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| : 修道服と赤い外套を身に纏う褐色の青年。一人称は「私」「俺」。 | | : 修道服と赤い外套を身に纏う褐色の青年。一人称は「私」「俺」。 |
| : 一見するとまだあどけなさの残る面貌と人当たりの良い穏やかな好青年だが、その笑みからは年齢に見合わない超然的で達観した雰囲気を醸し出しており、その振る舞いが妙に計算的に見えることがある。また彼の佇まいには戦場に似つかわしくない謀略の臭いが染み付いており、程度の差はあれども表面上は同じ陣営の仲間である獅子劫や赤の陣営のサーヴァント達からさえも不信感や警戒心を抱かれている。 | | : 一見するとまだあどけなさの残る面貌と人当たりの良い穏やかな好青年だが、その笑みからは年齢に見合わない超然的で達観した雰囲気を醸し出しており、その振る舞いが妙に計算的に見えることがある。また彼の佇まいには戦場に似つかわしくない謀略の臭いが染み付いており、程度の差はあれども表面上は同じ陣営の仲間である獅子劫や赤の陣営のサーヴァント達からさえも不信感や警戒心を抱かれている。 |
− | : 生前の島原の乱の折、民と、民の信じる神の嘆きを聞き、重税と弾圧に苦しむ人々を一人でも救いたいと考え続けたが、その結果戦う意志を見せて敗北するのが最善である「勝ってはいけない戦い」であることを理解しながらも制圧軍の一部に勝利してしまい、本腰を入れて一揆勢を攻撃した幕府軍によって四郎自身も含め愛する人々を尽く惨殺された。彼らを救えるならば自分の命を喜んで投げ出す覚悟であったが叶わなかった現実と、大局を取ることを決断できなかった後悔から、人間を救うのではなく人類を救うことで全てを救うという願いを抱くようになる。 | + | : 生前の島原の乱の折、民と、民の信じる神の嘆きを聞き、重税と弾圧に苦しむ人々を一人でも救いたいと考え続けたが、その結果戦う意志を見せて敗北するのが最善である「勝ってはいけない戦い」であることを理解しながらも制圧軍の一部に勝利してしまい、本腰を入れて一揆勢を攻撃した幕府軍によって四郎自身も含め愛する人々を尽く惨殺された。彼らを救えるならば自分の命を喜んで投げ出す覚悟を持っていた彼だったが、それでもどうにもできなかった現実と、大局を取ることを決断できなかった後悔から、人間を救うのではなく人類を救うことで全てを救うという願いを抱くようになる。 |
− | : 全ての救済のため、「人間は嫌いだが、人類を深く愛する」そのように自分の心を歪ませるという考えに至る。島原の乱で人間がどこまで下衆に、下劣に、そして残酷に強くなれるかを見てしまっていたことに加え、自身が体験した第三次聖杯戦争とその直後に起きた第二次世界大戦の出来事でその想いをより強く持つようになる。そして、人類を救済するには大聖杯の奇跡、即ち第三魔法「魂の物質化」しかないと結論付け、「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」という夢の実現を目指すようになった。 | + | : 全ての救済のため、「人間は嫌いだが、人類を深く愛する」そのように自分の心を歪ませるという考えに至る。島原の乱で人間の邪悪で残酷な一面を見た事が強く心に残っており、また自身が体験した第三次聖杯戦争とその直後に起きた第二次世界大戦の出来事を見てその想いをより強く持つようになる。そして、人類を救済するには大聖杯の奇跡、即ち第三魔法「魂の物質化」しかないと結論付け、「万人が善性であり、万人が幸福である世界。あらゆる悪が駆逐された『この世全ての善』を手に入れる」という夢の実現を目指すようになった。 |
− | : 仲間たちの魂の鎮魂のために戦いという愛や悲しみも、仲間や家族を殺した敵への憎しみや怒りを持たなかったわけではなく、彼らも同じ人類であり悲劇を生み出し続ける人類という機構への憎しみがなかったわけでもない。しかし60年を掛けて、人類への憎しみも、人間への愛も憎しみも信じる心も置き去りにし、封印し、目を背け、自分自身を裏切り、精神の自己改造を続けた。多くの無辜の命を踏みにじっても、あらゆる必要な要素を躊躇なく奪い、敵対する者は駆逐する鋼鉄の意思とするべく進み続けた。そのエゴも、傲慢さも理解しながら、それでもそう在ろうとし続け、悩み考えながら救済を求め続けている。 | + | : 仲間たちの魂の鎮魂のために戦いという愛や悲しみも、仲間や家族を殺した敵への憎しみや怒りを持たなかったわけではなく、悲劇を生み出し続ける人類という機構への憎しみがなかったわけでもない。しかし大いなる目的のために60年を掛けてそうした思いを捨て去り、人類への憎しみも、人間への愛も憎しみも信じる心も置き去りにし、必要とあらば自分自身さえも裏切って見せるような精神性を身につけた。そうして多くの無辜の命を踏みにじってでも必要な要素を手に入れようとし、敵対する者は容赦無く駆逐する鋼鉄のような意志を以って信じる道を進み続けた。そのエゴも、傲慢さも理解しながら、それでもそう在ろうとし続け、悩み考えながら救済を求め続けている。 |
| : 『Apocrypha』では黒幕であるが、その存在自体は善良なものである。彼の思想は人類がいつか辿り着くであろう場所、そこにほんの僅か近道への案内をするものであると言える。一方で、彼が見据えた物はあくまでも「人類」という種の救済であり、「人間」個人を我欲や喜怒哀楽、生の苦悶といったものから救済する事では決してない。そのため、その存在や思想の善良さに反し、その過程や行動は悪であるとも言える。 | | : 『Apocrypha』では黒幕であるが、その存在自体は善良なものである。彼の思想は人類がいつか辿り着くであろう場所、そこにほんの僅か近道への案内をするものであると言える。一方で、彼が見据えた物はあくまでも「人類」という種の救済であり、「人間」個人を我欲や喜怒哀楽、生の苦悶といったものから救済する事では決してない。そのため、その存在や思想の善良さに反し、その過程や行動は悪であるとも言える。 |
| : このように、他者から非難されるような手法や策略を用いてでも自分の理想を叶えようと、その真意や本性を滅多に明かす事無く暗躍する彼であるが、人間関係に置いては他人と強固に壁を作るというよりかは、常に他者との距離をギリギリ敵対関係にも親しい関係にもならないようにするタイプであり、マスターとの関係も極めて穏当なものに留まる。 | | : このように、他者から非難されるような手法や策略を用いてでも自分の理想を叶えようと、その真意や本性を滅多に明かす事無く暗躍する彼であるが、人間関係に置いては他人と強固に壁を作るというよりかは、常に他者との距離をギリギリ敵対関係にも親しい関係にもならないようにするタイプであり、マスターとの関係も極めて穏当なものに留まる。 |
| : しかし、それでも彼の中での最優先事項は聖杯の願望を叶えることに変わりはなく、どれほど親しくなろうとも、マスターが自分の理想や考え方を受け入れてくれない限りは容赦無く粛清の対象とみなす。しかし、逆に彼の意見や思想に賛同してその力を振るう者、そして夢を託すに相応しい人間だと認めた者に対しては、喜んで自分の命さえも差し出す。 | | : しかし、それでも彼の中での最優先事項は聖杯の願望を叶えることに変わりはなく、どれほど親しくなろうとも、マスターが自分の理想や考え方を受け入れてくれない限りは容赦無く粛清の対象とみなす。しかし、逆に彼の意見や思想に賛同してその力を振るう者、そして夢を託すに相応しい人間だと認めた者に対しては、喜んで自分の命さえも差し出す。 |
− | : 基本的には誰にでも柔和で礼儀正しい態度を崩さないため、律儀で堅苦しく真面目な所が非常に目立つが、『Fate/Grand Order』では仮面を被ってノリノリで遊んでいたり、自分が胡散臭く見えることを自覚した上で手作りクッキーをくれたり、オリオンのバレンタインのお返しのお菓子で遊んでいたりと、外見年齢相応にはっちゃけたりする所もある。 | + | : 基本的には誰にでも柔和で礼儀正しい態度を崩さないため、律儀で堅苦しく真面目な所が非常に目立つが、『Fate/Grand Order』では仮面を被ってノリノリで遊んでいたり、自分が胡散臭く見えることを自覚した上で手作りクッキーをくれたり、オリオンのバレンタインのお返しのお菓子で遊んでいたりと、外見年齢相応に遊び心を見せる時もある。 |
| ; 能力 | | ; 能力 |
| : 生前は特異な魔術回路を生まれつき持っただけの魔術使いに過ぎず、生前の「奇跡」も全て魔術によるもの。そのためサーヴァントとしての能力はさして使い道のない宝具と平凡な能力を駆使する事が出来る程度である。 | | : 生前は特異な魔術回路を生まれつき持っただけの魔術使いに過ぎず、生前の「奇跡」も全て魔術によるもの。そのためサーヴァントとしての能力はさして使い道のない宝具と平凡な能力を駆使する事が出来る程度である。 |
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| : いずれも彼が生前に起こした「奇跡」が信仰によって宝具と化したもの。 | | : いずれも彼が生前に起こした「奇跡」が信仰によって宝具と化したもの。 |
| : 「奇跡」の正体は単なる魔術であり、この宝具の効果も「あらゆる魔術基盤に接続し、どんな魔術でも使えるようになる」という程度である。汎用性こそ高いものの、聖杯戦争という場においては戦闘補助程度にしかならず、これらだけでは決め手に欠ける二流サーヴァントに過ぎない。例えキャスターとして召喚されてもメディアのような一級魔術師には絶対に叶わない程度の代物でしかない。 | | : 「奇跡」の正体は単なる魔術であり、この宝具の効果も「あらゆる魔術基盤に接続し、どんな魔術でも使えるようになる」という程度である。汎用性こそ高いものの、聖杯戦争という場においては戦闘補助程度にしかならず、これらだけでは決め手に欠ける二流サーヴァントに過ぎない。例えキャスターとして召喚されてもメディアのような一級魔術師には絶対に叶わない程度の代物でしかない。 |
− | : ただし「大聖杯」という物自体が一種の魔術であるため、この宝具を用いれば大聖杯に接続し、乗っ取り、その機能を書き換えてしまうことも可能である。これにより、大聖杯を第三魔法を行使しつづける物に改造して、全人類に第三魔法を適用するのがシロウの目指す「人類の救済」の正体である。 | + | : しかし、「大聖杯」という物自体が一種の魔術である事を利用すれば、この宝具を用いて大聖杯に接続し、その機能を書き換えてしまうことも可能である。これにより、大聖杯を第三魔法を行使しつづける物に改造して、全人類に第三魔法を適用するのがシロウの目指す「人類の救済」の正体である。 |
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| ; 左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス) | | ; 左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス) |
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| ;「いえいえ、残念ながらおかあさんではありませんよ。<br/> ですが、クリスマスは貴女のおかあさんが沢山できる日です。よかったですね。」 | | ;「いえいえ、残念ながらおかあさんではありませんよ。<br/> ですが、クリスマスは貴女のおかあさんが沢山できる日です。よかったですね。」 |
| :同上イベントにて、ジャックちゃんに「おかあさん?」と聞かれての返答。 | | :同上イベントにて、ジャックちゃんに「おかあさん?」と聞かれての返答。 |
− | :「クリスマスには恋人関係が進展して行為に走る事が多い」という、とても聖職者とは思えないようなブラックジョーク。それを主人公からは「ジャックに変なこと吹き込む奴は霊基変換の刑に処す」と不興を買った。 | + | :「クリスマスには恋人関係が進展して行為に走る事が多い」という、とても聖職者とは思えないようなブラックジョーク。それを聞いた主人公からは「ジャックに変なこと吹き込む奴は霊基変換の刑に処す」と怒られた。 |
| :元ネタはタキシード仮面が美少女戦士に下ネタトリビアを披露する有名な怪文書コピペ「タキシードクイズ」。 | | :元ネタはタキシード仮面が美少女戦士に下ネタトリビアを披露する有名な怪文書コピペ「タキシードクイズ」。 |
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| :いわゆるバテレン追放令などのキリシタン弾圧を初めて行ったのが[[豊臣秀吉]]なのだが、その政策は徳川家康に引き継がれた。彼らがキリシタン弾圧を推し進めたのは、[[織田信長]]の元で一向一揆の脅威に晒されていた経験が根底にある。 | | :いわゆるバテレン追放令などのキリシタン弾圧を初めて行ったのが[[豊臣秀吉]]なのだが、その政策は徳川家康に引き継がれた。彼らがキリシタン弾圧を推し進めたのは、[[織田信長]]の元で一向一揆の脅威に晒されていた経験が根底にある。 |
| : 『宗教』のもと団結した民衆の恐ろしさに加え、西欧諸国による海外の植民地政策の手口(商人(交流)→宣教師(調査)→軍隊(侵略))や布教にかこつけてやって来た外国人が人攫いなどの犯罪行為を働いていた事などを知っていた2人は、政権を握ると信長が段階的に行ってきた政教分離政策を更に加速させていくが、イエズス会によって日本にもたらされたキリスト教はこの政教分離政策に中々従おうとせず(当時の欧州において、バチカンの法王の権威は各国の国王より上位だったので、日本でも将軍や大名の命令や取り決めを守らなかった)、しかもキリスト教に帰依した大名達も秀吉に反発する有様であった。 | | : 『宗教』のもと団結した民衆の恐ろしさに加え、西欧諸国による海外の植民地政策の手口(商人(交流)→宣教師(調査)→軍隊(侵略))や布教にかこつけてやって来た外国人が人攫いなどの犯罪行為を働いていた事などを知っていた2人は、政権を握ると信長が段階的に行ってきた政教分離政策を更に加速させていくが、イエズス会によって日本にもたらされたキリスト教はこの政教分離政策に中々従おうとせず(当時の欧州において、バチカンの法王の権威は各国の国王より上位だったので、日本でも将軍や大名の命令や取り決めを守らなかった)、しかもキリスト教に帰依した大名達も秀吉に反発する有様であった。 |
− | : このような状況に業を煮やした秀吉はついにバテレン追放令に代表されるキリシタン弾圧に踏み切る。その内容は過酷を極めたが、結果的には日本の植民地化を防いだ一因になったのは確かだろう。 | + | : このような状況に業を煮やした秀吉はついにバテレン追放令に代表されるキリシタン弾圧に踏み切る。その内容は過酷を極めたが、結果的には日本の植民地化を防いだ一因になったのも確かだろう。 |
| : 日本にいた宣教師達はバックに西欧の軍事国家がついている自分達を弾圧し始めた日本政権の方針に驚愕し、当時の欧州最強国であったイスパニア(現スペイン)の国王フェリペ2世に無敵艦隊の出動を手紙で要請した程である。もっとも、その内容といえば'''「5万の兵力もあれば九州ぐらいは簡単に制圧できる」'''というあまりにも日本の国力をみくびり過ぎた杜撰な見積もり<ref>秀吉がバテレン追放令を出した当時、'''肝心の無敵艦隊は[[フランシス・ドレイク]]に壊滅させられた直後だった'''上に、当時の九州には朝鮮出兵の為に30万を超える兵力が集結していた為、5万程度の兵力では瞬殺されるのがオチである。ついでに言うと、当時の日本は'''50万丁以上の鉄砲を有する世界最強の軍事大国'''でもあった。</ref>であり、当時の宣教師達がいかに国王というものを軽視し、東洋諸国を舐めていたかが伺える。 | | : 日本にいた宣教師達はバックに西欧の軍事国家がついている自分達を弾圧し始めた日本政権の方針に驚愕し、当時の欧州最強国であったイスパニア(現スペイン)の国王フェリペ2世に無敵艦隊の出動を手紙で要請した程である。もっとも、その内容といえば'''「5万の兵力もあれば九州ぐらいは簡単に制圧できる」'''というあまりにも日本の国力をみくびり過ぎた杜撰な見積もり<ref>秀吉がバテレン追放令を出した当時、'''肝心の無敵艦隊は[[フランシス・ドレイク]]に壊滅させられた直後だった'''上に、当時の九州には朝鮮出兵の為に30万を超える兵力が集結していた為、5万程度の兵力では瞬殺されるのがオチである。ついでに言うと、当時の日本は'''50万丁以上の鉄砲を有する世界最強の軍事大国'''でもあった。</ref>であり、当時の宣教師達がいかに国王というものを軽視し、東洋諸国を舐めていたかが伺える。 |
− | :*近年の史料では、フェリペ2世は本気で無敵艦隊の派遣を検討していたらしい事が判明している。もっとも実現していた場合、5万人の輸送コストだけで国家財政が潰れていただろうが(5万人の人間を船舶のみで輸送するには、現在でも莫大な費用が掛かる。当時のイスパニアの破綻寸前レベルの財政難の事を考えてもかなり無謀な計画である)。 | + | :*近年の史料では、フェリペ2世は本気で無敵艦隊の派遣を検討していたらしい事が判明している。もっとも、実際にやろうとしたところで5万人の輸送コストだけで国家財政が潰れるのがオチだろうが(5万人の人間を船舶のみで輸送するには、現在でも莫大な費用が掛かる。当時のイスパニアの破綻寸前レベルの財政難の事を考えてもかなり無謀な計画である)。 |
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| ;島原の乱 | | ;島原の乱 |
− | :三代将軍・徳川家光の治世の時に発生した、大阪の陣以降では初の大規模騒乱。一般には天草・島原藩によるキリシタン弾圧に反発した人々の騒乱という認識が広まっているが、'''実際は過重な年貢の取りたてが根本原因であり、キリシタンの反攻は二の次に過ぎなかった'''。 | + | :三代将軍・徳川家光の治世の時に発生した、大阪の陣以降では初の大規模騒乱。一般には天草・島原藩によるキリシタン弾圧に反発した人々の騒乱という認識が広まっているが、'''実際には藩主の暴政への不満が根本的な原因であり、キリシタンの反攻は二の次に過ぎなかった'''。 |
− | :当時は古参の大名であっても落ち度があれば容赦無く改易する3代将軍家光の厳しい国政の目や、大名の反乱を防ぐために設けられた強制的に藩の財政難を誘発させる諸政策に恐れて苦しむ藩が非常に多く、この時島原藩を治めていた松倉勝家はそれらへの対策として多くの農民に対して過剰すぎる年貢の取り立てと残虐極まりない罰則による暴政を敷いて無理矢理収入を増やそうとしていた。『黒田長興一世之記』という記録によれば、1637年10月(旧暦)、年貢が支払えない庄屋の身重の妻が役人に捕らわれ、裸で水牢に入れられた。庄屋では年貢の支払いに知恵を絞るも払えるものはもう何もなく、6日後、妻は出産した子供と共に命を落とした。<br>こういった暴虐に耐えかねた人々は同年10月25日に代官を殺害して蜂起、これが島原の乱の始まりである。 | + | :当時は古参の大名であっても落ち度があれば容赦無く改易する3代将軍家光の厳しい国政や、大名の反乱を防ぐための藩への強制的な出費政策に恐れ苦しむ藩が非常に多く、この時島原藩を治めていた松倉勝家はそれらへの対策として藩内の農民に過剰すぎる年貢の取り立てと残虐極まりない罰則を敷いて無理矢理収入を増やそうとしていた。『黒田長興一世之記』という記録によれば、1637年10月(旧暦)、年貢が支払えない庄屋の身重の妻が役人に捕らわれ、裸で水牢に入れられた。庄屋では年貢の支払いに知恵を絞るも払えるものはもう何もなく、6日後、妻は出産した子供と共に命を落とした。<br>こうした暴虐に耐えかねた人々は同年10月25日に代官を殺害して蜂起、これが島原の乱の始まりである。 |
− | :幕府の政策によって他藩が幕府の許可が下りない内は軍を出動させられなかった事などが追い風となり、当初は一揆軍側が優勢であったものの、九州諸藩の討伐軍が島原に進軍してくると次第に追い詰められていき、最終的に島原半島南部にあった原城に立て篭もる。その数は3万7千人にも及び、更に各地から奪った鉄砲などで武装するなど原城の防備を固めた。<br>幕府はまず九州諸藩の討伐軍のみで対処しようとするも、総大将に任じられた板倉重昌に討伐軍を統率するだけの力量が無く、攻撃は全て失敗。遂には重昌も戦死という最悪の結果を迎える(これは後述の援軍派遣決定を受けて責任を取らされる事を恐れた重昌が功を焦って自ら最前線に出て指揮を執りながら突撃したため)。 | + | :幕府の政策によって他藩が幕府の許可が下りない内は軍を出動させられなかった事などが追い風となり、当初は一揆軍側が優勢であったものの、九州諸藩の討伐軍が島原に進軍してくると次第に追い詰められていき、最終的に島原半島南部にあった原城に立て篭もる。その数は3万7千人にも及び、更に各地から奪った鉄砲などで武装するなど原城の防備を固めた。<br>幕府はまず九州諸藩の討伐軍のみで対処しようとするも、総大将に任じられた板倉重昌には討伐軍を統率するだけの力量が無く、ひたすら総攻撃を続けるも攻城は全て失敗。遂には重昌も戦死するという最悪の結果を迎える(これは後述の援軍派遣決定を受けて責任を取らされる事を恐れた重昌が功を焦り、自ら最前線に出て指揮を執りながら総攻撃を仕掛けたため)。 |
− | :このような予想外の結果に驚愕した幕府は「知恵伊豆」と呼ばれた老中・松平信綱を総大将として派遣。援軍を得た討伐軍は12万を数えたという。<br>信綱は無理な攻城は行わず、情報収集や矢文で投降を呼びかけるなどの心理戦を展開。更に一揆軍の食料が残り少ないと見て取ると、兵糧攻めにして一揆軍の弱体化を計った。篭城戦が始まった3ヵ月後の1638年2月27日(旧暦)、遂に総攻撃を開始、兵糧攻めで武器・食料を失っていた一揆軍は総崩れとなり、乱は鎮圧された。 | + | :このような予想外の結果に驚愕した幕府は「知恵伊豆」の異名を持つ老中・松平信綱を総大将として派遣。援軍を得た討伐軍は12万を数えたという。<br>事態を重く見た信綱は緩急を付けた戦い方を心掛けて無理な攻撃を控えるようになり、情報収集や矢文で投降を呼びかけるなどの心理戦を展開。更に一揆軍の食料が残り少ないと見て取ると兵糧攻めにして一揆軍の弱体化を計った。篭城戦が始まった3ヵ月後の1638年2月27日(旧暦)、遂に総攻撃を開始、兵糧攻めで武器・食料を失っていた一揆軍は総崩れとなり、乱は鎮圧された。 |
| :*なお、立て篭もった3万7千人全員が討ち取られたとされているが、最近の史料では1万人ほどが投降・脱出するなどして命を失わなかったと言われている。 | | :*なお、立て篭もった3万7千人全員が討ち取られたとされているが、最近の史料では1万人ほどが投降・脱出するなどして命を失わなかったと言われている。 |
| :そして乱の鎮圧後、松倉勝家は暴政によって騒乱を招いた責任を問われて改易されたばかりか、江戸に罪人として送られ1638年8月(旧暦)斬首刑となった。''大名が切腹ではなく斬首となったのは後にも先にもこの時だけ''であり、さすがの幕府も勝家の目に余る暴政は看過できなかった事が伺える。 | | :そして乱の鎮圧後、松倉勝家は暴政によって騒乱を招いた責任を問われて改易されたばかりか、江戸に罪人として送られ1638年8月(旧暦)斬首刑となった。''大名が切腹ではなく斬首となったのは後にも先にもこの時だけ''であり、さすがの幕府も勝家の目に余る暴政は看過できなかった事が伺える。 |