概要
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に登場する、一辺が2km弱ほどもある巨大な黒色の立方体構造物。
エインズワース家の上空に隠されており、エインズワース家における最大の機密。そのため、ドールズにはもれなく「ピトスに関係する内容について意思表示できない」という制約が課せられている。
内部からは絶えず黒い泥状の穢れが漏れ出しており、そこからさらに黒化英霊が何十何百と湧き出てくる。さらに彼らは宝具の使用も可能であるため、エインズワース家にとっては重要な戦力の一つになっている。
なお、「ピトス」というのはギリシャ語で「箱」「甕」を意味する単語であり、その正体とも密接に関係している。(後述)
正体
ピトスの正体とは、端的に言うなら「まだ開かれていないパンドラの箱」。
ギリシャ神話ではパンドラによって開かれ、「中に入っていた神々からの贈り物が散逸してしまったが希望だけが残った」あるいは「中に入っていた神々からの呪いが世界中にばら撒かれてしまったが希望だけは残った」という結末に至る逸話になっており、神々によって作られた人類最初の女であるパンドラとセットで語られるアイテムである。
理由は不明だが「美遊の世界」では箱が開かれていないようで、ギリシャ神話の文献にもパンドラ自身の記述はあるが「パンドラの箱」の記述はどこにも存在せず、エインズワース家の人間以外に存在を知る者もいない。
この「この世全ての贈り物」を聖杯として使用する為に、エインズワース家では聖杯戦争を開催し、箱を開きうる「パンドラのサーヴァントカード」を作り出そうとしているのではないか、という仮説が立てられた。
だが、実態はさらにそこから少しだけ離れており、エインズワース家にいるエリカ・エインズワースが6000年間生き続けているパンドラ本人であった。
元々パンドラの箱とは6000年前にゼウスを始めとするギリシャ神話の神々によって作成された「キョウセイブンシサイセイソウチ[注 1]」であり、「歴史を模倣して冗長化[注 2]を行うために想像した、星の安全機構」。セットで泥から生み出されたパンドラに対しては「人類が滅びた後に開けるように」と言づけられていた、また、それまでにパンドラが死んでしまわないように、「パンドラ自身の死」もパンドラから切り離されて箱の中に封入されていた。
人類はその後も滅びることなく繁栄を続け、パンドラは死ぬことができずに摩耗し、精神が変質して箱を開けることができなくなってしまった。
それをどうにか開こうと画策しているのが、エインズワース家と彼らが開催する聖杯戦争の正体であった。
神代に神々によって作られた逸品なので当然ながら非常に強い神秘を保有しており、形状を変えてぶつけただけでランクが低下しているとはいえヘラクレスの「十二の試練」を貫通するほどである。
真相
上記のピトスの本質的な正体とは、「可能性世界に繋がった孔」そのもの。この孔を持ち運びできるようにして外部からの影響を遮断する障壁こそが「パンドラの箱」である。
この「孔」から可能性を汲み出して現実に反映させて改変することがおそらく「キョウセイブンシサイセイソウチ」および聖杯としての機能である。
人類が滅びた後に開いた場合は「人類が滅びていない可能性」を汲み出して反映させて復旧させるものと思われる。
本来の歴史ではどこかの段階でピトスは開かれた[注 3]と思われるが、美遊の世界では箱は開かれないまま6000年が経過してしまい、飽和した可能性は孔の向こう側でそれ自体が一つの世界と歴史を形成するに至ってしまった。[注 4]
さらに、美遊の世界そのものも地球のシステムダウンに伴って滅びに向かっており、結果として「箱の中の世界」と「箱の外の世界」の比重が逆転。箱を開放した場合には「箱の外の世界」が「箱の中の世界」の歴史に塗りつぶされ、消滅してしまうようになってしまった。
外部に漏れだしている黒い泥は飽和した可能性の欠片に過ぎず、上記の設定が示す通り、その泥の総和はこの世界そのもの以上、すなわち地球全土を覆いつくすほどに存在している。
孔の中で生まれた可能性世界は既存の人類のそれとはかけ離れているようで、孔が開き切った状態では「頭部のない巨人」としか言いようのない存在[注 5]が無数に生まれてきており、これが向こうにおける「人類」の可能性すらある。
メモ
脚注
注釈
出典