投影魔術
概要
グラデーション・エア。オリジナルの鏡像を、魔力で物質化させる魔術。
本来は失われたオリジナルを数分間だけ自分の時間軸に映し出して代用する魔術であり、外見だけのレンタル[出 1]。投影した道具はオリジナルの道具と比べると劣化が激しく、さらに時間を経れば投影したものは世界の修正により魔力に戻ってしまう。また、イメージに破綻が起きても霧散してしまう[出 2]。
非常に効率の悪い魔術で、投影でレプリカを作るなら、ちゃんとした材料でレプリカを作った方がよほど手軽で実用に耐える[出 1]。
このため、野外で必要な道具をその都度調達する必要があるなどの特殊な状況ならともかく、魔術としては儀式で道具が足りない際に間に合わせで用意する、などの目的くらいにしか活用できない。
凛曰く、十の魔力を使って剣を"投影"したとしても、その剣の力は三か四しか出ないとのこと。これは、人間のイメージなんて穴だらけのため、本物の通りには作れないため。対して十の魔力を使って剣を"強化"した場合、その剣の力は二十にも三十にも跳ね上がり、その持続時間も投影の何百倍となる。
憑依経験
投影した武器の使用者の技術を模倣する技。 長年使用された刀剣には意思が宿り、その意思と共に刀剣に宿る「使い手の経験・記憶」ごと解析・複製している。このため、仮に初見の武器の複製であっても完全ではないがある程度扱いこなすことが可能。
士郎は投影する際に以下のことを解析する。 「創造理念」、「基本骨子」、「構成材質」、「製作技術」、「憑依経験」、「蓄積年月」
具体的に言えば、創造の理念を鑑定、基本となる骨子を想定、構成された材質を複製、製作に及ぶ技術を模倣、成長に至る経験に共感、蓄積された年月を再現することで真に迫った物を投影している。 この「成長に至る経験」を解析した結果、扱い方の知識を得る。
士郎にはギルガメッシュの剣筋等見えていなかったが、カリバーンがこのレベルの剣舞を既に熟知していた為、剣の切っ先が敵の攻撃に呼応し防ぐことが出来た。
作中に「無限の剣を持ったところで、究極の一を持った敵には対抗出来ない。ギルガメッシュにはあるだろうがそれだけの身体能力が俺にはない」と身体能力は反映されていないととれる記述があり、少なくとも士郎は身体能力までの模倣は出来ていない。
アーチャーの腕を移植した際は技術だけでなくバーサーカーの怪力まで完璧に再現してみせたが、その後のセイバー戦では「思考に体が間に合わない。引き出される経験に肉体が追い付かない」と言っていたり矛盾している。 「是・射殺す百頭」を振るったのはアーチャーの腕である為、アーチャーの身体なら身体能力まで模倣出来るともとれるが詳細は不明。
またバーサーカーの斧剣から「是・射殺す百頭」を投影しているが、バーサーカーの斧剣はアインツベルンが神殿の礎から作った触媒であり、当然だが「射殺す百頭」の歴史はなく、技術を持って振るわれたことすら一度もない。憑依経験は武器がどういうふうに扱われたのかの経験を解析、それを出力(再現)するというものなので生前使っていない斧剣から何故ヘラクレスの技を再現出来たのかは不明である。
使い手
- 衛宮士郎
- 強化魔術の修行ばかりしている彼が本来得意な魔術系統。投影対象は「剣」ばかりであるが、見れば宝具級の代物まで投影可能な上、破壊されなければ半永久的に残り続けるという規格外な代物。
- なお、彼が使用しているのは厳密には投影魔術ではない。詳しくはこちら参照。
- hollowでトイレを我慢していた凛に「オマルの一つや二つくらい投影したぞ?」というセクハラ発言を士郎はしており、武器以外も少し融通が利く模様。
- 衛宮士郎 (美遊世界)
- 『Fate/stay night』の衛宮士郎と異なり聖剣の鞘を埋め込まれていないため、強化魔術がメインだったが、エミヤのサーヴァントカードを使い続けたために置換され、上記の原理の投影を使えるようになった。
- クロエ・フォン・アインツベルン
- エミヤのサーヴァントカードを元に誕生した存在であり、同種の投影を使用可能。
- エミヤの本領を当初は理解していなかったことや椅子も普通に投影していたこと、イリヤの魔術の本領を考えると、まともな投影魔術も使用可能なのかもしれない。
- カーシュラ
- 『Fate/strange Fake』で登場した、セイバーを召喚する予定だった魔術師。
- 投影魔術と支配魔術の使い手で、ウォール街で色々とやらかしていたとのこと。信用保証のために見せ金を投影でもしていたのだろうか。
- ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ
- 投影の使い手とまでは言えないが、エルメロイⅡ世が構築した術式を使って、白銀姫の顔に黄金姫を投影した。
- アムレス・ヴォータン
- 『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のアニメ版の特別編で登場した魔術師。
- ケイネス時代のエルメロイ教室のメンバーであり、投影魔術の研究で典位に至った出世頭。
- 特別編ではさらなる研究を進めた結果、特定人物に別の姿を投影して一種のアバターにする魔術「外殻投影」を完成させた。
- カミュ・ペリゴール
- 『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のアニメ版の特別編で登場した魔術師。
- ケイネス時代のエルメロイ教室のメンバーであり、アムレス同様に投影魔術の研究をしていたが、彼に魔術の成果を奪われて魔術回路にも損傷を追ってしまった。
- 特別編ではそんな彼と協力して「外殻投影」を完成させた。
- 遠坂凛
- 『ロード・エルメロイⅡ世の冒険』で、自身の魔力を偏光させる五大元素の疑似宝石をごく短時間投影し、それで相手の術式と相殺する魔術を即応的に組み上げる、という投影魔術の応用法をエルメロイⅡ世から教わった。
- 最初に相手を解析する必要はあるが、一から魔術式を組み上げるのではないため、魔力を通すだけで魔術が発動する。
夢の中に現実と寸分違わぬ人間が誰一人存在しない点を除いては──スノーフィールドの街を再現する彼女オリジナルの投影魔術。無意識下に使っているもので意識して使用してはいない。
この魔術単体では無害なものだがペイルライダーがここに存在し街の住民達と動物達を彼が引き込んだ事によりある種の牢獄と化した。
かつてのペイルライダーの唯一無二のパートナーたる『少女と死神』の『少女』もかつて使っていたもので、その際も町を夢により覆っておりその時は町を病魔が蝕む文字通りの地獄へと変えた。
英雄王ギルガメッシュ当人は『いざとなれば『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』で『死の呪い』程度は(中にいる住民達や動物ごと)吹き飛ばせる』との事から、この投影魔術も完璧なものではないのが解る。
ただし、この場合は住民達や動物達がどうなるかは定かではない事からエルキドゥからは難色を示された。
メモ
- 衛宮士郎以降、まともな投影魔術はほとんど登場していなかったが、本来の投影が『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』で日の目を見ることになった。
脚注
注釈