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| ; 略歴 | | ; 略歴 |
− | : 『[[Fate/Apocrypha]]』では正史とは異なる第三次聖杯戦争にて、アヴェンジャー[[アンリマユ]]の代わりに召喚された。というのも、[[アンリマユ]]という神に近い存在を制御する自信の無かったアインツベルンは、他のサーヴァントに対する令呪の使用権を持つ「ルーラー」を悪用するため、「中立の審判」としてではなく「参加者」として彼を召喚した。だが不正に召喚された「ルーラー」であるため、その機能は十分ではなく、また彼は「ルーラー」が本来持っていてはならないはずの「聖杯への願い」を持っていた。 | + | : 『[[Fate/Apocrypha]]』の過去において行われた第三次聖杯戦争にて、正史と異なりアインツベルンによって召喚されたサーヴァント。この世界では[[アンリマユ]]という神に近い存在を制御する自信の無かったアインツベルンは、本来ならば中立かつ裁定者として聖杯戦争に積極的に勝敗に関わらないルーラーを「参加者」として召喚した。 |
− | : 『神明裁決』による令呪執行機能と『真名看破』による弱点を突く作戦によって、聖杯獲得まで後一歩のところまで迫ったもののマスターが死亡したことで敗北を喫した。しかし、偶然の積み重ねにより大聖杯に触れたことで受肉し、監督役であった[[言峰璃正]]の助力を得て偽の身分「シロウ・コトミネ」と大聖杯の行方を探るために聖堂教会での役職を手に入れ、半世紀以上も行動を起こす機会を伺っていた。 | + | : イレギュラー召喚の影響もあり、本来召喚されないはずの東洋の英霊である彼が召喚された上に、その英霊としての能力も三流であったが、『神明裁決』による令呪執行機能と『真名看破』による弱点を突く作戦によって、聖杯獲得まで後一歩のところまで迫ったもののマスターが死亡したことで敗北を喫した。 |
− | : 聖杯大戦を監督するという名目で聖遺物の管理・回収を生業とする第八秘蹟会から派遣され、自身も赤の陣営のマスターの一人として参加しており、アサシンを召喚している。
| + | : しかし、偶然の積み重ねにより大聖杯に触れたことで受肉し、監督役であった[[言峰璃正]]の助力を得て偽の身分「シロウ・コトミネ」と大聖杯の行方を探るために聖堂教会での役職を手に入れ、半世紀以上も行動を起こす機会を伺っていた。 その目的は「人類の救済」であり、冬木大聖杯に真の意味でそれを成し得る可能性を見出した彼は、奪われた大聖杯がいつか何処かで使われる機会を、あらゆる文献や調査で大聖杯や聖杯戦争、第三魔法の仕組みなどを探りながら待ち続けていた。 |
− | : いかなる手段を用いたかは不明だが、[[獅子劫界離|獅子劫]]を除く「赤」の陣営のマスターを傀儡にしており、彼らのサーヴァントを事実上支配下に置いている。また、[[ジャンヌ・ダルク|ルーラー]]を世界でただ一人の断固として排除すべき障害と見なしており、彼女を排除する為にあらゆる手段を講じている。大聖杯の奪取後、自らの目的を果たすため空中庭園と共に何処かを目指して移動を開始する。
| + | : 聖杯大戦勃発後は監督するという名目で聖遺物の管理・回収を生業とする第八秘蹟会から派遣され、自身も赤の陣営のマスターの一人として参加し、かねてより自分の目的のために必要な英霊として目星をつけていた[[アサシン|セミラミス]]を召喚。彼女の毒を使うことで[[獅子劫界離|獅子劫]]を除く「赤」の陣営のマスターを傀儡にし、ルーラーを襲撃させるなど暗躍する。後に令呪とマスター権を譲渡させて赤陣営の[[ランサー|カルナ]]、[[アーチャー|アタランテ]]、[[ライダー|アキレウス]]、[[キャスター|シェイクスピア]]のマスターとなる。大聖杯の奪取後、自らの目的を果たすため空中庭園で漂いながら赤の陣営のサーヴァントたちに目的を話して説得することに成功し、第三魔法の全人類への発動のために大聖杯炉心へと突入、自身の宝具を用いてその改造と掌握に成功する。しかし完全起動を待たずして[[ルーラー|ジャンヌ・ダルク]]と[[ジーク]]との死闘の末に致命傷を負い、アサシンに看取られながら死亡した。 |
| :『[[Fate/Grand Order]]』終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚されており、[[巌窟王 エドモン・ダンテス|二人の]][[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕|アヴェンジャー]]に続いてⅩの座を統括する[[魔神柱|廃棄孔アンドロマリウス]]との戦いに参戦する。 | | :『[[Fate/Grand Order]]』終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』では冠位時間神殿に召喚されており、[[巌窟王 エドモン・ダンテス|二人の]][[ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕|アヴェンジャー]]に続いてⅩの座を統括する[[魔神柱|廃棄孔アンドロマリウス]]との戦いに参戦する。 |
| ; 人物 | | ; 人物 |
| : 修道服と赤い外套を身に纏う褐色の青年。一人称は「私」「俺」。 | | : 修道服と赤い外套を身に纏う褐色の青年。一人称は「私」「俺」。 |
− | : 一見するとまだあどけなさの残る面貌と人当たりの良い穏やかな好青年だが、その笑みからは年齢に見合わない超然的で達観した雰囲気を醸し出しており、その振る舞いが妙に計算的に見えることがある。 | + | : 一見するとまだあどけなさの残る面貌と人当たりの良い穏やかな好青年だが、その笑みからは年齢に見合わない超然的で達観した雰囲気を醸し出しており、その振る舞いが妙に計算的に見えることがある。また彼の佇まいには戦場に似つかわしくない謀略の臭いが染み付いており、程度の差はあれども表面上は同じ陣営の仲間である獅子劫や赤の陣営のサーヴァント達からさえも不信感や警戒心を抱かれている。 |
− | : また彼の佇まいには戦場に似つかわしくない謀略の臭いが染み付いており、程度の差はあれども表面上は同じ陣営の仲間である獅子劫や赤の陣営のサーヴァント達からさえも不信感や警戒心を抱かれている。セイバー以外の、事実上支配下に置いたサーヴァント達には彼らのマスターとの「仲介人」と名乗り、その真意を誰にも打ち明けない不気味な男。 | + | : 人間は嫌いだが、人類を深く愛している。これは生前、人間がどこまで下衆に、下劣に、そして残酷に強くなれるかを見てしまったことに加え、自身が体験した第三次聖杯戦争とその直後に起きた第二次世界大戦の出来事でその想いをより強固にした。結果として、人類を救済するには大聖杯の奇跡、即ち第三魔法「魂の物質化」しかないと結論付ける。 |
− | : 聖杯大戦を利用して「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」という己の野望を成就させようとしている。その目的達成の為ならば多くの無辜の命を踏みにじっても、あらゆる必要な要素を躊躇なく奪い、敵対する者は逡巡なく駆逐するという鋼鉄の意思を持ち合わせている。 | + | :「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」人類の救済という夢のために、人間を信じる心を捨てて「人間を信じない」という道を選んだ彼は60年を掛けて目的達成のために考え続け、悩み続けながら自分の精神を自己改造し、目的達成の為ならば自分の人間への愛も憎しみも置き去りにし、封印し、目を背け、多くの無辜の命を踏みにじっても、あらゆる必要な要素を躊躇なく奪い、敵対する者は駆逐する鋼鉄の意思とするべく進み続けた。 |
− | : 人間は嫌いだが、人類は愛している。これは、生前の出来事がきっかけで、人間がどこまで下衆に、下劣に、そして残酷に強くなれるかを見てしまったためである。この生前からの価値観に加え、自身が体験した第三次聖杯戦争とその直後に起きた第二次世界大戦の出来事を見た事で、最終的に人類を救済するには大聖杯の奇跡、即ち第三魔法による魂の物質化を行うしかないと考えるようになった。 | + | : 『Apocrypha』では黒幕であるが、その存在自体は善良なものである。彼の思想は人類がいつか辿り着くであろう場所、そこにほんの僅か近道への案内をするものであると言える。一方で、彼が見据えた物はあくまでも「人類」という種の救済であり、「人間」個人の我欲や喜怒哀楽、生の苦悶といったものを救おうとしなかった。そのため、紛れもなく悪でもある。 |
− | : 『Apocrypha』では黒幕であるが、その存在自体は善良なものである。彼の思想はいつか辿り着くであろう場所、そこにほんの僅か近道への案内をするものであると言える。しかし、その彼が見据える物はあくまでも「人類」という生物種を魔術を用いて自身の理想の形で保全する事であり、「人類」を「人間・個人」の集まりとして見なした上でそれらの幸福や生命などを守るなどという事では決してない。そのため、その存在の善良さに反し、その思想や行動は人類からすると悪逆そのものであるとも言える。
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| : このように、他者から非難されるような手法や策略を用いてでも自分の理想を叶えようと、その真意や本性を滅多に明かす事無く暗躍する彼であるが、人間関係に置いては他人と強固に壁を作るというよりかは、常に他者との距離をギリギリ敵対関係にも親しい関係にもならないようにするタイプであり、マスターとの関係も極めて穏当なものに留まる。 | | : このように、他者から非難されるような手法や策略を用いてでも自分の理想を叶えようと、その真意や本性を滅多に明かす事無く暗躍する彼であるが、人間関係に置いては他人と強固に壁を作るというよりかは、常に他者との距離をギリギリ敵対関係にも親しい関係にもならないようにするタイプであり、マスターとの関係も極めて穏当なものに留まる。 |
| : しかし、それでも彼の中での最優先事項は聖杯の願望を叶えることに変わりはなく、どれほど親しくなろうとも、マスターが自分の理想や考え方を受け入れてくれない限りは常に粛清の対象とみなす。しかし、逆に彼の意見や思想に賛同してその力を振るう者、そして夢を託すに相応しい人間だと認めた者に対しては、喜んで自分の命さえも差し出す。 | | : しかし、それでも彼の中での最優先事項は聖杯の願望を叶えることに変わりはなく、どれほど親しくなろうとも、マスターが自分の理想や考え方を受け入れてくれない限りは常に粛清の対象とみなす。しかし、逆に彼の意見や思想に賛同してその力を振るう者、そして夢を託すに相応しい人間だと認めた者に対しては、喜んで自分の命さえも差し出す。 |
| : 基本的には誰にでも柔和で礼儀正しい態度を崩さないため、律儀で堅苦しく真面目な所が非常に目立つが、『Fate/Grand Order』では仮面を被ってノリノリで遊んでいたり、自分が胡散臭く見えることを自覚した上で手作りクッキーをくれたりと、外見年齢相応にはっちゃけることも多い。 | | : 基本的には誰にでも柔和で礼儀正しい態度を崩さないため、律儀で堅苦しく真面目な所が非常に目立つが、『Fate/Grand Order』では仮面を被ってノリノリで遊んでいたり、自分が胡散臭く見えることを自覚した上で手作りクッキーをくれたりと、外見年齢相応にはっちゃけることも多い。 |
| ; 能力 | | ; 能力 |
− | : 謀略家・戦術家としての手腕や実力は非常に高い。表では大戦の監督官として[[スパルタクス|赤のバーサーカー]]の通過する進路上で起こりうる問題の対処に奔走し、その裏ではアサシンが使役する鳩を通じてルーマニア全域の動向を把握しつつ、戦況に応じて的確にサーヴァントを使いこなし、さらに次の段階へ進むための準備も怠らない。 | + | : 生前は特異な魔術回路を生まれつき持っただけの魔術使いに過ぎず、生前の「奇跡」も全て魔術によるもの。そのためサーヴァントとしての能力はさして使い道のない宝具と平凡な能力を駆使する必要がある。 |
− | : アサシンへの魔力供給は問題なく行える事から、魔術師としても高い特性を持つ事が伺える。本人の自己申告によればアインツベルンによるイレギュラー召喚でルーラーとして召喚された結果ルーラーとしての彼が人理に記録されただけで本来、サーヴァントとして召喚されるとしたら[[キャスター]]として召喚されるとのこと。 | + | : アサシンへの魔力供給は問題なく行える事から、魔術師としてのポテンシャルは低くないことが伺える。本人の自己申告によればアインツベルンによるイレギュラー召喚でルーラーとして召喚された結果ルーラーとしての彼が人理に記録されただけで本来、サーヴァントとして召喚されるとしたら[[キャスター]]として召喚されるとのこと。 |
| + | : 一方で謀略家・戦術家としての手腕や実力は高い。表では大戦の監督官として[[スパルタクス|赤のバーサーカー]]の通過する進路上で起こりうる問題の対処に奔走し、その裏ではアサシンが使役する鳩を通じてルーマニア全域の動向を把握しつつ、戦況に応じて的確にサーヴァントを使いこなし、さらに次の段階へ進むための準備も怠らない。 |
| : 戦闘において、黒鍵と日本刀を武器とする。黒鍵は一度標的に弾かれても、再度標的に襲い掛かるよう術式が組み込まれており、刀身を伸ばして即席の壁を作り出すことも出来る。日本刀「三池典太」はかつてとある剣豪が愛用していた品で、[[ウィリアム・シェイクスピア|赤のキャスター]]の「エンチャント」によってCランク相当の宝具と化しており、これによって剣の技量がそこまで高くない彼でも他のサーヴァントと互角に撃ち合うことが可能になっている。 | | : 戦闘において、黒鍵と日本刀を武器とする。黒鍵は一度標的に弾かれても、再度標的に襲い掛かるよう術式が組み込まれており、刀身を伸ばして即席の壁を作り出すことも出来る。日本刀「三池典太」はかつてとある剣豪が愛用していた品で、[[ウィリアム・シェイクスピア|赤のキャスター]]の「エンチャント」によってCランク相当の宝具と化しており、これによって剣の技量がそこまで高くない彼でも他のサーヴァントと互角に撃ち合うことが可能になっている。 |
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| == [[宝具]] == | | == [[宝具]] == |
| + | : いずれも彼が生前に起こした「奇跡」が信仰によって宝具と化したもの。 |
| + | : 「奇跡」の正体は単なる魔術であり、この宝具の効果も「あらゆる魔術基盤に接続し、どんな魔術でも使えるようになる」という程度である。汎用性こそ高いものの、聖杯戦争という場においては戦闘補助程度にしかならず、これらだけでは決め手に欠ける二流サーヴァントに過ぎない。例えキャスターとして召喚されてもメディアのような一級魔術師には絶対に叶わない程度の代物でしかない。 |
| + | : ただし「大聖杯」という物自体が一種の魔術であるため、この宝具を用いれば大聖杯に接続し、乗っ取り、その機能を書き換えてしまうことも可能である。これにより、大聖杯を第三魔法を行使しつづける物に改造して、全人類に第三魔法を適用するのがシロウの目指す「人類の救済」の正体である。 |
| + | |
| ; 左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス) | | ; 左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス) |
| : ランク:D<br />種別:対人宝具<br />レンジ:1<br />最大捕捉:1 | | : ランク:D<br />種別:対人宝具<br />レンジ:1<br />最大捕捉:1 |
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| : 「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(偽)』に類似した効果を与え、右腕と合わせて洗礼詠唱を強化する。 | | : 「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(偽)』に類似した効果を与え、右腕と合わせて洗礼詠唱を強化する。 |
| : また、この宝具には対象者を「不老」にする効果があり、この効果によって彼は受肉しながらでも半世紀以上の時を耐えることが出来た。 | | : また、この宝具には対象者を「不老」にする効果があり、この効果によって彼は受肉しながらでも半世紀以上の時を耐えることが出来た。 |
− | : | + | : 大聖杯掌握時には「左腕・縮退駆動(レフトハンド・フォールトトレラント)」として右腕の機能を転写しスペックを縮小させつつ左腕一本で賄えるようにする力を使った。 |
| ; 右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター) | | ; 右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター) |
| : ランク:D<br />種別:対人宝具<br />レンジ:1<br />最大捕捉:1 | | : ランク:D<br />種別:対人宝具<br />レンジ:1<br />最大捕捉:1 |
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| : 戦闘において自身の補助を行う対人宝具であり、シロウが保有する「未来視」などの特殊能力を強化・支援する。 | | : 戦闘において自身の補助を行う対人宝具であり、シロウが保有する「未来視」などの特殊能力を強化・支援する。 |
| : 「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(真)』に類似した効果を与え、洗礼詠唱を強化する。 | | : 「あらゆる魔術基盤に接続する」能力の他、スキル『心眼(真)』に類似した効果を与え、洗礼詠唱を強化する。 |
− | : | + | : 大聖杯掌握時には「右腕・空間遮断(ライトハンド・セーフティシャトダウン)」として「右腕・零次集束」の発動準備を行った。 |
− | : いずれも彼が生前に起こした「奇跡」が信仰によって宝具と化したもの。
| + | |
− | : 「奇跡」の正体は単なる魔術であり、この宝具の効果も「あらゆる魔術基盤に接続し、どんな魔術でも使えるようになる」という程度である。汎用性こそ高いものの、聖杯戦争という場においては戦闘補助程度にしかならず、これらだけでは決め手に欠ける二流サーヴァントに過ぎない。例えキャスターとして召喚されてもメディアのような一級魔術師には絶対に叶わない程度の代物でしかない。
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− | : ただし「大聖杯」という物自体が一種の魔術であるため、この宝具を用いれば大聖杯に接続し、乗っ取り、その機能を書き換えてしまうことも可能である。これにより、大聖杯を第三魔法を行使しつづける物に改造して、全人類に第三魔法を適用するのがシロウの目指す「人類の救済」の正体である。
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| ; 双腕・零次集束(ツインアーム・ビッグクランチ) | | ; 双腕・零次集束(ツインアーム・ビッグクランチ) |
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| ;「―――かつて、憎んだことはある」<br>「神も、人も、全てを憎んだことはある。それは認めようライダー。<br> 私はかつて、確かに人間が憎かった。自分を殺されたからでも、仲間を虐殺されたからでもない。<br> それを歴史の<RUBY><RB>構造</RB><RT>システム</RT></RUBY>として受け入れる人類そのものが憎かった。<br> 強者と弱者があり、互いに喰らい合い、命を浪費することで成長し続けるという人類がただただ憎かった」<br />「だから、私は捨てたぞライダー。<br> 彼らを憎悪するという心を、人類救済のために切り捨てた。<br> だから今は憎くなどない。この世界の誰であろうと、必ず救う。必ずだ」 | | ;「―――かつて、憎んだことはある」<br>「神も、人も、全てを憎んだことはある。それは認めようライダー。<br> 私はかつて、確かに人間が憎かった。自分を殺されたからでも、仲間を虐殺されたからでもない。<br> それを歴史の<RUBY><RB>構造</RB><RT>システム</RT></RUBY>として受け入れる人類そのものが憎かった。<br> 強者と弱者があり、互いに喰らい合い、命を浪費することで成長し続けるという人類がただただ憎かった」<br />「だから、私は捨てたぞライダー。<br> 彼らを憎悪するという心を、人類救済のために切り捨てた。<br> だから今は憎くなどない。この世界の誰であろうと、必ず救う。必ずだ」 |
| :ライダーから自分と自分に付き従った連中を殺した人間が憎くないのかと問われた際の返答。返答次第では即座に槍を使うつもりだったライダーに対し、向かい合い、目線は逸らさない。そこに狂気の片鱗はなく、強者の驕りもない。「奇跡」と謳われ挫折した少年の瞳は、ぞっとするほど、透明だった。言葉の後には、ただ沈黙が広がる。 | | :ライダーから自分と自分に付き従った連中を殺した人間が憎くないのかと問われた際の返答。返答次第では即座に槍を使うつもりだったライダーに対し、向かい合い、目線は逸らさない。そこに狂気の片鱗はなく、強者の驕りもない。「奇跡」と謳われ挫折した少年の瞳は、ぞっとするほど、透明だった。言葉の後には、ただ沈黙が広がる。 |
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| + | ;全てを憎むか。全てを悲しむか。<br>……私は選んだのだ。全てを悲しもう、全てを慈しもう。私は人間を信じている。いつか、当たり前のようにそこへ到達するのだと信じている。 |
| + | だけど、辿り着くまでに失うものは沢山あって。<br>無念は雪のように降り積もっていく。<br>私にできることはないだろうか。私が人の哀しみを癒やす方法はあるのだろうか。<br>――あった。<br> |
| + | 確かにそれは人を正しく救済する。辿り着くべき場所に至る唯一の近道だった。 |
| + | : いつか人間は悪性を乗り越えて平和へと至る。そう信じているからこそ、それまでに失うもの、無念、哀しみを癒やしたいと、減らしたいと願ったからこそ四郎は第三魔法を求める。 |
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| + | ;聖人では人は救えても、現実から救うことも未来を得ることもできなかった。<br>戦いは人類を成長させる。それは事実かもしれない。だけど、それでは――それでは、弱者が踏みにじられ続ける世界となってしまう。<br>だから救う。<br>全てを救うのだ―― |
| + | : セミラミスを召喚するなり語った目的。当然戯言だと一笑に付されたが、その後契約を結び、彼の足掻きを理解した最古の暗殺者は彼への協力を誓う。 |
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| + | ;「――聖杯に問う。我が奇跡は誤りか、我が願いは異端か、我々が信じたものは切り捨てられるべきものなのか」<br>「ならば。我々は何故美しいと思うのか。何故平和を愛し、幸福を愛し――それが第三者のものでさえ、愛しく思えるのか」<br>「それは、いつかここに辿り着くべきだと。<br>そう考えていたからではないか。答えよ、万能の願望機、答えてみせろ!我が願望に邪悪はあるか!!我らの希望に汚点はあるかッ!?<br>「ならば、我が願いを聞き届けよ。我らの祈りを確かなものとしろ!<br>聖杯、己はその真の役割に殉じるがいい!人類は天の杯を掴み、無限の星々に至るのだから!」 |
| + | :人類史において数々の人が祈り、叶うことがなかった「人類が全て、等しく平和で幸福に満ちていますように――」という祈り。<br>それが傲慢であると、罪であると、そんなものは存在しないと、幻想だと、そう考えるほうが邪悪であると「正しい現実」の前に踏みにじられて来たモノ。<br>それでも。それでも平和を願った願いは遂に辿り着く。第三魔法、天の杯。人を次のステップへと導く奇跡である。 |
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| + | ;「では、何故――いえ、そうですね。貴方は個人を救い、私は全てを救うことを望んだ」<br>「貴女はご自分を聖人ではないと仰るでしょうが。私は誰より、貴女を聖女だと信じます。私も貴女のように考えようとした時期もあった。しかし、私には耐えられなかった」 |
| + | : 自身の掲げる救済と、シェイクスピアの宝具に寄って心折れかけてなお立ち上がったジャンヌの救済の違いを知る。 |
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| ===Fate/Grand Order=== | | ===Fate/Grand Order=== |
| ;「サーヴァント、ルーラー。天草四郎時貞。誰かに似ています? 他人の空似というやつですよ」 | | ;「サーヴァント、ルーラー。天草四郎時貞。誰かに似ています? 他人の空似というやつですよ」 |