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:なぜ彼が魔道に堕ちたのか――それは、聖女ジャンヌ・ダルクの存在にあった。<br >彼女はジル・ド・レェにとって全てと言ってもよく、この腐敗した現実にあって唯一無二の救いであり、同時にジルにとっては神が実在する証だった。
 
:なぜ彼が魔道に堕ちたのか――それは、聖女ジャンヌ・ダルクの存在にあった。<br >彼女はジル・ド・レェにとって全てと言ってもよく、この腐敗した現実にあって唯一無二の救いであり、同時にジルにとっては神が実在する証だった。
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:――だが、現実は彼の運命を狂わせるほど苦かった。そのジャンヌが異端として処刑されたことで深い絶望を味わい、神を見失う。<br >それから彼は悪鬼に堕ち、戦後において悪政を敷き領民を虐殺と残虐行為を重ねたが、それは悪徳を罰する筈の神は存在しない事を証明する手段でもあった。<br>それを証明するかのように、彼の悪逆と涜神は八年も及んで看過され続け、殺された幼子達の嘆きと悲鳴は闇へと消えた。
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:――だが、現実は彼の運命を狂わせるほど苦かった。そのジャンヌが異端として処刑されたことで深い絶望を味わい、神を見失う。<br >それから彼は悪鬼に堕ち、戦後になると悪政を敷き領民を虐殺するなどの残虐な行為に手を染めるようになったが、それは悪徳を罰する筈の神は存在しない事を証明する手段でもあった。<br>それを証明するかのように、彼の悪逆と涜神は八年も及んで看過され続け、殺された幼子達の嘆きと悲鳴は闇へと消えた。
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:最初は彼の友人であり、パトロンであったフランソワ・プレラーディとともに、財政難を賄うための金策として錬金術に手を出したが、いつしか当初の目的を見失い悪魔の召喚に傾倒するようになる。<br >1440年、残虐な行いが発覚したことで逮捕、教会と国王によって彼は裁かれ、全てを自白して処刑される事となる。<br>結局のところ彼が残虐行為と涜神への糾弾され断罪されたのは、金策のために領土を敵国に売り渡す可能性を危惧され、彼の富と領地を没収する為の口実でしかなかった。<br>彼からしてみれば、それは裁きとは程遠く、千の幼子を手にかけた悪徳よりも輪にかけて浅ましいモノだというのに―――。
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:最初は彼の友人であり、パトロンであったフランソワ・プレラーディとともに、財政難を賄うための金策として錬金術に手を出したが、いつしか当初の目的を見失い悪魔の召喚に傾倒するようになる。<br >1440年、ついに彼の凶行が発覚したことで逮捕、教会と国王によって彼は裁かれ、全てを自白して処刑される事となる。<br>結局のところ彼が残虐行為と涜神への糾弾され断罪されたのは、金策のために領土を敵国に売り渡す可能性を危惧され、彼の富と領地を没収する為の口実でしかなかった。<br>彼からしてみれば、それは裁きとは程遠く、千の幼子を手にかけた悪徳よりも輪にかけて浅ましいモノだというのに―――。
    
:神への信仰心が深すぎたが故に、神を呪い貶めることに取り憑かれたジルは、こうして神に裁かれることなく欲得を優先した人間の手で破滅したが、過去は決して変わらない。<br>如何に優れた武人で国を救った英雄であっても、殺人鬼としての所業を覆すことはできない。それでも彼は永遠に償いを求め続けなければならないのだ。
 
:神への信仰心が深すぎたが故に、神を呪い貶めることに取り憑かれたジルは、こうして神に裁かれることなく欲得を優先した人間の手で破滅したが、過去は決して変わらない。<br>如何に優れた武人で国を救った英雄であっても、殺人鬼としての所業を覆すことはできない。それでも彼は永遠に償いを求め続けなければならないのだ。
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