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サイズ変更なし 、 2013年8月2日 (金) 17:27
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:毒矢のもととなった宝具を破却するに際して。しかし同時に、アーチャーの生前を知るダンは、彼を気遣う。
 
:毒矢のもととなった宝具を破却するに際して。しかし同時に、アーチャーの生前を知るダンは、彼を気遣う。
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;「無論だ。わしは自身に懸けて負けられぬし、当然のように勝つ。その覚悟だ。<br /> だが——アーチャーよ。貴君にまでそれを強制するつもりはない。わしの戦いと、おまえの戦いは別のものだ。<br /> 何をしても勝て、とは誰も言わん。わしにとって負けられぬ戦いでも、貴君にとってはそうではないのだからな」
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;「無論だ。わしは自身に懸けて負けられぬし、当然のように勝つ。その覚悟だ。<br /> だが――アーチャーよ。貴君にまでそれを強制するつもりはない。わしの戦いと、おまえの戦いは別のものだ。<br /> 何をしても勝て、とは誰も言わん。わしにとって負けられぬ戦いでも、貴君にとってはそうではないのだからな」
 
:宝具を封じられ、「負けられない戦いじゃなかったのか!?」と心配するアーチャーに、揺るがぬ自信と、そして気遣いを見せる。
 
:宝具を封じられ、「負けられない戦いじゃなかったのか!?」と心配するアーチャーに、揺るがぬ自信と、そして気遣いを見せる。
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:アーチャーに対する信頼の言葉。方針を巡った対立はあっても、その絆は揺ぎ無い。
 
:アーチャーに対する信頼の言葉。方針を巡った対立はあっても、その絆は揺ぎ無い。
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;「……いや。そうだったな。わしもまだまだ未熟だったようだ。最後の最後で、自分の心を見誤った。<br /> 聖杯戦争において、意志の強さは二の次らしい。……ここでは意志の質が、前に進む力になる。<br /> わしは軍人である事に疑問はなかったが……後悔は、あったようだ。<br /> 聖杯を求めるのは、亡くした妻を取り戻すため、か——  ……なんと愚かな勘違いをしたものか。<br /> わしは生涯を軍に捧げ、軍人として生きるため、冷徹な無個人性を良しとした。<br /> そんな男が……軍人である事を捨て、今際の際に、個人の願いに固執したのだ。<br /> 今回だけは一人の男として戦いに挑む、などと——<br /> そんな言葉をかざし、棚の奥にしまっていた、騎士の誇りを持ち出すとは……<br /> ……本当に愚かだ。わしは最後に、亡くしたものを取り戻したかった。<br /> だが——<br /> わしが願ったものは、一体どちらだったのか。妻か……それとも、軍人になる前、一人の人間としての——」
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;「……いや。そうだったな。わしもまだまだ未熟だったようだ。最後の最後で、自分の心を見誤った。<br /> 聖杯戦争において、意志の強さは二の次らしい。……ここでは意志の質が、前に進む力になる。<br /> わしは軍人である事に疑問はなかったが……後悔は、あったようだ。<br /> 聖杯を求めるのは、亡くした妻を取り戻すため、か――  ……なんと愚かな勘違いをしたものか。<br /> わしは生涯を軍に捧げ、軍人として生きるため、冷徹な無個人性を良しとした。<br /> そんな男が……軍人である事を捨て、今際の際に、個人の願いに固執したのだ。<br /> 今回だけは一人の男として戦いに挑む、などと――<br /> そんな言葉をかざし、棚の奥にしまっていた、騎士の誇りを持ち出すとは……<br /> ……本当に愚かだ。わしは最後に、亡くしたものを取り戻したかった。<br /> だが――<br /> わしが願ったものは、一体どちらだったのか。妻か……それとも、軍人になる前、一人の人間としての――」
 
:敗北。それは老人にとっては同時に、天啓でもあった。
 
:敗北。それは老人にとっては同時に、天啓でもあった。
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;「……しかし、意外だ。最後の瞬間……君の一撃に迷いはなかった。<br /> 言葉にできずとも、譲れぬものがあったのだろう。<br /> わしには——{{rb(他人,ひと)}}に誇れる願いはなかった。この胸にあったものは、死人の夢だったのだ。<br /> 迷いながらも生きるがいい、若者よ。その迷いは、いずれ敵を穿つための意志になる。努々忘れぬことだ。<br /> ……さて。最後に無様を晒したが——悪くないな、敗北というのも。<br /> 実に意義のある戦いだったよ。はは、未来ある若者の礎になるのは、これが初めてだ」
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;「……しかし、意外だ。最後の瞬間……君の一撃に迷いはなかった。<br /> 言葉にできずとも、譲れぬものがあったのだろう。<br /> わしには――{{rb(他人,ひと)}}に誇れる願いはなかった。この胸にあったものは、死人の夢だったのだ。<br /> 迷いながらも生きるがいい、若者よ。その迷いは、いずれ敵を穿つための意志になる。努々忘れぬことだ。<br /> ……さて。最後に無様を晒したが――悪くないな、敗北というのも。<br /> 実に意義のある戦いだったよ。はは、未来ある若者の礎になるのは、これが初めてだ」
 
:末期の笑いは晴れやかに。
 
:末期の笑いは晴れやかに。
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;「最後に、年寄りの戯言を聞いてほしい。<br /> これから先……誰を敵に迎えようとも、誰を敵として討つ事になろうとも……。<br /> 必ず、その結果を受け入れてほしい。迷いも悔いも、消えないのなら消さずともいい。<br /> ただ、結果を拒む事だけはしてはならない。すべてを糧に進め。覚悟とは、そういう事だ。<br /> それを見失ったまま進めば、君は必ず未練を残す。<br /> ……そして可能であるなら、戦いに意味を見出してほしい。<br /> 何のために戦うのか、何のために負けられないのか、自分なりの答えを模索し——<br /> 最後まで、勝ち続けた責任を、果たすのだ。<br /> いいかな未来ある若者よ。それだけは……。忘れるな……」
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;「最後に、年寄りの戯言を聞いてほしい。<br /> これから先……誰を敵に迎えようとも、誰を敵として討つ事になろうとも……。<br /> 必ず、その結果を受け入れてほしい。迷いも悔いも、消えないのなら消さずともいい。<br /> ただ、結果を拒む事だけはしてはならない。すべてを糧に進め。覚悟とは、そういう事だ。<br /> それを見失ったまま進めば、君は必ず未練を残す。<br /> ……そして可能であるなら、戦いに意味を見出してほしい。<br /> 何のために戦うのか、何のために負けられないのか、自分なりの答えを模索し――<br /> 最後まで、勝ち続けた責任を、果たすのだ。<br /> いいかな未来ある若者よ。それだけは……。忘れるな……」
 
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