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1,789 バイト追加 、 2019年10月31日 (木) 02:24
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; 「……今の私に……とっては……。この眼下に散見する異物、全て……等しく───<br/> <ruby><rb>不出来にして</rb><rt>・・・・・・</rt></ruby>、<ruby><rb>未熟にして</rb><rt>・・・・・</rt></ruby>、<ruby><rb>無価値らしい</rb><rt>・・・・・・</rt></ruby>。」<br/> 「完全なる世界に……在るべきではないという意味で……それは……邪悪だ。<br/> ……<ruby><rb>不出来</rb><rt>邪悪</rt></ruby>なものを、神は視た。<br/> 次のユガには…………不要、なり…………。」
 
; 「……今の私に……とっては……。この眼下に散見する異物、全て……等しく───<br/> <ruby><rb>不出来にして</rb><rt>・・・・・・</rt></ruby>、<ruby><rb>未熟にして</rb><rt>・・・・・</rt></ruby>、<ruby><rb>無価値らしい</rb><rt>・・・・・・</rt></ruby>。」<br/> 「完全なる世界に……在るべきではないという意味で……それは……邪悪だ。<br/> ……<ruby><rb>不出来</rb><rt>邪悪</rt></ruby>なものを、神は視た。<br/> 次のユガには…………不要、なり…………。」
 
: 外の世界からやってきたラーマやガネーシャ、名乗り出た主人公らを一瞥し、「不出来にして不要」と結論を下す。
 
: 外の世界からやってきたラーマやガネーシャ、名乗り出た主人公らを一瞥し、「不出来にして不要」と結論を下す。
: カルナですらもそれは変わらず、激昂する彼の視線すらも黙殺した。
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: カルナですらもそれは変わらず、激昂する彼の視線すらも黙殺した。だがこのとき、実はアルジュナの口角がごく僅かに上がっているのが確認できる。
    
; 「全神性……統合神力……抽出、凝縮、過程……完了。実行制御は……第十の……。<br/> …………。 展開、準備……開始。」
 
; 「全神性……統合神力……抽出、凝縮、過程……完了。実行制御は……第十の……。<br/> …………。 展開、準備……開始。」
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; 「神は……視る。<br/> 不出来にして……不要。其は、即ち……邪悪、なり。<br/> 寂滅せよ、邪悪…… 新しきユガに、新しき世に……在る事、能わず。<br/> 私は……振るう。終わりの神の……剣を。<br/> 断たれるは……世界。その刃の、狭間に…… 透徹なる……浄化が、横溢し……<br/> 滅亡と、創世が……輪廻する───<br/> ───『<ruby><rb>帰滅を裁定せし廻剣</rb><rt>マハー・プララヤ</rt></ruby>』───」
 
; 「神は……視る。<br/> 不出来にして……不要。其は、即ち……邪悪、なり。<br/> 寂滅せよ、邪悪…… 新しきユガに、新しき世に……在る事、能わず。<br/> 私は……振るう。終わりの神の……剣を。<br/> 断たれるは……世界。その刃の、狭間に…… 透徹なる……浄化が、横溢し……<br/> 滅亡と、創世が……輪廻する───<br/> ───『<ruby><rb>帰滅を裁定せし廻剣</rb><rt>マハー・プララヤ</rt></ruby>』───」
 
: 全ての邪悪を断ち、理想の世界を創造せんと、滅ぼしの神は終末の剣を振り下ろした。
 
: 全ての邪悪を断ち、理想の世界を創造せんと、滅ぼしの神は終末の剣を振り下ろした。
: 世界は神の手によって不要なモノ、すなわち邪悪なモノを取り除かれ、再構築される。そこからまた新しきユガが、始まる。
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: 世界は神の手によって不要なモノ、すなわち邪悪なモノを取り除かれて再構築され、そこからまた新たなユガの循環が繰り返される。
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: 辛うじて難を逃れたカルデア一行が再び訪れた世界には荒廃の気配など何処にもなく、豊かな水と美しい花々の溢れた平和そのものの理想郷が広がっていた。
    
; 「……否。それすらも……些事。もはや……私は……ただ、ユガを繰り返すのみ。<br/> おまえたちの……運んできた……力により。<br/> 緩慢に進んでいた……ユガの周期は……縮減を……果たした。<br/> 故に、私は……続ける。世界の<ruby><rb>邪悪</rb><rt>不出来</rt></ruby>を、滅罪の洪水にて……断ち続ける……。<br/> 神のみに視ゆる、<ruby><rb>ユガの周期が形作る周期</rb><rt>・・・・・・・・・・・</rt></ruby>─── 大ユガの終焉は……近い……。」<br/> 「そして訪れるは……真に、善なる……真に、須要なるもの、のみが残る……<br/> 完全にして理想の……世界の創造───」
 
; 「……否。それすらも……些事。もはや……私は……ただ、ユガを繰り返すのみ。<br/> おまえたちの……運んできた……力により。<br/> 緩慢に進んでいた……ユガの周期は……縮減を……果たした。<br/> 故に、私は……続ける。世界の<ruby><rb>邪悪</rb><rt>不出来</rt></ruby>を、滅罪の洪水にて……断ち続ける……。<br/> 神のみに視ゆる、<ruby><rb>ユガの周期が形作る周期</rb><rt>・・・・・・・・・・・</rt></ruby>─── 大ユガの終焉は……近い……。」<br/> 「そして訪れるは……真に、善なる……真に、須要なるもの、のみが残る……<br/> 完全にして理想の……世界の創造───」
294行目: 295行目:  
: カルナに「おまえは不出来かもしれぬ自らを見据えたことはあるのか」と問い掛けられて。
 
: カルナに「おまえは不出来かもしれぬ自らを見据えたことはあるのか」と問い掛けられて。
 
: アルジュナは、カルナの鋭い眼光で醜い己を暴かれる事が恐ろしくて仕方がなかった。カルナがその目で再び己を見定めようとするのであれば、もはや打ち倒すしかない。
 
: アルジュナは、カルナの鋭い眼光で醜い己を暴かれる事が恐ろしくて仕方がなかった。カルナがその目で再び己を見定めようとするのであれば、もはや打ち倒すしかない。
: 完全性は剥がれ落ち、その下から現れた人間性が牙を向く。相対するのは神ではなく、戦士。決して癒えることのない宿命の大決戦がここに、幾千の時を越えて再び実現する。
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: 完全性は剥がれ落ち、その下から現れた人間性が牙を向く。相対するのは神ではなく戦士。決して癒えることのない因縁、宿命の大決戦がここに幾千の時を越えて再び実現する。
    
; 「力を見せてみろ!カルナ……ッ!!」<br/> 「カルナァァーーーーーーッッ!!!!」
 
; 「力を見せてみろ!カルナ……ッ!!」<br/> 「カルナァァーーーーーーッッ!!!!」
307行目: 308行目:  
: 勝負は決した。悔しさに歯を食いしばり、そうしてふと自分の中にある破綻に気がつく。
 
: 勝負は決した。悔しさに歯を食いしばり、そうしてふと自分の中にある破綻に気がつく。
 
: 自分自身が「邪悪」だと信じて疑わなかった「貪欲さ」は自分の中にもあったのに、自分でそれを忘れてしまうほどの必死さで手を伸ばし、理想を追い求め続けていたに過ぎなかった。
 
: 自分自身が「邪悪」だと信じて疑わなかった「貪欲さ」は自分の中にもあったのに、自分でそれを忘れてしまうほどの必死さで手を伸ばし、理想を追い求め続けていたに過ぎなかった。
: そう。最初から、彼は完全な存在ではなかったのだ。それにようやく気がついた時には、もはや全てが終わろうとしていた。
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: そう。最初から、彼は完全な存在などではなかったのだ。そしてそれは無意識ながら理解していたことでもあったのだが、そのことをようやく思い出した時にはまもなく全てが終わろうとしていた。
    
; 「……敗因を理解した。私の滅業の刃は私の中には届かない。<br/> どれだけユガが輪転しようとも、私の中からおまえに抱く執心という邪悪は消え去らない。<br/> その執心こそが、必要以上に私を真に完璧な神へと至らせようとした。<br/> 民を正しき世界へ導く、邪悪より生まれし最後の神の中に───<br/> さらに、消し去れぬ邪悪が、在った。<br/> それらはおそらく、私にとっては。世界よりも先に壊すべきモノだったのだが……<br/> 壊せなかったが故に、こうなった。愚かに、過ぎる……。」<br/> 「は……そうか。矛盾だ。<br/> 私は自らの不完全性に気付かず、完全と信じた。そしてその完全を信じた事すらも不完全の種子だった。<br/> ああ、そもそもが矛盾していた私は、最初から。<br/> 貴様が望む男にすら、なれてはいなかったのか───」
 
; 「……敗因を理解した。私の滅業の刃は私の中には届かない。<br/> どれだけユガが輪転しようとも、私の中からおまえに抱く執心という邪悪は消え去らない。<br/> その執心こそが、必要以上に私を真に完璧な神へと至らせようとした。<br/> 民を正しき世界へ導く、邪悪より生まれし最後の神の中に───<br/> さらに、消し去れぬ邪悪が、在った。<br/> それらはおそらく、私にとっては。世界よりも先に壊すべきモノだったのだが……<br/> 壊せなかったが故に、こうなった。愚かに、過ぎる……。」<br/> 「は……そうか。矛盾だ。<br/> 私は自らの不完全性に気付かず、完全と信じた。そしてその完全を信じた事すらも不完全の種子だった。<br/> ああ、そもそもが矛盾していた私は、最初から。<br/> 貴様が望む男にすら、なれてはいなかったのか───」
 
: 消滅の間際、宿敵たる英雄に諭されて己が抱えていた矛盾を理解する。
 
: 消滅の間際、宿敵たる英雄に諭されて己が抱えていた矛盾を理解する。
 
: 最も消すべきでありながら、決して消すことのできなかった「執心」は彼を必要以上の高みへと至らせ、そしてその「人間味」を以て孤独なる神の座から失墜させた。
 
: 最も消すべきでありながら、決して消すことのできなかった「執心」は彼を必要以上の高みへと至らせ、そしてその「人間味」を以て孤独なる神の座から失墜させた。
: かつて世界に絶望して神となり、しかしその最後で人へと立ち返った英雄「アルジュナ」は、過ちと矛盾、後悔、どうしようもない「何か」を抱えつつも、どこか憑き物が落ちたかのように微笑みながら消えていった。
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: かつて世界に絶望して神となり、しかしその最後で人へと立ち返った英雄「アルジュナ」は、過ちと矛盾、後悔、どうしようもない「何か」を抱え、また最後の瞬間まで「誰かが望む何か」になろうとしながらも果たせなかったことを悔やみつつ、それでもどこか憑き物が落ちたかのように微笑みながら消えていった。
    
==== マテリアル ====
 
==== マテリアル ====
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: マスターからの『自分らしくあってほしい』という願いを受け止めたアルジュナは、自らの手でひとつの小さな人形を作り上げた。それは決して完璧な仕上がりとは呼べないものだったが、人間性を取り戻した彼は生前のように不完全さを不要と断じて切り捨てるのではなく寧ろ愛おしいとまで感じており、彼が本来有している穏やかな性格をも窺わせている。
 
: マスターからの『自分らしくあってほしい』という願いを受け止めたアルジュナは、自らの手でひとつの小さな人形を作り上げた。それは決して完璧な仕上がりとは呼べないものだったが、人間性を取り戻した彼は生前のように不完全さを不要と断じて切り捨てるのではなく寧ろ愛おしいとまで感じており、彼が本来有している穏やかな性格をも窺わせている。
 
: この素朴な木彫りの人形はアルジュナにとって紛れもない人としての誇りの象徴であり、魂の灯火が今もなお静かに輝き続けていることの証左なのである。
 
: この素朴な木彫りの人形はアルジュナにとって紛れもない人としての誇りの象徴であり、魂の灯火が今もなお静かに輝き続けていることの証左なのである。
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=== その他 ===
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; 「ようこそ……。私は貴族の息子という設定……らしいですね。<br/> ですが西欧の貴族とは、どのように振る舞えば?<br/> エリザベート……ヴラド三世……なるほど。私……我……吾……アタシ……余……朕……<br/> まず一人称を決めるところから始めなければいけない、そういうことですね?」
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: 『Fate/Grand Order 4th Anniversary ALBUMS』より。始皇帝の屋敷にて客人をもてなす役割を仰せつかった彼だが、至極真面目に西欧貴族の振る舞いを模索している様子からはアーチャー・アルジュナ同様に真面目系天然の片鱗が見えている。
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: ここでのアルジュナは姿こそ初期段階準拠である一方で精神は人間性を取り戻した後のものと思われ、やや覚束なさが残るものの敬語で応対するという再臨段階の混ざりあったような状態に設定されており、会場限定アトラクションのひとつ「プレシャスルーム」では自身も慣れていない身でありながらもマスターをそっとエスコートしてくれていた。
    
== メモ ==
 
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