差分

800 バイト追加 、 2018年3月27日 (火) 02:55
編集の要約なし
63行目: 63行目:  
: [[ギルガメッシュ|英雄王]]と同等の力を持った破格の大英雄。宝具とスキルの使用に制限を課した状態でなお最強クラスのサーヴァントと互角以上に渡り合う、桁外れの戦闘力を誇る。
 
: [[ギルガメッシュ|英雄王]]と同等の力を持った破格の大英雄。宝具とスキルの使用に制限を課した状態でなお最強クラスのサーヴァントと互角以上に渡り合う、桁外れの戦闘力を誇る。
 
: 人が扱うものとは思えないほどの大槍を並ぶものなき技量で操り、七十を超える回数の刺突を瞬く間に急所に直撃させる正確無比にして神速の槍撃を放つ。卓越した業と凄まじい膂力からなる槍撃は一撃一撃がAランク相当という凄絶なまでの威力を有し、その全てがサーヴァントに致命傷を負わせうる。とりわけ槍の技量は正しく神域に到達しており、神槍の異名を持つ[[李書文]]をして賞賛の念を抱かせるほど。その近接能力は破格の防御宝具を有する黒のセイバーに匹敵し、技の卓越性において僅かに上回る。
 
: 人が扱うものとは思えないほどの大槍を並ぶものなき技量で操り、七十を超える回数の刺突を瞬く間に急所に直撃させる正確無比にして神速の槍撃を放つ。卓越した業と凄まじい膂力からなる槍撃は一撃一撃がAランク相当という凄絶なまでの威力を有し、その全てがサーヴァントに致命傷を負わせうる。とりわけ槍の技量は正しく神域に到達しており、神槍の異名を持つ[[李書文]]をして賞賛の念を抱かせるほど。その近接能力は破格の防御宝具を有する黒のセイバーに匹敵し、技の卓越性において僅かに上回る。
: 最高ランクで所有する[[スキル (サーヴァント)|スキル]]『魔力放出(炎)』から、戦闘においては燃え盛る炎を様々な形で応用し攻防一体の武器として用いる。太陽神としての性質を持つカルナの場合、この『魔力放出(炎)』ですら宝具級の規模と威力を持ち、さながら太陽の如く焔を纏うことで外敵のみならず宝具をも焼却するほか、指向性の太陽熱として地上を灼き尽くす勢いで放射することも可能。また魔力放出を乗せた槍の一閃は、ランクA+に相当する宝具の一撃すらも真正面から切り裂き無力化する。
+
: 最高ランクで所有する[[スキル (サーヴァント)|スキル]]『魔力放出(炎)』から、戦闘においては燃え盛る炎を様々な形で応用し攻防一体の武器として用いる。太陽神としての性質を持つカルナの場合、この『魔力放出(炎)』ですら宝具級の規模と威力を持ち、さながら太陽の如く焔を纏うことで外敵のみならず宝具をも焼却するほか、指向性の太陽熱として地上を灼き尽くす勢いで放射することも可能。魔力放出を乗せた槍の一閃は、ランクA+に相当する宝具の一撃すらも真正面から切り裂き無力化する。
 
: 『魔力放出(炎)』の応用の一環として、炎を翼のように広げつつジェットの如く噴射することで、ジャンボジェットと同等以上の速度と瞬間的な次元跳躍能力という脅威的な飛行能力を持つヒポグリフにぴったり喰らいつける速度で自在に飛行可能。ただし、マスターにかける負担が大きいため、彼自身最大出力での使用は自重しており、10秒未満に限っている。
 
: 『魔力放出(炎)』の応用の一環として、炎を翼のように広げつつジェットの如く噴射することで、ジャンボジェットと同等以上の速度と瞬間的な次元跳躍能力という脅威的な飛行能力を持つヒポグリフにぴったり喰らいつける速度で自在に飛行可能。ただし、マスターにかける負担が大きいため、彼自身最大出力での使用は自重しており、10秒未満に限っている。
 
: また「[[アーチャー]]」の適正も持っているため、夜間において数キロ離れた先にいる車のナンバープレートを確認することが出来るほどの超視力を有している。
 
: また「[[アーチャー]]」の適正も持っているため、夜間において数キロ離れた先にいる車のナンバープレートを確認することが出来るほどの超視力を有している。
152行目: 152行目:  
: 『CCC』では上空へ槍を投擲後、天から巨大な劫火を敵に落とす。ゲーム的には毎ターン、ランダムな手でダメージを発生させる。このダメージ効果はコードキャストと同じ扱いであるため、こちらのエクストラターンの発生を大幅に阻害するというかなり嫌な特性がある。
 
: 『CCC』では上空へ槍を投擲後、天から巨大な劫火を敵に落とす。ゲーム的には毎ターン、ランダムな手でダメージを発生させる。このダメージ効果はコードキャストと同じ扱いであるため、こちらのエクストラターンの発生を大幅に阻害するというかなり嫌な特性がある。
 
: 小説版『Apocrypha』では『幻想大剣・天魔失墜』の軌道を逸らすため、庭園外周部にて威力を抑えて使用している。
 
: 小説版『Apocrypha』では『幻想大剣・天魔失墜』の軌道を逸らすため、庭園外周部にて威力を抑えて使用している。
: アニメ版『Apocrypha』では『梵天よ、地を覆え』に続いて黒のセイバーとの最終決戦で使用。ぶつかり合った『幻想大剣・天魔失墜』を飲み込む形で極大規模の爆発を巻き起こしたが、威力の減衰と『悪竜の血鎧』による防御能力から決め手にならず、連続使用された二発目の『幻想大剣・天魔失墜』に突破されている。
+
: アニメ版『Apocrypha』では『梵天よ、地を覆え』に続いて黒のセイバーとの最終決戦で使用。ぶつかり合った『幻想大剣・天魔失墜』の剣気を打ち砕いた上、極大規模の爆発で一帯を吹き飛ばすほどの威力を見せた。しかし威力の減衰と『悪竜の血鎧』による防御能力から決め手にはならず、連続使用された二発目の『幻想大剣・天魔失墜』に突破された。
 
: 『EXTTELLA』では『CCC』と演出は同じ。落ちてきた槍は地面を含む障害物に接触すると大爆発を起こすが、投げ上げてから落下までに微妙なタイムラグがあり、「仕込み」が必要な点からやや使いづらい。
 
: 『EXTTELLA』では『CCC』と演出は同じ。落ちてきた槍は地面を含む障害物に接触すると大爆発を起こすが、投げ上げてから落下までに微妙なタイムラグがあり、「仕込み」が必要な点からやや使いづらい。
 
:
 
:
160行目: 160行目:  
: 雷光でできた必滅の槍。黄金の鎧と引換に顕現し、絶大な防御力の代わりに強力な"対神"性能の槍を装備する。一撃のみの「光槍」であり、発動後は通常の槍へと立ち戻る。
 
: 雷光でできた必滅の槍。黄金の鎧と引換に顕現し、絶大な防御力の代わりに強力な"対神"性能の槍を装備する。一撃のみの「光槍」であり、発動後は通常の槍へと立ち戻る。
 
: 神をも滅ぼす究極の力。真名解放と共に解放されるエネルギーはこの世の存在が抵抗し得るものではなく、神獣や盾、城等の物理的なものは無論、結界も含めたあらゆる「存在」という概念を一片の慈悲もなく焼灼し破壊する。
 
: 神をも滅ぼす究極の力。真名解放と共に解放されるエネルギーはこの世の存在が抵抗し得るものではなく、神獣や盾、城等の物理的なものは無論、結界も含めたあらゆる「存在」という概念を一片の慈悲もなく焼灼し破壊する。
: 最大威力の『幻想大剣・天魔失墜』との撃ち合いでは苦もなくこれを退けており、令呪による増幅を上乗せした『幻想大剣・天魔失墜』も僅かな時間拮抗したものの即座に押し返されている。だが、この世のあらゆる存在を消滅させる神殺しの槍も時空を再構築して展開された「世界そのもの」を貫くことはできず、間隙に割って入った『蒼天囲みし小世界』に阻まれたことで黒のセイバーの反撃を許した。
+
: 最大威力の『幻想大剣・天魔失墜』との撃ち合いでは苦もなくこれを退け、令呪による増幅を上乗せした『幻想大剣・天魔失墜』も僅かな時間拮抗したものの即座に押し返されている。だがこの世のあらゆる存在を消滅させる神殺しの槍も、時空を再構築して展開された「世界そのもの」を貫くことはできず、間隙に割って入った『蒼天囲みし小世界』に阻まれたことで黒のセイバーの反撃を許した。
 
: ただし突破こそ叶わなかったものの、世界を焼き尽くし溶解させることで『蒼天囲みし小世界』自体の破壊には成功している。
 
: ただし突破こそ叶わなかったものの、世界を焼き尽くし溶解させることで『蒼天囲みし小世界』自体の破壊には成功している。
: アニメにて映像化された際は神槍顕現の余波だけで周囲一帯超広範囲をマグマ化させた挙句、真名解放した宝具の一撃をも彷彿とさせる途方もない規模の炎柱と超巨大クレーターを発生させた。また、槍から放たれる宝具そのものは「槍型に凝縮された炎の奔流」「それに付随する赤色巨星のようなエネルギー」として描かれており、太陽としての性質が強調されている。
+
: アニメにて映像化された際は、神槍顕現の余波だけで周囲一帯超広範囲をマグマ化させた挙句、宝具の真名解放もかくやという凄まじい規模の炎柱と超巨大クレーターを発生させた。また、槍から放たれる宝具そのものは「槍型に凝縮された炎の奔流」「それに付随する赤色巨星のようなエネルギー」として描かれており、太陽としての性質が強調されている。
 
: 『日輪よ、具足となれ』同様にギルガメッシュの宝物庫にも収蔵されていない。また伝承では鬼神ガトートカチャを倒すために使われたとされるが、Fateにおいては最後まで使用しないまま戦死したことになっている。そのため原典や用途が分からず、仮に持っていたとしても蔵から取り出せないという。
 
: 『日輪よ、具足となれ』同様にギルガメッシュの宝物庫にも収蔵されていない。また伝承では鬼神ガトートカチャを倒すために使われたとされるが、Fateにおいては最後まで使用しないまま戦死したことになっている。そのため原典や用途が分からず、仮に持っていたとしても蔵から取り出せないという。
 
: デザイン自体はカルナの鎧のパーツを組み合わせた物となっている。
 
: デザイン自体はカルナの鎧のパーツを組み合わせた物となっている。
: 『CCC』ではカルナの背中左側にある四枚の羽の装飾を展開し、左右四対の炎の翼の如き状態になった後、翼及びその中心である背、そして槍の輝きが増したところで穂先から強烈な光の一撃を放つ。奈須きのこ氏曰く「インド版バスターランチャー」。発射後、槍自体は残るが背中にある装飾は破壊される。またゲーム中では表示されないが、この宝具の使用後は防御力が若干低下する代わりに攻撃力が急上昇する。
+
: 『CCC』では背部左側にある四枚の羽の装飾を展開した上、右側に翼のような形で炎のオーラを纏う。その後、翼及びその中心である背、そして槍の輝きが増したところで穂先から強烈な光の一撃を放つ。奈須きのこ氏曰く「インド版バスターランチャー」。発射後、槍自体は残るが背中にある装飾は破壊される。またゲーム中では表示されないが、この宝具の使用後は防御力が若干低下する代わりに攻撃力が急上昇する。
: 『Apocrypha』における宝具の発動の際には全身の鎧が分離・消失しているが、鎧を失っている『CCC』では耳輪を含めた鎧の破棄が行われておらず、背中の装飾が破壊されるに留まる。このような不完全な発動のためかランクは「EX」ではなく「A++」となっており、威力も少なくともゲーム上の数値としてはそこまで高くはない。
+
: 『Apocrypha』における宝具の発動の際には全身の鎧が分離・消滅しているが、鎧を失っている『CCC』では耳輪を含めた鎧の破棄が行われておらず、背中の装飾が破壊されるに留まる。このような不完全な発動のためかランクは「EX」ではなく「A++」となっており、威力も少なくともゲーム上の数値としてはそこまで高くはない。
 
: 『Grand Order』では『CCC』準拠の演出となっているが、鎧を装備している再臨段階では鎧を一時的に消失させる演出が入る。その後に槍全体に紅いエネルギーを纏い、穂先から光の一撃を放って敵陣全体を猛烈な爆発で吹き飛ばす。ゲーム的には「敵全体に強力な『神性』特攻攻撃+敵全体のBuster耐性ダウン(3T)」という効果となる。
 
: 『Grand Order』では『CCC』準拠の演出となっているが、鎧を装備している再臨段階では鎧を一時的に消失させる演出が入る。その後に槍全体に紅いエネルギーを纏い、穂先から光の一撃を放って敵陣全体を猛烈な爆発で吹き飛ばす。ゲーム的には「敵全体に強力な『神性』特攻攻撃+敵全体のBuster耐性ダウン(3T)」という効果となる。
 
: 『EXTELLA』では背中の装飾を消失させ、槍の先端に集めた雷を突きとともに開放。凄まじいエネルギーの奔流で敵の一群を貫く。技の終了後は再び羽根のような装飾を纏う。こちらも宝具発動後は防御力が低下する旨が記述されている。
 
: 『EXTELLA』では背中の装飾を消失させ、槍の先端に集めた雷を突きとともに開放。凄まじいエネルギーの奔流で敵の一群を貫く。技の終了後は再び羽根のような装飾を纏う。こちらも宝具発動後は防御力が低下する旨が記述されている。
180行目: 180行目:  
:クンティーはしたたかな女で、初出産の恐れと神々が自分の子を認知するかという不安から、スーリヤに“この子供が貴方の息子である証拠が欲しい”と願った。スーリヤは彼女の言葉を聞き入れ、生まれてくる子供に自らの威光を与え、後の不死身の黄金の英雄・カルナが誕生した。
 
:クンティーはしたたかな女で、初出産の恐れと神々が自分の子を認知するかという不安から、スーリヤに“この子供が貴方の息子である証拠が欲しい”と願った。スーリヤは彼女の言葉を聞き入れ、生まれてくる子供に自らの威光を与え、後の不死身の黄金の英雄・カルナが誕生した。
   −
:だが、王の后となる事が決まってたクンティーにとって、息子は無用な存在でしかなかった。加えて、当時では結婚前の娘が子供を産むのは一大事であり、悩んだ末にカルナを川に捨ててしまう。これほどの恩寵、誠実さを示されながら。
+
:だが、王の后となる事が決まっていたクンティーにとって、息子は無用な存在でしかなかった。加えて、当時では結婚前の娘が子供を産むのは一大事であった。そうしてクンティーは、悩んだ末にカルナを川に捨ててしまう。これほどの恩寵、誠実さを示されながら。
:幸いにも、御者の夫婦に拾われたが、母に捨てられたカルナは自らの出自を知らず、ただ太陽神スーリヤを父に持つ事のみを胸にして生きていく。
+
:幸いにも、捨てられたカルナは御者の夫婦に拾われたが、自らの出自を知らなかった彼は、ただ太陽神スーリヤを父に持つ事のみを胸にして生きていく。
 
:母の顔を知らず、またその母が彼を産んだ動機が不純であったためか、カルナの姿は見目麗しいものとは言えず、父の輝かしい威光は備わっているものの、その姿は黒く濁っていた。顔は常に酷薄なままで、母が居なかった為に人の感情の機微を学べず、その一挙一動は粗暴だったため、周りの人間からは煙たがられる日々を送っていた。
 
:母の顔を知らず、またその母が彼を産んだ動機が不純であったためか、カルナの姿は見目麗しいものとは言えず、父の輝かしい威光は備わっているものの、その姿は黒く濁っていた。顔は常に酷薄なままで、母が居なかった為に人の感情の機微を学べず、その一挙一動は粗暴だったため、周りの人間からは煙たがられる日々を送っていた。
   189行目: 189行目:  
:自分が人より多くのものを戴いて生まれた以上、人より優れた“生の証”を示すべきだ。そうでなければ、力無き人々が報われないのだから。
 
:自分が人より多くのものを戴いて生まれた以上、人より優れた“生の証”を示すべきだ。そうでなければ、力無き人々が報われないのだから。
   −
:成長するにつれて武術の才能を顕にし、青年にカルナはクル族の競技会に参加することとなる。協議会ではパーンダヴァ五兄弟がその武芸によって名声を欲しい侭にし、特に三男アルジュナの弓の腕は素晴らしく、誰も敵う者はいまいと称えられていた。
+
:成長するにつれて武術の才能を顕にし、青年になったカルナはクル族の競技会に参加することとなる。協議会ではパーンダヴァ五兄弟がその武芸によって名声を欲しい侭にし、特に三男アルジュナの弓の腕は素晴らしく、誰も敵う者はいまいと称えられていた。
 
:普段誰も羨まず、誰も憎まないはずだったカルナは、アルジュナと彼の武芸を目にしたことで消極的な姿勢を守り切れず、飛び入りで協議に参加しアルジュナに並ぶ武芸を披露する。
 
:普段誰も羨まず、誰も憎まないはずだったカルナは、アルジュナと彼の武芸を目にしたことで消極的な姿勢を守り切れず、飛び入りで協議に参加しアルジュナに並ぶ武芸を披露する。
 
:そして優劣を決しようとアルジュナに挑戦しようとするが、王族であるアルジュナに挑戦するにはクシャトリヤ(カースト制度でいう所の武門、王族。カルナは商人である「ヴァイシャ」、あるいは奴隷の「シュードラ」であったと言われる)以上の資格が必要とされ、カルナはそれがなかった。
 
:そして優劣を決しようとアルジュナに挑戦しようとするが、王族であるアルジュナに挑戦するにはクシャトリヤ(カースト制度でいう所の武門、王族。カルナは商人である「ヴァイシャ」、あるいは奴隷の「シュードラ」であったと言われる)以上の資格が必要とされ、カルナはそれがなかった。
210行目: 210行目:  
:――母を名乗る貴女が、自らに何の負い目もないというのなら、自分も恥じる事なく過去を受け入れる、と。
 
:――母を名乗る貴女が、自らに何の負い目もないというのなら、自分も恥じる事なく過去を受け入れる、と。
   −
:クンティーは身勝手な女ではあったが、それは生来の天真爛漫さと無邪気さから来るもので、決して恥を知らない女ではなかった。彼女とて、自らの行いが我欲に満ちたものだと自覚、自責はあった。
+
:クンティーは身勝手な女ではあったが、それは生来の天真爛漫さと無邪気さから来るもので、決して恥を知らない女ではなかった。彼女とて、自らの行いが我欲に満ちたものだという自覚、自責はあった。
 
:今まで独りで育ち、養父たちに感謝し、何の憎しみも抱かないカルナに、醜い嘘をつく事だけは彼女には出来ず、答えられずに項垂れて立ち去ろうとした。
 
:今まで独りで育ち、養父たちに感謝し、何の憎しみも抱かないカルナに、醜い嘘をつく事だけは彼女には出来ず、答えられずに項垂れて立ち去ろうとした。
 
:だがカルナは「母親としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒したクンティーの覚悟に応え、アルジュナ以外の実力に劣る兄弟たちには手を出さない事を誓う。
 
:だがカルナは「母親としての情」に訴え、自らの過去を明かすという危険を冒したクンティーの覚悟に応え、アルジュナ以外の実力に劣る兄弟たちには手を出さない事を誓う。
 
:そうして、カルナなりの母への愛として館の外にクンティーを自ら送り出し、これが親子の最後の別れとなった。
 
:そうして、カルナなりの母への愛として館の外にクンティーを自ら送り出し、これが親子の最後の別れとなった。
   −
:そして最終決戦直前、カルナの懐柔は出来ないと悟ったアルジュナの父である雷神インドラはバラモン僧に化け、沐浴をしていたカルナから黄金の鎧を奪った。
+
:そして最終決戦直前、カルナの懐柔は出来ないと悟ったアルジュナの父である雷神インドラは、バラモン僧に化けた姿で沐浴をしていたカルナに接触し、黄金の鎧を差し出すよう要求した。
:だがカルナは父から授かった不死性を失い、自らの破滅を受け入れたにも関わらず、戦いを辞めると言わなかった。インドラはアルジュナへの愛しさの余りに姑息な計略で鎧を奪った自分への恨みすら口にしないカルナの潔さに感じ入った。
+
:カルナは沐浴中にバラモン僧から施しを要求された場合、必ずそれに応えていた。それを知っていたインドラは、その施しの英雄としての高潔さに付け入ったのである。
 +
:バラモン僧の正体に気付いたカルナは、しかし惜しげもなくインドラに黄金の鎧を施した。こうしてカルナは父から授かった不死性を失い、自らの破滅を受け入れる。インドラは、自らの正体に感づきながも無敵の鎧を差し出し、またアルジュナへの愛しさの余りに姑息な計略で鎧を奪った自分への恨みすら口にしないカルナの在り方に感じ入った。
   −
:そうしてまで戦いに赴くのは、父スーリヤの威光を汚すことこそがカルナにとっての敗北に等しい。
+
:そうしてまで戦いに赴くのは、父スーリヤの威光を汚すことこそがカルナにとっての敗北に等しいからであった。
 
:何しろ、その為だけに生きてきた。自らを産み、育ててくれた者たちに胸を張れるように生きてきたカルナにとって、自らの命は、自分自身のものですらなかった。
 
:何しろ、その為だけに生きてきた。自らを産み、育ててくれた者たちに胸を張れるように生きてきたカルナにとって、自らの命は、自分自身のものですらなかった。
 
+
:それに、ドゥリーヨダナにも恩がある。スーリヤへの不敬となるが、カルナの背負う太陽の火でもなく、絶対的なスーリヤの輝きでもなく、人間が見せる不完全な魅力こそが太陽だと、カルナは語った。その姿にスーリヤそのものの神性を見たインドラは、自らの神殺しの槍を彼に与えた。
:それに、ドゥリーヨダナにも恩がある。スーリヤへの不敬となるが、カルナの背負う太陽の火でもなく、絶対的なスーリヤの輝きでもなく、人間が見せる不完全な魅力こそが太陽だと、カルナは語った。その姿にスーリヤそのものの神性を見たインドラは自らの槍を彼に与えた。
+
:自分はこの高潔な英雄から命以上の物を奪った。その見返り当る物を与えなければ自らの名誉を貶めることになるし、何より己の息子にも与えなかった最強の槍を、この男なら使いこなせるのでは、惚れてしまったのだ。
:自分はこの高潔な英雄から命以上の物を奪った。その見返り当る物を与えなければ自らの名誉を貶める事になるし、何より己の息子にも与えなかった最強の槍を、この男なら使いこなせるのでは、惚れてしまったのだ。
+
:尤も、如何に最強の槍といえども、完全なる不死を約束する黄金の鎧に比するものではなかった。後にこの経緯を知ったカウラヴァ百王子らは嘆き、パーンダヴァたちは喜んだという。
    
:こうしてカルナはインドラを見送り、自らの肉体と一体化していた鎧を失い、幽鬼のように痩せ細った姿となって戦場に向かった。そして迎えたアルジュナとの最後の戦い。
 
:こうしてカルナはインドラを見送り、自らの肉体と一体化していた鎧を失い、幽鬼のように痩せ細った姿となって戦場に向かった。そして迎えたアルジュナとの最後の戦い。
:カルナの周囲に既に味方は無く、身を任せる戦車の御者すらパーンダヴァに内通する敵だった。呪いによる数々の重荷、異父兄弟である弟への感情に動きを狭められ、戦車の車輪は轍に嵌り、カルナの動きが止まった。
+
:カルナの周囲に既に味方は無く、身を任せる戦車の御者すらパーンダヴァに内通する敵だった。数々な呪いによって力を押さえ込まれ、異父兄弟である弟への感情に動きを狭められ、更に戦車の車輪は轍に嵌った。
   −
:もはやアルジュナの矢をかわすことができないが、アルジュナとしても車輪が嵌っている間に攻撃することは、戦争前に取り決めた「戦闘不能に陥った人間を攻撃してはならない」ルールを破ってしまう。
+
:もはやカルナはアルジュナの矢をかわすことができない。一方でアルジュナとしても、車輪が嵌っている間に攻撃することは戦争前に取り決めた「戦闘不能に陥った人間を攻撃してはならない」ルールを破ることになるはずだった。
:そのルールを無視しろと、従者であるクリシュナの囁きに応じてしまったアルジュナは、生涯の痛恨を抱いてしまう。
+
:だがその土壇場で、アルジュナは「ルールを無視しろ」という御者クリシュナの囁きに応じてしまう。
    
:対するカルナは、彼ほどの英雄が道義に反してまで自分を倒そうとする事に喜びを覚え、奇妙な誇りを抱く。
 
:対するカルナは、彼ほどの英雄が道義に反してまで自分を倒そうとする事に喜びを覚え、奇妙な誇りを抱く。
236行目: 237行目:  
:果たして、アルジュナの弓は、太陽を撃ち落した。
 
:果たして、アルジュナの弓は、太陽を撃ち落した。
   −
:カルナは死後、父スーリヤと一体化したと言われている。『施しの英雄』と呼ばれ、何かを乞われたり頼まれた時に断らない事を信条とした聖人。
+
:カルナは死後、父スーリヤと一体化したと言われている。
 +
:『施しの英雄』と呼ばれ、何かを乞われたり頼まれた時に断らない事を信条とした聖人。
 
:非常に高い能力を持ちながら、血の繋がった兄弟と敵対する悲劇を迎え、様々な呪いを受け、その真価を発揮する事なく命を落とした英雄。
 
:非常に高い能力を持ちながら、血の繋がった兄弟と敵対する悲劇を迎え、様々な呪いを受け、その真価を発揮する事なく命を落とした英雄。
  
匿名利用者