302行目:
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:予想外の表情を見て立ちすくみ戸惑うアイリを有無も言わさず抱きすくめて掠れた弱々しい声で問いかけた。それは考え得る限りにおいて衛宮切嗣が絶対に口にするはずがない
:予想外の表情を見て立ちすくみ戸惑うアイリを有無も言わさず抱きすくめて掠れた弱々しい声で問いかけた。それは考え得る限りにおいて衛宮切嗣が絶対に口にするはずがない
:問いだったためアイリは驚きのあまり言葉を失った。切嗣がどれほど瀬戸際に追い詰められているかを彼女はようやく理解した。
:問いだったためアイリは驚きのあまり言葉を失った。切嗣がどれほど瀬戸際に追い詰められているかを彼女はようやく理解した。
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;「ああ、成立だ。もう僕にはおまえたちを殺せない」
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;「…僕には、な」
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:ソラウを人質に取った切嗣は、ケイネスに交渉を持ちかける。ソラウとケイネスに一切の殺害や傷害を加えられないという「自己強制証明」の契約を結ばせた上で、ケイネスにランサーを自害させ、聖杯戦争を辞退するという苦渋の決断を強いた。その後、ケイネスは切嗣に「…これで、お前には強制(ギアス)が?」と確認し、一瞬だけ安堵する。しかし、その直後、切嗣の手を汚すことなく、久方舞也の銃弾がケイネスとソラウを貫いた。
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:「魔術師殺し」と呼ばれる、騎士道とは程遠い切嗣の本領が発揮された瞬間であった。
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;「悪いが、それはできない契約だ」
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:ケイネスが銃弾を受け、苦痛に満ちた表情で介錯を求めても、切嗣は「自己強制証明」の契約を盾にして拒んだ。
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:それは、多くの戦場を経験する中で切嗣が培った、一切の温情を持たない非情さであった。
;「――そういえば、僕の"殺し方"を直に君に見せるのは、これが初めてだったね。アイリ」
;「――そういえば、僕の"殺し方"を直に君に見せるのは、これが初めてだったね。アイリ」