アーノルド・ベックマン
- セラフィックス所長の秘書。事務官をしていた一般職員。
- 略歴
- セラフィックスが危機に陥った際には、キアラに乗せられた形で担ぎ上げられて職員を仕切っていたが、次第に所長や副所長、ドクターや区間部長といった生き残ったメンバーを始末し始めるようになった[1]。
- 最初は比較的安全だった管制室内に立てこもっていたが、そこに突如現れた魔神柱に怯えて隠れていた。その後、主人公一行に管制室で遭遇してからは教会で保護されていたが、しばらくしてマーブル・マッキントッシュの言葉で普段の調子に戻ると急に増長し出してトリスタンに管制室から通信機を持って来させ、センチネル討伐に向かった主人公一行に一方的にリーダーになる事を宣言して偉そうな態度で振る舞うようになる。
- しかし、メルトリリスがセラフィックス地下に墜落して助けに行こうとしている事を聞き、残り時間が殆どない事を理由にメルトリリスを見捨ててすぐに帰投して自分を天体室に連れていく事を優先するよう指図した所で主人公と意見が対立し、あの手この手で主人公を言いくるめて命令に従わせようとするも、最後は主人公に一方的に通信を切断されて無視された。
- その後、通信を切られた事に逆上しながらトリスタンに主人公を連れ戻しに向かわせたものの怒りは収まらず、そのまま感情に任せて暴れ回りながら管制室近くに保管されている毒薬を使って主人公を脅迫してでも指示に従わせてやると喚いていたが、そこでセラフィックスの実験の秘密を闇に葬りに現れたエミヤ〔オルタ〕と遭遇。そのまま口封じの為に銃殺された。
- 人物
- 極めて傲慢でプライドが高く、立場や地位、学歴などが下だと見た人物対しては上から目線で無礼な態度で接し、場合によっては名前すら憶えない[2]。
- その上、少しでも想定外の事が起こるとすぐに癇癪を起して苛立ち始め、周囲の人物や物に暴力や暴言をぶつけて見境なく暴れ出したり、時には自分に逆らった職員を外に追い出して死なせるたりするなど、非常に器量が狭くて乱暴な一面も目立つ。
- さらに、今まで危機に陥ったセラフィックスを仕切っていた事がそれらに拍車にかけており、救援に来た主人公に対しても勝手な理由で自分より劣っていると判断するや否や、急に主人公を指揮下に置くと宣言して慇懃無礼かつ傲慢不遜な態度で命令を下し始めたり[3]、「自分には天体室に行く義務がある」などと言って自分を特別な人間のように過大評価するが、その実態は周囲に祭り上げられて身の丈に合わない立場に担ぎ上げられただけの小人物に過ぎず、そんな自分がリーダーとして振る舞った所でセラフィックス内での混乱を余計に加速させただけだった。
- 総じて、自分の都合のために立場や権力を振りかざして他人を酷使し、思い通りにならない人間は平気で殺そうとさえするような自己中心主義の権化のような人物。リーダーを名乗る割には組織に貢献するだけの実力や知識、資質が全く伴っておらず、その癖他人に対しては人一倍横柄で身勝手な態度で接するため、サーヴァント達からも軽んじられたり反発されたりと全く信頼されておらず、「リーダー」どころか「一個人」としてさえまともに相手にされていない。
- 能力
- 戦闘能力は皆無。自分一人では攻性プログラムやサーヴァントが跋扈している外を歩くことすらできず、マスター/サーヴァントの同伴なしでは通信機や毒薬を取りに教会から管制室に行く事すらできなかった。
- セラフィックスの知識や人生経験が主人公より豊かであると自認し、セラフィックスの地図に隠された天体室の場所やセラフィックスの潜行速度から計算した残り時間を自慢げに話してくるが、それはとっくにエミヤ〔オルタ〕が調べを付けているような事だったり[4]、マーブルが計算したものをさも自分の知識のように話していただけの事であったため、作中で自分の知識や行動で主人公の役に立った事は一度たりともなかった。
登場作品と役柄
Fate
- Fate/Grand Order
- イベント『深海電脳楽土 SE.RA.PH』に登場したキャラクター。
人間関係
- 主人公 (Grand Order)
- カルデア本部からの救援として、生存者救援の義務を負い現れたマスター。アーノルド自身にとっても自分達が助かるために必要不可欠な人物だった。
- しかしやがて自分より地位などが劣っている若者などと侮って自分の指揮下に置こうとし、突然上から目線で命令し始める。
- 主人公の方は最初こそ立場や状況を考慮して多少の事は大目に見て静かに話を聞いていたが、タイムリミットが迫っている中でメルトリリスが落下した時に主人公の意志を完全に無視・否定して自分の元に戻るように命令した時には一歩も譲らず、最終的には何を言っても聞く耳を持たずに自分の主張ばかり押し付けようとする彼を見限り、通信を一方的に切断して彼を拒絶した。
- マーブル・マッキントッシュ
- 自分と同じセラフィックスの生き残り。彼は彼女を(名門のロックフェラー大学出身である事を知らずに)一方的に格下と見なしていたためか、カルデアに救援を求めて飛び出していったトラパイン女史共々名前すら全く覚えていなかった。
- 作中でも散々暴言を吐きながらこき使ったり、主人公がメルトリリスを助けに行くと意思表示を示した際には八つ当たりで暴力を振るったりと酷い扱いをしていた。
- メルトリリス、パッションリップ
- 自分達を陥れた張本人の仲間だと思い込み、「いずれ始末しなければならなかった怪物」と見なしていた。
- 最初から強い敵愾心や警戒心を向け続けており、主人公達がやってくる前から生存者を駆り出して見回りをしていた彼女達に攻撃させたり、挙句の果てには何とかして強引に操って自分の駒にできるかと大真面目に考えていたりと、無謀かつ杜撰な行動を繰り返してきた模様。
- 自分達を助けに来た主人公に同行している様子を見ても攻撃的な感情は止まず、終始ただ一人だけ場違いなまでの嫌悪感や排斥感情を剥き出しにしていた。
- 彼女たちも彼に対して良い感情を抱いておらず、メルトの方は小物がリーダーを自称していることに呆れつつ、天体室に連れていく事に反対しており、リップに至っては主人公に対して手酷い態度を取ったことに怒り出して彼が死にかねないような方法で制裁しようとしていた。
名台詞
- 「ああ、ちょっとちょっと!部外者が勝手に記録を見るんじゃない!
それに、なんだい?天体室?そんなものはないよ。だってこの私が知らないんだから!
セラフィックスの記録はカルデア所長……アニムスフィア当主の許可がないと閲覧できない決まりだ。
いくら救助部隊だからってキミたちに閲覧する権利はない。
大体、あとで私の管理責任を問われたらどう責任を取ってくれるんだい!?」 - 主人公がセラフィックスの記録を調べようとした時の発言。この非常時であっても自分の立場や責任問題の話である。
- 自分の保身のために主人公に抗議の声を上げるが、ガウェインに「主人公の任務はこの事態の解決であって、貴方の将来の保証ではない」と淡々と返されるとそれ以上何も言い返せず、押し黙るしかなかった。
- 「……君は黙っていてくれないかマーブル。前にもまして無駄飯食らいの役立たずが。
いいかね、○○。これからは私が指示を出させてもらう。」 - 一方的なリーダー宣言。つい数時間前にマスターの判断に従う、と宣言しておきながらこの有様。
- この時、彼は主人公を人生経験やセラフィックスの知識が自分より劣っている、主人公達だけでは事態の収束は困難、などと理由付けていきなりリーダーを名乗り出したが、この時点で主人公の経歴や人物を大きく見誤っている。そして主人公に対しても強気で高圧的な態度を隠さなくなり、マーブルに対しても罵詈雑言を浴びせるようになる。
- 最初の方こそ主人公は彼の態度に目を瞑って話を聞いていたが、この後でもタイムリミットが予想以上に厳しくてただ一人焦る彼は主人公やサーヴァント達にさえ暴言をぶつけるなど、その態度はさらに悪化した。
- 「バカな発言はそこまでにしなさい。
アルターエゴが下層に落ちた? 助けに行く?
いいじゃないか、手間が省けた!
最後には処理しなければならない怪物だったからね!
そんなことはどうでもいい。どうもいいんだ。
いいから私の判断に従いなさい。
少し考えれば分かるだろう? 君がどれほど功績をあげようと、外に出た時に報告するのは私なんだ。
ここまで死ぬ思いで戦ってきたのに、たった一度のミスで役立たずのレッテルを貼られたくはないだろう?
今の発言は私も聞かなかったことにしてあげよう。いいね、君は今すぐ―――」 - メルトリリスがセラフィックスの最下層に転落した時、「メルトリリスを見殺しにして教会に戻り、自分達を天体室に連れていけ」という彼の要求を毅然と突っぱねた主人公に対して。
- 「リーダー」の自分の命令に従わず、自分達の救助よりもメルトリリスの救助を優先しようとする主人公に苛立つ彼は、メルトリリスを酷く侮辱する暴言を吐いて主人公に自分の方針を押しつけようとし、更には自分の命令を拒絶すれば自分の立場を使って主人公の立場を貶める報告をすると脅してきた。
- この期に及んでも自分の立場や都合ばかり主張し、主人公の意志やその仲間の命を完全に無視・否定して卑劣な脅迫行為にまで及んだ彼であったが、主人公はそんな彼を無視する形で一方的に通信を切断し、さっさとメルトリリスの救出に向かった。
- 「はあ!? 悪気は無かった、だって!? 切ったんだぞ!? 私からの通信を、一方的に!
カルデアのマスターだから礼儀正しく接してやっていたのに、何だあの態度は!
ここでは私の方が立場は上の筈だ!
所長も、副所長も、区間部長も、ドクターたちも、みんな、みんなとっくに死んでいる! 始末した!
生き残った人間の中で、一流大と言えるものを出ているのは私だけだ! そうだろうマーブル君!」 - 殆ど自業自得な形で主人公からさえ相手にされなくなった事に対する逆恨みと怒りに我を忘れて暴れ回り、それを見かねて宥めようとするマーブルに対して。
- 生存者の中で一番学歴が高い事を根拠に自分の立場の正当性を主張し、しかも自分の今までの態度が礼儀正しいものだったと宣った上で、それでも自分の命令を無視した主人公を激しく非難している。
- しかし、今までの自分の言動や態度を客観的に捉えられていない上、(知らなかったとは言え)同じく一流大卒であるマーブルさえも見下している有様なので説得力は皆無に等しく、寧ろこのような非常時でも何の意味も無い立場の違いや学歴などに拘泥し続けて自分の事すら正しく見えていない自身の愚かさを晒すだけであった。
- 「……くそ。こうなるとお行儀良くはしていられない。時間もないんだ。あと4分もないんだろう、マーブル?
○○君には何としても私の命令を聞いてもらわなくては。
しかしどうすれば……いっそ相方がいればそちらを人質にできるのだが、単独行動ときた。
医務室から毒物を拝借してくるか ?しかし今から私だけで管制室に戻るのは……」 - 直後に主人公を強引に自分の手駒に引き戻そうと考え直すアーノルド。強力な毒薬を使って脅迫する事を目論み、直後に教会に訪れた黒いアーチャーを見て動揺しながらもいつもの態度で毒薬を取りに行くよう命令を下そうとする。
- だが、彼がセラフィックスの秘密の隠匿のために自分達の命を狙っていることを知らず、何も気づかないまま話している最中に銃殺されるという呆気ない最期を迎えた。
- まるで、自分の都合のために他人の命を当然のように奪ってきた男に対する報いと言わんばかりに。
メモ
- 序盤の早い段階で名字である「ベックマン」が出たこともあり「黒幕では」と疑う人間が続出。しかし彼もキアラによって踊らされた駒に過ぎず、割と大した活躍もなく終わってしまった。
あのワカメだってまだ見せ場があったのに…- 当記事でも解説しているとおり、憎まれ役としては非常に良く出来ているが、似たようなタイプの「人間のクズ」と違い、それを払拭しうるだけの覚悟や矜持、男気など、評価できる所を何一つ見せられないままに潰えた。合流して教会という安全地帯に誘導されてからは一方的にリーダーを自称してナビ越しに指示を飛ばしてくるが、その時に下した彼の主人公に対する評価が的外れ過ぎた事と、主人公の事を都合の良い道具程度にしか考えてない上に自分の身を削る覚悟も主人公の意志を尊重する気もない彼が勝手に居座り始めたポジションが、かつて主人公に敬意と感謝と信頼を示した上で、他の仲間達共々身体や命を張って手厚くサポートしてくれた、かけがえのないスタッフのものだった事などが原因で、多くのプレイヤーの反感を一身に集めることになった。
- さらに言えば、そもそも下記の「ミスト劇場」は自分以外の生存者が殆どいなくなったせいで主人公達の到着前に完全に終わっていた。自分の立場を恐れて命令に従うセラフィックスの生き残りは全員死に、部外者で複数のサーヴァントが味方に付いていて自分の意志決定で行動する主人公はわざわざ自分の管理下に入って行動する理由も必要性も無く、しかもその事に全く気付かないまま最後まで「リーダー」の座に固執し続けていたアーノルドの立ち位置はまさに「裸の王様」そのもの。何を言ってもただ空気を悪くするだけで「余計な事をしてますます状況を悪化させる」というパニック物のお約束さえ満足にこなせなかった[5]。そういう意味ではTYPE-MOON歴代の小物キャラ・クズキャラと比較することさえおこがましい、「名前があるだけのただのモブキャラ」同然だった。
- それでも、本来セラフィックスのリーダー職は別にいた事実もあり、またマーブルもなんだかんだフォローしていたりするところを見ると、「小人物が必要以上の役職に祭り上げられたが故の悲劇」と同情的な意見もある。
- 当記事でも解説しているとおり、憎まれ役としては非常に良く出来ているが、似たようなタイプの「人間のクズ」と違い、それを払拭しうるだけの覚悟や矜持、男気など、評価できる所を何一つ見せられないままに潰えた。合流して教会という安全地帯に誘導されてからは一方的にリーダーを自称してナビ越しに指示を飛ばしてくるが、その時に下した彼の主人公に対する評価が的外れ過ぎた事と、主人公の事を都合の良い道具程度にしか考えてない上に自分の身を削る覚悟も主人公の意志を尊重する気もない彼が勝手に居座り始めたポジションが、かつて主人公に敬意と感謝と信頼を示した上で、他の仲間達共々身体や命を張って手厚くサポートしてくれた、かけがえのないスタッフのものだった事などが原因で、多くのプレイヤーの反感を一身に集めることになった。
- 彼が主人公に服従を強いる際に使おうとした毒薬「Bトキシン8型」というのは、おそらくボツリヌストキシンだと推測される。致死率は高く自然界で最も強力な毒物の一種。しかし主人公は彼女の毒を受けても平気な対毒スキル(仮)を持っていたため、仮に服用させたとしても効き目があったかは怪しいものかもしれない。
話題まとめ
脚注
- ↑ 竹箒日記では「ベックマンによるミスト劇場」として、作中でもアーノルドに逆らった職員を外に追い出して攻性プログラムの餌食にしたり、SE.RA.PH内を見てまわっているメルトたちに攻撃を命じたりしたことが言及された。「ミスト」というのは怪生物が大量発生してスーパーマーケットに立てこもり、次第に内部がカルト化していく恐怖を描いたスティーブン・キング原作の映画「ミスト」になぞらえたのだろうか。
- ↑ 主人公たちに見つかるまで長く管制室に引き籠り続けていたせいか、最初は臆病で弱気な面が目立った。
- ↑ 当人からしたらこれでも「カルデアのマスターとして丁寧に接してやっていたつもり」だった。実際にはアルターエゴ達から厳しい目を向けられるような酷い態度であったが。
- ↑ むしろ「本当に(この程度の事さえも知らないような)一般職員だったのか」と彼からその無知さを呆れられる始末であった。
- ↑ 主人公達もそんな彼を早々に見切った上で付き合いながら自分たちの判断に基づいて行動しており、彼に雑用のように扱われていたトリスタンさえもそんな主人公の配下としてサポートするつもりで動いていたに過ぎず、彼の事を「リーダー」として見ているものは誰一人としていなかった。