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;「――何を視たのです?何を知覚したのです?<br> 愚かなこと。<br> 何を視ようと、それは最早<RUBY><RB>過去の残骸に過ぎませぬ</RB><RT>・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>。<br> 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」
 
;「――何を視たのです?何を知覚したのです?<br> 愚かなこと。<br> 何を視ようと、それは最早<RUBY><RB>過去の残骸に過ぎませぬ</RB><RT>・・・・・・・・・・・</RT></RUBY>。<br> 我々は過去の亡霊、亡霊が過去を悔やめばただの怨霊でしかない」
 
:何も知らぬはずの道化の言葉は、これ以上ないほどに純潔の狩人の心底を抉り出し彼女を憤激させた。
 
:何も知らぬはずの道化の言葉は、これ以上ないほどに純潔の狩人の心底を抉り出し彼女を憤激させた。
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;「受け入れましょう、必要とあらば。『<RUBY><RB>逆境こそが人に与える最高の教訓なり</RB><RT>Sweet are the uses of adversity</RT></RUBY>。<RUBY><RB>それは蟇の如く醜く毒があり</RB><RT>Which like the toad,ugly and venomous,</RT></RUBY>、<RUBY><RB>しかして心に貴重な宝石を結ぶ</RB><RT>Wears yet a precious jewel in his head</RT></RUBY>』ですからな」
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:悲劇を書くことを令呪で禁じられたことを嘆くも、シロウから「悲劇を書くつもりかと問われれば嘘をつかざるを得ないだろう」と指摘され、道化は大仰に嘆息して、肩を竦めた。出典は「お気に召すまま」の登場人物である弟に追放された公爵の台詞から。半ば自棄になったような文句。
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;「宮廷道化師と致しましては、精一杯に生存理由を主張したいところですな。我が本、我が書物は<RUBY><RB>必ず</RB><RT>、、</RT></RUBY>不完全でありますが、それ故に美しい物語であると請け合いますぞ」
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:アサシンから自身の書く本が自分達に益しないと判明すれば生かしておく理由はないと恫喝されながら、<RUBY><RB>道化</RB><RT>キャスター</RT></RUBY>は平然と"<RUBY><RB>不完全</RB><RT>、、、</RT></RUBY>"とのたまう。
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;「アッシリアの女帝よ、それは当然でしょう。完全な存在、完全な人間、秩序と論理のみで構築された完全な物語など―――<RUBY><RB>クソ面白くもない</RB><RT></RT>、、、、、、、、</RUBY>!"<RUBY><RB>若葉の日々</RB><RT></RT>My salad days,</RUBY>、<RUBY><RB>何とも青臭い若気の至り</RB><RT></RT>When I was greenin judgement,cold in blood</RUBY>"!吾輩の物語は不完全故に美しく、不完全故に純正の娯楽です。失敗は死?構いませんとも!しくじる確率があり、償わなければならない!<RUBY><RB>だからこそ</RB><RT></RT>、、、、、</RUBY>、吾輩は奮起して傑作を書き上げましょう」
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:上記の返答に対し完全ではないのかと問われて、物書きとしての道化の矜持が、これでもかと無駄にありふれている。因みに出典は「アントニーとクレオパトラ」のクレオパトラの台詞から。
    
;「ははははは!<RUBY><RB>終わりだ</RB><RT>ジ・エンド</RT></RUBY>! これで終わりだ!完結した!完結したぞ!<br> ああ、だがしかし――主役は我輩が演じたかったなぁ! 」
 
;「ははははは!<RUBY><RB>終わりだ</RB><RT>ジ・エンド</RT></RUBY>! これで終わりだ!完結した!完結したぞ!<br> ああ、だがしかし――主役は我輩が演じたかったなぁ! 」