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;略歴
 
;略歴
:衛宮切嗣に助けられてから世界を救うための旅をしており、5年ほど前に冬木市にやってきた際に美遊に出会った。切嗣の死後に託された美遊を妹として共同生活を送る傍ら、桜とジュリアンとともに学校生活を送るが、美遊の所在をジュリアンに知られてしまい、奪われてしまう。
+
:幼いころに災害で家族を失い、自身も瓦礫に埋もれて死に瀕していたところを衛宮切嗣に救われる。その後は切嗣の養子兼助手として人類救済の方法を探す旅を共にする。
:言峰からエインズワース家の目的や世界の現状を知らされるも、美遊を助けることを選び、エインズワース家との戦いの末に妹の美遊を平行世界に逃がすことは成功するものの、自身は囚われの身となっていた。美遊が元の世界に連れ戻され再びエインズワース家に囚われた後、救出に訪れたイリヤ達と遭遇し、妹の救出を託す。イリヤ達とエインズワース家の戦いのどさくさに紛れ、[[子ギル]]によって救出された彼は、妹を助けるため再び戦場に立った。
+
:本編から5年ほど前に、神稚児信仰を現代に伝える朔月家を調べるために冬木市にやってきた際に、人の願いを叶える力を持つ、朔月家の'''神稚児'''美遊に出会う。謎の災害によって孤児となった美遊を人類救済の手段とするために引き取った。
 +
:切嗣の死後、美遊と兄妹のように暮らしながら、桜、ジュリアンとともに学校に通う平穏な生活を送るが、切嗣から託された人類救済の願いと、その破格の願いを叶える代償として、魂ごとこの世界に永久に縛られることになるという美遊への情との間で苦悩していたが、ある夜、「士郎さんと本当の兄妹になりたい」という美遊の願いを聞いたことで、切嗣から引き継いだ理想を捨てて美遊と本当の家族になる道を選んだ。
 +
:本当の家族としてやりなおすために、美遊を朔月家の跡地へ連れて行き、美遊の神稚児としての力と、美遊を引き取った本当の理由を告白しようとしたが、人類救済の願いを叶える道具として美遊を探していたジュリアンに美遊の存在を知られてしまい、奪われてしまう。
 +
:親友であったジュリアンと敵対し、さらに平穏な日常の象徴だと思っていた桜を聖杯戦争によって失うが、桜の遺した屑カードを自分自身を触媒とすることで英霊エミヤと繋げ、美遊を救い出すためにエインズワース家の聖杯戦争に参加する。
 +
:戦いの末に聖杯戦争の勝者となり、集めた7枚のクラスカードを使って「美遊が幸せになれますように」と願い、美遊を平行世界(イリヤの世界)に逃がすことに成功するものの、自身は最後の戦いで力尽き、エインズワース家に囚われの身となっていた。
 +
:美遊が元の世界に連れ戻され再びエインズワース家に囚われた後、美遊救出に訪れたイリヤ達と遭遇し、妹の救出を託す。イリヤ達とエインズワース家の戦いのどさくさに紛れ、[[子ギル]]によって救出された彼は、妹を助けるため再び戦場に立った。
    
;人物
 
;人物
:妹と過ごしていた時間があるせいか、本編やプリヤ時空の士郎と比べると若干女性の扱いに慣れている。とはいえ、桜以外に年頃の女性と積極的に付き合ってきた経験がないためか、アンジェリカがフェミニンな服を着用していた時には視線のやり場に困っていた。
+
:人類全てを切り捨てでも、たった一人の妹の幸せを願った、衛宮士郎のもう一つの姿。
:幼少時は切嗣を「正義の味方」として憧れたが、冬木に訪れた際に切嗣が闇に飲み込まれそうになる大量の被害者を前に背を向けてしまったことに加えて美遊に対して道具に近い態度を取ったこと、死亡した切嗣から世界を救うことができる美遊を託されるも、そうなれば美遊が世界を救済するために永遠に魂と器を世界に縛られることを知った士郎は「正義」に対して迷いを抱いてしまう。ならばいっそのこと力を失ってしまえばとさえ願ってしまうが、美遊が「士郎と本当の兄妹になりたい」という願いを聞き、美遊の兄になることを決めた。
+
:本編の衛宮士郎と同じく、切嗣を「正義の味方」として憧れていたが、切嗣の助手として幼少期から戦争や災害の現場見てきたため、切嗣の正義が「より多くを救うために少数の犠牲を切り捨てる」事しか出来ないということを理解していた。それでも切嗣の正義を正しいと信じていたが、美遊を人類救済のための道具として扱う切嗣と自身に無邪気な親愛を寄せてくる美遊との間で板挟みになり、「正義」に疑問を持つようになる。
:それまでのぎこちない笑いではなく心から笑うことができ、周りに目を向けることができたが、美遊に対して朔月家から連れ出されたという事実を隠し続けることに耐えられず、それを打ち明け、懺悔して本当の兄妹になろうとするが、それもエインズワース家に見つかったことで崩れ落ちてしまう。
+
:志半ばで倒れた切嗣から美遊を使った人類の救済を託されるが、美遊を道具として扱う事も、かといって完全に人として育てる事も出来ず、屋敷の中に秘匿したまま数年の時を過ごすうちに、美遊とのあいだに兄妹のような絆を育んでいくことになる。
:奇跡を起こす存在である美遊を奪い取ろうとする人間や勢力、即ちエインズワース家に美遊を連れ去られた挙句、親友だったジュリアンも一転して敵対状態に陥り、更に言峰から世界と美遊のどちらかを選ぼうとも正義は崩れることを突きつけらてしまう。その最中、桜から聖杯戦争の開始を告げられ、日常を共に過ごした桜さえも聖杯戦争に関わりのある家系の関係者であることを知り、その果てに彼女は兄である慎二の手により死んでしまった。
+
:美遊を犠牲にして人類を救済しようとするエインズワース家を「正義」と認めているが、たった一人のかけがえのない存在の幸せを願う事を「それを悪だというのなら、俺は悪で良い」と受け入れている。
:正義に憧れたのに何一つ救えず、ただ漠然と真似て取り繕ってきただけの偽物である事を、全てを失い、こうして剥き出しになった自分が無価値な存在である事も、そういった過酷な出来事を経て思い知った。だからこそ「本当を始めよう」と、守護者となった別の可能性の自分の力を、たった一人の妹を守るために振るうことを誓った。エインズワース家からの刺客を次々と倒し、ジュリアンと再会した彼は妹を犠牲にして人類を救おうとするエインズワース家を「正義」と認めながらも、その考えを否定し「悪」となった。
+
:その過酷な経歴からか、本編の士郎と比較しても口調や声が大人びており、敵対者に対する対応にも容赦がない。
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:本編の士郎と同じく家事全般を得意としている。また、美遊の着替えは大体手伝っていたらしく、着物の着付けや髪結いが上手い。
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:保護者不在、男手一つで妹を育ててきたためか、本編やプリヤ時空の士郎と比べると若干女性の扱いに慣れている。とはいえ、桜以外に年頃の女性と積極的に付き合ってきた経験がないためか、アンジェリカがフェミニンな服を着用していた時には視線のやり場に困っていた。
 +
 
 
;能力
 
;能力
:『stay night』同様に投影魔術を駆使して戦うが、クラスカードで繋がった英霊が守護者となった別の可能性の自分を前借りしており、起源すらも錬鉄の英雄と同じになっている。かなりの負担を強いるようで、戦うたびに士郎の身体は英霊エミヤに「置換(侵食)」され、髪は白髪化し、体も褐色に染まっていく。声も幽閉された時には、扉越しに聞いたイリヤたちが士郎と認識できなかった程にしわがれていると思われたが、実際はイリヤの知っている士郎より少し大人びている程度。
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:『stay night』同様に投影魔術を駆使して戦うが、その力の秘密はクラスカードによって自分の未来の可能性の姿である英霊エミヤの力を自身に降ろし、その技能と魔術回路を前借している事による。
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:本来一時的に英霊の技能や宝具を借り受けるクラスカードだが、「自分自身のカード」をインストールし戦い続けた事により、士郎の身体は英霊エミヤに「置換(侵食)」され、髪は一部が白髪化し、体も一部が褐色に染まっている。
 
:本人曰く「魔術回路を先取りしただけで入れ物はポンコツのまま」。「無限の剣製」も使用可能なようだが、エインズワース家との決戦の際には魔力が十分に無い為、不発に終わってしまった。
 
:本人曰く「魔術回路を先取りしただけで入れ物はポンコツのまま」。「無限の剣製」も使用可能なようだが、エインズワース家との決戦の際には魔力が十分に無い為、不発に終わってしまった。
 
:なお、魔術についても正しい形で教えられたようで、鍛錬の際は強化した定規で鉄パイプをバラバラにしていた。
 
:なお、魔術についても正しい形で教えられたようで、鍛錬の際は強化した定規で鉄パイプをバラバラにしていた。
:過去に行われた第五次聖杯戦争ではアーチャーのカードを使用して、ヘラクレスやアーサー王などのカードを使用するエインズワース家からの刺客を悉く撃破して聖杯を手に入れ、ギルガメッシュのカードを使うアンジェリカに対して固有結界を展開して足止めしきるという大金星を挙げたが、本来は魔力量としては到底不可能なレベルであり、美遊の「願い」が効果を発揮して魔力が流れ込んできていたためにできた芸当である。
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:過去に行われた第五次聖杯戦争では英霊エミヤのカードを使用して、ヘラクレスやアーサー王などのカードを使用するエインズワース家からの刺客を悉く撃破して聖杯戦争の勝者となった。美遊を平行世界に逃がすための儀式が完了するまでの時間稼ぎとして、ギルガメッシュのカードを使うアンジェリカと戦った際は、もはやクラスカード無しでも英霊エミヤの力を行使できるほどに置換(侵食)が進んでおり、固有結界『無限の剣製』を展開し、神造兵装であるイガリマ・シュルシャガナすら(中身のないハリボテとしてだが)投影し、乖離剣エアのエヌマエリシュを結界内の全ての剣を束ねて迎撃するなど、まさに人間離れした力を振るった。
 +
:しかしそれらは本来の魔力量としては到底不可能なレベルの魔術行使であり、それを可能としたのは美遊との間に知らぬ間に繋がっていたパスから膨大な魔力が送られていたためである。士郎の願いが成就し、美遊が平行世界に旅立った瞬間、魔力供給が途切れ力尽きた。
    
=== [[クラスカード]] / [[宝具]] ===
 
=== [[クラスカード]] / [[宝具]] ===
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;クラスカード・アーチャー
 
;クラスカード・アーチャー
 
;限定展開
 
;限定展開
:不明。
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:弓(矢は付属しない)
 
;夢幻召喚
 
;夢幻召喚
:英霊エミヤと一時的に同化し、アーチャーの宝具とスキル、身体能力を会得する。
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:英霊エミヤと一時的に同化し、エミヤの宝具とスキル、身体能力を会得する。
:元はどの英霊にも繋がらない失敗作の「屑カード」だったが、士郎が己の全てを差し出す代わりにエミヤが力を貸すことで変身に成功した。
+
:元はどの英霊にも繋がらない失敗作の「屑カード」だったが、士郎自身が触媒となる事で英霊エミヤへと繋がったイレギュラーなカード。
 
:白いマントの下に右腕が露出した赤い外套を纏い、頭部にバンダナを着けた姿となっている。
 
:白いマントの下に右腕が露出した赤い外套を纏い、頭部にバンダナを着けた姿となっている。
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;干将・莫耶
 
;干将・莫耶
 
:対となる白色・黒色の夫婦剣。『Fate/stay night』の士郎同様、メインの武器として多用する。
 
:対となる白色・黒色の夫婦剣。『Fate/stay night』の士郎同様、メインの武器として多用する。
:普通の斬撃や投擲の他、大量に投影して突き刺して一斉にオーバーロードすることでズタズタに引き裂く大技も使いこなした。
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:普通の斬撃や投擲の他、大量に投影して突き刺して一斉にオーバーエッジにすることでズタズタに引き裂く大技も使いこなした。
    
;是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)
 
;是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)
:[[ヘラクレス|バーサーカー]]から斧剣ごと投影した秘剣。数多くある「射殺す百頭(ナインライブズ)」の対人用である全ての斬撃が一つに重なって見えるほどの「ハイスピードな九連撃」。
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:[[ヘラクレス|バーサーカー]]から斧剣ごと投影した秘剣。数多くある「射殺す百頭(ナインライブズ)」の形態うち、対人用である全ての斬撃が一つに重なって見えるほどの「ハイスピードな九連撃」。
    
;熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)
 
;熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)
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;絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)  
 
;絶・万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)  
 
:イガリマと対になる炎の巨剣。龍の翼のような形状と赤熱した刃を持つ。
 
:イガリマと対になる炎の巨剣。龍の翼のような形状と赤熱した刃を持つ。
:イガリマと同じく、アンジェリカが使用した原典のシュルシャガナを迎撃するために投影した。
+
:イガリマと同じく、アンジェリカが使用した原典のシュルシャガナを迎撃するために、全工程を破棄したハリボテとして投影した。
 
;偽・螺旋剣(カラドボルグII)
 
;偽・螺旋剣(カラドボルグII)
 
:[[フェルグス・マック・ロイ|フェルグス]]が所有していた、対軍宝具を投影し、改造したモノ。
 
:[[フェルグス・マック・ロイ|フェルグス]]が所有していた、対軍宝具を投影し、改造したモノ。
:巨大なデコイで油断させて背後に回り込んだ慎二を返り討ちにするために使用した。
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:触手の怪物と化した慎二を消し飛ばそうとしたが、触手の怪物をデコイとして背後に回り込んでいた慎二に気付き、背後に向けて突き刺し返り討ちにした。
:ザカリーでの戦いにおいてもゼロ距離で放って致命傷を負わせた。
+
:セイバーをインストールしたザカリーとの戦いにおいてもゼロ距離で『壊れた幻想』として放ち致命傷を負わせた。
    
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
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===プリズマ☆イリヤ===
 
===プリズマ☆イリヤ===
 
;[[イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (プリズマ☆イリヤ)|イリヤスフィール・フォン・アインツベルン]]
 
;[[イリヤスフィール・フォン・アインツベルン (プリズマ☆イリヤ)|イリヤスフィール・フォン・アインツベルン]]
:義理の妹。「お兄ちゃん」と呼ばれ、慕われている。
+
:義理の妹。「お兄ちゃん」と呼ばれ慕われるとともに、兄妹以上の好意を寄せられている。
 +
:他のヒロインとのエッチなハプニングの際には、嫉妬からの制裁を受ける事も。
    
;[[アイリスフィール・フォン・アインツベルン]]
 
;[[アイリスフィール・フォン・アインツベルン]]
:義理の母。ドラマCDでは「母さん」と呼んでいる。
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:義理の母。「母さん」「士郎」と呼び合っている。
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:何かと扱いが雑な気がするが、きちんと「愛する子供たち」の中に数えられている。
    
;[[衛宮切嗣]]
 
;[[衛宮切嗣]]
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;[[クロエ・フォン・アインツベルン]]
 
;[[クロエ・フォン・アインツベルン]]
 
:義理の従妹であり、自分の義妹と同一の存在。彼女にも「お兄ちゃん」と呼ばれ、慕われている。
 
:義理の従妹であり、自分の義妹と同一の存在。彼女にも「お兄ちゃん」と呼ばれ、慕われている。
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:イリヤと同じく兄妹以上の好意を寄せられており、ご褒美にキスをねだる、布団に潜り込む、風呂に乱入する等、
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:イリヤよりアグレッシブに好意を表してくるためタジタジである。
    
;[[遠坂凛#遠坂凛 (Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ)|遠坂凛]]、[[ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト#ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト(Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ)|ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト]]
 
;[[遠坂凛#遠坂凛 (Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ)|遠坂凛]]、[[ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト#ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト(Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ)|ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト]]
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;[[間桐桜]]
 
;[[間桐桜]]
 
:弓道部の後輩。Fate本編同様に日常の象徴であったが、後に聖杯戦争関係者だと知る。
 
:弓道部の後輩。Fate本編同様に日常の象徴であったが、後に聖杯戦争関係者だと知る。
:「何もかも捨てて一緒に逃げよう」と言われて心が揺れるが、美遊を助ける為に彼女を選ばないことを選んだ。
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:「何もかも捨てて一緒に逃げよう」と言われて心が揺れるが、結局彼女を選ぶ事は無かった。
 
:本編の時間軸では衝撃的な再会を果たす。
 
:本編の時間軸では衝撃的な再会を果たす。
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:士郎は全てを失ったワケではない。独善的で矮小で無価値な――自分への「誓い」。例えそれが悪だとしても、例えその先が地獄だとしても、大切な<ruby><rb>美遊</rb><rt>いもうと</RT></RUBY>を取り戻す。そして、士郎の戦いはここから始まった。
 
:士郎は全てを失ったワケではない。独善的で矮小で無価値な――自分への「誓い」。例えそれが悪だとしても、例えその先が地獄だとしても、大切な<ruby><rb>美遊</rb><rt>いもうと</RT></RUBY>を取り戻す。そして、士郎の戦いはここから始まった。
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;「あらゆる願いを叶えてしまう神稚児…その力を独占してきた朔月家が何を願ってきたのか お前に分かるか?」
 
;「彼らは――ただ 子の健やかな成長を願った 富も繁栄も思いのままはずなのに<br> 親から子への…ごく当たり前の願いだけを叶えてきたんだ 四百年もの間 ひとつの例外もなく…!<br> それを 悪だと言うのなら…<br> 俺は悪でいい」
 
;「彼らは――ただ 子の健やかな成長を願った 富も繁栄も思いのままはずなのに<br> 親から子への…ごく当たり前の願いだけを叶えてきたんだ 四百年もの間 ひとつの例外もなく…!<br> それを 悪だと言うのなら…<br> 俺は悪でいい」
:『ドライ』より。大空洞で再会したジュリアンに対し、朔月家の願いを代弁する士郎。
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:『ドライ』より。個人の感傷で人類の救済と言う願いを無に帰すことを「人類全てへの裏切り」「最低の悪」というジュリアンに対して、朔月家の願いを代弁する士郎。
:四百年間、神稚児という力を持ちながら、普通の子としての成長を願ってきた朔月家の思い。
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:四百年間、富でも繁栄でもなく、ただ我が子が普通に幸せになってくれればいいと、それだけを願ってきた無上の愛。
:それが人類に対する裏切りになっても、美遊という一人の妹の幸せを願い、士郎はジュリアンの言う「最低の悪」となった。
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:それが悪だというのなら、自分は悪で構わないと。
    
;「…そんなの 考えるまでもない<br> 俺はお兄ちゃんだからな 妹を守るのは当たり前だろ?」
 
;「…そんなの 考えるまでもない<br> 俺はお兄ちゃんだからな 妹を守るのは当たり前だろ?」
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;「無限の剣を内包する世界<br> 俺にはこの全てが<br> 墓標に見えるよ」
 
;「無限の剣を内包する世界<br> 俺にはこの全てが<br> 墓標に見えるよ」
 
:過去におけるアンジェリカとの戦いで、自身の固有結界を展開して。
 
:過去におけるアンジェリカとの戦いで、自身の固有結界を展開して。
:たった一人の妹の人並みの幸せの為に全人類を犠牲にする決断をして、別の自分に浸食され、自分が生きていることを何かの間違いと言う果てに至ったのは、無数の剣が墓標のように突立つ、闇に閉ざされて星も道も見えない「無明の雪原」であった。
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:たった一人の妹の人並みの幸せの為に全人類を犠牲にする決断の果てに至ったのは、無数の剣が墓標のように突立つ、無明の雪原であった。
:その世界に立つ剣の全てを、世界を展開した張本人は「墓標」だと言い切る。救いの無い世界を興しても、死せる者の武具を叩き起こしてこれを冒涜しても、それでも「たったひとつ」「たったひとりの妹」のために「悪」である兄は、その全てを振るう。それがどれほどの許されぬ罪であったとしても。
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:その世界に立つ剣の全てを「墓標」だと言い切る。まるでこれから自分の成す「悪」の犠牲になる人々の墓標であると言うかのように。
    
;「悪いが付き合ってもらうぞ 俺の<ruby><rb>剣</rb><rt>からだ</rt></ruby>が尽きるまで…!」
 
;「悪いが付き合ってもらうぞ 俺の<ruby><rb>剣</rb><rt>からだ</rt></ruby>が尽きるまで…!」
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