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クンティーは身勝手な女ではあったが、それは生来の天真爛漫さと無邪気さから来るもので、決して恥を知らない女ではなかった。<br>彼女とて、自らの行いが我欲に満ちたものだと自覚、自責はあった。今まで独りで育ち、養父たちに感謝し、何の憎しみも抱かないカルナに、醜い嘘をつく事だけは彼女には出来ず、答えられずに項垂れて立ち去ろうとした。<br>だがカルナは「母親としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒したクンティーの覚悟に応え、アルジュナ以外の実力に劣る兄弟たちには手を出さない事を誓う。そうして、カルナなりの母への愛として館の外にクンティーを自ら送り出し、これが親子の最後の別れとなった。
クンティーは身勝手な女ではあったが、それは生来の天真爛漫さと無邪気さから来るもので、決して恥を知らない女ではなかった。<br>彼女とて、自らの行いが我欲に満ちたものだと自覚、自責はあった。今まで独りで育ち、養父たちに感謝し、何の憎しみも抱かないカルナに、醜い嘘をつく事だけは彼女には出来ず、答えられずに項垂れて立ち去ろうとした。<br>だがカルナは「母親としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒したクンティーの覚悟に応え、アルジュナ以外の実力に劣る兄弟たちには手を出さない事を誓う。そうして、カルナなりの母への愛として館の外にクンティーを自ら送り出し、これが親子の最後の別れとなった。
そして最終決戦直前、カルナの懐柔は出来ないと悟ったアルジュナの父である雷神インドラはバラモン僧に化け、沐浴をしていたカルナから黄金の鎧を奪った。だがカルナは父から授かった不死性を失い、自らの破滅を受け入れたにも関わらず、戦いを辞めると言わなかった。アルジュナへの愛しさの余りに姑息な計略で鎧を奪った自分への恨みすら口にしないカルナの潔さに感じ入り、インドラは何故と問う。
「''アナタを恨む事はない。一枚上手だっただけの話だろう。<br> むしろ――そうだな。<br> 神といえど父親である、というのが俺には喜ばしい''」
「''アナタを恨む事はない。一枚上手だっただけの話だろう。<br> むしろ――そうだな。<br> 神といえど父親である、というのが俺には喜ばしい''」