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| : 何故円卓の騎士の一員たる彼がこんな目を疑う所業を平然と行うのか……。 | | : 何故円卓の騎士の一員たる彼がこんな目を疑う所業を平然と行うのか……。 |
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− | ;「―――嗚呼。それは、実に悲しい―――」<br>「ふ……ふふ、ふふふふ!ははははははは!<br>いえ、失礼。あまりにも悲しい話でしたので、つい。」 | + | ;「―――嗚呼。それは、実に悲しい―――」<br>「ふ……ふふ、ふふふふ!ははははははは!<br> いえ、失礼。あまりにも悲しい話でしたので、つい。」 |
| ;「貴方がたに、私の<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>を語ってはいませんでしたね。」 | | ;「貴方がたに、私の<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>を語ってはいませんでしたね。」 |
− | ;「私に与えられた<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>は‘‘反転’’。これは私が一切の迷いなく獣である為のものでしたが……<br>その特性は、あらゆるものを逆にするのです。ですので今の私には、<ruby><rb>毒だけは絶対に効かない</rb><rt>・・・・・・・・・・・</rt></ruby>。貴方がたの決死の策は、まさに無駄骨と言えましょう。」 | + | ;「私に与えられた<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>は‘‘反転’’。これは私が一切の迷いなく獣である為のものでしたが……<br> その特性は、あらゆるものを逆にするのです。ですので今の私には、<ruby><rb>毒だけは絶対に効かない</rb><rt>・・・・・・・・・・・</rt></ruby>。貴方がたの決死の策は、まさに無駄骨と言えましょう。」 |
| : トリスタンのギフト「反転」。 | | : トリスタンのギフト「反転」。 |
| : あらゆるものが逆になる―――彼は慈悲深く人情味がある人物であるからこそ、人格は無慈悲で残酷な悪漢へと変貌し、毒は生前の死因であるからこそ、それによる害を通さない。 | | : あらゆるものが逆になる―――彼は慈悲深く人情味がある人物であるからこそ、人格は無慈悲で残酷な悪漢へと変貌し、毒は生前の死因であるからこそ、それによる害を通さない。 |
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| ;「……腕がひとりでに!?いえ、これは……!?」 | | ;「……腕がひとりでに!?いえ、これは……!?」 |
− | ;「ぬぅううううう……!なぜ離れない―――離れなさい!<br>つう、こんな、馬鹿な―――私たちの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>を、エサにしているのですか!?」 | + | ;「ぬぅううううう……!なぜ離れない―――離れなさい!<br> つう、こんな、馬鹿な―――私たちの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>を、エサにしているのですか!?」 |
− | ;「わた、私が、死ぬというのですか……!このような醜い怪物に食われて!?<br>いいえ、死ぬのは貴方も同じだ!この苦しみは同じものだ!ならば、なぜそこまで!貴方は<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>で縛られてもいないというのに!」 | + | ;「わた、私が、死ぬというのですか……!このような醜い怪物に食われて!?<br> いいえ、死ぬのは貴方も同じだ!この苦しみは同じものだ!ならば、なぜそこまで!貴方は<ruby><rb>祝福</rb><rt>ギフト</rt></ruby>で縛られてもいないというのに!」 |
| : 呪腕のハサンの起死回生の一手―――魔神の呪腕の制御を解き、共に腕に食わせるという捨て身の策。つかまってしまったトリスタンの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>は魔神の糧と化していく。 | | : 呪腕のハサンの起死回生の一手―――魔神の呪腕の制御を解き、共に腕に食わせるという捨て身の策。つかまってしまったトリスタンの<ruby><rb>霊基</rb><rt>からだ</rt></ruby>は魔神の糧と化していく。 |
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| ;「右手を自由にしたのは、失策ですね……指一本あれば、フェイルノートは射れるのですよ……」 | | ;「右手を自由にしたのは、失策ですね……指一本あれば、フェイルノートは射れるのですよ……」 |
− | ;「……さて。なんとか……山の翁を、切り離せは、しましたが―――<br>……私は、手遅れですか……もう半分、魔神に食べられています、からね……」 | + | ;「……さて。なんとか……山の翁を、切り離せは、しましたが―――<br> ……私は、手遅れですか……もう半分、魔神に食べられています、からね……」 |
− | ;「―――しかし。怖ろしいまでの、執念……いえ、信仰、と言うべきか……異教徒など……本来、私には、どうでもよいのですが……技に生きた、などと言われては……<br>……はは。その<ruby><rb>信仰</rb><rt>ものいい</rt></ruby>は、反則というものです……」 | + | ;「―――しかし。怖ろしいまでの、執念……いえ、信仰、と言うべきか……異教徒など……本来、私には、どうでもよいのですが……技に生きた、などと言われては……<br> ……はは。その<ruby><rb>信仰</rb><rt>ものいい</rt></ruby>は、反則というものです……」 |
| : まだ自由が利いていた右手で呪腕のハサンの腕を切り離したが、既にこの身は手遅れであった。そして……。 | | : まだ自由が利いていた右手で呪腕のハサンの腕を切り離したが、既にこの身は手遅れであった。そして……。 |
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− | ;「……窓に映っているのは、私、ですか……<br>かくして、悪逆の騎士は見るもおぞましい、怪物に成りはてる―――」 | + | ;「……窓に映っているのは、私、ですか……<br> かくして、悪逆の騎士は見るもおぞましい、怪物に成りはてる―――」 |
| ;「……ふ。この地に来てから、悲しい事、ばかりでしたが。最期に、愉快なものを、見たようで―――」 | | ;「……ふ。この地に来てから、悲しい事、ばかりでしたが。最期に、愉快なものを、見たようで―――」 |
| : 最期。かつての後悔を払拭しようとするあまり心が壊れ悪漢に堕ちたかなしみの子は、犯した悪逆に則した有様へと成り果てる事に自嘲しながら、魔神の腕に食われた。 | | : 最期。かつての後悔を払拭しようとするあまり心が壊れ悪漢に堕ちたかなしみの子は、犯した悪逆に則した有様へと成り果てる事に自嘲しながら、魔神の腕に食われた。 |