ランサー/アヴェンジャー | |
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真名 | キングゥ |
外国語表記 | Kingu |
性別 | 男性? |
声優 | 小林ゆう |
演者 | 山崎晶吾 |
初登場作品 | Fate/Grand Order |
概要
『Fate/Grand Order』に登場するキャラクター。
- 略歴
- 『Grand Order』第七特異点『絶対魔獣戦線 バビロニア』においてエルキドゥに成りすまし、紀元前2655年のウルクに降り立つ。レイシフト直後に魔獣の群れに取り囲まれて危機に陥った主人公たちを助けることで信頼させることに成功。
- その後ウルクの防衛の要害である北壁を主人公たちに見せ、王都ウルクに入るためと偽って主人公たちを辺地の森に誘い込んで抹殺を目論むも、その場に馳せ参じたマーリンとアナに正体を看破されて失敗に終わる。その後は本性を顕にして主人公たちと幾度も敵対。ゴルゴーンがアナの捨て身の一撃で討たれた後に登場し、ティアマトの目覚めを妨げたマーリンを仕留めることに成功。
- しかし、ティアマトが一向に目覚めないのと、新人類であるはずのラフムが人類に無意味な虐殺を行っていることに疑念を抱き、ラフムが人類を皆殺しにすることを楽しんでいる姿に痺れを切らす。しかしラフム達によって用済みと宣告された挙句、動力源であり復活の鍵である聖杯を奪われてしまう。ラフムとティアマトの実態に絶望しながら逃げゆくが、消滅の間際であったラフム化した人間に助けられて事なきを得る。
- その後、最終決戦前夜に肉体に影響されたのかウルクの祭壇に現れ、そこでギルガメッシュの手でウルクの大杯を授けられたことで救われる。が、散々敵対してきた自分を救ったことに納得がいかず是非を問うも、ギルガメッシュから「例え別の存在であってもその肉体は親友であることに変わらない」「そして自分の手でやりたいと思ったことをやればいい」と叱咤される。
- 最終決戦では民も死に絶え、滅亡も時間の問題となったウルクでティアマトとラフムの大群に苦戦する主人公たちを助け、ギルガメッシュに対しての想いを吐露しながら、ヒトの世を維持するべく“天の鎖”としてティアマトを一時間に渡り拘束し、砕け散った。
- その破片がウルク近郊に残っていた事がエルキドゥの幕間の物語『神が造り、人が紡ぎ、土に還るⅠ』にて判明する。エルキドゥはそれを回収・自らに統合し、キングゥの残した記録を引き継いだ。以後、時おり瞳の色が変わるなど、本来のエルキドゥとは違う特徴が現れる事もあるだろうと本人からは語られている。
- 人物
- 外観はエルキドゥそのものだが、瞳の色は紫となっている。
- 彼自身は「自分はエルキドゥをモデルにティアマトに創られた『新人類』」と認識しているが、その実態はエルキドゥの亡骸に新たな命を吹き込んだ結果生まれた存在。
- 人類にたいして侮蔑・倦厭を抱いており、人間(旧人類)の一掃を企てる。人類については魔獣を作り出すための素材・資源としか見做していないが、自身と同じ生まれの魔獣に対しても「駒」程度の感慨しかなく、ラフムに至っては魔獣以下の虫と見下した。敵対者に対しては嗜虐性・残酷性を見せている他、言動も毒舌になる。
- ティアマトの復活で人類を滅ぼし、それによって「無意味に争うことなく共生を理想に掲げて生きる」生命として理想の人類を造り上げようとしており、旧人類が造り上げた都市そのものに対しては罪はないと述べ、街を壊すのではなく、残そうとしている。この他ゴルゴーンに内心で同情したり、子供たちの助けを求める声を聞いて逃がすなど、完全を気取るには甘さが残る部分もあるが、それを指摘した牛若丸に対しては、ムキになり痛烈な報復を行っていた。
- 一方で意識を持った時から記憶も経歴も誇るべき過去もなく、心の中は常に空っぽであり、その在り方は突然発生した亡霊と変わらない。エルキドゥをモデルに創られた『新人類』という肩書きと母ティアマトに必要とされている事が自身の存在意義であり、新しいヒトである事、旧人類とは違うものという事を盾に振る舞っている。
- 自身のベースであるエルキドゥの親友であるギルガメッシュとの接触を避けているなど、元の肉体に影響されているらしき反応が見られるも、それも自分とは違うと否定している。
- 能力
- ソロモンの聖杯を心臓として収納しているため、ギルガメッシュにエルキドゥより上かもしれないと言わせるほどの高い出力を持つ。神代の魔力濃度の中でも時速500キロで飛行でき、戦闘時には最上級の武具を際限なく放つ。
- さまよえるゴルゴーンを女神まで持ち上げ、その連鎖召喚によって現界したケツァル・コアトル、ウルクの巫女によって呼び出されたエレシュキガルら三柱の女神を同盟によって拮抗させ、同時にギルガメッシュの行動を牽制した手腕はソロモンからも賞賛された。
- ウルクの大杯で再駆動したときもラフムの大群を一蹴するなど、依然として高い戦闘能力を見せている。
宝具
- 母よ、始まりの叫をあげよ(ナンム・ドゥルアンキ)
- キングゥとしての宝具。セリフ以外は通常のエルキドゥの放つ『人よ、神を繋ぎとめよう』との差異は全くない。
- 『Fate/Grand Order』では「単体の防御力ダウン(3ターン)&単体攻撃&〔神性〕特性を持つ場合スタン状態を付与(1ターン)」という効果。
- 人よ、神を繋ぎとめよう(エヌマ・エリシュ)
- 第七章最終決戦時、ウルクの大杯の力を借りてティアマトを抑え込むために使用。一時間もの間ティアマトを雁字搦めにして時間を稼いだ後、砕け散った。
- ちなみに、キングゥが本性を現す前のエルキドゥとして振舞っている際(サポートNPCの状態)では、もちろんこちらの宝具が使用できる。
登場作品と役柄
- Fate/Grand Order
- 第七特異点にて敵として登場。
人間関係
Fate/Grand Order
- ティアマト
- 母。その嘆きを目を閉じる度に感じているという。仮初の体に聞こえるその声を母の期待と信じ、それに従うことこそ己の存在意義とする。
- ムシュマッヘ、ウシュムガル、ムシュフシュ、ウガル、ウリディンム、バシュム
- 伝承における兄弟の怪物達。その人類への憎しみを共感している。
- ラフム
- 伝承における兄弟の怪物にしてその末子。キングゥは己の量産機的存在として見ているが、著しく低俗な行動をする彼らを何とも言えず見下している。
- ゴルゴーン
- 母と潜在意識を同調する女神。その為基本的に彼女も「母上」と呼んでいるが、所詮本人ではない為言動自体はどこか冷やか。
- だが実際のところは、復讐を求めながら違う“何か”に手を伸ばす彼女に自分と似通ったものを感じており、偽りの母と嘲りながらもせめてこの怪物には救いがあるようにと、見下しつつも哀れみも覚えていた。
- 実際に彼女が討伐された場に居合わせたときは、仇討ちとして自身の霊基を復讐者に作り変え主人公を襲うほど。
- 牛若丸 (ケイオスタイド)
- 画面上で共演したことはないが、同じティアマトの眷属となった人物。元の牛若丸を、この姿へ変えることを決めたのもキングゥである。
- 余談だが、牛若丸も「肉親に依存し、最期には裏切られ破滅した人物」であり、ある意味ではキングゥと似たような顛末を辿っている。
- ギルガメッシュ
- 自身の肉体のかつての魂の友。「会ってはいけない」と本能が告げている為基本的に近づこうとしない。
- シドゥリ
- ラフムによって追われたところを、同じくラフム化した彼女に助けられる。
- エルキドゥ
- 自身の体。彼の遺体を自身の体としている。
- 後に彼の幕間の物語にて、自分が変異した鎖の欠片が彼に取り込まれた事でシステム統合された。
名台詞
Fate/Grand Order
戦闘
- 「必死にならないで、みっともないよ」
「手間を取らせないでくださいね?」 - スキル使用時の台詞。あからさまにこちらを見下しているセリフ。
- 「串刺しだねぇ、分かるとも!」
「ふっはははははっ!」
「よそ見は良くないなぁ」 - 攻撃時の台詞。エルキドゥとは違い攻撃的な言葉遣い………と言いたいところだが、何故か本作のエルキドゥもこれに負けず劣らず攻撃的なセリフを吐くので実はあんまり差が無かったりする。
- なお一段目の台詞は、ネットスラング「○○ですね、わかります」と同じ意味合いで、「○○だねぇ、分かるとも!」の形でファンの間で使われることがある。
- 「母さんはお怒りだ。滅びの潮騒を聞け。『
母よ、始まりの叫をあげよ 』!」 - 宝具発動。原初の母の怒りは滅びの潮騒の如く。
本編
- 「ふ――ふふ、ふふふふふふふふ!」
「まぁそうだよね。あっさりバレなくちゃ嘘だよね、
こんな即興の芝居はさ!」 - 第七特異点にて。マーリンから時系列の矛盾を指摘され、エルキドゥになりすましたことがバレた際の一言。
- これまでの作品群でも、随所で存在を示してきたエルキドゥと、遂に出会えたと思っていたプレイヤー達は、この豹変ぶりに驚愕させられることになった。
- 小林ゆう氏が演じるテレビアニメ版では、この直前までのキングゥは、エルキドゥとも微妙に違う声色を発している。まさに「バレなくちゃ嘘な芝居」であった。
- 「価値観の違いさ。
ボクには母上のような怨念はない。」
「ボクが殺すものは脅威だけだ。人間の兵士を殺すのは
彼らがボクにとって脅威になり得るからだ。」
「けど幼い個体……子供はまだ脅威になりえない。
だから、ここで殺す理由がない。」 - 第七特異点にて。自身の甘さから、子供を解放し鮮血神殿の外へと逃してしまったキングゥは、その動機を尋ねた牛若丸に対して、このように取り繕っている。
- 当然ながら欺瞞であり、己の不完全性を痛烈に批判されたキングゥは、彼女に怒り制裁を下すことを決めたのだった。
- ゲーム版においては直接的に言われたこともあり、苦々しげな顔で言葉を詰まらせていたのだが、アニメ版ではそれがなくなった代わりに、過剰な追い打ちと鋭い笑顔が、抑えきれない怒りの発露として表現されている。
- (……ああ、こんな事なら、最後に、
アイツに会いに行けば良かったのにね―――) - 第七特異点にて。ラフム達に追い立てられ、殺されかけている場面での独白。脳裏に浮かんだのは誰の存在だったのだろうか。
- そして、死の淵にある彼を窮地から救うのも、またあるラフムであった。
- 「ラフム、残り二千。取るに足らない。」
「―――フン。見た事か。心臓さえあれば、おまえたちなんて話にならない。」
「こんな量産型に手こずるなんて、旧人類は本当に使えない。それでよく、」
「……よくボク相手に大口を叩いたものだ。カルデアのマスターも、アイツも。」
「ひとりじゃ何もできないクセに、偉そうに胸を張って。それで、最後まで生き延びた。」
「…………ふふ。自分ひとりで何でもできる、か。その時点で、ボクは完全じゃなかったな。」 - 第七特異点にて、最終決戦に参戦して。神の泥人形に宿った新たな存在は、ようやく「完全」が何なのかを知った。
- 「―――人間の味方なんてするものか。ボクは新しいヒト。ただひとりの新人類、キングゥだ。」
「だけど―――」
「……母親も生まれも関係なく。……本当に、やりたいと思った事を、か。
……ボクにはそんなものはない。なかったんだ。なかったんだよ、ギル。」
「でも―――思えば、一つだけあったんだ。
キミに会いたかった。キミと話したかった。
この胸に残る多くの思い出の話を、その感想を、友としてキミに伝えたかった。」
「でも、それは叶わない。それはボクではなく、エルキドゥという機体の望みだ。」
「……そして。ボクの望みは、今も昔も変わらない。」
「新人類も旧人類も関係ない。ボクはヒトの世を維持するべく生を受けた。」 - 第七特異点より。
- ギルガメッシュからの叱咤激励を受けたキングゥだったが、彼が期待した自由な生き方は、遂に見つけることが叶わなかった。
- 一時はそんな自分の空虚さに絶望したものの、キングゥは最後の瞬間に、自分が追い求めていた使命を思い出す。
- ティアマトの作ろうとする世界は、ヒトの世にあらず。それはこれまでの人類史とも、自分が目指した新世界とも相容れない。故に止めなければならないという思いは、誰かに作られたものではない、彼自身の築いた「本物」の信念だった。
- 「さようなら、母さん。アナタは選ぶ
機体 を間違えた。」
「……うん。アイツの言った事は、よく分からない。でも―――」
「―――この体が。やるべき事を、覚えている。」
「ウルクの大杯よ、力を貸しておくれ。」
「ティアマト神の息子、キングゥがここに天の鎖の筺 を示 す!」
「母の怒りは過去のもの。いま呼び覚ますは星の息吹 ―――」
「人よ 神を繋ぎ止めよう ―――!!!!!」 - 第七特異点より。天の遺児は自らの意志の赴くままに、星の息吹を伴って原初の母に挑む。
メモ
- 伝承におけるキングゥは、ティアマトによって怪物達の総大将に選ばれたがマルドゥクの威光と軍勢に恐れをなして戦場から逃亡し、ティアマトの死後に捕らえられて首を斬られた後に人間達を産み出す素材にされる……という、非常に情けない神様だった。このゲームのキングゥ自身も、キングゥ神とは一緒にしてほしくないと発言している。
- 死後の遺体の動向が、若干分かりにくいキャラクターになっている。
- 大元の体はティアマトに破壊された時点で死亡しており、イベント『冥界のクリスマス』では巴御前同様、フリークエストのボスとして冥界に落ちた姿も描かれた。
- 一方で遺体の一部には、ティアマトを諌めなければならないという残留思念が残っており、これがエルキドゥに幕間にて回収されている。
- どちらにしても、幕間『神が造り、人が紡ぎ、土に還るⅡ』の直後には、エルキドゥが座に還っているため、一応キングゥの遺志は後述のように、英霊の座に刻まれたと言える形になっている。
- 人格が身体に刻まれるという性質からエルキドゥは魂ではなく肉体が座に登録されている。もともとエルキドゥは空っぽのハードウェアとして生まれ、そこから経験という名のソフトウェアを組み込まれ今の人格になっており、例え魂が違ったとしてもそれは性格が違うだけでエルキドゥ本人となる。例えるなら「エルキドゥ」というハードに「キングゥ」というソフトを入れているだけであり、エルキドゥもキングゥのことを別の時間軸の自分として考えている。
- 終章『冠位時間神殿ソロモン』には、上述した「キングゥを取り込み、その特徴が一部表出したエルキドゥ」が召喚されている。もっとも配信時点では、単なる立ち絵ミスだったのか意味のある演出だったのか判然とせず、「初対面時のように、キングゥがエルキドゥのふりをしていたのではないか?」という声も挙がっていた。
- イベント『デスジェイル・サマーエスケイプ』にも、キングゥの意識が断片的に残ったエルキドゥが召喚されており、見覚えのないはずのゴルゴーンを救出している。
- 上記のように攻撃的、嗜虐的な言動が目立つが、同時に過去に引きずられて悩む等の側面も多く。後に「キレた斧」っぷりが明らかになってゆくエルキドゥと比較して「こちらの方が人間的にまともなんじゃないか」と一部では囁かれている。
- アニメ版の第七特異点でもギルガメッシュと相対した際にエルキドゥの肉体の記憶がフラッシュバックして狙いを外してしまうが、これについても「本物(エルキドゥ)だったら当ててた」というある意味酷いコメントが多数寄せられた。ただし、エルキドゥは「人と共に生きる」と自身を定義しており、Fakeでは他人に迷惑がかからないよう砂漠に移動して戦闘を開始等の理性があり、ましてや七章のギルガメッシュはサーヴァントではなく生前。「本当に当てていた」のであればエルキドゥを理性を持たない怪物状態にまで戻す必要がある。
- 間桐桜の要素を引き継ぐティアマトの親族であり、彼女らのライダーと同一人物であるゴルゴーンと行動を共にするキングゥには、一部間桐慎二との共通点が見られている。両者共に自信家であり、またそれに見合った能力を持つエリートでありながらも、一族の使命を引き継ぐ資格にだけは恵まれなかったという点で共通している。
- もっともその事実を知ってから、三年間を屈辱の中で過ごした慎二と、直後にティアマトとの心中を選び生涯を閉じたキングゥの間では、性格の捻じ曲がり方に大きな差が生じてもいる。
話題まとめ
脚注
注釈
出典