし(stay night)
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| 特技 = 鍛錬(Zero)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.70" /><br>特になし(stay night)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
| 好きな物 = 鍛錬(Zero)<br>悲運(stay night)
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| 好きな物 =鍛錬(Zero)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.70" /><br>悲運(stay night)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
| 苦手な物 = 独り酒(Zero)<br>信頼(stay night)
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| 苦手な物 = 独り酒(Zero)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.70" /><br>信頼(stay night)<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
| 天敵 = [[衛宮切嗣]]
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| 天敵 = [[衛宮切嗣]]<ref group="出" name="「言峰綺礼」『Fate/side material』p.90" />
 
}}
 
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== 概要 ==
 
== 概要 ==
   
冬木教会の神父。第五次[[聖杯戦争]]の監督役であり、第四次聖杯戦争の参加者。
 
冬木教会の神父。第五次[[聖杯戦争]]の監督役であり、第四次聖杯戦争の参加者。
    
;略歴
 
;略歴
 +
:これらを『stay night』て言峰の内面の経歴を辿るなら
 
:[[言峰璃正]]の子として生まれる。清く美しくあれと「綺礼」の名を付けられる。
 
:[[言峰璃正]]の子として生まれる。清く美しくあれと「綺礼」の名を付けられる。
 
:ある朝、他人の語る美しさを理解できない自分に気が付く。
 
:ある朝、他人の語る美しさを理解できない自分に気が付く。
:10代から璃正に従い、[[代行者]]見習いとして修行する。父の十数年に渡る巡礼に付き合い、断食などの苦行も経る。璃正から八極拳も習う。
+
:10代の頃は自らの性質(悪)を理解し、苦悩した。璃正に従い、[[代行者]]見習いとして修行する。父の十数年に渡る巡礼に付き合い、二十代の頃はその事実を否定し、克服するため断食などの多くの苦行、試練の中に身を置いた。璃正から八極拳も習う、自傷と呼べるほどの鍛錬を重ねた。
 
:22歳でマンレーサの聖イグナチオ神学校に進み、代行者として2度目の洗礼を受ける。
 
:22歳でマンレーサの聖イグナチオ神学校に進み、代行者として2度目の洗礼を受ける。
:ある異端審問でクラウディアを娶り、神学校を退職、神父への道を断つ。家庭を持てば一般的な幸せを手に入れられるのではないかと考えてのことだった。
+
:ある異端審問でクラウディアを娶り、神学校を退職、神父への道を断つ。家庭を持てば「人並みの幸福の実感」を得る最後の試み手に入れられるのではないかと考えてのことだった。
:クラウディアとは2年連れ添い、子も成すが、幸せは実感できなかった。そのことを妻に告げると教義を破って自殺される。だが自殺されたことよりも自分で殺せなかったことを惜しむ自分に何度目ともしれない絶望を覚える。その後は背徳に喜びを見出す自分に気付かないふりをしていた。
+
:クラウディアとは2年連れ添い、子も成すが、だが言峰にとって、女の苦しみ・我が子の絶望だけが幸福だった。愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどその女の嘆きが見たいと思うだけ。家庭を持っても歪みを直す事が出来なかった。そんな自らに絶望した彼は、自分は間違って生まれた・間違いは正さなければならないと決断、自殺を図ろうとした。その際に自身の試みに付き合わせた者の責務としてそれをクラウディアに告げたところ、逆に彼女がその身を以って「言峰が人を愛せる、生きる価値のある人」だと証明しようとした。
 +
:しかし言峰が彼女の死に際して抱いた悲しみの感情は「どうせ死ぬならば自分の手で殺したかった」という女の死を愉しめなかった事に由来する損得の感情だった、この瞬間、彼は自らの主の教と決別したという。
 +
:それが自らの歓喜によるものなのか、それとも愛したものだからこそ、自身の手で終わらせたかった悲哀なのか、それが脳裏に掠めるたびに彼は常に思考をカットした。結局、言峰は彼女の死に意味を感じることこそできなかったものの、無価値なものにはしたくないという感情を抱かせ、自身の自害を思い止まらせた。
 
:3度目の転属で[[第八秘蹟会]]に移る。第四次聖杯戦争を3年後に控え、令呪の兆しが現れる。これを受けて[[魔術協会]]に派遣され、[[遠坂時臣]]に弟子入りする。
 
:3度目の転属で[[第八秘蹟会]]に移る。第四次聖杯戦争を3年後に控え、令呪の兆しが現れる。これを受けて[[魔術協会]]に派遣され、[[遠坂時臣]]に弟子入りする。
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:これらを『Zero』て言峰の内面の経歴を辿るなら――
 
:28歳で第四次聖杯戦争を迎え、[[ハサン・サッバーハ〔百貌のハサン〕|アサシン]]を召喚。表向きは師から離反・敵対したよう装いつつ、裏では時臣の補助に回って活動。諜報に秀でた[[サーヴァント]]を使って、情報収集と監視に徹していた。
 
:28歳で第四次聖杯戦争を迎え、[[ハサン・サッバーハ〔百貌のハサン〕|アサシン]]を召喚。表向きは師から離反・敵対したよう装いつつ、裏では時臣の補助に回って活動。諜報に秀でた[[サーヴァント]]を使って、情報収集と監視に徹していた。
 
:事前の情報収集で[[衛宮切嗣]]の経歴に関心を持ち、彼が自分と同じく「心の虚無を埋める為に、あえて苛烈な人生を選んだ人物」と推測した。彼の聖杯にかける願いを知れば自分の悩みにも答えを見出せるのではないか、と固執するようになる。また時臣のサーヴァントであった[[ギルガメッシュ|アーチャー]]に自分を誤魔化していることを見透かされる。
 
:事前の情報収集で[[衛宮切嗣]]の経歴に関心を持ち、彼が自分と同じく「心の虚無を埋める為に、あえて苛烈な人生を選んだ人物」と推測した。彼の聖杯にかける願いを知れば自分の悩みにも答えを見出せるのではないか、と固執するようになる。また時臣のサーヴァントであった[[ギルガメッシュ|アーチャー]]に自分を誤魔化していることを見透かされる。
:聖杯戦争が進み璃正が殺されると、妻が死んだ時に自分がどう思ったかを思い出す。監督役の死亡を受け、預託令呪を引き継ぎ、非公式ながら神父となる。
+
:聖杯戦争が進み璃正が殺されると、妻が病死んだ時に自分がどう思ったかを思い出す。監督役の死亡を受け、預託令呪を引き継ぎ、非公式ながら神父となる。
 
:間もなく、アインツベルン陣営との休戦協定で綺礼の国外退去が決まる。時臣から修了の証として受け取ったアゾット剣で彼を殺害。密約に従ってアーチャーと再契約し、聖杯戦争を影から操る。
 
:間もなく、アインツベルン陣営との休戦協定で綺礼の国外退去が決まる。時臣から修了の証として受け取ったアゾット剣で彼を殺害。密約に従ってアーチャーと再契約し、聖杯戦争を影から操る。
 
:その後、切嗣の実像を知るが、それは理想の為に己の幸福すら捨てる姿だった。これに神経を逆撫でされ、綺礼にとっては幸福に釣り合わない彼の理想を砕くために戦うことを決意する。
 
:その後、切嗣の実像を知るが、それは理想の為に己の幸福すら捨てる姿だった。これに神経を逆撫でされ、綺礼にとっては幸福に釣り合わない彼の理想を砕くために戦うことを決意する。
 
:切嗣との最終決戦で心臓に銃弾を撃ち込まれるが、アーチャーとのパスを通して[[聖杯]]の泥を浴び、それが心臓となって蘇生。
 
:切嗣との最終決戦で心臓に銃弾を撃ち込まれるが、アーチャーとのパスを通して[[聖杯]]の泥を浴び、それが心臓となって蘇生。
:その後10年、第四次聖杯戦争の真実を隠し、時臣の長女[[遠坂凛]]の後見人を務めるなどしている。また代行者としての業務の中で[[バゼット・フラガ・マクレミッツ]]と知り合う。
+
:『zero』にて切嗣が聖杯の正体にいち早く気付き、セイバーに命じて聖杯を破壊させ閉じた事になっている。だかその前に、新都の住宅街に降臨した聖杯に言峰が触れた際に彼の願いが聞き届けられ、膨大な死傷者を生み出す大火災が引き起こされてしまった。『Zero』にて聖杯自体も約束された勝利の剣によって破壊される、その蛇口に過ぎない小聖杯であったため、溢れた中身の泥が周囲を侵食し、後々まで大きな爪痕を残す大火災を引き起こすこととなる。
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:第四次聖杯戦争の真実を隠し、時臣の長女[[遠坂凛]]の後見人を務めるなどしている。また代行者としての業務の中で[[バゼット・フラガ・マクレミッツ]]と知り合う。
 
:第五次聖杯戦争に際しては、聖堂教会と[[魔術協会]]の双方に顔が利くことも手伝い、正式に監督役に就任。
 
:第五次聖杯戦争に際しては、聖堂教会と[[魔術協会]]の双方に顔が利くことも手伝い、正式に監督役に就任。
:自らマスターに推薦したバゼットを騙し討ちし、[[令呪]]と[[クー・フーリン|サーヴァント]]を奪い、第五次聖杯戦争の裏で暗躍を始める。その目的は生まれ出るであろう「この世全ての悪」の誕生を見届け、それを祝福することにある。
+
:自らマスターに推薦したバゼットを騙し討ちし、[[令呪]]と[[クー・フーリン|サーヴァント]]を奪い、第五次聖杯戦争の裏で暗躍を始める。その目的は生まれ出るであろう「[[アンリマユ|この世全ての悪]]」の誕生を見届け、それを祝福することにある。
 
;人物
 
;人物
:万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、他者の苦痛に愉悦を感じる。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。
+
:『stay night』て万人が「美しい」と感じるものを美しいと思えない破綻者。生まれながらにして善よりも悪を愛し、醜いものを好み、他者の苦痛と不幸にしか幸福を得られない欠陥者。悪党ではないが悪人。非道ではないが外道。[[アトラム・ガリアスタ]]に対しては聖杯戦争に無関係の生贄の子供達が無駄死にしないように、偵察と子供達の救助にランサーをアトラムの元に仕向ける。
:若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という繰り返し。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。
+
:しかし[[ギルガメッシュ]]に子供達を生贄に捧げる(ただしアトラムとは違って子供達を殺してなどはいない)など、常人には理解し難い独自のルールと歪んだ倫理感を持つ。
:第四次聖杯戦争の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。
+
:『stay night』10代の頃は自らの性質を理解し、苦悩した。若い頃は教えられた道徳を理解し、信じ、人として善であることが正しいとする良識を持っていたため、常識から外れた自分を正し、人並みの幸福を得ようとひたすら苦行や試みを繰り返していたが結局どうあっても正すことはできず、主の教えに決別した時に悪しか愛せない自身を受け入れ、悪を行うことで快楽を求めながら、同時に悪である自身が生まれた理由を探すようになる。
:紅洲宴歳館・泰山特製の激辛麻婆豆腐を好む。その辛さ、「殺人」「外道」の枕詞を要するほど。
+
:『Zero』若い頃は自身の本質を理解しておらず、この世には自分が捧げるに足る理念も目的もないと考え、「目的を見つけるのが目的」という生き方をしていた。あらゆることを他人の数倍の努力をもって身につけ、しかしそこに情熱はなく、時が来ればあっさりとそれを捨てて次に挑む、という繰り返し。この頃の綺礼にとっての信仰とは、自身で見出した理想ではなく、ただ不完全な自身を痛めつける場であるという意識の方が強かった。
:また、若い頃は酒の蒐集をしていた。
+
:『Zero』の頃までは、そういった自身の在り方に懊悩していたが、聖杯戦争で出会ったギルガメッシュとの出会いをきっかけに吹っ切れた。その後は、ある種の悟りと余裕のある態度で生きている。
 +
:冬木教会の神父となってからの10年間は地元民からの受けも良く、神父として好かれていたようである。冬木教会で結婚式を挙げた人も居り、神父として非の打ち所のない綺礼に祝福されて満足していたりする。大晦日のミサは、行く年来る年を1日で台無しにできることから、彼にとってその年で一番の楽しみだが、参加者は全員、自分自身を見つめ直すきっかけになって「参加してよかった」と思うとか。<ref group="出">「[https://www.typemoon.com/users/vote/fate2nd_chara.html 第2回『Fate/stay night』キャラクター人気投票-言峰綺礼 「心に残る新年ミサ」]」</ref><ref group="注">長いこと「まともな」神父としての仕事は描写されていなかったが、2022年5月に『衛宮さんちの今日のごはん』特別編にてミサの司会、聖体拝領、告解などの業務の様子が描写された。</ref>
 +
:士郎に対する聖杯戦争のルール説明、時臣の遺産管理、凛への誕生日プレゼントなど、非常に大雑把で適当な処理を行うことがままある。
 +
:紅洲宴歳館・泰山特製の激辛麻婆豆腐を好む<ref group="注">普段は清貧を心がけているため、常食しているわけではない。そもそも新都にある冬木教会から深山町にある泰山まではかなりの距離がある。</ref>。その辛さ、「殺人」「外道」の枕詞を要するほど。若い頃は酒を蒐集していた。第五次聖杯戦争でも未成年にワインを勧めている。
 
;能力
 
;能力
:優秀な代行者であり、代行者特有の投擲剣「黒鍵」の使い手。また、八極拳の達人でもある。ただし、実戦で鍛えられた綺礼のそれは、彼が理想とする父の正当な八極拳とは異なり、綺礼独自の人体破壊術になっている<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96">「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96</ref>
+
:優秀な代行者であり、代行者特有の投擲剣「黒鍵」の使い手。八極拳の達人でもあるが、実戦で鍛えられた綺礼のそれは、彼が理想とする父の正当な八極拳とは異なり、綺礼独自の人体破壊術になっている。<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96">「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96</ref>
:魔術師の家系ではないが、璃正が長年の信仰によって得た秘蹟の恩恵で「秘蹟を再現する資格」(要は魔術回路)を持って生まれた<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』">「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』</ref>。といっても[[魔術師]]としての腕は「見習いの修了」レベルでたいていの[[魔術]]に通ずるが、どれも平凡の域を出ない。ただし、「傷を開く」ことに特化した魔術特性であるため、治癒魔術の腕は師の時臣を凌駕する。また、教会の洗礼詠唱も習得しており、霊体に対する攻撃力は突出している。歪んではいるが信仰心は本物<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60">「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60</ref>
+
:魔術師の家系ではないが、璃正が長年の信仰によって得た秘蹟の恩恵で「秘蹟を再現する資格」(要は魔術回路)を持って生まれた<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』">「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』</ref>。といっても[[魔術師]]としての腕は「見習いの修了」レベルでたいていの[[魔術]]に通ずるが、どれも平凡の域を出ない。治癒魔術だけは「傷を開く」ことに特化した魔術特性<ref group="注">『Fate/stay night』では「魔術適性」だったが、『Fate/stay night[Réalta Nua]』では「魔術特性」に変更されている。</ref>のお陰で、師の時臣を凌駕する。また、教会の洗礼詠唱も習得しており、霊体に対する攻撃力は突出している。歪んではいるが信仰心は本物。<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60">「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60</ref>
:第五次聖杯戦争の時点でも総合的な戦闘能力は非常に高く一流の代行者だが、[[シエル|埋葬機関の第七位]]には及ばない<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60"/>。しかし全盛期とも言える第四次の時では話が違ってくる。最終決戦時にはその鍛えに鍛えた八極拳で切嗣を追い込み、[[死徒]]並み、まさに怪物と思わせる程の戦いぶりを見せた。奈須は「最盛期(『Fate/Zero』で切嗣と対決した瞬間)の綺礼ならばシエルに勝てる。この時の綺礼は異常な数の令呪を所有していた事と切嗣に対する妄執が要因で人生で一番輝いていた瞬間だった」と語っている<ref group="出">「奈須きのこ&武内崇キャラクター別対談-言峰綺礼」『Fate/complete material Ⅱ Character material.』p.69</ref>
+
:第五次聖杯戦争の時点でも総合的な戦闘能力は非常に高く一流の代行者だが、[[シエル|埋葬機関の第七位]]には及ばない。<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60"/>しかし全盛期とも言える第四次の時では話が違ってくる。最終決戦時にはその鍛えに鍛えた八極拳で切嗣を追い込み、[[死徒]]並み、まさに怪物と思わせる程の戦いぶりを見せた。奈須氏は「『Zero』の頃の言峰が強かったのは、彼が有していた異常なほどの令呪数と切嗣に対する妄執が要因であり、人生で一番輝いていた瞬間だったんですよ。あの頃の言峰ならシエルにも勝てる」と語っている。<ref group="出">「言峰綺礼-奈須きのこ&武内崇キャラクター別対談」『Fate/complete material Ⅱ Character material.』p.69</ref>
:20m強あるアインツベルン城の3階(日本のマンションなら間違いなく8階相当の高さ)から平然と飛び降りれる。
+
:20m強あるアインツベルン城の3階(日本のマンションなら間違いなく8階相当の高さ)から平然と飛び降りることができる。
:また不確かな足場、乱立する木々の中、両手が塞がれ、イリヤを抱えたまま、魔力の発露もなく、魔術を行使した痕跡もないにも関わらず時速50㎞で走れる(魔術を行使した凛の全力疾走と同じくらいの速度)。
+
:また不確かな足場、乱立する木々の中、両手が塞がれ、イリヤを抱えたまま、魔力の発露もなく、魔術を行使した痕跡もないにも関わらず時速50㎞で走れる(魔術を行使した凛の全力疾走と同じくらいの速度)。
    
==バリエーション==
 
==バリエーション==
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=== グレゴリー・ラスプーチン ===
 
=== グレゴリー・ラスプーチン ===
『[[Fate/Grand Order]]』では[[疑似サーヴァント]]という形で登場している。クラスは第二部第一章時点では不明。
+
『[[Fate/Grand Order]]』では[[疑似サーヴァント]]という形で登場している。クラスは[[アルターエゴ]]。
    
詳細は「[[グレゴリー・ラスプーチン]]」を参照。
 
詳細は「[[グレゴリー・ラスプーチン]]」を参照。
119行目: 130行目:  
;[[Fate/Apocrypha]]
 
;[[Fate/Apocrypha]]
 
:第四次聖杯戦争が起きなかったことで、己の資質に目を向けることがなかった彼は今も冬木で極めて真っ当な神父として暮らしているが、同時に己の存在意義や業に苦悶中。
 
:第四次聖杯戦争が起きなかったことで、己の資質に目を向けることがなかった彼は今も冬木で極めて真っ当な神父として暮らしているが、同時に己の存在意義や業に苦悶中。
:亜種聖杯戦争にでも参加していれば話は変わっただろうが、冬木にいる限りその機会は訪れることはまずない。<ref group="出">「Fate/Apocrypha用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Apocrypha material』pp.166-167</ref>
+
:亜種聖杯戦争にでも参加していれば話は変わっただろうが、冬木にいる限りその機会は訪れることはまずない。<ref group="出" name="「Fate/Apocrypha用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Apocrypha material』pp.166-167">「Fate/Apocrypha用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Apocrypha material』pp.166-167</ref>
 +
;[[Fate/strange Fake]]
 +
:[[アヤカ・サジョウ]]の回想シーンに少しだけ登場。
    
===Fate関連作品===
 
===Fate関連作品===
179行目: 192行目:  
;[[クー・フーリン|ランサー]]
 
;[[クー・フーリン|ランサー]]
 
:バゼットから奪ったサーヴァント。
 
:バゼットから奪ったサーヴァント。
 +
:彼からは「あいにくうちの雇い主は臆病者でな」と語られている。意図してかは不明だが、「臆病者」という言葉はケルトの戦士にとって最上級の侮辱。
    
;[[間桐雁夜]]
 
;[[間桐雁夜]]
186行目: 200行目:     
;[[カレン・オルテンシア]]
 
;[[カレン・オルテンシア]]
:綺礼の死後、教会にやってきた人物。
+
:綺礼の死後、教会にやってきた人物。「トラぶる花札道中記EX」では対面し、お互いに嫌悪感と少しの親愛を見せていた。
 
;[[ネコアルク・カオス]]
 
;[[ネコアルク・カオス]]
 
:ペンフレンド。中の人? 何のことだ?
 
:ペンフレンド。中の人? 何のことだ?
196行目: 210行目:  
;[[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]]
 
;[[天草四郎時貞|シロウ・コトミネ]]
 
:平行世界における義兄。四郎が何者であるかは父の璃正に聞いていたが、義兄には避けられていたようで交流はほとんどなく、なるべく距離をとった付き合いに終始された。
 
:平行世界における義兄。四郎が何者であるかは父の璃正に聞いていたが、義兄には避けられていたようで交流はほとんどなく、なるべく距離をとった付き合いに終始された。
:四郎が彼を意識的に忌避しているのは、綺礼が生まれ持つ「歪み」に気づき、それを解放した上に肯定するような出来事が訪れれば、まず自分が狙われるのではないか、という疑いが強かったため。四郎としては苦悩から解放してやりたいのは山々だったが、どう考えてもろくなことにはならない。結果、手紙のやり取りすらろくに交わさなかった模様。
+
:四郎が彼を意識的に忌避しているのは、綺礼が生まれ持つ「歪み」に気づき、それを解放した上に肯定するような出来事が訪れれば、まず自分が狙われるのではないか、という疑いが強かったため。四郎としては苦悩から解放してやりたいのは山々だったが、どう考えてもろくなことにはならない。<ref group="出" name="「Fate/Apocrypha用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Apocrypha material』pp.166-167" />結果、手紙のやり取りすらろくに交わさなかった模様。
:天寿を全うした璃正の葬式が彼らが顔を合わせた最後だった。
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:天寿を全うした璃正の葬式が彼らが顔を合わせた最後だった。<ref group="出">「Fate/Apocrypha用語辞典-言峰璃正」『Fate/Apocrypha material』p.167</ref>
 
:ちなみに聖杯大戦時での外見年齢は義弟の方が10は年上。
 
:ちなみに聖杯大戦時での外見年齢は義弟の方が10は年上。
 +
 +
=== Fate/strange Fake ===
 +
;[[アヤカ・サジョウ]]
 +
:教会を訪れた彼女の末路に興味が湧き、かつてギルに自分がされたように彼女の人生に方向づけを行った模様。
    
=== 花のみやこ! ===
 
=== 花のみやこ! ===
207行目: 225行目:  
===その他===
 
===その他===
 
;クラウディア
 
;クラウディア
:亡き妻。綺礼の価値観の逆転を理解しており、彼がそれに絶望して死のうとした時、彼が愛せることを証明しようと自らが命を断つ。
+
:亡き妻。『Fate/Zero』では綺礼の本性に気付かないままの病死であったが、『stay night』では綺礼の価値観の逆転を理解しており、他人の苦しみで喜ぶ男ではないと考え、彼がそれに絶望して死のうとした時、彼が「人を愛せる。生きる価値のある人だ」ことを証明しようと自らが命を断つ。
:名は『TYPE-MOONエース』にて明かされた<ref group="出">「アーネンエルベへようこそ♡-教えて! タイプムーンQ&A」『TYPE-MOONエース』Vol.8</ref>
+
:名は『TYPE-MOONエース』にて明かされた。<ref group="出">「アーネンエルベへようこそ♡-教えて! タイプムーンQ&A」『TYPE-MOONエース』Vol.8</ref>
    
== 名台詞 ==
 
== 名台詞 ==
253行目: 271行目:     
=== Fate/Zero ===
 
=== Fate/Zero ===
;「<ruby>それは許される事ではない<rb></rb><rt>・・・・・・・・・・・・</rt></ruby>!」<br>「英雄王、貴様のようなヒトならざる魔性なら、他者の辛苦を蜜の味とするのも頷ける。<br> だが、それは罪人の魂だ。罰せられるべき悪徳だ。わけても、この言峰綺礼が生きる信仰の道に於いてはな!」
+
;「<ruby>それは許されることではない<rb></rb><rt>・・・・・・・・・・・・・</rt></ruby>!」<br>「英雄王、貴様のようなヒトならざる魔性なら、他者の辛苦を蜜の味とするのも頷ける。<br> だが、それは罪人の魂だ。罰せられるべき悪徳だ。わけても、この言峰綺礼が生きる信仰の道に於いてはな!」
 
:ギルガメッシュに自身の本性を指摘されて反発する綺礼。しかし、直後に再び、聖杯は令呪をもって綺礼を戦いの舞台にいざなう。
 
:ギルガメッシュに自身の本性を指摘されて反発する綺礼。しかし、直後に再び、聖杯は令呪をもって綺礼を戦いの舞台にいざなう。
   −
;「……主よ……御名を祟めさせ賜え。御国を来たら賜え。天に御心の成るが如くに、地にもまた成させたまえ……」
+
;「……主よ……御名を祟めさせ賜え。御国を来たらせ賜え。天に御心の成るが如くに、地にもまた成させたまえ……」
 
:父の遺骸を前にして、かつて掴んだ答えを思いだしかけた。心の内に居座った紅い双眸に邪笑とともに囁きかけられる。
 
:父の遺骸を前にして、かつて掴んだ答えを思いだしかけた。心の内に居座った紅い双眸に邪笑とともに囁きかけられる。
 
:バラバラになりかけた心を聖職者としての本分に立ち戻ることで緊縛した。
 
:バラバラになりかけた心を聖職者としての本分に立ち戻ることで緊縛した。
263行目: 281行目:  
:紅い瞳と黒い瞳は互いに了解を交わしあい新たな一組が生まれた。
 
:紅い瞳と黒い瞳は互いに了解を交わしあい新たな一組が生まれた。
   −
;「闘争は人間の本性だ。それを根絶するというなら、人間を根絶するのも同然だ。<br> これが無意味でなくて何なのだ?<br> 衛宮切嗣の理想とは――そもそも理想として成り立っていない。 まるで子供の戯れ言だ!」
+
;「酒の味とは、思いの外化けるものだ」
 +
:すぐ下で繰り広げられていた駒同士による愛憎劇をギルガメッシュと共に鑑賞した後に酒を飲んだ感想。
 +
:初めて自らが書いた台本はギルガメッシュが言うように本人も認める三文芝居だった。が、時臣の死体という舞台装置でそれを取り巻く役者は言峰の描いた台本通りに演じてくれた。それをつまみにして飲んだ酒は以前と同じ銘柄だが、かつて飲んだ時よりも美酒と感じた。正に、人の苦しみや絶望こそが彼にとって酒をより極上にしてくれるつまみであった。
 +
:聖職者でありながら、悪辣である自らの本質を悟り始めていた。
 +
 
 +
;「闘争は人間の本性だ。それを根絶するというなら、人間を根絶するのも同然だ。これが無意味でなくて何なのだ?<br> 衛宮切嗣の理想とは――そもそも理想として成り立っていない。まるで子供の戯れ言だ!」
 
:衛宮切嗣の願望を知り同類と思っていた男は自分と違うのだとアイリスフィールとの問答で認識を改める。
 
:衛宮切嗣の願望を知り同類と思っていた男は自分と違うのだとアイリスフィールとの問答で認識を改める。
   −
;「……ははッ」<br>「何なんだ? はははッ、何なんだ私は!?」<br>「こんな歪みが? こんな汚物が? よりにもよって言峰璃正の胤から産まれたと?<br> ははははっ、有り得ん! 有り得んだろうッ? 何だソレは!? 我が父は狗でも孕ませたというのか!?」
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;「……ははッ」<br>「何なんだ? はははッ、何なんだ私は!?」<br>「こんな歪みが? こんな汚物が? よりにもよって言峰璃正の胤から産まれたと?<br> ははははっ、有り得ん! 有り得んだろうッ? 何だソレは!? 我が父は狗でも孕ませたというのか!?」
 
:「この世全ての悪」による火災を見て。初めて識った、己と世界との繋がりを実感し、歓喜と絶望を込めての言葉。
 
:「この世全ての悪」による火災を見て。初めて識った、己と世界との繋がりを実感し、歓喜と絶望を込めての言葉。
   275行目: 298行目:  
;「ほう――これは惜しいな。その真実はぜひ私の口から告げたかったというのに。ギルガメッシュめ、余計な真似をしてくれた」<br>「当然だろう。恩師であったからな。騙まし討ちは容易かった」<br>「とうに覚悟を決めてきたわけか。つねづね惜しいぞ凛よ。真相を知った瞬間のお前の顔を見過ごしたのは」
 
;「ほう――これは惜しいな。その真実はぜひ私の口から告げたかったというのに。ギルガメッシュめ、余計な真似をしてくれた」<br>「当然だろう。恩師であったからな。騙まし討ちは容易かった」<br>「とうに覚悟を決めてきたわけか。つねづね惜しいぞ凛よ。真相を知った瞬間のお前の顔を見過ごしたのは」
 
:凛から時臣の最期について問われ、一切悪びれもせず堂々と打ち明ける。相変わらずのド外道である。
 
:凛から時臣の最期について問われ、一切悪びれもせず堂々と打ち明ける。相変わらずのド外道である。
 +
:2行目の初出であるUBWルートでは、ギルガメッシュに先んじて白状し、凛は信じ難いものを見たかの様に蒼白な顔になった後、延々罵詈雑言を怒鳴り散らした。言峰の方は大して反応していなかったが、当てが外れたのだろうか。
    
;「貴様……。聖杯を手に入れる気はないのか? 願望機に託す悲願はどうした?」
 
;「貴様……。聖杯を手に入れる気はないのか? 願望機に託す悲願はどうした?」
 
:ランサールートのラストバトル前会話にて。「『破戒すべき全ての符』で文字通り契約をブレイクしてもらう」という裏技中の裏技で出し抜かれ、万策尽きた綺礼はランサーに問いかける。
 
:ランサールートのラストバトル前会話にて。「『破戒すべき全ての符』で文字通り契約をブレイクしてもらう」という裏技中の裏技で出し抜かれ、万策尽きた綺礼はランサーに問いかける。
:しかし、聖杯にかける願いが無かったランサーにはこの問いかけすら一蹴される。どの道、この時点で綺礼に勝利のチャンスなど無かったのだ。
+
:しかし、聖杯にかける願いが無かったランサーにはこの問いかけすら一蹴される。どの道、この時点で綺礼に勝機など無かったのだ。
    
=== トラぶる花札道中記 ===
 
=== トラぶる花札道中記 ===
284行目: 308行目:  
:ストーリーモード本編にて。タイガの無神経な言葉に落ち着いた口調ながらも爆発寸前。握りしめた拳から血が滴っている。それにしても、タイガをお嬢さんと呼ぶのは言峰くらいだろう。
 
:ストーリーモード本編にて。タイガの無神経な言葉に落ち着いた口調ながらも爆発寸前。握りしめた拳から血が滴っている。それにしても、タイガをお嬢さんと呼ぶのは言峰くらいだろう。
   −
;「なんというねじ曲がった子供だ。 妻帯者として悲しいよ。いや、父親の顔が見てみたいものだ」
+
;「しかし―――娘。<br> 見たところ、おまえに願いはないようだが。ここまで何をしに来たのかな?」
:カレンチーム最終戦にて。とりあえず「鏡見ろ」とツッコミたくなる台詞である。
+
:カレンチーム最終戦にて。タイガはお嬢さん呼びなのに、カレンは娘呼び。この直前にも長時間、互いに無言で不機嫌そうな顔をする。
 +
 
 +
;「なんというねじ曲がった子供だ。<br> 妻帯者として悲しいよ。いや、父親の顔が見てみたいものだ」
 +
:同上。とりあえず「鏡見ろ」とツッコミたくなる台詞である。
 
:「父親」と限定している辺り、絶対わかってて言ってるだろオマエ。
 
:「父親」と限定している辺り、絶対わかってて言ってるだろオマエ。
   318行目: 345行目:  
;「おお…お前は…なるほど…そうか、私の消したい過去とは、心の底で願っていたものとは…」<br>「お前との決着だったということか!!くっはっはっはっはっ!!」
 
;「おお…お前は…なるほど…そうか、私の消したい過去とは、心の底で願っていたものとは…」<br>「お前との決着だったということか!!くっはっはっはっはっ!!」
 
:同上。中断されていた[[衛宮切嗣]]との決着が、今、ここで! という所でEND。続きは無い。
 
:同上。中断されていた[[衛宮切嗣]]との決着が、今、ここで! という所でEND。続きは無い。
  −
;「いや、違う。ただ、お前が街中走り回って苦労している様が見たかっただけだ……<br> 願いは、絶望するおまえの眼前で叶えねば意味がない」
  −
:ランサールート。ランサーが来るまで願いを叶えなかった理由。これは本当に良い趣向だとカレンも楽しんでいた。
  −
:「仲良いなぁおい!!」とランサーが突っ込むのも当然である。
      
;「私ならもっと最後まで上手くやってみせるのだが……ええい、もどかしい!!」
 
;「私ならもっと最後まで上手くやってみせるのだが……ええい、もどかしい!!」
:タイころアッパーのセイバーライオンルートにて。カレンの詰めの甘さが見るに堪えないし、ナレーター役も飽きたし。と出て来てカレンに加勢する。
+
:『タイころアッパー』のセイバーライオンルートにて。カレンの詰めの甘さが見るに堪えないし、ナレーター役も飽きたし。と出て来てカレンに加勢する。
   −
;「さて、最凶タッグここに再びか……行くぞシスター、遅れをとるな!!」
+
;「さて、最凶タッグここに再びか……行くぞシスター、遅れをとるな!!」
 
:同上の続き。この神父、ノリノリである。
 
:同上の続き。この神父、ノリノリである。
   332行目: 355行目:  
:同上。カレンの髪に米をつけるという、しょうもない嫌がらせをしていた。どちらが先に手を出したか定かではないがカレンの方も言峰の腹を肘でドスドスしてるのでお互い様といえるかもしれない。
 
:同上。カレンの髪に米をつけるという、しょうもない嫌がらせをしていた。どちらが先に手を出したか定かではないがカレンの方も言峰の腹を肘でドスドスしてるのでお互い様といえるかもしれない。
   −
;「ビューテホー。背伸びをしたがる子供のようで痛々しいが、それもじき消えよう。今のお前はそう、100点満点でいうなら――」<br>「1000点――だ」
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;「ビューテホー。背伸びをしたがる子供のようで痛々しいが、それもじき消えよう。今のお前はそう、100点満点でいうなら――」<br>「1000点――だ」
 
:黒桜シナリオで、今の桜(黒桜)は100点満点でいうなら1000点と大絶賛。
 
:黒桜シナリオで、今の桜(黒桜)は100点満点でいうなら1000点と大絶賛。
 
:元ネタは『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアス。要は中の人ネタである。
 
:元ネタは『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアス。要は中の人ネタである。
    
;「はっはっは、人は皆迷うものだ。神父だってある!そーいう時もある!お前も迷ってここに来たのだろう?衛宮切嗣よ……」
 
;「はっはっは、人は皆迷うものだ。神父だってある!そーいう時もある!お前も迷ってここに来たのだろう?衛宮切嗣よ……」
:「アッパー」アイリシナリオで、リーマン姿を掘り起こされまるで自身に言い聞かせるように話す。
+
:『タイころアッパー』のアイリルートにて。リーマン姿を掘り起こされまるで自身に言い聞かせるように話す。
    
===とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦===  
 
===とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦===  
371行目: 394行目:  
;「だっておまえ、ルール守らないジャン」
 
;「だっておまえ、ルール守らないジャン」
 
:第9話の聖杯レースで飛び入りしてきたギルガメッシュにレースのことを教えていなかったことを責められて。こちらでは真っ当な主催者としての発言が多い。まあ、注意したところで聞くマスターもサーヴァントもいなかったのだが。
 
:第9話の聖杯レースで飛び入りしてきたギルガメッシュにレースのことを教えていなかったことを責められて。こちらでは真っ当な主催者としての発言が多い。まあ、注意したところで聞くマスターもサーヴァントもいなかったのだが。
 +
 +
;「事故なく終わって良かったですねぇ」
 +
:同じく第9話のレースにて、優勝者決定後に。
 +
:少なくとも1人が開始直後に爆死、1人+1台が道中で自爆、3人が崖から転落(しかも片方はそのまま大爆発)という大惨事なのだが、主催者は現実を見る事をやめたようだ。
    
;「TYPE-MOON10周年記念作品、その最終巻だと。なんたる狂気、なんたる狂演。この存在自体がまさに悪ではないか<br> だが、私は誕生するものを祝福する。孵りたがっている命なら孵化させてやるのが愛ではないか」<br>「それでいい。元より答えなどない」
 
;「TYPE-MOON10周年記念作品、その最終巻だと。なんたる狂気、なんたる狂演。この存在自体がまさに悪ではないか<br> だが、私は誕生するものを祝福する。孵りたがっている命なら孵化させてやるのが愛ではないか」<br>「それでいい。元より答えなどない」
398行目: 425行目:  
== メモ ==
 
== メモ ==
 
*初期のキャラクターコンセプトは「会った瞬間黒幕と判るヤツ」。<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60"/>
 
*初期のキャラクターコンセプトは「会った瞬間黒幕と判るヤツ」。<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60"/>
*第四次から第五次聖杯戦争までの10年間で成人してから8cmも身長が伸びた。しかも体重は全く変わっていない。これはイメージ調整の結果。<br>『Fate/Zero』第一稿において193cmという第五次での身長を意識したあまり「巨漢」「雲を衝くような」といった表現が頻出し、「イメージじゃないよねぇ」とTYPE-MOON首脳会議が開かれ、さりげなく身長の方が変更に<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>。すごく伸びたというより、すごく縮んだ。
+
*第四次聖杯戦争では20代前半とされていたが<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60" />、後に28歳に変更された<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』" />。
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*第四次から第五次聖杯戦争までの10年間で成人してから8cmも身長が伸びた。しかも体重は全く変わっていない。これはイメージ調整の結果。<br>『Fate/Zero』第一稿において193cmという第五次での身長を意識したあまり「巨漢」「雲を衝くような」といった表現が頻出し、「イメージじゃないよねぇ」とTYPE-MOON首脳会議が開かれ、さりげなく身長の方が変更に。<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>すごく伸びたというより、すごく縮んだ。
 
*迷い苦しみ、後に悟った破綻者ではあるが、信仰心は本物で、凛曰く「聖職者としては完璧だった」。『Fate/EXTRA』でも言峰を再現したNPCが「根は聖職者だったようだ」と再現元の人物を評している。
 
*迷い苦しみ、後に悟った破綻者ではあるが、信仰心は本物で、凛曰く「聖職者としては完璧だった」。『Fate/EXTRA』でも言峰を再現したNPCが「根は聖職者だったようだ」と再現元の人物を評している。
**実際、冬木教会の神父となってからの10年間は地元民からの受けも良く、神父としても好かれていたようである。行く年来る年を1日で台無しにできることから大晦日のミサはその年で一番の楽しみだが、参加者は全員、自分自身を見つめ直すきっかけになって「参加してよかった」と思うとか<ref group="出">「[https://www.typemoon.com/users/vote/fate2nd_chara.html 第2回『Fate/stay night』キャラクター人気投票-言峰綺礼 「心に残る新年ミサ」]」</ref>。また、この教会で結婚式を挙げたカップルも同じ理由で概ね満足しているそうである。
  −
*士郎に対する聖杯戦争のルール説明、時臣の遺産管理、凛への誕生日プレゼントなど、非常に大雑把で適当な処理を行うことがままある。
   
*本来は聖職者だが、近年ではスピンオフ作品で接客業・販売業・飲食業などの商売人としての活躍も目立つ。どれもこれも胡散臭さは付きまとうものの、これだけ手広くやっているとなると意外にも性に合っている……のかもしれない。
 
*本来は聖職者だが、近年ではスピンオフ作品で接客業・販売業・飲食業などの商売人としての活躍も目立つ。どれもこれも胡散臭さは付きまとうものの、これだけ手広くやっているとなると意外にも性に合っている……のかもしれない。
 
*魔術師としては平凡にもかかわらず、サーヴァント2騎への魔力供給に支障は無かった。これはギルガメッシュは半ば受肉していたために魔力がさほど必要なく、ランサーの方は令呪で能力を制限して魔力の消費量を抑えていたためである。
 
*魔術師としては平凡にもかかわらず、サーヴァント2騎への魔力供給に支障は無かった。これはギルガメッシュは半ば受肉していたために魔力がさほど必要なく、ランサーの方は令呪で能力を制限して魔力の消費量を抑えていたためである。
407行目: 433行目:  
**第五次で綺礼は[[間桐桜]]の治療のために、「父から譲り受けた魔術刻印を使い切った」「もともと魔術師の家系ではないので、刻印は消費型で、格の劣る令呪のようなもの」と述べている。これが預託令呪とも思われるが、この後にアインツベルンの森でアサシンと戦う際、綺礼は前回の聖杯戦争から使い残した令呪を戦力として数えており、こちらが預託令呪にも受け取れる。
 
**第五次で綺礼は[[間桐桜]]の治療のために、「父から譲り受けた魔術刻印を使い切った」「もともと魔術師の家系ではないので、刻印は消費型で、格の劣る令呪のようなもの」と述べている。これが預託令呪とも思われるが、この後にアインツベルンの森でアサシンと戦う際、綺礼は前回の聖杯戦争から使い残した令呪を戦力として数えており、こちらが預託令呪にも受け取れる。
 
***『Fate/Zero』の時点で綺礼は魔術刻印を持っていないことが明言されている。魔術師でもない璃正から譲られた魔術刻印の正体は謎のままである。
 
***『Fate/Zero』の時点で綺礼は魔術刻印を持っていないことが明言されている。魔術師でもない璃正から譲られた魔術刻印の正体は謎のままである。
*「もしかして美味いのか。あのラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理が美味いというのか。」士郎の抱いた外道マーボーに対する評価。作る勿れ。
+
*HFルートで真アサシンを壁に張り付けすることに成功しているが、あれは勝ちを確信した真アサシンの不意を突いたから成功したもので、宝具を使う前までの戦闘は一方的に消耗させられている(尺の都合で描写を削られている劇場版HFでも、服に土がつき消耗している様はちゃんと描かれている)。また、強靭な肉体と前回から残る令呪数画と黒鍵を武装する言峰であるが仮に攻撃を全弾直撃させることが出来たとしても真アサシンは倒しきれないと説明されている。マスター(間桐臓硯)を失った真アサシンであれば洗礼詠唱で消滅させることは可能とのこと。
 +
**真アサシンの戦闘方法は、一定の距離を保ちながらダークを投擲し続け敵が消耗しきったところで宝具を確実に当てるというもの。ダークは宝具を当てるための布石ではあるが、だからと言って投擲に手を抜くことはなく必殺は狙っているため、真アサシンの本気の投擲を凌ぐ力量自体は言峰も持っていることになる。
 +
*「もしかして美味いのか。あのラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故のあげくオレ外道マーボー今後トモヨロシクみたいな料理が美味いというのか」士郎の抱いた外道マーボーに対する評価。作る勿れ。
 
**PS2版『Fate/unlimited codes』にはミニゲーム「衝撃のマーボー」が新録されている。言峰を操作して制限時間内に麻婆豆腐を完食するというものだが、この麻婆、'''食べるごとにライフが減っていく。'''もし完食できなかった場合、言峰は「くっ!」と言ってテーブルを叩き本気で悔しがる。
 
**PS2版『Fate/unlimited codes』にはミニゲーム「衝撃のマーボー」が新録されている。言峰を操作して制限時間内に麻婆豆腐を完食するというものだが、この麻婆、'''食べるごとにライフが減っていく。'''もし完食できなかった場合、言峰は「くっ!」と言ってテーブルを叩き本気で悔しがる。
 
**余談だが、アニメ版『Fate/Zero』放送終了後主要都市と徳島県で開催された『第四次聖杯戦争展』にて、綺礼イチ押しの『泰山の激辛麻婆豆腐』が販売された。怖いもの見たさからか、来場者のみならず出演声優陣も注目していた。味は確かに辛いが、外道というほどではない。ネタ的な意味でも、普通に食べられるという意味でも美味しい商品……と言えるかもしれない。ただし、辛いものが苦手な人はやはりやめておいた方が無難。
 
**余談だが、アニメ版『Fate/Zero』放送終了後主要都市と徳島県で開催された『第四次聖杯戦争展』にて、綺礼イチ押しの『泰山の激辛麻婆豆腐』が販売された。怖いもの見たさからか、来場者のみならず出演声優陣も注目していた。味は確かに辛いが、外道というほどではない。ネタ的な意味でも、普通に食べられるという意味でも美味しい商品……と言えるかもしれない。ただし、辛いものが苦手な人はやはりやめておいた方が無難。
*『Fate/side material』でのヤング綺礼の耳には十字架のイヤリング(ピアス?)が描かれている。これも『Fate/Zero』執筆の切っ掛けだとか<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>。同人版『Fate/Zero』1巻表紙でも隠れてはいるものの身に付けていたが、その後は外した。これを虚淵は惜しみ「あれ(イヤリング)礼装だとか言い張って必然性作っちゃえば良かったなー」と宣ったほど。
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*『Fate/side material』でのヤング綺礼には十字架の耳飾りが描かれている。これも『Fate/Zero』執筆の切っ掛けだとか。<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>TYPE-MOON BOOKS版『Fate/Zero』第1巻表紙でも隠れてはいるものの身に付けていたが、その後は外した。これを虚淵氏は惜しみ「あれ(耳飾り)礼装だとか言い張って必然性作っちゃえば良かったなー」と宣ったほど。<ref group="出">「言峰綺礼-Comment for Kirei」『Fate/Zero material』p.71</ref>
 
**アンソロジードラマCD「迷わぬ人々」(『コンプエース』2009年2月号付録、アンソロジードラマCDvol.1に再録)での私服姿はイヤリングもしていたりと凛に言わせると「ずいぶんとおしゃれ」。「あなた修道服以外に服を持っていたのね」とのことで、本人からすれば私服姿は身バレを避ける目的の「変装」であるらしい。但し公式の設定ではない。
 
**アンソロジードラマCD「迷わぬ人々」(『コンプエース』2009年2月号付録、アンソロジードラマCDvol.1に再録)での私服姿はイヤリングもしていたりと凛に言わせると「ずいぶんとおしゃれ」。「あなた修道服以外に服を持っていたのね」とのことで、本人からすれば私服姿は身バレを避ける目的の「変装」であるらしい。但し公式の設定ではない。
 
**漫画版『Fate/Zero』では第四次での修道服の下に隠れた鋼鉄のように鍛え上げられた肉体も披露した。
 
**漫画版『Fate/Zero』では第四次での修道服の下に隠れた鋼鉄のように鍛え上げられた肉体も披露した。
*ギルガメッシュと並んで虚淵の最愛キャラ。ぶっちゃけ『Fate/Zero』書きたい欲求の7割は言峰だったかもしれないらしい。<br>『Fate/stay night』の言峰が持ってる「悟りと余裕」を剥奪し「迷いと葛藤」を付加したのが『Zero』における言峰のキャラ設定<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>
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*ギルガメッシュと並んで虚淵氏の最愛キャラ。ぶっちゃけ『Fate/Zero』書きたい欲求の7割は言峰だったかもしれないらしい。<br>『Fate/stay night』の言峰が持ってる「悟りと余裕」を剥奪し「迷いと葛藤」を付加したのが『Zero』における言峰のキャラ設定。<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>
*TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票では『stay night』版が27位(2752ポイント)、『Zero』版が21位(3517ポイント)。ちなみに双方のポイントを合算すれば切嗣(6154ポイント)を上回り11位となる。
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*TYPE-MOON10周年記念オールキャラクター人気投票では『stay night』版が27位(2752ポイント)、『Zero』版が21位(3517ポイント)。
**3人のキャラに投票方式で、言峰は『stay night』と『Zero』で二つ枠が用意されており(ギルガメッシュも二つ枠だがセイバーは『stay night』のみ)、両方に入れた層も当然それなりにいるだろう。そのため単純計算して「別枠扱いでなかったら切嗣より上」とは断言できない。
  −
*冬木の教会では結婚式を挙げたりすることもあったので、言峰綺礼に祝福されて結婚した人たちも存在する。言峰は神父としては非の打ち所がなかったので、結婚式を挙げた人たちは満足していたりする。
      
== 話題まとめ ==
 
== 話題まとめ ==
 
;綺礼の妻
 
;綺礼の妻
:まだ迷い悩む渦中にあった綺礼が、「人並みの幸福のカタチ」を得る試みとして迎えた妻。死病を患っていて、余命のない女性だった。「そんな女だから選んだのか、その女しか選べなかったのか。その基準だけは、こうして思い返しても判らない」と綺礼は述べている。<br>病弱だが信心深く、男の憤怒を理解し愛して癒そうとした女性で綺礼からすれば「聖女」だった。<br>最期は、「私にはおまえを愛せなかった」と告げる綺礼に対し、「――いいえ。貴方は私を愛しています」と告げ、微笑みながら自害した。綺礼が人を愛せることを証明するために。<br>女には、最期に綺礼が泣いているように見えた。女には。<br>確かに綺礼は女の死を悲しんだ。だが、悲しんだのは「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」からだ、と綺礼は述懐する。<br>――その、自分の手で殺したかったという願望が、ただの「快楽」のためであったのか、「愛したものだからこその悲哀」なのか、綺礼は考えることに蓋をした。女の死は「無意味」だったと断じながらも、「無価値」にはしたくないと、考えることを止めた。<br>なお、この影響かどうかは不明だが、『stay night』の桜ルートにて、士郎と共にアインツベルンの森でイリヤを逃がそうとした際に、「助けた者が女なら殺すな。目の前で死なれるのは、中々に応えるぞ」と士郎に漏らしている。
+
:まだ迷い悩む渦中にあった綺礼が、「人並みの幸福のカタチ」を得る試みとして迎えた妻。死病を患っていて、余命のない女性だった。「そんな女だから選んだのか、その女しか選べなかったのか。その基準だけは、こうして思い返しても判らない」と綺礼は述べている。<br>病弱だが信心深く、男の憤怒を理解し愛して癒そうとした女性で綺礼からすれば「聖女」だった。<br>最期は、「私にはおまえを愛せなかった」と告げる綺礼に対し、「――いいえ。貴方は私を愛しています」と告げ、微笑みながら自害した。綺礼が人を愛せることを証明するために。<br>女には、最期に綺礼が泣いているように見えた。確かに綺礼は女の死を悲しんだが、それは「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかったからだ」と綺礼は述懐する。<br>――その願望が、ただの「快楽」のためであったのか、「愛したものだからこその悲哀」なのか、綺礼は考えることに蓋をした。女の死は「無意味」だったと断じながらも、「無価値」にはしたくないと、考えることを止めた。<br>なお、この影響かどうかは不明だが、『stay night』の桜ルートにて、士郎と共にアインツベルンの森でイリヤを逃がそうとした際に、「助けた者が女なら殺すな。目の前で死なれるのは、中々に応えるぞ」と士郎に漏らしている。
*以上は『stay night』での綺礼。<br>『Zero』での綺礼は未だ悟りを得ていないため、妻に関する記憶をねじ曲げて、この時覚えたはずの「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」という思いを封じ込めた。
+
*以上は『stay night』での綺礼。<br>『Zero』での綺礼は未だ悟りを得ていないため、妻に言峰の本性に気付かないままの病死て、この時覚えたはずの「どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった」という思いを封じ込めた。
 
*後に同様の思いを父・璃正の死に際しても懐いたが、当時の綺礼はまだ自身の本質を理解したくなかった。認めたくなかった。それゆえに妻の時と同様にその思いを封じ込めた。<br>また、後に[[間桐臓硯]]が父の死を弄ぶような発言をした際には、悟りを得た後だったもののまだ直後だったゆえか、臓硯に反発している。
 
*後に同様の思いを父・璃正の死に際しても懐いたが、当時の綺礼はまだ自身の本質を理解したくなかった。認めたくなかった。それゆえに妻の時と同様にその思いを封じ込めた。<br>また、後に[[間桐臓硯]]が父の死を弄ぶような発言をした際には、悟りを得た後だったもののまだ直後だったゆえか、臓硯に反発している。
 
*『stay night』では妻の死の時泣いてないとされているが『Zero』だと妻の時も父の時も涙を流しているとされている。だがこの場面では黒塗りの表現が度々出ており、信頼できない語り手になっている。
 
*『stay night』では妻の死の時泣いてないとされているが『Zero』だと妻の時も父の時も涙を流しているとされている。だがこの場面では黒塗りの表現が度々出ており、信頼できない語り手になっている。
*奈須は綺礼の妻を「アルビノで、免疫機能が欠如した人でした。なので些細な傷でも死に繋がるし体もボロボロでした」と説明している。<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』"/>
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*奈須氏は綺礼の妻を「アルビノで、免疫機能が欠如した人でした。なので些細な傷でも死に繋がるし体もボロボロでした」と説明している。<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』"/>
*第四次聖杯戦争では20代前半とされていたが<ref group="出" name="「Fate用語辞典-言峰綺礼」『Fate/side material』p.60"/>、後に28歳に変更された<ref group="出" name="「Q&A」『TYPE-MOON Fes. オフィシャル パンフレット』"/>
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*彼女のなりたかった職業については『聖歌隊になるのが夢だった』と綺礼に対して語っている。<ref group="出">竹箒日記 2023/11/29</ref>
    
;綺礼の懊悩と悟り
 
;綺礼の懊悩と悟り
:『Zero』と『stay night』で第四次聖杯戦争以前の回想が異なるが、これについては『Zero』当時はまだ『stay night』の時のような悟りと余裕がなく、迷いと葛藤から自らを内省するにあたって、かなり過去の記憶や事実関係(奥さんに関する記憶はその最たるもの)をねじ曲げて語っており、そのため10年後の達観した自己分析のほうが的を射ている、と述べられている<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>。
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:『Zero』と『stay night』で第四次聖杯戦争以前の回想が異なる。これについては『Zero』当時はまだ『stay night』の時のような悟りと余裕がなく、迷いと葛藤から過去の記憶や事実関係(奥さんに関する記憶はその最たるもの)をねじ曲げて語っている。そのため10年後の達観した自己分析のほうが的を射ている、と述べられている<ref group="出" name="「Fate/Zero用語辞典-言峰綺礼」『Fate/Zero material』p.96"/>。
:実際『Zero』の作中で死別した奥さんのことを思い出そうとすると立ち眩みのような感覚に陥り靄がかかるように思考が散漫になるなど、明らかに異常な反応を示しているシーンもある。
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:実際『Zero』の作中で死別した妻のことを思い出そうとすると、立ち眩みのような感覚に陥り思考が散漫になるなど、明らかに異常な反応を示しているシーンもある。
:これらを踏まえて言峰の内面の経歴を辿るなら――
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::::これらを『stay night』て言峰の内面の経歴を辿るなら――
::1. 生まれてから健やかに成長し、父の語る「美しいもの」がなんであるかわからず父を愛せないながらも、父の期待に答えるために道徳と良識を学ぶ。
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::1. 生まれてから健やかに成長し、父の語る「美しいもの」が理解できず、父を愛せないながらも期待に答えるために道徳と良識を学ぶ。
::2. ある日の朝、父が美しくあれと祈って付けた綺礼という名を一度たりとも美しく感じたことがないと気付いたことで、自分が美しいと感じるもののと周囲との齟齬を理解し、人並みの事柄で幸福を得られない自分を人並みに戻し救おうと、神への信仰や様々な功徳や苦行を行う。
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::2. ある日の朝、父が美しくあれと祈って付けた綺礼という名を一度たりとも美しく感じたことがないと気付いたことで、自分と周囲との齟齬を理解し、人並みの事柄で幸福を得られない自分を人並みに戻し救おうと、神への信仰や様々な功徳や苦行を行う。
::3. 10年に渡る試みの中で得られたのは自分には生まれつき「人並みの幸福実感」がなく、「他者の苦しみ」に勝る悦びが見いだせないという結論と、それに伴う自分のような人間が存在することへの「なぜ」という疑問だけ。
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::3. 10年に渡る試みの中で得られたのは自分には生まれつき「人並みの幸福を得た実感」がなく、「他者の苦しみ」に勝る悦びが見いだせないという結論と、それに伴い何故自分のような人間が存在するのかという疑問を抱いた。
::4. 「生まれながら欠陥している」という事実を受け入れた後、それを克服するためのあらゆる努力の中で最後の試みとして人並みの幸福を得ようと、一人の女を愛そうと考えた。
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::4. 「生まれながら欠陥している」という事実を受け入れた後、それを克服するためのあらゆる努力の中で最後の試みとして人並みの幸福を得ようと、1人の女を愛そうと考えた。
 
::5. 妻との生活は二年に渡り、子もできたが言峰にとっての幸福は女の苦しみ、我が子の絶望だった。愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどこの女の嘆きが見たいと思う自分がいるだけだった。妻ほど自分を理解し癒そうとする人間はこの先現れないだろう、そんな妻でも癒せないなら、もはや生きて是非を問うまでもないと、自分の誕生は間違いだったとして自害を決める。
 
::5. 妻との生活は二年に渡り、子もできたが言峰にとっての幸福は女の苦しみ、我が子の絶望だった。愛そうとすればするほど愛する者の苦しみだけが救いであり、そんな自分を女が癒そうとすればするほどこの女の嘆きが見たいと思う自分がいるだけだった。妻ほど自分を理解し癒そうとする人間はこの先現れないだろう、そんな妻でも癒せないなら、もはや生きて是非を問うまでもないと、自分の誕生は間違いだったとして自害を決める。
::6. 自分の試みのために妻とした義務として命を断つ前に別れを告げに行くが、妻は言峰が人を愛せ生きる価値があると証明するために自ら命を断つ。その時言峰が思ったのは女の死を愉しめなかった、という損得の悲しみだけだった。
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::6. 命を断つ前に妻に別れを告げに行くが、妻は言峰が自分を愛していることを証明するために自ら命を断つ。その時言峰は女の死を悲しむのではなく、どうせ死ぬのなら自分で殺したかったと残念に思い。結局どうあっても正すことはできず、『stay night』の際に主の教えに決別しに悪しか愛せない自身を受け入れ。
::7. この妻の死の際に懐いた感情を当時の言峰は直視できず、受け止められなかった。妻に関する記憶を「妻も自分の人格の欠落を理解していなかった」ことにする、妻にも感じてしまっていた「他者の苦しみの悦び」とする自身の性質を忘れるなど、自分の本性から意識的・無意識的両面で目を背け遠ざけるようになる。
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::7. 人並みに愛情は持てずとも、物事を美しいと感じる事はできる。基準は違うが、愛情という物がある事に変わりはないとして、周囲との齟齬がある自分を許す必要がなくなったことで自分への達観した自己分析も行えるようになり、過去も正確に受け止められるようになるが、妻の死が無意味であっても無価値にすることを嫌い妻の死の際に感じたモノが快楽によるものか悲哀なのかだけは意識的に答えを出すことを止めている。
::8. その少し後に令呪が現れたことで『Zero』における「人並みの幸福実感」を得られないか試行錯誤しつつも父の要請に従っての第四次聖杯戦争と、その経歴から空虚な徒労を繰り返した果てに答えを得たと予想した衛宮切嗣ならば、自分が抱き続ける「なぜ」という疑問への答えを出せるのではないかと期待する。
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――のような感じになると思われる。
::9. その中で英雄王ギルガメッシュと出会い、彼から自分が他人の不幸を愉悦としていることを指摘され、そしてその悦を自ら進んで行うことを教唆されたことで、目を背け忘れていた己の悪性と、改めようとするだけだったかつてとは違った形で再び対峙することになる。
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:迷いながらもそれ相応に淡々と進んでいた人生が妻の自殺の辺りで大きく変動する辺り、言峰の妻への複雑な想いが見て取れる。
::10. 自分から意欲的に人の不幸を作り味わうというこれまでの人生で始めての経験と満足感、衛宮切嗣が自分が求めていた人並みの幸せを無価値とする男だったことへの憎悪、冬木大火災の地獄絵図の光景を見たことで感じた至上の幸福感を味わうことで開花、単に「他者の苦しみ」だけにしか幸福感を得られないというだけでなく、それを至福と感じる自分の本性を完全に自覚し、『stay night』のような悟りと余裕を得ると共に何故自分のような存在が生まれたかという過程への問いも明確化する。
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::これらを『Zero』て言峰の内面の経歴を辿るなら――
::11. 人並みに愛情は持てずとも、物事を美しいと感じる事はできる。基準は違うが、愛情という物がある事に変わりはないとして、周囲との齟齬がある自分を許す必要がなくなったことで自分への達観した自己分析も行えるようになり、過去も正確に受け止められるようになるが、妻の死が無意味であっても無価値にすることを嫌い妻の死の際に感じたモノが快楽によるものか悲哀なのかだけは意識的に答えを出すことを止めている。
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::1.『Zero』この妻の病死の際に懐いた感情を当時の言峰は直視できず、受け止められなかった。妻に関する記憶を「妻も自分の人格の虚無を理解していなかった」ことにする、妻にも感じてしまっていた「他者の苦しみの悦び」とする自身の性質を気持さていないことになってる。
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::2. その少し後に令呪が現れたことで『Zero』における「そんな理想も悲願も持ちあわせていないな自身にも美しいと思える」を得られないか試行錯誤しつつも父の要請に従っての第四次聖杯戦争と、その経歴から空虚な徒労を繰り返した果てに答えを得たと予想した衛宮切嗣ならば、自分が抱き続ける「なぜ」という疑問への答えを出せるのではないかと期待する。
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::3. その中で英雄王ギルガメッシュと出会い、彼から自分が他人の不幸を愉悦としていることを指摘され、そしてその悦を自ら進んで行うことを教唆されたことで、目を背け気持さていないた己の悪性と、改めようとするだけだったかつてとは違った形で再び対峙することになる。
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::4. 自分から意欲的に人の不幸を作り味わうというこれまでの人生で始めての経験と満足感、衛宮切嗣が自分が求めていた人並みの幸せを無価値とする男だったことへの憎悪、冬木大火災の地獄絵図の光景を見たことで感じた至上の幸福感を味わうことで開花、単に「他者の苦しみ」だけにしか幸福感を得られないというだけでなく、それを至福と感じる自分の本性を完全に自覚し、『stay night』のような悟りと余裕を得ると共に何故自分のような存在が生まれたかという過程への問いも明確化するか。
 
:――のような感じになると思われる。
 
:――のような感じになると思われる。
:迷いながらもそれ相応に淡々と進んでいた人生が妻の死の辺りで大きく変動する辺り、言峰の妻への複雑な想いが見て取れる。
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:迷いながらもそれ相応に淡々と進んでいた人生がギルガメッシュと出会いの辺りで大きく変動する辺りが見て取れる。
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;冬木大火災の原因
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:『stay night』における第四次聖杯戦争の終盤では、言峰綺礼が不完全な聖杯がらも「切嗣とセイバーを分断するため、戦いの邪魔となる住民が消えれば都合がいい」という考えを何気なく願ったところ火災が発生したとされる<ref group="出">『Fate/stay night』Fateルート十五日目「ゆずれぬとが」</ref>。
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:実際、当事者の3人──セイバー、ギルガメッシュ、言峰がそれぞれFateルート、UBWルート<ref group="出">『Fate/stay night』Unlimited Blade Worksルート十五日目「倒すべき敵」</ref>、HFルート<ref group="出">『Fate/stay night』Heaven's Feelルート十四日目「聖杯に潜むモノ」</ref>。で聖剣による聖杯破壊後に街が燃えたことに言及している。
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:2006年版アニメ『stay night』第1話冒頭ではセイバーとギルガメッシュが火に燃えた街の中で戦っている他、同アニメの第19話と劇場版『Heaven's Feel』では、綺礼の回想で切嗣が聖杯破壊前に火の海と化した街でコンテンダーを持って狙っているシーンがある。
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:公式では最後のマスターとなった切嗣が聖杯の正体にいち早く気付き、セイバーに命じて聖杯を破壊させ閉じた事になっている。だがその前に、新都の住宅街に降臨した聖杯に言峰が触れた際に彼の願いが聞き届けられ、膨大な死傷者を生み出す大火災が引き起こされてしまった。<ref group="出">Fate/stay night Visual Story</ref>。
    
;聖杯戦争の事後処理
 
;聖杯戦争の事後処理
:「劇場版のランサーVSアサシンの戦闘だと、あの戦闘で多数の死亡者、目撃者が出たと思いますが、どう事後処理したのか?」 →きのこ「たぶんあれ途中で余所の市に入っているので言峰は知らないフリした。」
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:「劇場版のランサーVSアサシンの戦闘だと、あの戦闘で多数の死亡者、目撃者が出たと思いますが、どう事後処理したのか?」 →きのこ「たぶんあれ途中で余所の市に入っているので言峰は知らないフリした」
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:「劇場版セイバーオルタVSバーサーカーの戦いはどう考えてもガス会社のせいに出来ないレベルでしたが、言峰はどう隠蔽したのか?」 →きのこ「いやだなあ。山火事ですよ山火事。何故か一瞬で鎮火したけど」
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:「劇場版セイバーオルタVSバーサーカーの戦いはどう考えてもガス会社のせいに出来ないレベルでしたが、言峰はどう隠蔽したのか?」 →きのこ「いやだなあ。山火事ですよ山火事。何故か一瞬で鎮火したけど。」
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;地上波に綺礼
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:声優の中田譲治氏はBSプレミアム番組「ダークサイドミステリー」でもナレーションを担当している。
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:2021年5月に放送された同番組では『聖遺物』に関する特集が組まれ、『聖杯』の項目で'''『stay night』の映像が使用された上に明らかに言峰綺礼を意識した振りと流れ'''<ref group="注">ナビゲーターの栗山千明が聖杯を喚び出そうとするも現れず「まさか、中田譲治(の仕業?!)」という台詞の後『Heaven's Feel』内の聖杯について説明する場面が流れる。ちなみにこの回がNHKで再放送された時は偶然にも同じ聖遺物[[パーシヴァル|『ロンギヌスの槍』に関係するサーヴァント]]の実装後でもあった。</ref>が使われた。
    
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