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| ;「もし僕が今ここで、何もかも抛り投げて逃げ出すと決めたら――アイリ、君は一緒に来てくれるか?」 | | ;「もし僕が今ここで、何もかも抛り投げて逃げ出すと決めたら――アイリ、君は一緒に来てくれるか?」 |
| :掠れた弱々しい声で、考え得る限りにおいて、衛宮切嗣が絶対に口にするはずがないことを問われてアイリは驚きのあまり言葉を失った。そして切嗣がどれほどの瀬戸際に追い詰められているかをこの会話の中で理解した。 | | :掠れた弱々しい声で、考え得る限りにおいて、衛宮切嗣が絶対に口にするはずがないことを問われてアイリは驚きのあまり言葉を失った。そして切嗣がどれほどの瀬戸際に追い詰められているかをこの会話の中で理解した。 |
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| + | ;「――そういえば、僕の"殺し方"を直に君に見せるのは、これが初めてだったね。アイリ」 |
| + | :セイバーに外道さを非難され心の内を問われても何も言わずただ冷淡な眼差しでセイバーを見据えるだけだったが、アイリへと転じた途端に恥じ入るような萎れた感情を露わにした。 |
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| ;「いいや。そこのサーヴァントには話すことなど何もない。栄光だの名誉だの、そんなものを嬉々としてもてはやす殺人者には、何を語り聞かせても無駄だ」 | | ;「いいや。そこのサーヴァントには話すことなど何もない。栄光だの名誉だの、そんなものを嬉々としてもてはやす殺人者には、何を語り聞かせても無駄だ」 |
− | :アイリはなんとか切嗣とセイバーの仲を取り持とうとするが、にべもなく切嗣は無視を続ける。 | + | :アイリはセイバーへの説明を求めるが、にべもなく切嗣は無視を続ける。 |
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| ;「なのに人類はどれだけ死体の山を積み上げようと、その真実に気付かない。いつの時代も、勇猛果敢な英雄サマが、華やかな武勇譚で人々の目を眩ませてきたからだ。血を流すことの邪悪さを認めようともしない馬鹿どもが余計な意地を張るせいで、人間の本質は、石器時代から一歩も前に進んじゃいない!」 | | ;「なのに人類はどれだけ死体の山を積み上げようと、その真実に気付かない。いつの時代も、勇猛果敢な英雄サマが、華やかな武勇譚で人々の目を眩ませてきたからだ。血を流すことの邪悪さを認めようともしない馬鹿どもが余計な意地を張るせいで、人間の本質は、石器時代から一歩も前に進んじゃいない!」 |
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| ;「ふざけるな……ふざけるなッ! 馬鹿野郎ッ!!」 | | ;「ふざけるな……ふざけるなッ! 馬鹿野郎ッ!!」 |
| :ナタリアを手にかけ、吼える切嗣。正義の代償。理想の代価。この呪いと怒りを、切嗣は受け入れる。これが、少年の日の終わり―― | | :ナタリアを手にかけ、吼える切嗣。正義の代償。理想の代価。この呪いと怒りを、切嗣は受け入れる。これが、少年の日の終わり―― |
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| + | ;「――だって、僕は――」 |
| + | ;「僕は――世界を――救うから、だ」 |
| + | :奇跡に背を向け、裏切りの対価すら手放した彼の内側にはもう何もない。だが信念だけは最後まで貫いた。空虚な響きのする言葉だった。 |
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| ;「それでいい。言ったはずだ。――僕は、オマエを担うと」 | | ;「それでいい。言ったはずだ。――僕は、オマエを担うと」 |
| :それは数日前に喩えとして口にした決意の言葉。 | | :それは数日前に喩えとして口にした決意の言葉。 |
| :頬を伝う涙の意味さえ忘れ、黒いドレスの女を絞殺しながらそれを受け入れた。 | | :頬を伝う涙の意味さえ忘れ、黒いドレスの女を絞殺しながらそれを受け入れた。 |
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| + | ;「……子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」 |
| + | :士郎と月を見ながらふと口を衝いて出た言葉。 |
| + | :それは長い間忘れていた、いつだったか、遠い昔に誰かに言おうとして果たせなかった言葉。それをこのとき切嗣は思い出した。 |
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| ===フェイト/タイガーころしあむ アッパー=== | | ===フェイト/タイガーころしあむ アッパー=== |
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| ===Fate/Zero一期BD-BOX特典CD=== | | ===Fate/Zero一期BD-BOX特典CD=== |
| ;「そうだ、ただの器だ。役目はどうあれ、在りようとしてはビールのジョッキと大差ないものなんだ。<br> なんでそいつが手足を生やし、いっぱしの口を利き、使い手に説法するようなことになる。意味が分からん。」 | | ;「そうだ、ただの器だ。役目はどうあれ、在りようとしてはビールのジョッキと大差ないものなんだ。<br> なんでそいつが手足を生やし、いっぱしの口を利き、使い手に説法するようなことになる。意味が分からん。」 |
− | :人の姿をしていることにやりずらさを感じて悪態をつき、文句しか言わない。 | + | :器が人の姿をしていることにやりずらさを感じて悪態をつき文句しか言わない。 |
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| ;「正気の沙汰じゃない。いくらホムンクルスとはいえ、あんたが手ずから作った娘だろうが!」 | | ;「正気の沙汰じゃない。いくらホムンクルスとはいえ、あんたが手ずから作った娘だろうが!」 |
− | :口先ばかりで身を守る事も満足に出来ない欠陥品なら叩き壊して違う器を用意して貰った方がいいとアイリに言っておきながらこの後、狼や怨霊のいる極寒の吹雪の中迎えに行った。<br>情を捨てきれない優しさは性分であり長所であるだろうが、その場の感情で動き過ぎでは。 | + | :口先ばかりで自分を守る事も満足に出来ない欠陥品なら叩き壊して違う器を用意して貰った方がいいとアイリに言っておきながらアハト翁に反発した。そして狼や怨霊のいる極寒の吹雪の中迎えに行った。<br>情を捨てきれない優しさは性分であり長所であるだろうが、その場の感情で動き過ぎでは。 |
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| ;「君は、自分の価値、存在意義についてはあくまで理屈の上では認識しているようだが<br> この世に生まれ落ちた事、自分に課された使命について、喜びや誇りを感じるか?<br> 今回蔑ろにされたのは、君のそういう部分なんだよ」 | | ;「君は、自分の価値、存在意義についてはあくまで理屈の上では認識しているようだが<br> この世に生まれ落ちた事、自分に課された使命について、喜びや誇りを感じるか?<br> 今回蔑ろにされたのは、君のそういう部分なんだよ」 |