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| ;略歴 | | ;略歴 |
− | :真名はアヴィケブロン。またの名をソロモン・イブン・ガビーロール。十一世紀、中世ヨーロッパのルネッサンスの起点となった哲学者の一人であり、「ゴーレム」を極めた[[魔術|魔術師]]。彼はヘブライ語の『受け取る』という単語から「カバラ」という魔術基盤を生み出し、魔術師の世界にも大きな影響を与えた人物。<br>聖杯大戦開始二ヶ月前、[[ランサー (Apocrypha・黒)|ランサー]]とほぼ同時期に召喚された。<br>マスターであるロシェから、尊敬の念を込めて「先生」と呼ばれている。その後彼と共に城内の工房で、聖杯大戦の兵士として使うゴーレムの生産と宝具の設計・開発に明け暮れる。 | + | :真名はアヴィケブロン。またの名をソロモン・イブン・ガビーロール。十一世紀、中世ヨーロッパのルネッサンスの起点となった哲学者の一人であり、「ゴーレム」を極めた[[魔術|魔術師]]。彼はヘブライ語の『受け取る』という単語から「カバラ」という魔術基盤を生み出し、魔術師の世界にも大きな影響を与えた人物。<br>聖杯大戦開始二ヶ月前、[[ランサー (Apocrypha・黒)|ランサー]]とほぼ同時期に召喚された。<br>マスターであるロシェから、尊敬の念を込めて「先生」と呼ばれている。その後彼と共に城内の工房で、聖杯大戦の兵士として使うゴーレムの生産と宝具の設計・開発に明け暮れる。<br>後に無様な失敗を続けた事で[[ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア|ダーニック]]に見限られた[[ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア|ゴルド]]から令呪を回収し、捕縛した[[バーサーカー (Apocrypha・赤)|赤のバーサーカー]]のマスターとなる。<br>決戦においては、[[アーチャー (Apocrypha・黒)|アーチャー]]を援護して[[ライダー (Apocrypha・赤)|赤のライダー]]を戦場から引き離し、ランサーの危機に赤のバーサーカーを向かわせるなど他のサーヴァントの支援に徹する。だが激戦によって手持ちのゴーレムの大半が破壊されたため、空中庭園での戦いでは自ら戦場に赴き、[[ルーラー]]の命令で暴走したダーニックを相手に赤のサーヴァント達と共闘する事となった。 |
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| ;人物 | | ;人物 |
− | :顔も姿も隠しているため、その雰囲気から一見老練な魔術師や気位の高い知識人を思わせるが、予想に反して喋り方は若々しく、一人称は「僕」。<br>極度の厭世家で、必要以上の言葉は一切喋らない。ただ伝承ほど病的な人間嫌いではなく、マスターであるロシェやスポンサーの[[ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア|ダーニック]]とは普通に会話する。 | + | :顔も姿も隠しているため、その雰囲気から一見老練な魔術師や気位の高い知識人を思わせるが、予想に反して喋り方は若々しく、一人称は「僕」。<br>極度の厭世家で、必要以上の言葉は一切喋らない。ただ伝承ほど病的な人間嫌いではなく、マスターであるロシェやスポンサーのダーニックとは普通に会話する。<br>とはいえ生前、病のせいで引き籠りがちな生活を送っていたので人付き合いはやはり苦手。中でも子供とはまるで縁がなく、懐かれることなど想像もできなかったので、実はマスターであるロシェが少し苦手だったりする。<br>彼の聖杯への願いは少し複雑で、「己の宝具である『王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト)』の完成」。ただ宝具として完成させたのでは「未完成」であり、これにはカバラの考えが大きく影響している。<br>そもそもゴーレムとはカバラの術の一つであり、名は“胎児”や“形作られざるもの”などを意味する。即ち、神が原初の人間の創造した際の秘術を再現するための魔術であり、単に強力な兵器として力を振るうだけの物は決して彼が求める「完成された存在」ではない。<br>『苦難に満ちた我々を、再びエデンの園へと導く偉大なる王』――それこそがアヴィケブロンが究極のゴーレムに求める役割である。その深遠な目的から、常に「より良い宝具(モノ)を作りたい」と願う職人気質の持ち主で、宝具の炉心に使える生贄が現状ゴルドしか居ないことを残念に思っている。 |
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| ;能力 | | ;能力 |
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| == [[宝具]] == | | == [[宝具]] == |
| ;王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト) | | ;王冠・叡智の光(ゴーレム・ケテルマルクト) |
− | :彼が工房内部で設計・鋳造している宝具。一度宝具として召喚してしまうと、無尽蔵に魔力を求め続ける生粋の大喰らいであるため、完成には内部で直接魔力供給を行う『炉心』が必要とされる。<br>『炉心』以外の鋳造は進んでおり、即時投入が可能なよう調整が進められている。 | + | :彼が工房内部で設計・鋳造している宝具。一度宝具として召喚してしまうと、無尽蔵に魔力を求め続ける生粋の大喰らいであるため、完成には内部で直接魔力供給を行う『炉心』が必要とされる。<br>『炉心』以外の鋳造は進んでおり、即時投入が可能なよう調整が進められている。<br>宝具は通常、既に完成したものであり、発動する際に必要とされる条件を除けば、宝具そのものに必要な素材など存在しない。だが例外として『単体の英霊が所有するには、余りに巨大な物』、『未完成であるが故に、伝説に刻まれた代物』が存在する。このゴーレムも[[アサシン (Apocrypha・赤)|赤のアサシン]]の空中庭園と同様にかなり巨大な物体らしく、彼の場合、両方の条件に一致する。 |
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| == 登場作品と役柄 == | | == 登場作品と役柄 == |
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| == 名台詞 == | | == 名台詞 == |
− | <!-- :セリフ:説明 --> | + | ;「――そのゴーレムは、決して無敵という訳ではない。<br> ――むしろ、如何なる方法で死すのかを刻み込まなければならない。<br> ――僕が作るゴーレムは生を獲得する。だからこそ、死ぬ。<br> ――ゴーレムとは、ただ単に土人形を動かすだけの術式ではない。<br> ゴーレムとは、生命の創造……即ち、<RUBY><RB>原初の人間</RB><RT>アダム</RT></RUBY>の模倣である。 |
| + | :ロシェに語った、目指すべき目標。ただ有能なゴーレムを造ればいいと思っていたロシェはこの言葉に感銘を受け、更に彼に心酔することとなる。 |
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| + | ;「僕は弱いからな……あれなら、一撃だ」 |
| + | :どこまでも<RUBY><RB>筋肉</RB><RT>マッスル</RT></RUBY>な赤のバーサーカーと自分を比べて言った、自嘲的なセリフ。<br>病弱な自分の体に若干コンプレックスがあるのかもしれない。 |
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| == メモ == | | == メモ == |
− | *小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人。……なのだが、彼の場合は他の二人とは少し事情が異なる。<br>実は彼の設定は企画段階から検討されていたらしく、担当したのは[[ゲオルギウス]]を制作した三輪清宗氏。設定こそ作られたものの、企画段階で没になったため「マテリアル」にも記載されなかった。<br>だが小説化の際、、魔術師ですらない[[キャスター (Apocrypha・赤)|赤のキャスター]]の対比にもなる真っ当な魔術師の英霊を欲した東出氏によって、復活した。 | + | *小説版で新規に追加されたサーヴァントの一人。……なのだが、他のサーヴァントとは少し事情が異なる。<br>実は彼の設定は企画段階から検討されていたらしく、担当したのは[[ゲオルギウス]]を制作した三輪清宗氏。設定こそ作られたものの、企画段階で没になったため「マテリアル」にも記載されなかった。<br>だが小説化の際、、魔術師ですらない[[キャスター (Apocrypha・赤)|赤のキャスター]]の対比にもなる真っ当な魔術師の英霊を欲した東出氏によって、復活した。 |
− | *彼は詩の才能もあり、「ケテル・マルクト」なる詩集も書いた。この名前は宝具に使われている。 | + | *アヴィケブロンは詩の才能もあり、「ケテル・マルクト」なる詩集も書いた。この名前は宝具に使われている。 |
| *彼は生涯病弱な人物であったとされる。全身を隠した衣装は、人間嫌いな厭世家ということだけではなく、そういった事情を示しているのだと思われる。 | | *彼は生涯病弱な人物であったとされる。全身を隠した衣装は、人間嫌いな厭世家ということだけではなく、そういった事情を示しているのだと思われる。 |
| *生産工場として使える設備の整った工房に、ゴーレムの生産のために一定以上の規模の組織的な投資を必要とする大喰らいのサーヴァント。<br>どちらも持たないマスターからは弱小サーヴァントとして扱われるが、十分な資材があれば無尽蔵に戦力を生産できるため、組織戦において無類の強さを誇る。<br>そのため「聖杯大戦のためのサ−ヴァント」と呼べる。ダーニックが彼の特性を理解した上でロシェに召喚させたのならば、流石と言うしかない。 | | *生産工場として使える設備の整った工房に、ゴーレムの生産のために一定以上の規模の組織的な投資を必要とする大喰らいのサーヴァント。<br>どちらも持たないマスターからは弱小サーヴァントとして扱われるが、十分な資材があれば無尽蔵に戦力を生産できるため、組織戦において無類の強さを誇る。<br>そのため「聖杯大戦のためのサ−ヴァント」と呼べる。ダーニックが彼の特性を理解した上でロシェに召喚させたのならば、流石と言うしかない。 |
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| ;逸話 | | ;逸話 |
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− | *彼は世にも珍しい女性型のゴーレムを召使いとして作成したという伝説があり、 この話を聞いた王が彼を罰しようと呼びつけた時、 王の目の前でこれを分解し、再び組み立てたという。 | + | *アヴィケブロンは世にも珍しい女性型のゴーレムを召使いとして作成したという伝説があり、 この話を聞いた王が彼を罰しようと呼びつけた時、 王の目の前でこれを分解し、再び組み立てたという。<br>Fateでもこの逸話は採用されており、家事をさせるために'''実際に造った'''らしい。どんなゴーレムだったのだろうか……。 |
| + | **[[ウェイバー・ベルベット|ロード・エルメロイII世]]も月霊髄液を使った自立型メイドゴーレムという趣味全開の物を制作している。……もしかしたら気が合うかもしれない |
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| *彼の著書「生命の泉」は、教師と弟子の対話形式で語られ、全体的に厭世的なニュアンスが強いといわれる。5つの論文から成り立っており、質料と形相に関する形而上的な哲学体系を描き出したことで、「質料と形相」という別名で呼ばれることすらある。<br>アラビヤ語で書かれた著作であるが、原典は失われ、現存する最古の本はヨハネス・ヒスバヌスによるラテン語版で、後にそうそうたる神学者達から引用されることになる。<br>他に、「アナク」なるヘブライ語文法の著書もあり、その一部が現存している。 | | *彼の著書「生命の泉」は、教師と弟子の対話形式で語られ、全体的に厭世的なニュアンスが強いといわれる。5つの論文から成り立っており、質料と形相に関する形而上的な哲学体系を描き出したことで、「質料と形相」という別名で呼ばれることすらある。<br>アラビヤ語で書かれた著作であるが、原典は失われ、現存する最古の本はヨハネス・ヒスバヌスによるラテン語版で、後にそうそうたる神学者達から引用されることになる。<br>他に、「アナク」なるヘブライ語文法の著書もあり、その一部が現存している。 |