漂流電影空間 ハリウッド

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漂流電影空間 ハリウッド
シナリオ担当 円居晩

概要編集

『惑う鳴鳳荘の考察』にて発生した特異点。
「ハリウッド」と名前はついているがロサンゼルスではなく、具体的な所在地は不明だがカリブ海にある館を舞台としている。

元々は作品を完成させられずに死んでしまった映画監督の亡霊が聖杯の欠片に触れ、特異点として成立した空間。
館の中には映画撮影に使えそうないくつもの部屋や、衣装や小道具なども一通り揃っている。
映画監督の亡霊そのものは消滅済みであるが、彼が設定したルールはそのまま残っており「整合性を重視した上で、映画を完成させる」ことを条件に空間そのものを魔力リソースとして回収可能。
本来の空間の主が消滅してしまっている為か空間としては脆弱であり、そのまま放っておいても三日程で消えてしまう。

このため、カルデアはボーナスステージ感覚でこの特異点にレイシフトして、映画を完成させる事で魔力リソース資源の回収を目論んだ。
だが、急ぐあまりそれまで映画監督の経験などなかった紫式部に監督と脚本を依頼し、3日以内に仕上げるように無茶ぶりしてしまう[注 1]
結果として突貫工事で脚本を書き、役者を手配し、序盤のシーンから撮影開始したのだが、その過程で倒れてしまう。幸い霊基に別条は無かったが、徹夜続きで極度の疲労状態にあったところでヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス謹製の疲労回復薬を使用したために、「疲労は回復するが撮影終了間近まで覚醒しない」という事態になってしまい、取り残された役者とスタッフたちは「本来はどのような映画にするつもりだったのか」を推理しながらアドリブで撮影を続けていくことになる。

最終的には紆余曲折があったが映画の完成にこぎつけることができ、元々紫式部が想定していたシナリオとは少しずれてしまったもののとある人物のアドバイスによって各人にとっても満足のいく作品に仕上がった。

映画内の登場人物編集

ミゲル・アンヘル・コルテス
演者はジェームズ・モリアーティ。かなり難しい役であるようで、誰を充てるか最後まで決まっていなかった。
ナダイ・ナーダ王国の副将軍であり、革命の際に王室を裏切って革命軍に合流し、革命後は初代大統領となった。
大統領として就任後は辣腕を振るい、退任後も隠然とした権力を振るい続けていたが、物語の始まる少し前に死亡している。
養女として育てていたガブリエラと結婚した事に加え、その来歴から黒い噂の絶えない人物。
リュウ・タン
演者は柳生但馬守宗矩
ナダイ・ナーダ王国の将軍であり、革命の際には最後まで王室に味方し、命を落とした。
ダイゾー・オカ
演者は岡田以蔵
ナダイ・ナーダ王国の兵士であり凄腕の暗殺者として知られた人物。
革命の際に行方不明となっている。
ガブリエラ
演者は紫式部。監督と兼任である。
コルテスに養女として育てられた人物であり、死の少し前に彼と結婚していた。
現在は鳴鳳荘の主としてサラザールと共に暮らしている。
物語中ではパーティのホストとして来客たちを歓迎するが、乾杯の場面でワインを飲んだ直後に倒れてしまう。
サラザール神父
演者はバーソロミュー・ロバーツ。当初は記憶喪失であり、役どころにぴったりだったため役者がいなくなって困っていた紫式部がスカウトした。
十年前に記憶喪失だったところをコルテスに拾われ、使用人として彼に仕え続けていた。
コルテスの死後はガブリエラに同じように仕えている。
ガルシア、バルガス
演者はオジマンディアスアーラシュ
猟師の二人組であり、美食家としても知られていたコルテスと食材の納品でのコネを作ろうとしており、その縁ゆえかガブリエラ主催のパーティに招かれていた。
実は革命を生き延びたナダイ・ナーダ王国の王子[注 2]とその従者でもある。
アントニオ・ロベルト・ジョピン
演者はアントニオ・サリエリ。何かと精神が不安定な彼のために役名も同じにしたと思われる。
元々はナダイ・ナーダ王国に仕えていた作曲家であり、現在はフリーの立場でエリスとコンビを組んで活動している。
ガブリエラ主催のパーティに招かれていた。
エリス
演者はジャンヌ・ダルク〔オルタ〕
王国崩壊後に名前を知られるようになった歌姫。アントニオの姪であり、コンビを組んで活動している。
ガブリエラ主催のパーティに招かれており、乱暴な性格もあってか彼女にもきつい態度で接していた。
ローマ・クレイシ
演者は坂本龍馬
元々はナダイ・ナーダ王国でコルテスの部下として働いていた軍医で、王国崩壊後は除隊してフリーの医者として生活している。
ガブリエラ主催のパーティに招かれていた。
イシドロ・ポジオリ
演者はトリスタン
ガブリエラ主催のパーティに招かれていた音楽家。
彼女が倒れた後に、実は探偵であることを明かした。
アドリアナ・モリナリ
演者はマシュ・キリエライト
イシドロの助手を務めているが、音楽には詳しくないなど不審な点も見受けられる。

用語編集

ナダイ・ナーダ王国
映画の舞台となっている南米の小国。ナダイ・ナーダとは、スペイン語で「何もない」という意味。
元々は王制が敷かれた平和な国であったが、王室が堕落したために国民の反発が強まり革命が勃発。
副将軍だったコルテスが合流したこともあり革命は成功して共和国となり、コルテスが初代大統領の座に就任した。
物語はその10年後、引退して元大統領となったコルテスが死去した直後を舞台にしている。
鳴鳳荘
ナダイ・ナーダ内にある館。元は王国所有の物件だったがコルテス大統領の私邸の一つとなった。
コルテスの死後はガブリエラが主となり、サラザールと共に生活している。
嘴を開いた鳳凰(あるいはフェニックス)の意匠が紋章として各所に配置されており、館の名前の由来となっている。
コルテスの遺産
映画の中で登場するキーアイテム。
コルテスが大統領時代に接収した王室の財宝や、新政府に関する後ろ暗い機密文書などの集合体。
大統領を引退した後もコルテスが隠然たる権力を持っていた源泉とも噂されており、鳴鳳荘を訪ねてきた人の中にはこれを狙っていた者も多かった。
肖像画家(ポートレイヤー)
ガブリエラに毒を盛ったと予想されている犯人。
鳴鳳荘内にあるガブリエラとコルテスの肖像画から真新しい絵の具の匂いがしたのをきっかけに、一部の絵の具からは毒物となる重金属が抽出できることからイシドロが命名した。

メモ編集

  • ロマニ・アーキマンが存在するにもかかわらずシャーロック・ホームズジェームズ・モリアーティ、更にアントニオ・サリエリが登場するなど、1.5部~2部前半の特異点の中でも輪をかけて時間軸が不明瞭であった。
    • イベントの最後で、ロマニと「コルテス将軍」の間でまったく面識がないことが明かされ、一種のクロスオーバーであることが明らかになった。
      • なお、これについては書籍版ではカットされており、カルデア側の人物はすべてシオンに置き換わっている。
  • 本来紫式部が構想していた内容は、源氏物語の変奏というべきもの。ミゲルとガブリエラの関係は光源氏と紫の上になぞらえたもので、紫の上がいきなり自由になったとしたら、一体どんなことが起きたのかをシミュレートできる舞台設定であった。ガブリエラを中心に様々な男性との愛憎劇が繰り広げられるが、最後にはミゲルこそが打算の無い愛情を注いでくれた唯一の男性だと思い至り、誰とも結ばれずに終わる、というのが本来のあらすじである。
    • シェイクスピアの推測では、アントニオは在原業平、エリスは清少納言、鳴鳳荘は平等院鳳凰堂がモデルである。またサラザールの正体は記憶を失ったダイゾーで、さらにガブリエラの実の兄でもあり、これには薫大将と浮舟の要素が入っている。
      • なおこの内容から、「脚本を任されたのをいいことに、自分が主演の逆ハーレム物を作った」と揶揄するプレイヤーも。

脚注編集

注釈編集

  1. さらに間の悪いことに、彼女は読みたかった本をほぼ徹夜で読破した直後であった。
  2. ガルシアENDでは「コンコルディア王子」と呼ばれていたが、役の時点で決定していた名前であるかは不明。

出典編集


リンク編集