「鈴鹿御前」を編集中

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| タイトル = セイバー
 
| タイトル = セイバー
 
| 真名 = 鈴鹿御前
 
| 真名 = 鈴鹿御前
| 読み = すずかごぜん
+
| 読み =  
| 外国語表記 = Suzuka Gozen
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| 外国語表記 =  
 
| 初登場作品 = [[Fate/EXTRA CCC FoxTail]]
 
| 初登場作品 = [[Fate/EXTRA CCC FoxTail]]
 
| 声優 = 東山奈央
 
| 声優 = 東山奈央
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| 地域 = 日本
 
| 地域 = 日本
 
| 属性 = 中立・悪
 
| 属性 = 中立・悪
| 副属性 = 天
+
| 隠し属性 = 天
 
| 性別 = 女性
 
| 性別 = 女性
 
| スリーサイズ =  
 
| スリーサイズ =  
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詳細は「[[鈴鹿御前〔サンタ〕]]」を参照。
 
詳細は「[[鈴鹿御前〔サンタ〕]]」を参照。
 
=== ライダー ===
 
水着霊基に変換し、ライダーークラスになった鈴鹿御前。
 
 
詳細は『[[鈴鹿御前〔サマバケ〕]]』を参照。
 
  
 
== ステータス ==
 
== ステータス ==
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| rowspan="2"|[[セイバー]] || [[坂神一人]] || D || D || A || A || A+ || EX || ? || 神通力:? || style="text-align:left"|FoxTail作中では神通力のランクがBに低下している  
 
| rowspan="2"|[[セイバー]] || [[坂神一人]] || D || D || A || A || A+ || EX || ? || 神通力:? || style="text-align:left"|FoxTail作中では神通力のランクがBに低下している  
 
|-
 
|-
| [[主人公 (Grand Order)]] || D || D || A || A || B || EX || 対魔力:A<br/>騎乗:B<br/>神性:A || 神通力:B(A)<br/>神通力(JK):B+<br/>魔眼:B+<br/>才知の祝福:C<br/>三千大千世界:EX || style="text-align:left"|神通力はサーヴァントとして顕現してるため能力がランクダウンしている<br/>幕間の物語「ミミ思う故にミミあり」クリアで「神通力」→「神通力(JK)」に変化
+
| [[主人公 (Grand Order)]] || D || D || A || A || B || EX || 対魔力:A<br/>騎乗:B<br/>神性:A || 神通力:B(A)<br/>魔眼:B+<br/>才知の祝福:C<br/>三千大千世界:EX || style="text-align:left"|神通力はサーヴァントとして顕現してるため能力がランクダウンしている  
 
|}
 
|}
  
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: 普段はセイバーの周囲で宙に浮いて展開され、独立して攻撃や防御を行う第一刀『大通連』の真名解放。愛剣・大通連を250本まで分裂させ、数え切れないほどの宝剣が上空で同心円状に何重にも展開され、剣の豪雨を勢いよく降らせる。神通力。生前は大通連と夫婦剣だった夫の持つ素早丸(そはやまる)との連携技として、計500本の雨を降らせていたという。
 
: 普段はセイバーの周囲で宙に浮いて展開され、独立して攻撃や防御を行う第一刀『大通連』の真名解放。愛剣・大通連を250本まで分裂させ、数え切れないほどの宝剣が上空で同心円状に何重にも展開され、剣の豪雨を勢いよく降らせる。神通力。生前は大通連と夫婦剣だった夫の持つ素早丸(そはやまる)との連携技として、計500本の雨を降らせていたという。
 
: 今は思い出の詰まったかんざしを素早丸に見立てており、宙に浮く大通連と接触させることで天鬼雨を発動させている。かなり大雑把な射撃精度だが、「才知の祝福」発動時には「自身の周りに自分だけを避けるように降り落とす」等、細やかな操作が可能になる。
 
: 今は思い出の詰まったかんざしを素早丸に見立てており、宙に浮く大通連と接触させることで天鬼雨を発動させている。かなり大雑把な射撃精度だが、「才知の祝福」発動時には「自身の周りに自分だけを避けるように降り落とす」等、細やかな操作が可能になる。
:『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では「魔力依存の貫通ダメージを3手与える」効果の宝具。
+
;『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では「魔力依存の貫通ダメージを3手与える」効果の宝具。
:『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃[Lv]+自身のクリティカル威力をアップ<(3ターン)<オーバーチャージで効果アップ>」という効果のBuster宝具。
+
:『Grand Order』では「敵全体に強力な攻撃&自身のクリティカル威力をアップ<ref group = "注">3ターン、オーバーチャージで効果UP</ref>」という効果のBuster宝具。
: 強化後はランクがB++に上昇。宝具威力倍率が上昇し、「自身のNP獲得量をアップ(3ターン)」という効果が追加される。
+
: 強化後はランクがB++に上昇。ダメージ倍率が上がり、自身にNP獲得量をアップ<ref group = "注">3ターン</ref>を付与という効果が追加される。
 
; 才知の祝福(さいちのしゅくふく)
 
; 才知の祝福(さいちのしゅくふく)
 
: ランク:C<br />種別:対人宝具<br />レンジ:-<br />最大捕捉:1人
 
: ランク:C<br />種別:対人宝具<br />レンジ:-<br />最大捕捉:1人
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: 円周率を計算すると終わらずに言い続けられるという発言から、戦闘以外の多岐に渡って文殊の智恵を授けられるものと思われる。
 
: 円周率を計算すると終わらずに言い続けられるという発言から、戦闘以外の多岐に渡って文殊の智恵を授けられるものと思われる。
 
:使用中は手に持つため、代わりに顕明連を宙に浮かせる。
 
:使用中は手に持つため、代わりに顕明連を宙に浮かせる。
:『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では、使用時に敵のコマンドを一つ開示する効果の宝具。ターンが進むごとに開示数は増加してゆくが、毎ターンMPを消費する。
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;『Fate/EXTRA CCC FoxTail』では、使用時に敵のコマンドを一つ開示する効果の宝具。ターンが進むごとに開示数は増加してゆくが、毎ターンMPを消費する。
:『Grand Order』では「自身に毎ターンNP獲得状態を付与[Lv](5ターン)&必中状態を付与(3ターン)&宝具威力をアップ(3ターン)」という効果の保有スキル。
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:『Grand Order』では「自身に毎ターンNP獲得状態を付与<ref group = "注">5ターン</ref>&自身に必中状態を付与&自身の宝具威力をアップ<ref group = "注">3ターン</ref>」という効果の保有スキル。
 
;三千大千世界
 
;三千大千世界
 
: ランク:EX<br />種別:対人宝具<br />レンジ:-<br />最大捕捉:1人
 
: ランク:EX<br />種別:対人宝具<br />レンジ:-<br />最大捕捉:1人
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;[[酒呑童子]]、[[茨木童子]]
 
;[[酒呑童子]]、[[茨木童子]]
:自身の幕間の物語「JK散歩inカルデア」で、「鬼である彼女達が日本を魔国にするのをサボっているから自分が出張らざるを得なかった」と怒りを向けている。
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:自身の幕間の物語で、「鬼である彼女達が日本を魔国にするのをサボっているから自分が出張らざるを得なかった」と怒りを向けている。
 
:特に酒呑童子については、「どちらかというと自分達寄りなのに何故鬼をやっているのか」と訝しんでいる。
 
:特に酒呑童子については、「どちらかというと自分達寄りなのに何故鬼をやっているのか」と訝しんでいる。
  
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;[[清少納言]]
 
;[[清少納言]]
 
:JK仲間。とはいえ、根が真面目なため自由奔放な彼女には振り回されがち。最初はバーサーカーだと思っていたらしい。
 
:JK仲間。とはいえ、根が真面目なため自由奔放な彼女には振り回されがち。最初はバーサーカーだと思っていたらしい。
:プライベートでも付き合いが深く、彼女とカラオケに行くことも多いとか。
 
  
 
;[[鬼女紅葉]]
 
;[[鬼女紅葉]]
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;[[アタランテ]]
 
;[[アタランテ]]
:自身の幕間の物語「ミミ思う故にミミあり」で共演。ケモミミ同士。
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:自身の二番目の幕間の物語で共演。ケモミミ同士。
 
:[[玉藻の前|ライバル]]の煽りに乗ったら思いの他真剣に受け取られてしまったので、真面目な彼女を煽ったのはまずかったかと反省している。
 
:[[玉藻の前|ライバル]]の煽りに乗ったら思いの他真剣に受け取られてしまったので、真面目な彼女を煽ったのはまずかったかと反省している。
 
;[[ロマニ・アーキマン]]
 
:自身の幕間の物語「ミミ思う故にミミあり」で共演。
 
:頭は良さそうなのに一人で残業してる有様に「大嶽丸の同類」認定した。
 
:また、その際に若干言いよどんでいた事から、[[ソロモン|裏の事情]]に感づいていた節もある。
 
 
;[[卑弥呼]]
 
:運命の相手を探しているという事からノリノリでコイバナしようと企んでいる。
 
  
 
=== ちびちゅき! ===
 
=== ちびちゅき! ===
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; [[坂上田村麻呂]]
 
; [[坂上田村麻呂]]
: 神通力を使い狼藉を働く鈴鹿御前を退治するよう帝から命令を受けやって来たが、互いに一目惚れし夫婦となった関係。二人は助け合いながら数多の鬼を退治し、英雄としての功績を紡いでいった。
+
: 神通力を使い狼藉を働く鈴鹿御前を退治するよう帝から命令を受けた彼と、互いに一目惚れした関係。二人は助け合いながら数多の鬼を退治し、英雄としての功績を紡いでいった。
 
: だが、大嶽丸を討伐する際に偽りの花嫁となった事で、裏切られたと思った彼に大嶽丸の後に殺される事でその関係は終わってしまった。
 
: だが、大嶽丸を討伐する際に偽りの花嫁となった事で、裏切られたと思った彼に大嶽丸の後に殺される事でその関係は終わってしまった。
 
: 気安く田村麻呂の名を口にされる事を極端に嫌がることから、彼女にとって今も特別な存在であることが伺える(後述)。
 
: 気安く田村麻呂の名を口にされる事を極端に嫌がることから、彼女にとって今も特別な存在であることが伺える(後述)。
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: マスターと一緒に居られるのなら、自分の心をも差し出す覚悟を示す。
 
: マスターと一緒に居られるのなら、自分の心をも差し出す覚悟を示す。
  
; 「押し掛け女房ならぬ、押し掛け母親.... なんつー、業が深い....
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;「押し掛け女房ならぬ、押し掛け母親.... なんつー、業が深い....
: 月の聖杯戦争の2回戦で対峙した源頼光の本質を知って。さすがの母親ムーブには、カズ共々ドン引きしていた。
+
:月の聖杯戦争の2回戦で対峙した源頼光の本質を知って。さすがの母親ムーブには、カズ共々ドン引きしていた。
  
 
===Fate/Grand Order===
 
===Fate/Grand Order===
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;「その中で一番カワイイ耳してるの私だし。」
 
;「その中で一番カワイイ耳してるの私だし。」
 
;「だって、たいてい外的要因で無理やり後付されたものじゃん。本気じゃないじゃん。」
 
;「だって、たいてい外的要因で無理やり後付されたものじゃん。本気じゃないじゃん。」
;「その点、私は『カワイイ』から変化で付け足したの。覚悟が違うのよ覚悟が」
+
;「その点、私は『カワイイ』から变化で付け足したの。覚悟が違うのよ覚悟が」
 
;「だいたいケモ耳だってアンタの専売特許ってわけじゃないじゃん?」
 
;「だいたいケモ耳だってアンタの専売特許ってわけじゃないじゃん?」
 
;「むしろ我が物顔でそんな事言うそっちのほうがょっぽど面の皮厚いっつーの。マジ器小さすぎっしょ!」
 
;「むしろ我が物顔でそんな事言うそっちのほうがょっぽど面の皮厚いっつーの。マジ器小さすぎっしょ!」
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** 作劇的な観点から見た場合、原作『CCC』に登場し、本作では登場していない[[エリザベート=バートリー|ランサー]]の役目を引き継いだキャラクター、と言えるかも知れない。<br>(特に『CCC』では[[ネロ・クラウディウス|セイバー]]との関係性において顕著だが)物語序盤を引っ掻き回すライバルキャラのポジション、女子を強調した軽い言動など、共通性も多く見られる。「キャスターが主役の、CCCの物語」において、武内氏の意向である「サプライズ」を満たしつつ、似たような立ち位置のライバル的キャラクターが必要とされた、のかも知れない(一応、キャスターとランサーも「料理好き【愛妻願望】」「ケモミミ派と邪教ホーン派」で対となってはいたが)。
 
** 作劇的な観点から見た場合、原作『CCC』に登場し、本作では登場していない[[エリザベート=バートリー|ランサー]]の役目を引き継いだキャラクター、と言えるかも知れない。<br>(特に『CCC』では[[ネロ・クラウディウス|セイバー]]との関係性において顕著だが)物語序盤を引っ掻き回すライバルキャラのポジション、女子を強調した軽い言動など、共通性も多く見られる。「キャスターが主役の、CCCの物語」において、武内氏の意向である「サプライズ」を満たしつつ、似たような立ち位置のライバル的キャラクターが必要とされた、のかも知れない(一応、キャスターとランサーも「料理好き【愛妻願望】」「ケモミミ派と邪教ホーン派」で対となってはいたが)。
 
*** 実際、彼女のSGのうち二つは「独占願望」と「料理上手」で、'''キャス狐のそれと完全に同じであった。'''さすがに3つ目は異なると思われるが、彼女の正体である鈴鹿御前を祀る鈴鹿峠の片山神社では瀬織津姫と習合されており、伊勢神宮内宮別宮荒祭宮では瀬織津姫を天照大神の荒御魂としている為、キャス狐の「金毛白面」と揃えてくる可能性はある。
 
*** 実際、彼女のSGのうち二つは「独占願望」と「料理上手」で、'''キャス狐のそれと完全に同じであった。'''さすがに3つ目は異なると思われるが、彼女の正体である鈴鹿御前を祀る鈴鹿峠の片山神社では瀬織津姫と習合されており、伊勢神宮内宮別宮荒祭宮では瀬織津姫を天照大神の荒御魂としている為、キャス狐の「金毛白面」と揃えてくる可能性はある。
****『Fate/Grand Order』で明かされた最後のSGは「奉仕体質」だったが、『Fate/Grand Order』と『Fate/EXTRA CCC』でSGの内容が一部異なっていた[[メルトリリス]]や[[パッションリップ]]のような例もあり、実際に明かされた『FoxTail』での最後のSGも「第四天魔王の娘」であった。
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****『Fate/Grand Order』で明かされた最後のSGは「奉仕体質」だったが、『Fate/Grand Order』と『Fate/EXTRA CCC』でSGの内容が一部異なっていた[[メルトリリス]]や[[パッションリップ]]のような例もあるので、まだ判断はできない。
 
** また、ランサーとも「生前に後悔を抱え、現代の女性の在り方を模倣する」という形で、「ただ可愛く在り、ちやほやされる事が仕事であるアイドル」と「可愛くて、最強で、恋愛に一直線な女子高生(JK)」というそれぞれを目指している点でも対になっているとも言える。
 
** また、ランサーとも「生前に後悔を抱え、現代の女性の在り方を模倣する」という形で、「ただ可愛く在り、ちやほやされる事が仕事であるアイドル」と「可愛くて、最強で、恋愛に一直線な女子高生(JK)」というそれぞれを目指している点でも対になっているとも言える。
 
* 彼女が登場するサクラ迷宮第七階層やセラフィックス裏側の領域は、鳥居や日本風建築などが存在する和風なイメージになっている。
 
* 彼女が登場するサクラ迷宮第七階層やセラフィックス裏側の領域は、鳥居や日本風建築などが存在する和風なイメージになっている。
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* 生前の恋仲であった坂上田村麻呂との逸話だが、何故か『Fate/EXTRA CCC FoxTail』と『Fate/Grand Order』とで事の顛末が異なっている。<br>『FoxTail』では共に悪鬼討伐をした後、二十五歳で寿命を迎えてしまった鈴鹿御前を取り戻すために坂上田村麻呂が冥府まで訪れて直談判、その結果黄泉帰りできた鈴鹿御前と仲睦まじく暮らしました……というハッピーエンドで終わっている。これはラニや玉藻の前が語った鈴鹿御前の物語だが、側で聞いていた鈴鹿御前がそれを否定していることもないため『FoxTail』ではこのような話で合っているらしい。<br>対して『Grand Order』では真名の項目などで前述してある通り、田村麻呂との関係は悲恋という形で終わっている。<br>登場作品によって正反対ともいえる結末だが、これが単なる設定変更であるのか、それとも英霊としての鈴鹿御前がそれぞれ別の逸話からサーヴァントとして現界したのかは、現段階では不明である。<br>とはいえ、英霊になってもなお田村麻呂は彼女にとって特別な関係であることは変わらず、(選択肢次第であるが)主人公が田村麻呂を騙った時は普段のJK演技をかなぐり捨てて真面目に警告していた。
 
* 生前の恋仲であった坂上田村麻呂との逸話だが、何故か『Fate/EXTRA CCC FoxTail』と『Fate/Grand Order』とで事の顛末が異なっている。<br>『FoxTail』では共に悪鬼討伐をした後、二十五歳で寿命を迎えてしまった鈴鹿御前を取り戻すために坂上田村麻呂が冥府まで訪れて直談判、その結果黄泉帰りできた鈴鹿御前と仲睦まじく暮らしました……というハッピーエンドで終わっている。これはラニや玉藻の前が語った鈴鹿御前の物語だが、側で聞いていた鈴鹿御前がそれを否定していることもないため『FoxTail』ではこのような話で合っているらしい。<br>対して『Grand Order』では真名の項目などで前述してある通り、田村麻呂との関係は悲恋という形で終わっている。<br>登場作品によって正反対ともいえる結末だが、これが単なる設定変更であるのか、それとも英霊としての鈴鹿御前がそれぞれ別の逸話からサーヴァントとして現界したのかは、現段階では不明である。<br>とはいえ、英霊になってもなお田村麻呂は彼女にとって特別な関係であることは変わらず、(選択肢次第であるが)主人公が田村麻呂を騙った時は普段のJK演技をかなぐり捨てて真面目に警告していた。
 
**ちなみに『Foxtail』で語られた逸話については、有名な奥浄瑠璃『田村三代記』などで見られる筋書きとほぼ同じである。<br>対して『Grand Order』では大嶽丸とともに田村麻呂に殺害されたとのことだが、この通りの逸話はほとんど耳にすることがなく、出所は不明である。<br>類似する話であれば「出羽国切畑の伝説」において、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という逸話が遺されている。話によっては立烏帽子は田村に恋をしていたが彼はそれに気づけずに切り捨ててしまったという結末のものも存在するという。事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった伝承を組み込み、型月独自の物語として形成した可能性がある。
 
**ちなみに『Foxtail』で語られた逸話については、有名な奥浄瑠璃『田村三代記』などで見られる筋書きとほぼ同じである。<br>対して『Grand Order』では大嶽丸とともに田村麻呂に殺害されたとのことだが、この通りの逸話はほとんど耳にすることがなく、出所は不明である。<br>類似する話であれば「出羽国切畑の伝説」において、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という逸話が遺されている。話によっては立烏帽子は田村に恋をしていたが彼はそれに気づけずに切り捨ててしまったという結末のものも存在するという。事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった伝承を組み込み、型月独自の物語として形成した可能性がある。
**後に『FoxTail』で明かされたところによると、『FoxTail』の鈴鹿御前の主観では'''完全に悲恋で終わっている。'''田村麻呂の誤解こそ最後の最後に解けたものの、結局は彼の刃にかかって「日本を魔国にしようとする第四天魔王の娘」として討たれることになった。『田村三代記』での逸話を否定していなかったのは、おそらく英霊化したか第三宝具で知ったかの影響で'''「そういうハッピーエンドを迎えた鈴鹿御前もいた」'''と知っていただけにすぎない。「この」鈴鹿御前が多分に悲観的なのも「自分はハッピーエンドを迎えられなかった鈴鹿御前にすぎない」という認識からである。
 
***第三宝具を使いすぎると消滅してしまう理由付けとしても、読者の仮説レベルではあるが「バッドエンドを迎えた鈴鹿御前という存在そのものが例外であると同時に神として祀られていないため唯一英霊召喚可能な鈴鹿御前であり、第三宝具を使うと他の神となった鈴鹿御前と繋がる為に統合される形で消滅してしまう」という説が囁かれている。
 
  
 
== 話題まとめ ==
 
== 話題まとめ ==
; 史実における正体
+
; 正体について
: 鈴鹿御前とは伝承上の女神、天女であり鈴鹿姫、鈴鹿大明神、鈴鹿権現、鈴鹿神女などとも称される。一方では、鈴鹿山の盗賊・立烏帽子と鈴鹿御前は本来は別人物である。
+
: 文献によって、天女・盗賊・天の魔焰とさまざまに伝えられる。
: しかし鎌倉時代末から江戸時代にかけて成立した御伽草子や、近世東北地方の語り物文芸である奥浄瑠璃の世界観では両者に混同・同一視された形跡がみられる。
 
 
 
:; 天女・鈴鹿御前
 
:: 鈴鹿御前の起源は山岳信仰にある。古来より鈴鹿峠や峠の東に位置する三子山(鈴鹿嶽、武名嶽、高幡嶽)の付近を指して「鈴鹿山」と呼称され、鈴鹿川など豊かな水に恵まれていたことから巫覡の徒(修験山伏・陰陽師・巫女)が祓えを行う聖地であった。そうした背景から鈴鹿山が神格化されて峠神としての'''鈴鹿姫'''祭祀がはじまる。
 
:: 転機となったのは伊勢神宮に奉仕する斎宮(斎王)の存在である。斎王群行は大津京時代の東海道である倉歴道(油日越え)を経由して伊勢神宮へと向かったが、平安京遷都に際して計画された阿須波道(鈴鹿越え)が仁和2年(886年)に開通すると鈴鹿峠を経由することとされた。平安京の野宮を出発した斎王群行は近江国の国府、甲賀、垂水と伊勢国の鈴鹿、壱志の川の傍に設置された頓宮で各1泊し、そこで祓を行いながら6日目には伊勢神宮の斎宮へと入る。このとき鈴鹿頓宮に伝説的斎王である'''倭姫命'''が祀られたことで「鈴鹿姫=倭姫命」として同一視されていく。また鈴鹿峠は東海道が経由することで交通の要衝となり、鈴鹿姫は往来する旅人から塞の神(岐の神)として厚く信仰されていく。
 
:: 時期こそ不明だが、古くから鈴鹿峠の東側に位置する三子山(鈴鹿嶽、武名嶽、高幡嶽)にはそれぞれ瀬織津姫、伊吹戸主、速佐須良姫が祀られていたようで、火災により鈴鹿頓宮古宮へと遷座された。その後も火災の度に遷座を繰り返したため倭姫命を祀る鈴鹿社と4柱で1社となり、永仁2年(1294年)に[[坂上田村麻呂]]など5柱を加えて現在地に遷座されたのが坂下宿の氏神'''鈴鹿明神'''(現在の片山神社)である。
 
::: 鈴鹿明神と並んで信仰された鈴鹿峠の鏡岩(鏡石)では磐座として愛宕権現出現の所として祭祀が行われ、京と丹波の境を守護する愛宕山の勝軍地蔵菩薩同様に、鈴鹿峠の鏡岩を斎庭(磐庭)として将軍塚(将軍地蔵)にみたて田村将軍が祀られたことで田村堂が建てられた。東海道の守護神として信仰を集めた田村堂は田村明神と呼ばれ、鈴鹿明神と一対の夫婦神として信仰されていく。田村堂は明治40年(1907年)に片山神社に合祀されている。
 
:: 都でも崇敬された鈴鹿明神は、京都祇園祭の山車「鈴鹿山」では伊勢国鈴鹿山で道行く人々を苦しめた悪鬼を退治したという'''鈴鹿権現(瀬織津姫神)'''を、金の烏帽子をかぶり、手に大長刀を持つ女人の姿であらわしている。
 
:: 現在の片山神社の由緒では、坂上田村麻呂が立烏帽子討伐を命じられたものの夫婦となり、二人が亡くなった後に鈴鹿峠の里の人々が立烏帽子を鈴鹿御前として祀り、田村麻呂を田村堂に祀ったとしている。これは室町時代頃に成立した御伽草子『鈴鹿の草子』『田村の草子』など創作に影響を受けたことで広まった縁起であると考えられている。
 
  
:; 女盗賊・立烏帽子
+
:; 天女
:: 平安時代末期の治承3年(1179年)頃に平康頼が記した仏教説話集『宝物集』の一節に「奈良坂の金礫や鈴鹿山の'''立烏帽子'''という盗賊が処刑された」とあり、これが盗賊・立烏帽子に関する最古の文献である。続けて鎌倉時代初期の承久の乱(1221年)前後に成立したとみられる『保元物語』では「伊賀国住人山田小三郎是行の祖父・行秀が盗賊・立烏帽子を捕縛した」とある。
+
:: 天女としての起源は伊勢神宮に奉仕する斎宮(斎王)に求められる。かつて斎王群行は倉歴道(油日越え)を通ったが、仁和2年(886年)には阿須波道(鈴鹿越え)という新道を通ることとされた。平安京の野宮を出発した斎王群行は近江国の国府、甲賀、垂水と伊勢国の鈴鹿、壱志の川の傍に設置された頓宮で各1泊し、そこで祓を行いながら6日目に伊勢神宮の斎宮へと入る。このとき鈴鹿の地に伝説的斎王である倭姫命を祀ったのが鈴鹿社とされ、次第に鈴鹿山の'''女神・鈴鹿姫'''として崇敬されていく。
:: 『宝物集』『保元物語』の記述をそのまま歴史的事実として断言することはできないが、延応元年7月26日(ユリウス暦1239年8月26日)付の『御成敗式目追加法』では鈴鹿山と大江山(大枝山)を名指しして近辺の地頭が盗賊を鎮圧することと定めているため、鈴鹿峠と老ノ坂峠には鎌倉幕府が対策に乗り出すほどの盗賊行為が多発していたようである。
+
:: 時期こそ不明だが鈴鹿峠の東側に位置する三子山(鈴鹿嶽、武名嶽、高幡嶽)にはそれぞれ瀬織津姫、伊吹戸主、速佐須良姫が祀られていたようで、火災により鈴鹿頓宮古宮へと遷座された。その後も火災の度に遷座を繰り返したため倭姫命を祀る鈴鹿社と4柱で1社となり、永仁2年(1294年)に坂上田村麻呂など5柱を加えて現在地に遷座されたのが坂下宿の片山神社である。阿須波道は東海道として整備されたため、往来する旅人から東海道の守護神として信仰を集めた片山神社は'''鈴鹿明神(鈴鹿権現)'''と呼ばれた。
::: 『御成敗式目追加法』は後世に重大な影響を与えており、世間に鈴鹿峠と老ノ坂峠には盗賊が跳梁跋扈していたとの共通認知を与えたことで、立烏帽子伝説だけではなく[[酒呑童子]]伝説の成立にも繋がっていく。
+
:: また鈴鹿姫が祀られるより以前の鈴鹿峠では塞の神(岐の神)信仰もあったようで、鈴鹿峠の鏡岩は愛宕権現出現の地として祭祀が行われ、京と丹波の境を守護する愛宕山の勝軍地蔵菩薩同様に鏡岩を斎庭(磐庭)として将軍地蔵にみたてた田村将軍が祀られたことで田村堂が建てられた。こちらも東海道の守護神として信仰を集めたため田村明神と呼ばれるようになる。鈴鹿明神と田村明神は夫婦神として信仰され、田村堂は明治40年(1907年)に片山神社に合祀されている。
:: 建長6年(1254年)成立の『古今著聞集』には検非違使別当藤原隆房が強盗を捕縛したという説話が掲載されいる。隆房は強盗の正体が若く見目麗しい女官であったため鈴香山の女盗人の言い伝えを思い返した。この鈴香山(鈴鹿山)の女盗人の名前が立烏帽子であるとは明言されていない。しかし『古今著聞集』が成立した建長6年(1254年)の平安京の知識人の間で鈴鹿山には女盗賊がいたとの言い伝えが知られていことを証明する。
+
:: 現在の片山神社の由緒では、[[坂上田村麻呂]]が立烏帽子討伐を命じられたものの夫婦となり、二人が亡くなった後に鈴鹿峠の里の人々が立烏帽子を鈴鹿御前として祀り、田村麻呂を田村堂に祀ったとしている。
:: 建長6年(1254年)成立の『弘長元年公卿勅使記』では「盗賊・立烏帽子が崇敬した神社の女神が鈴鹿姫である」と記された。立烏帽子が女盗賊であったことこそ明言していないものの、盗賊・立烏帽子が鈴鹿山の女神である鈴鹿姫を信仰していたとある。
 
:: 治承3年(1179年)頃から建長6年(1254年)までの約80年の間に鈴鹿山の盗賊・立烏帽子は女盗賊であり、鈴鹿姫を崇敬していたとされる下地が完成していたことが受け取れる。こうした背景から両者は鈴鹿明神と田村明神を介して御伽草子の世界観で混同・同一視されていくことになる。
 
  
:; 坂上田村麻呂との仕合わせ
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:; 盗賊
:: 平安時代から鎌倉時代にかけて鈴鹿峠で天女・鈴鹿御前と女盗賊・立烏帽子の伝説が創出された頃、鈴鹿峠の近江側の麓でも坂上田村麻呂の伝説が創出されていた。近江国土山の田村神社の縁起によると、薬子の変のさいに鈴鹿山で藤原仲成を討伐した田村麻呂の死後、怨霊となった仲成の賊徒の執心が祟りとなって鈴鹿山から風となって都に病をもたらしたため、鈴鹿山の西にある二子山の峰に田村麻呂を祀ることで賊徒の執心を封じ込めたという。
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:: 平安時代末期の『宝物集』の一節に「奈良坂の金礫や'''鈴鹿山の立烏帽子'''という盗賊が処刑された」とあるのが盗賊として最古の記録である。鎌倉時代初期の『保元物語』では「伊賀国住人山田小三郎是行の祖父・行秀が'''盗賊・立烏帽子'''を捕縛した」とある。『宝物集』『保元物語』をそのまま歴史的事実とまで断言できないが、延応元年7月26日付の御成敗式目追加法では鈴鹿山と大江山(大枝山)を名指しして近辺の地頭が盗賊を鎮圧することと定めているため、鈴鹿峠と老ノ坂峠には鎌倉幕府が対策に乗り出すほど盗賊が多発していたようである。
::: この鈴鹿山の賊徒の執心が室町時代初期の能『田村』で田村麻呂が清水寺の千手観音の加護を受けて討伐した伊勢国鈴鹿の悪魔(鬼神)となり、『田村』を下地とした御伽草子『鈴鹿の草子(田村の草子)』では鈴鹿山の[[大嶽丸]]となった。
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:: 少し時代が下ると『古今著聞集』に検非違使別当藤原隆房が強盗を捕縛したという説話が掲載されいる。隆房は強盗の正体が若く見目麗しい女官であったため'''鈴香山の女盗人'''の言い伝えを思い返した。この鈴香山(鈴鹿山)の女盗人の名前が立烏帽子であるとは明言されていないが、『古今著聞集』が成立した建長6年(1254年)の平安京では鈴鹿山に女盗賊がいたとの言い伝えが知られていことを証明する。さらに『弘長元年公卿勅使記』では「'''盗賊・立烏帽子'''が崇敬した神社の女神が鈴鹿姫である」と記された。こちらは立烏帽子が女盗賊であったと明言していないが、盗賊・立烏帽子は前述した鈴鹿山の女神である鈴鹿姫を信仰していたとあり、立烏帽子と鈴鹿姫の混同が進んでいる。
:: 南北朝時代に入ると軍記物が盛んに創出された。特に『太平記』巻三十二「直冬上洛事付鬼丸鬼切事」では「源家相伝の鬼切の剣は坂上田村麻呂が鈴鹿御前と剣合わせした時に用いた」と田村麻呂から[[源頼光]]への宝剣継承譚が語られる。鈴鹿山を介した鈴鹿御前と坂上田村麻呂の出会いは当然の帰結であり、『太平記』の宝剣継承譚は頼光の酒呑童子討伐にも引用されるなど後世の物語の雛形となっている。
 
:: 室町時代の鈴鹿山の様子が記録されている『耕雲紀行』によると「日本を煩わせた鈴鹿姫を田村丸が討伐したが、その時に身に付けていた立烏帽子を投げたのが石となり、麓に社を建てて巫女が祀る」と鈴鹿峠の鏡石と土山にある田村神社の由緒が記録されている。その中で天女・鈴鹿御前と女盗賊・立烏帽子の混同・同一視が進んでいることが受け取れる。同時に『耕雲紀行』が献上された応永26年(1419)には御伽草子『鈴鹿の草子(田村の草子)』の原型となる地域伝承が成立していたことも証明する。
 
:: 文明18年(1486年)の『壬生家文書』「坂上田村麻呂伝勘文」のうち田村すずゞかの物語に利重の子が利祐であり利祐の子が日りやう殿である、日りやう殿が16の年に将軍の宣旨をうけて利仁将軍と申す、日りゆう殿の子がいなせの五郎で坂上利宗を名乗り16の年に宣旨をうけて田村将軍と申すとの記述がある。親子三代に渡る筋書が一致することから文明18年には『鈴鹿の草子(田村の草子)』が成立していたことが判明している。
 
  
:; 『鈴鹿の草子』と『田村の草子』
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:; 天の魔焰
:: 『鈴鹿の草子(田村の草子)』は立烏帽子もしくは鈴鹿御前の立場によって「鈴鹿系」と「田村系」の2つの系統に物語が分類されている(学術的には細部の変更点から7つの系統に分類するなどの研究もあるが、いずれも鈴鹿系もしくは田村系からの派生となる)。
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:: 南北朝時代から室町時代かけて軍記物が盛んに創出された。特に『太平記』巻三十二「直冬上洛事付鬼丸鬼切事」では坂上田村麻呂から[[源頼光]]への宝剣継承譚が語られており「源家相伝の鬼切の剣は田村麻呂が'''鈴鹿御前'''と剣合わせした時に用いた」とある。鈴鹿峠の地域伝承に登場する両者の出会いは当然の帰結であった。
:: 鈴鹿系は室町時代後期成立の『鈴鹿の草子』から派生した古写本の系統で、田村将軍と日本を魔国にするために鈴鹿山へと降臨した第六天魔王の娘・立烏帽子が戦いを経て婚姻すると共に日本の鬼退治をする古い形態の筋書を残している。この物語では天の魔焰である立烏帽子が当初から三明の剣を所有しているため、大嶽丸が黄泉から帰還することはない。
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:: この頃には御伽草子『鈴鹿の草子(田村の草子)』(以下『田村の草子』)ないし『田村の草子』の原型となる物語が成立していたようで、室町時代の鈴鹿山の様子が記録されている『耕雲紀行』では「'''日本を煩わせた鈴鹿姫'''を田村丸が討伐したが、その時に身に付けていた立烏帽子を投げたのが石となり、麓に社を建てて巫女が祀る」と天の魔焰として語られている。
::: 鈴鹿経では第六天魔王の娘・立烏帽子とされているが、時代背景として庶民に広く流布していた中世日本記の第六天魔王譚が想起される。
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:: この物語に登場する立烏帽子/鈴鹿御前は、文明18年(1486年)の『壬生家文書』「坂上田村麻呂伝勘文」に『田村の草子』同様の概要が記されているため、1486年以前には成立していたことが判明している。田村麻呂が鈴鹿山の悪魔(鬼神)を討伐して清水寺を建立する物語筋の世阿弥作とされる能『田村』をベースとして、天女・鈴鹿姫や盗賊・立烏帽子の言い伝えを組み合わせたものが『立烏帽子』『鈴鹿の草子』など御伽草子の原型だろう。例えば『田村の草子』では、大和国奈良坂山の金つぶてを打つ化生の霊山を討伐した田村丸俊宗が将軍に任命されるが、『宝物集』の「奈良坂の金礫や鈴鹿山の立烏帽子という盗賊が処刑された」との一節から立烏帽子と共に引用されている。
:: 田村系は『鈴鹿の物語』の流布本の系統で、日本を魔国にしようと企んだ鈴鹿山の大嶽丸の討伐に向かう田村将軍と、田村将軍に助力をするために天下った天女・鈴鹿御前が婚姻して共に日本の鬼退治をする絵巻・絵本・版本などの物語。この物語では天女である鈴鹿御前が計略によって大嶽丸から三明の剣のうち大痛連と小通連を詐取するが、天竺の三面鬼に預けていた顕明連の霊力で大嶽丸が黄泉から帰還する。
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:: 『田村の草子』は立烏帽子/鈴鹿御前の立場によって物語の系統が二種類に分類される。ひとつは「鈴鹿系」と呼ばれ、日本を魔国にするために鈴鹿山へと降臨した'''第六天魔王の娘・立烏帽子'''だが、自分を討伐しに来た田村将軍との戦いを経て改心、結婚して共に日本の鬼退治をする古い形態を残した古写本系統の物語。ひとつは「田村系」と呼ばれ、日本を魔国にしようと企んだ鈴鹿山の大嶽丸を討伐に向かう田村将軍に助力をするために天下った'''天女・鈴鹿御前'''が、田村将軍と結婚して共に日本の鬼退治をする「鈴鹿系」を改編した絵巻・絵本・版本など流布本系統の物語。また「鈴鹿系」では第六天魔王の娘とされているが、時代背景としては庶民に広く流布していた中世日本記の第六天魔王譚が想起される。
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:: 江戸時代になると仙台藩を中心にして盲目の法師によって語られた奥浄瑠璃『田村三代記』が成立する。これは『田村の草子』の舞台を東北地方に置き換えたものであるが、東国の武家では第六天魔王信仰が盛んであったためか'''第六天魔王の娘・立烏帽子'''とされている。奥浄瑠璃は口頭のみで後世に伝えられる口承文学のため正本は存在せず、現在使われている写本は上演されたものを文字起こししたもののため、その内容には異同が多い。そのひとつが'''第四天魔王の娘・立烏帽子'''とする写本の存在である。『田村三代記』の元となった『田村の草子』では第六天魔王の娘であり、仏教には第四天魔王という概念が存在しないことから口承文学の性質から偶然の誤りであるとされる。
  
:; 天の魔焰・立烏帽子
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: 『Fate/Grand Order material Ⅴ』には「この鈴鹿御前は第四天魔王の娘である」とあり、『Fate/EXTRA CCC FoxTail』『Fate/Grand Order』でも第四天魔王の娘としていることから、上記のうち奥浄瑠璃『田村三代記』で第四天魔王と書かれた写本をベースにしているものと思われる。
:: 『鈴鹿の草子』で立烏帽子が第六天魔王の娘として設定された時代背景として日本中世に広く流布していた中世神話のうち、第六天魔王譚の影響が指摘されている。中世神話とは、『古事記』『日本書紀』『風土記』など日本神話に基づきながらも、本地垂迹説などに則り仏教の諸天諸仏と同一視して作られた数々の神話群である。学術用語で中世日本紀と呼称される。
 
:: 『沙石集』巻第一の第一条「太神宮御事」では、弘長4年(1264年)に伊勢神宮を参拝した僧・無住道暁が伊勢神宮の神職に聞いた話として「天地開闢の頃、大海の底に大日如来の印文があった。天照大神が鉾で探り当てると鉾先の印文の滴の露が落ちて日本が出来た。その様子を遥か遠くから見た第六天魔王は「この滴が国となって、仏法流布し、人倫生死を出づべき相がある」と日本が仏国土となり魔界の障りになることを危惧して滅ぼそうと攻めてきた。これに対し天照大神は「我は三宝(仏・法・僧)の名も言わない、自らにも近づけないから帰り給え」と約束して退けた」という。この第六天魔王との約束があるため伊勢神宮では外向きには三法を疎ましく思っているが、内心は深く三宝を守っている。日本の仏法は伊勢神宮によって守護されているという。『沙石集』のこの一節は仏教の広まりに対し、伊勢神宮としては仏教を避けているのは理由があり、けっして嫌っているわけではないことを民衆に語る前提で記されている。
 
:: 第六天魔王譚は幸若舞『百合若大臣』や『平家物語』屋台本「剣巻」など多くの中世文芸に多大な影響を与えている。特に『太平記』巻十六「日本朝敵事」では天照大神との仏法を忌避する約束に怒りを鎮めた第六天魔王が、天照大神の子孫を日本の主(天皇)とし、もし日本の主に反乱する者が現れれば第六天魔王の一族がこれを懲らしめる事を誓い、その約束の証拠として第六天魔王から賜ったのが神璽であるとする。この神璽は八尺瓊勾玉を指し、日本中世において八尺瓊勾玉は印であるとされていた。立烏帽子が第六天魔王の娘とされたのは日本の主に反乱する者=大嶽丸が現れたことで、天照大神との契約によって第六天魔王の一族である立烏帽子が降臨したという、第六天魔王譚を意識した構成による。
 
  
:; 第四天魔王
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; 中世日本紀
:: 江戸時代になると仙台藩を中心にして盲目の法師によって語られた奥浄瑠璃『田村三代記』が成立する。これは『鈴鹿の草子(田村の草子)』の舞台を東北地方に置き換えたものであるが、東国の武家では第六天魔王信仰が盛んであったためか第六天魔王の娘・立烏帽子とされている。奥浄瑠璃は口頭のみで後世に伝えられる口承文学のため正本は存在せず、現在使われている写本は上演されたものを文字起こししたもののため、その内容には異同が多い。そのひとつが第四天魔王の娘・立烏帽子とする写本の存在である。『田村三代記』の元となった『田村の草子』では第六天魔王の娘であり、仏教には第四天魔王という概念が存在しないことから口承文学の性質から偶然の誤りであるとされる。
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: 鈴鹿御前が第六天魔王の娘とされた時代背景として日本中世に広く流布していた中世神話のうち、第六天魔王譚の影響が指摘される。中世神話とは、『古事記』『日本書紀』『風土記』などの日本神話に基づきながら、本地垂迹説などに則りつつ仏教の諸天諸仏と同一視して作られた数々の神話群である。学術用語で中世日本紀と呼称される。
:: 『Fate/Grand Order material Ⅴ』には「この鈴鹿御前は第四天魔王の娘である」とあり、『Fate/EXTRA CCC FoxTail』『Fate/Grand Order』でも第四天魔王の娘としていることから、上記のうち奥浄瑠璃『田村三代記』で第四天魔王と書かれた写本をベースにしているものと思われる。
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: 『沙石集』巻第一の第一条「太神宮御事」では、弘長4年(1264年)に伊勢神宮を参拝した僧・無住道暁が伊勢神宮の神職に聞いた話として、以下のように記している。
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:: 「天地開闢の頃、大海の底に大日如来の印文があった。天照大神が鉾で探り当てると鉾先の印文の滴の露が落ちて日本が出来た。その様子を遥か遠くから見た第六天魔王は「この滴が国となって、仏法流布し、人倫生死を出づべき相がある」と日本が仏国土となり魔界の障りになることを危惧して滅ぼそうと攻めてきた。これに対し天照大神は「我は三宝(仏・法・僧)の名も言わない、自らにも近づけないから帰り給え」と約束して退けた」という。この第六天魔王との約束があるため伊勢神宮では外向きには三法を疎ましく思っているが、内心は深く三宝を守っている。日本の仏法は伊勢神宮によって守護されている。
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: 『沙石集』のこの一節は仏教の広まりに対し、伊勢神宮としては仏教を避けているのは理由があり、けっして嫌っているわけではないことを民衆に語る前提で記されている。
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: 第六天魔王譚はその後も幸若舞『百合若大臣』や『平家物語』屋台本「剣巻」など多くの中世文芸に影響を与える。特に有名なのが『太平記』巻十六「日本朝敵事」で、天照大神が仏法を忌避する約束に怒りを鎮めた第六天魔王は、天照大神の子孫を日本の主(天皇)とし、もし日本の主に反乱する者が現れれば第六天魔王の一族がこれを懲らしめる事を誓い、その約束の証拠として第六天魔王から賜ったのが神璽であるとする。この神璽は八尺瓊勾玉を指し、日本中世において八尺瓊勾玉は印であるとされていた。
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: こうした中世神話が広く流布していた時代に創出されたのが御伽草子『田村の草子』であり、第六天魔王の娘・鈴鹿御前として坂上田村麻呂と夫婦となって活躍するのは中世神話の広まりが関係している。
  
 
; 田村麻呂と悲恋か
 
; 田村麻呂と悲恋か
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: このようにFate世界では悲恋とされているが、鈴鹿御前が田村麻呂と悲恋であったとするのは清水寺創建の否定になる=清水寺の観音の利生譚という物語が破綻するため原典である『鈴鹿の草子』『田村の草子』『田村三代記』ではあり得ない結末である。
 
: このようにFate世界では悲恋とされているが、鈴鹿御前が田村麻呂と悲恋であったとするのは清水寺創建の否定になる=清水寺の観音の利生譚という物語が破綻するため原典である『鈴鹿の草子』『田村の草子』『田村三代記』ではあり得ない結末である。
 
: 菅江真澄が収集した「出羽国切畑の伝説」では、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という本地譚(いわゆる地方伝説)が遺されているが、地方伝説は基本的に江戸時代以降に御伽草子などから作り出されている。
 
: 菅江真澄が収集した「出羽国切畑の伝説」では、松岡の切畑山にあくる王(悪路王)という鬼が住んでおり、そこに立烏帽子(鈴鹿御前)が妻として通っていたが、二人とも田村利仁(田村麻呂)によって切り殺された……という本地譚(いわゆる地方伝説)が遺されているが、地方伝説は基本的に江戸時代以降に御伽草子などから作り出されている。
: しかし事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった本地譚を組み込み、マテリアルVにも「Fate解釈では~」の一文があるように悲恋については型月独自のオリジナル物語として形成した可能性がある。上記のように、Fateシリーズの鈴鹿御前は「ハッピーエンドを迎えられなかった鈴鹿御前」として明確に造形されている。
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: しかし事の顛末自体は『Grand Order』のものと似ているため、大嶽丸との関係性にこういった本地譚を組み込み、マテリアルVにも「Fate解釈では~」の一文があるように悲恋については型月独自のオリジナル物語として形成した可能性があり、田村麻呂と悲恋であることからFate世界には清水寺が存在しない設定であることまで推測できる。
 
: 上記の正体についてにもあるように、鈴鹿明神(鈴鹿権現)は現在も田村麻呂と夫婦神として信仰されているため、片山神社など彼女ゆかりの聖地を巡る際は鈴鹿明神と田村明神は夫婦神である(=悲恋はFate解釈である)ということに留意して信仰している方々に配慮するのがよいと思われる。
 
: 上記の正体についてにもあるように、鈴鹿明神(鈴鹿権現)は現在も田村麻呂と夫婦神として信仰されているため、片山神社など彼女ゆかりの聖地を巡る際は鈴鹿明神と田村明神は夫婦神である(=悲恋はFate解釈である)ということに留意して信仰している方々に配慮するのがよいと思われる。
  

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