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: このように鈴鹿峠の盗賊、鈴鹿山の女神や天女、魔王の娘と様々な出自なのは時代や地域、さらには御伽草子や奥浄瑠璃などの形態の違いにより、鈴鹿御前(立烏帽子)に求められる役割まで違ったためである。<br>鈴鹿御前の名前では天女、立烏帽子の名前では盗賊や鬼として登場することが多い。
 
: このように鈴鹿峠の盗賊、鈴鹿山の女神や天女、魔王の娘と様々な出自なのは時代や地域、さらには御伽草子や奥浄瑠璃などの形態の違いにより、鈴鹿御前(立烏帽子)に求められる役割まで違ったためである。<br>鈴鹿御前の名前では天女、立烏帽子の名前では盗賊や鬼として登場することが多い。
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; 三振りの宝剣
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; 鈴鹿御前の宝剣
 
: 鈴鹿御前の三振りの宝剣である'''大通連'''、'''小通連'''、'''顕明連'''は御伽草子や奥浄瑠璃などに登場する架空の刀であるため実在はしないが、伝承や写本の違いなどにより表記や由来は様々である。
 
: 鈴鹿御前の三振りの宝剣である'''大通連'''、'''小通連'''、'''顕明連'''は御伽草子や奥浄瑠璃などに登場する架空の刀であるため実在はしないが、伝承や写本の違いなどにより表記や由来は様々である。
 
:: 『鈴鹿の草子』『鈴鹿の物語』『田村の草子』では、三振りの宝剣は天竺真方国の阿修羅王が大嶽丸に贈ったものだが、坂上田村麻呂に味方した鈴鹿御前の謀略により大通連と小通連は奪取に成功し、坂上田村麻呂を勝利に導いた。しかしもう一振りの顕明連は大嶽丸が天竺真方国の叔父である三面鬼に預けており、その神通力を持って大嶽丸の復活を許してしまう事になる。
 
:: 『鈴鹿の草子』『鈴鹿の物語』『田村の草子』では、三振りの宝剣は天竺真方国の阿修羅王が大嶽丸に贈ったものだが、坂上田村麻呂に味方した鈴鹿御前の謀略により大通連と小通連は奪取に成功し、坂上田村麻呂を勝利に導いた。しかしもう一振りの顕明連は大嶽丸が天竺真方国の叔父である三面鬼に預けており、その神通力を持って大嶽丸の復活を許してしまう事になる。
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: これらの違いは盗賊、天女、第四天魔王の娘と変化していく過程で、物語中の鈴鹿御前の役割の変化に併せるように、三振りの宝剣の役割も変っていったものと思われる。もっとも、彼女を祀る鈴鹿峠の片山神社には「鈴鹿流薙刀術発祥之地」の碑が建ち、京都祇園祭の山車である鈴鹿山の御神体でも大長刀を手にしていることから、鈴鹿姫信仰の上では刀剣より薙刀を振るう印象が強く浸透している。
 
: これらの違いは盗賊、天女、第四天魔王の娘と変化していく過程で、物語中の鈴鹿御前の役割の変化に併せるように、三振りの宝剣の役割も変っていったものと思われる。もっとも、彼女を祀る鈴鹿峠の片山神社には「鈴鹿流薙刀術発祥之地」の碑が建ち、京都祇園祭の山車である鈴鹿山の御神体でも大長刀を手にしていることから、鈴鹿姫信仰の上では刀剣より薙刀を振るう印象が強く浸透している。
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; 坂上田村麻呂との剣合
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; 坂上田村麻呂との剣合わせ
: 作中の回想にある、鈴鹿御前と坂上田村麻呂が剣合したシーンは、室町時代前期の『太平記』や『酒呑童子絵巻』にも記載されている。
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: 作中での回想にある鈴鹿御前と坂上田村麻呂が剣合わせをしたシーンは、室町時代前期の『太平記』や『酒呑童子絵巻』にも記述されている。
: 『酒呑童子絵巻』では、彼女との剣合の際に坂上田村麻呂が用いた刀が'''血吸'''であり、剣合の後に伊勢神宮に奉納した血吸が源頼光に渡って酒呑童子の首を斬ったという。言わば源頼光の振るう刀'''童子切安綱'''自体の由緒を高めるための脇役エピソードでしかなかった。
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: 『酒呑童子絵巻』では、彼女との剣合わせの際に田村麻呂が用いたのは安綱より奉じられた'''血吸'''という太刀であった。剣合わせの後に田村麻呂は伊勢神宮に血吸を奉納したが、後世には[[源頼光]]の手に渡って[[酒呑童子]]の首を斬ったときに使われた。言わば源頼光の振るう'''童子切安綱'''の由緒を高めるためのエピソードになっている。
: 彼女が坂上田村麻呂と互いに助け合いながら数々の鬼神を退治し英雄としての功績を紡いでいくのは、室町時代後期に『鈴鹿の草子』『鈴鹿の物語』『田村の草子』など、鈴鹿御前と坂上田村麻呂が中心の御伽草子が成立してからになる。
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: 彼女が田村麻呂と互いに助け合いながら数々の鬼神を退治し英雄としての功績を紡いでいくのは、室町時代後期に『鈴鹿の草子』『鈴鹿の物語』『田村の草子』など、鈴鹿御前と田村麻呂が中心の御伽草子が成立してからになる。
    
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