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概要編集

神秘、奇跡を人為的に再現する行為の総称。
門派ごとに違いはあるが、基本的には術者の体内、もしくは外界に満ちた魔力を変換する機構。各門派が取り仕切る基盤(システム)に従い、術者は命令(コマンド)を送って用意されていた機能(プログラム)を実行する、という流れになっている。命令を送るのに必要なものが魔力である。[出 1]

万能のイメージがあるが、基本的に等価交換で成り立つ。有から有を持ってくるのであって、無から有は作れず、出来る事を起こすのであって、出来ない事は起こせない。[出 2]
個人の魔力だけではできることに限界があり、大自然への干渉は同じく大自然に満ちる魔力(マナ)でなければ行えない。[出 3]他者の精神に干渉する魔術は、物質的な代償を要しない代わりに術者の精神にも影響を与える。人を呪わば穴二つ。[出 1]

魔術は秘されなければならないものだが、一方で概念は多くの人々の信仰によって在り方を安定させる。なので、概念の変化は魔術に影響を与える。

「魔術」と「魔法」は「その時代の文明の力で再現できる奇跡かどうか」で線引きされている。
300年前には「自由自在に空を飛ぶ」奇跡は魔法であったろうし、もしも未来の科学で平行世界旅行が可能になったら第二魔法は魔術に格下げされるという。かつては多くの神秘が魔法であったが、ここ最近は逆に魔術が文明の後追いをしている状態となっている。

現代の魔術の最高ランクはAである。その為、サーヴァントが対魔力をAランク以上で所持している時点で現代のあらゆる魔術を用いても傷を負わせることが不可能になる。対魔力Aあっても令呪の命令を完全に無効化出来ないのは令呪がAランク以上の魔術であるからではなく、サーヴァントになる際の契約により服従の義務を課せられており、その制約によるもの。

Fate/EXTRA』の世界では神秘は崩壊したため、魔術師(メイガス)はウィザードと名を変え、電脳世界を舞台として存続している。

歴史編集

もともと、下記のような神秘を利用して物理現象を引き起こす行為は神の専売特許とされており、神代に魔術師として知られた人物も神の血を引いていたり神から直接教導を受けていたりした存在であった。

紀元前1,000年頃にソロモンによって「魔術回路を用いて、マナやオドを動力源として物理現象を引き起こす、神を介在しない方法論」が確立され、それが西洋における(人の手による)魔術の始まりであったとされている。

以降は時計塔を中心に魔術は発展していくが、彷徨海の魔術師などは西暦以前の魔術である神代魔術と比較したらそれらは児戯に等しいと相手にしていない。

また、神代よりもさらに遡る魔術系統として「理想魔術」というものもあるが、現在の地球ではまったく発動させることができず、現代では机上の空論となっている。

根源編集

世界のあらゆる事象の出発点となったモノ。ゼロ、始まりの大元、全ての原因。
これを魔術師達は「根源」と呼ぶ。もしくは、その一点から事象が渦を巻くように放射状に流れ出す様を例えて、「根源の渦」とも呼ぶ。

「根源」とは、語弊を承知で有り体に言えば、「究極の知識」である。全ての始まりであるがゆえに、その結果である世界の全てを導き出せるもの。最初にして最後を記したもの。この一端の機能を指してアカシックレコードと呼んだりもする。

魔術師とは、この「根源」への到達、究極にして無なるものを求めてやまない人種のこと。
元をただせば、魔術師とは根源を探求する学者。それが根源へ至る手段に魔術を用いるから、魔術師と呼ばれるだけ。

根源から流れ出す事象の川は、当然、根源に近ければ「太い流れ」であるし、末端へと流れていけば、途中いくつもの支流に分かれて「細い流れ」となる。
事象を細分化する要因は、時の流れと人々の意識あり、人々に知られれば知られる程、それは細くまた複雑になる。これは「一般常識」とも言い換えられる。

そして、未だ大勢の人の手によって汲み上げられることなく、「太い流れ」を保っているものが、一般に知られていない「神秘」(あくまで比較の話であり、神秘でさえ根源という最初からみれば細いものでしかない)。

流れが太いものも細いものも、根源から流れ出たという点で違いはない。
しかし、魔術師のように根源へと辿り着こうとしている者達にとって、細分化された一般常識程度の知識では、あまりに根源へは遠すぎる。
ゆえに、魔術師は根源へ至るために「神秘」を学ぶ。その「太い流れ」こそが、根源へと至るに足ると信じるから。
神秘=魔術が引き起こす「奇跡」などというものは、魔術師にとって瑣末なものでしかない。ただそれが根源に近いがため、魔術という手段を選んだに過ぎない(現実的な話ではないが、もし魔術以外の手段で根源へ到達できるなら、魔術師は喜んでその方法を執る)。

魔術のシステム編集

神秘編集

今の時代の一般常識から外れた、巷に流布してはいない、秘匿された知識とその成果。魔術師は「根源」へ至る手段として「神秘」を学び、その「魔術師の学ぶ神秘」を言い換えると、それが「魔術」と呼ばれる。

魔術師にとって魔術とは、根源に至るための手段である。言い換えれば、根源へ至る可能性と価値があるからこそ、魔術師は魔術を学んでいる。もし魔術が根源へと至る手段ではないものに成り下がったら、魔術師にとって意味が無い。

魔術がその価値を無くすとは、即ち既に述べた「一般に知られる」ということが現実に起こった場合。「神秘」という「事象の太い流れ」が、一般に知られることで「細い流れ」へと姿を変え、前述したように根源から遠ざかる。それを、魔術師は最も忌避する。分かりやすく言えば、1人の人間しか知らなかった魔術を誰か1人に教えると、その性能は二分の一、さらにもう1人に教えてしまうと三分の一に、とどんどん劣化していく。 一例として、「人体模造はとうに衰退した概念」という記述がしばしば出てくるが、これは科学・医学の発達により人体の構造が詳細に解き明かされ、世界中に広く知れ渡って神秘が薄れたため。もっとも人体の神秘が完全に解明されつくしたわけではないため、蒼崎橙子のような天才的な魔術師ならば魔術として使用できる余地がある。

魔術師の学ぶ魔術とは、根源に至る可能性を持つ「太い流れ」=「神秘」でなければ、学ぶ価値が無い。
それと共に、「神秘」は大勢に知られてはならない。大勢に知られては、その意味と意義を失う。

ゆえに、魔術とは神秘であり、神秘であり続けるから魔術として存在できる。

魔術師は己の研究を公開しない。公開しては「神秘」たりえなくなる。
公開しては「神秘」たりえなくなるため、魔術師同士が研究の成果を持ち寄って意見を交換し、互いによりよく発展させようなどということはありえない。
そのため、魔術師の自治組織である魔術協会は、その第一義が他を差し置いて「神秘の秘匿」とされている。

魔術協会は、別に魔術師が新しい魔術師を育てるための学び舎でもないし、互いに切磋琢磨しあう研究の場でもない。ようするに、「他の魔術師が下手を打って神秘を漏らして、自分に迷惑がふりかかってこないよう、互いに監視し合うための組織」として機能している。

歴史を積み重ねた武器はそれだけで魔術に対抗する神秘となる。神秘性が備わる為、魔術を込められた武器同様にサーヴァントに傷を与えることは可能だが、サーヴァントや宝具に比べればその神秘性は無いにも等しく、蚊の止まるようなダメージしか与えられない。 式の持つ古刀『九字兼定』(約500年前の日本刀)は橙子の事務所の結界を丸ごと斬れるとされている。

魔術系統編集

根源から流れ出た事象の川。それをどう解釈(もしくは脚色)するかは、触れた人間の背景にある文化・民族性による。(世界中に、遠く距離を隔てた土地でありながら、類似した神話や伝承があるのはこのため)
魔術においてもそれは同じで、「神秘」という意味で類似していながらも異なった解釈で存在するそれらを、「魔術系統」と呼ぶ。

空の境界』矛盾螺旋での蒼崎橙子の言葉には、

  • アストロロジー
  • アルケミー
  • カバラ
  • 神仙道
  • ルーン

があり、他にも数え切れないという。

もし根源へと到達できれば、新しい魔術系統(魔法)を作ることも可能だという。

魔術基盤編集

魔術の各流派が世界に刻み付けた魔術理論。[出 4]学問や宗教の形を取り、魔術の機能を記した魔術式を含む。魔術師は魔術回路を通して魔術式に命令を送り、魔術を発動させる。[出 5]魔術式を含むからか、大魔術式とも呼ばれる。

既に世界に定められたルールであり、人々の信仰がカタチとなったもの。人の意思、集合無意識、信仰心によって「世界に刻み付けられる」もの。
「信仰心」と言っても宗教的な信徒であることを示すのではなく、「知名度」に言い換えられる。
神秘(魔術)が「ある」と信じられることによって、世界がそれを許容する。
ここで、「ある」と信じるということは、それが「確信」である必要はない。例えば、「幽霊」という神秘の存在について、現代の人間の大半は否定的な意見を持っている。しかし、現代の科学では「ない」とも言い切れない。「ひょっとしたらあるかも」という考えは、無意識のどこかにある。そういった「疑念」的なものも、信仰心には含まれる。
信仰心の反対は「無知」。幽霊の存在自体を知らない、ということのみが、信仰心を産まない。つまり、広く大勢の人間に知られていればいるほど、魔術基盤は強固なものになるということ。

「魔術に足る神秘の知識」とは、再び幽霊に例えれば、「幽霊という存在がある(かもしれない)ことを知っていること」ではない。「幽霊の『正体』を知っていること」である。一般人にとって幽霊とは、いるかいないかわからない、あやふやなものである。しかし、魔術師にとって幽霊とは、その正体までも知っていて、いることが不思議でも何でもないもの。
神秘を起こす「ルーン」という魔術がある。ルーンは奇跡を起こす、と一般には信じる者もいるし、信じない者もいる。ただ、両者に共通なのは、ルーンが「何故」奇跡を起こすことができるのかまでは、知らないということ。しかし、魔術師はその「何故」を少なくとも一般人よりは知っている。

この差が、「神秘は知る人間が増えれば力を失う」ということと、「広く大勢の人間に知られていればいるほど、魔術基盤は強固なものになる」ということが両立する所以。

学問、宗教といった形の魔術基盤は地脈にも溶け込んでおり、魔術基盤のある土地から離れると土地からのバックアップが無い分、魔術の効果は下がる。[出 6]
信仰、基盤の小さな一派の魔術は弱く、他国では全うに機能しないことがザラな一方で、最も広い魔術基盤を有する教会による神の教え、聖言は、物理的干渉力こそ微弱だが、霊体には絶大な力を持つ。[出 4]
学問や宗教ではなく、口伝や一族に限って継承される魔術の場合、世界のどこでも効果に差異はない。[出 6]そもそも家伝の魔術は魔術基盤を使わず、個人の魔術式のみで成立する。[出 7]

魔術回路編集

魔力回路、マジックサーキットとも。魔術師が持つ擬似神経で、生命力から魔力への変換、大魔術式への接続などを担う。[出 8]魔術回路を持たない人間は魔術師になれず、魔術回路の数が多いほど優秀な魔術師であるとされる。
魔術回路は核とバイパスからなり、バイパスは脳のシナプスの様に切れたり結ばれたりして核同士を繋ぐ。厳密には核こそが魔術回路といえる。魔術回路の運営は保有者の生命活動と連動するが、保有者の死後も自立して回転する例も稀にある。[出 9]
生まれながらに持ち得る数が決まっており、魔術師の家系は自分達に手を加えて、魔術回路が1本でも多い跡継ぎを誕生させようとする。この為、古い家系の魔術師ほど強力。[出 10]魔術回路の増減は臓器の増減同様、可能だが負担が大きい。また減った回路が戻ることはない。[出 9]

よく例えられる電気回路と違い、「開く」ことで魔術を使える様になる。中には性的興奮や自傷行為でしか開かない魔術回路もある。一度開いた後は、特定のイメージを思い浮かべる形でオンオフを切り替えられる様になる。このイメージは最初の開き方に関係し、術者によって異なる。[出 8]

回路を励起させ魔力を生成すると、人である体からは反発により痛みが生じる。

魔眼は魔術師に付属した器官でありながら、半ば独立した魔術回路であり、魔眼を移植することにより、疑似的に魔術回路を増やすことができる。
魔力の扱いに卓越していれば魔眼の魔術回路を自分のものに上乗せすることも出来る。

魔力編集

魔術を発動させる為の要素。エーテルとは別物。[出 11]
原初の生命力とも、命そのものともいわれる。マナとオドに分けられるが、マナの方が量が絶対的に多いというだけで、質に大した違いは無い。魔術師ならマナは自由に行使できるが、その量は魔術回路の数に依存する。[出 12]

  • マナ:自然界に満ちている星の息吹たる魔力を指す。ポリネシアに伝わるマナとほぼ同義。[出 11]大魔力、大源とも。
  • オド:生命(人間)が自らの体内で生成する魔力を指す。小魔力、小源、精気とも。

魔力は精神と肉体に結びついている。そのため本物の精神が夢の世界に迷い込んだ状態で魔術を使用すると、実際に魔力が消費される。

詠唱編集

魔術を起動させる為の動作。詠唱とはいうが、発声に限らず身振りも含む。
一流派として安定した魔術を使用する際は、定められた形式通りに手順を踏まねばならない。その一端が呪文である。手続きで言うのなら、申請、受理、審査、発行のうち、最初の申請に当たる。大規模な魔術基盤を使うならば約束事でしかないが、自己流の魔術を使う場合は自己暗示の側面が強くなる。[出 13]『空の境界』によると、特定の意味合い、単語、韻を含んでいれば、詠唱の細部は個人の自由である。詠唱が長くなればなるほど、自己暗示の効果、ひいては魔術の威力は強まる。
世界に訴えかける呪文は、大呪文、大儀式の類であり、一個人では使えない。[出 13]大規模な魔術になると、儀式や契約で工程と小節も無数になる為、詠唱とは扱わない。[出 14]

詠唱はその長さで幾つかに分類される。

一工程(シングルアクション)
魔力を通すだけで魔術を起動させる。[出 15]対象を指差すガンド、見る魔眼、歯鳴らしなどがある。必要時間は1秒以下。[出 14]
一小節
一つの事柄を自身の中で固定化する。[出 15]つまりは発声で、どれだけ早口でも1秒はかかる。必要時間は約1秒。[出 14]
瞬間契約(テンカウント)
十以上の小節を以って簡易的な儀式と成す。[出 15]通常ならば何時間もかかる契約を簡易に成立させる。必要時間は約10秒。[出 14]『ロード・エルメロイII世の事件簿』によれば、人間が行使できる中では最長。
一節
詳細不明。スキル「対魔力」の説明で頻出する。

メディアの高速神言は、一言口に出す必要はあるが、1工程と同じかそれより早く発動し、かつその威力は5小節以上に相当する。[出 15]高速詠唱は蒼崎青子の技能[出 16]、サーヴァントのスキルとして登場しているが、詳細不明。

各種魔術編集

作中で使われている代表的な魔術。

黒魔術
魔術系統の1つ。生贄を捧げることで、特定の対象に対する災厄の招来及び呪殺、悪魔召喚、儀式による精神集中を目的とした魔術。
その特性上、何の躊躇いもなく生贄を解体するために、生贄の懇願に惑わされない「冷酷さ」と、必要に応じた苦痛を与え殺戮の快楽を抑制するための「理性」が必要とされる。また「呪術」に非常に近い性質を持つ。『Fate/Apocrypha』によれば黒魔術とウィッチクラフトは別に存在するようだ。使用者は周瀬律架セレニケ・アイスコル・ユグドミレニア。また、メイ・リデル・アーシェロットも近代黒魔術という魔術系統を扱う。
旧Fateでは魔術全体に黒魔術の色が強く、沙条綾香はその中でもウィッチクラフトという陰性の魔術を使っていた[出 17]。『Fate/Prototype』では黒魔術にウィッチクラフトとルビが振られている。こちらは沙条綾香と玲瓏館美沙夜が魔術系統として身に付けている。
死霊魔術(ネクロマンシー)
魔術系統の1つ。読んで字のごとく死体と共に発展してきた魔術。
会得する者は先ず、己の「死」を見つめる所から修練を開始する。自分自身に幻術をかけ、肉体が腐乱していく様を幾度となく観察する。そして鏡越しに見ていた自分が朽ち果てていく姿から「死」を見つめ、「死」を抱き、命が「死」と共にある事を知り、最終的に「死」を統べることを目標とする。
シンプルな用途としては死者を食屍鬼に作り変え、死体を継ぎ接ぎして生み出した怪物を蘇生させて使役する。この魔術を操る獅子劫界離は魔術使いとして研鑽を積んでおり、魔術師の死体や魔獣の屍から礼装を作り出す。
元々、この魔術は研究する上でも大量の死体を必要とし、一流の死霊魔術師は革命やクーデターで大量虐殺が行われると狂喜乱舞して死体を掻き集める事が宿命と言われ、古来から常に戦場で危険と共に在ったとされる。
ただ、ウィルズ・ベラム・コドリントンのように「切断」という概念を物質化してナイフを造り出すような魔術も死霊魔術に分類されており、単純に死体を取り扱うだけの魔術系統ではないようである。
ルーン魔術
魔術系統の1つ。ルーンを用いた魔術。詳細は「ルーン魔術」を参照。
ガンド
ルーン魔術の1つ。北欧に伝わる呪いが起源。対象を人差し指で指差し呪うことで、病いを与える。詳細は「ガンド」を参照。
錬金術
魔術系統の1つ。万物、物質の流転をテーマとする学問。詳細は「錬金術」を参照。
強化
魔力を通して対象の存在を高め、文字通りの効果を発揮する魔術。詳細は「強化」を参照。
変化
刃物では火を起こせないように、そういった本来の効果以外の能力を付属させる魔術。強化が対象の持つ特性を向上させるものなら、こちらは対象が本来持って無い特性を後付けしなければいけないため強化より難易度が高い。
投影
オリジナルの鏡像を、魔力で物質化させる魔術。詳細は「投影魔術」参照。
転換
魔力、霊魂、精神といったものを別のモノに移して定着させる魔術。応用範囲は広いが、それだけに極めるのが困難な魔術でもある。
遠坂家エーデルフェルト家はこの魔術特性を得意とする。また、ロアの「転生の魔術」はこの発展系である。
宝石魔術
宝石などの鉱物に魔力を込めて行う魔術。詳細は「宝石魔術」を参照。
支配
他の生物を意のままに操る魔術。間桐(マキリ)家はこれを一番の得手とする。
昆虫や小動物程度なら容易だが、人間や幻想種にもなると意のままに操るのは困難。ただし「命令に従う」という契約を一度結んでしまえば、魔術師英霊をも使役可能。
催眠術程度の使い方から令呪まで、様々な場面で使われている。
魅了
他人(主に異性)を強烈に惹き付ける魔術。「チャーム」とルビが振られることも。支配と違い、相手を操るわけではない。
玉藻の前の呪法にはこの要素が含まれており、主に権力者の寵愛を得るために使われていたらしい。ディルムッドの黒子の呪いもこれに当る。
蝶魔術(パピリオ・マギア)
芋虫が蛹を経て、一度躰をどろどろに溶かしきってから蝶に変わる様に神秘性を見出した魔術。
生物の肉体を材料にし、まったく別の生物へと変貌させる。他者の死体から使い魔を生成することや、自分の精子から作ったホムンクルスに人格や記憶を転写するなど応用範囲は広い。オルロック・シザームンドがこの蝶魔術の重鎮である。
獣性魔術
自らの内側から獣性を引き出し、魔力を纏うことによって疑似的に人狼のような能力を得る魔術。
多くの土地において、魔術は獣の能力を取り込むことに血道を上げた。魔術以外にも中国武術では形意拳や白鶴拳など獣の動きにヒントを得たものは枚挙にいとまがなく、西洋のダンスや芸術でも白鳥や獅子のモチーフは頻繁に取り入れられる。
人が獣とたもとを分かった時から、獣は神秘を見出される存在となった。
アジアの多くの地域では、犬の声は魔を祓うとされ、吼えた音圧だけで、他者の魔力を引き出し、魔術回路で変換した魔力を、まるで魔術を覚えたての末子のように、雲散霧消させることが出来る。
使用すれば、体中の筋肉が盛り上がった、一本一本が金属の針にも等しい硬度を持った体毛を生やした人狼に見せかけるほどの、異常な密度の魔力を纏い「幻狼」と呼ばれる状態になり、ある秘法によって自らの内側から絶大な獣性を引き出し、獣の神秘を得た五体は、単なる「強化」の枠を超えて、圧倒的速度と腕力を得る。
この魔術を使用した者は影響で平時でも常人離れした嗅覚を持つようになり、他人の残り香はおろか魔術も臭いだけで判別できるようになる。スヴィン・グラシュエートがこの魔術の使い手。
混沌魔術(ケイオスマジック)
一般に知られている中で最も現代的な魔術。1970年代、イギリスのウェスト・ヨークシャーに始まった魔術体系。洋の東西を問わないどころか、魔術のみならず哲学や科学理論、果てはSFまで取り込み、魔術師の意識を『彼方』へとアクセスさせる事で超常的な現象を発露させる。それ故に混沌。
世界各地の魔術のいいとこどりをした魔術。現代魔術では混沌魔術とカテゴライズされるが、ロード・エルメロイⅡ世はゲテモノ魔術と評した。
通常はそんな術式は通らず、実際、混沌魔術の魔術基盤は極めて脆弱なものであり、ひとつ魔術を使うたびにCPUを設計図から作り直すような不安定で無駄な魔術。使える魔術のバリエーションはたかが知れており、いいとこどりと言われて考えるような万能性どころか、まともに術式を成立させることすら難しい。
それなのに、何故かフラット・エスカルドスはそれを通し、術式の扱いだけなら色位並というその才能で使いこなし術式を成立させている。
フラット・エスカルドスは対象となる魔術師と全く同じ姿勢を取ることにより相手に似せた人形を使って呪いをかける類感魔術と同じ効用をもたらす、ある種の外法や東南アジア周辺で時々見られるような呪いを使用することで、魔術のベクトルを弄って術者本人に直撃させることが出来る。
呪術
古来からアジア、中東、南米などに伝わっている魔道。玉藻の前殺生院キアラが操るダキニ天法は、通常の魔術が「そこにあるものを組み替えるプログラム」であるのに対して、「自身の肉体を素材にして組み替えるプログラム」であり、物理現象にあたる。この性質のためサーヴァント相手でも「対魔力」に一切威力を阻害されない、という圧倒的なアドバンテージを持つ。
またメフィストフェレスは古典的西洋呪術を扱う。望月千代女は信濃巫としてある種の呪術を修めるが、アサシンクラスの為、行使能力の多くが失われている。
魔術協会は呪術を学問ではないと蔑視しており、中東圏に大きく遅れをとっている[出 18]。但し魔術協会にもアラブの呪術に端を発する魔術を使うアトラム・ガリアスタが居る。
修験道
魔術理論に極東の宗教形態を習合した日本の魔術。
西洋の魔術とは違い、半分が宗教なので神秘の秘匿性にはある程度許諾されている。
習得には自然環境での修行を行い、体得すると天狗飛び切りの術や天狗の炎などの「験力」が扱える。
魔眼
外界からの情報を得る為の物である眼球を、外界に働きかける事が出来るように作り変えた物。
主に魔術師が持つ一工程の魔術行使で、視界にいるものに問答無用で魔術をかけるというもの。その隠匿性と能力から魔術師の間では一流の証とされる。しかし人工的な魔眼では「魅惑」や「暗示」までが限度で、それ以上強力な魔眼の保持者は全て先天的な能力者である。そして、これら先天的な能力は魔術によって再現する事は出来ない。
詳細は「魔眼」を参照のこと。
結界
魔力を編んだ網を張り、その内部、あるいは境界部に手を加えるという地形魔術。地形にかけるものであるため、普通は移動できない。
ここ数百年の結界は術者を守るものと相場は決まっている。人目につかないよう区域を遮断してしまうものや、魔術行使を制限するなど効果は様々。固有結界という大例外も存在する。
固有結界
術者の心象風景で現実世界を塗りつぶし、内部の世界そのものを変えてしまう結界のこと。詳細は「固有結界」を参照。
時間操作
時間の流れに干渉する魔術。『Fate/Zero』では固有結界の一種とされる。「時間遡行」は魔法であり、魔術の領域では加減速までが限界。
衛宮家はこれを研究しており、天才・衛宮矩賢は根源に至る方法を確立するところまで辿り着いた。
治癒魔術
傷を治す魔術。傷口からの出血を止めるものはともかく、失われた手首の再生となるとかなり高レベルの治癒魔術が必要となる。
言峰綺礼は霊媒医師で、霊体を繕うことで肉体も癒す外法を使う。これとの関係は不明だが、遠坂時臣から治癒魔術を学び、3年で彼を上回る腕前になっている。
またソラウ・ヌァザレ・ソフィアリは霊媒治療術を扱う。アイリスフィール・フォン・アインツベルンの錬金術による治療は臓器移植同様のもの。
飛行
飛行、浮遊する魔術。術式自体は極めて単純で、小石を浮遊させるくらいならば見習い魔術師でも可能。しかし対象の質量が増えるごとに魔力消費が桁違いに増えるので、人間並みの質量を浮遊させることは幾つか例外はあるが相当に難しい。
意識しての飛行は難しく、ヒト単体ではさらに難しい。蒼崎橙子でさえ箒がなくては飛べず、成功率も三割程度にとどまる。
女性魔術師が箒に乗るのは魔術基盤・黒魔術の一種で全世界に神秘設定がされており、女性の魔術師が箒を使用すると「地に足がつかなくなる」「大地から追放される」等の魔術特性が発露しやすい。さらに「大地から追放される」効果を高める魔女の軟膏を併用すると引力が六分の一になると言われるが、魔女の軟膏は一種の麻薬であるため、鮮明な意識を保ちながら飛行するのは困難。またこれだけでは単にふわふわ浮くだけで、推進方法は魔術師ごとに異なる。
推進方法は最大瞬間風速的なジェット飛行法、低燃費でのんびり空を行くエーテルセイル帆船法、目的地に楔を打って魔術アンカーで引っ張ってもらう蒼崎橙子立案のアンカーアトラクションアセンション、通称トーコトラベルがある。女性魔術師の中では新たな推進方法を発表するのがトレンドであるが、トーコトラベルを超える新発明はなされていない。
ごく短時間の浮遊であれば専用の礼装が存在し、召喚した低級霊でも滑空くらいは可能だが、長距離を確実に飛行するのは現代では至難で、実行するとなると色位レベルの魔術師が自分の土地や魔力確保の条件などをひたすら揃えるくらいは必要となる。なお、トーコトラベルは飛行魔術の中でも反則技である。
元素変換(フォーマルクラフト)
詳細不明。『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』でアシェアラ・ミストラスが扱う。作中で彼女は流動の魔術を行使していたが、これが元素変換かは不明。
『Fate/Apocrypha』にて、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアが時計塔で教えていたという元素換との関連も不明。
元は旧Fateで沙条綾香がウィッチクラフトから鞍替えした陽性の魔術。『蒼銀のフラグメンツ』ではエルザ・西条が風の元素変換を得意とする。
『Fate/stay night』では魔術形式と書いてフォーマルクラフトと読む用語があったが、こちらは儀式を通して魔術を行使することを言うようだ。
『Fate Grand/Order』では概念礼装「フォーマルクラフト」が登場するが、フレイバーテキストには「地水火風空を納めるもの、優雅にして華麗なるアベレージ・ワン」と記述されており、イラストは武内氏曰く「凛が魔術師として完成した姿」こやまひろかず氏曰く「凛が魔術師として最も勢いがあった20代」とのこと。
干渉魔術
催眠・呪縛・強制といった対象の行動を抑制する魔術。
しかし、内部への干渉は体内に魔術回路がある都合上難しいとされる。これは、魔術回路には魔力の生成以外に外部の魔力を弾く特性を持つためである。簡単に言えば魔術回路とはそれだけで「抗魔力」であり、対象に魔術を施そうとしても魔術という式が完成する前に乱されてしまい、とにかく成功率が悪く、ランク下の魔術師が相手でも操るのが難しいとされる。相手が魔術師でなくとも、魔術回路があるのなら無意識に弾かれてしまうこともあり、難易度がかなり高い魔術である。
置換魔術(フラッシュ・エア)
『プリズマ☆イリヤ』に登場。何かを何かで置き換える魔術。詳細は「置換魔術」を参照。
天体魔術
星の運行や象徴を利用した魔術。占星術などもこれにあたる。
天体と人体を照応させて自身の存在を変転させたり、自分と相手を天体に見立てて魔術の効果を強化したりと応用範囲は広い。
他の魔術と組み合わせて使用する場合もあり、儀式魔術としての側面もある。
その他
他にも、「降霊術」、「召喚術」、「カバラ」、「建築魔術」など様々なものがある。

メモ編集

  • 魔術のシステムの項で説明されている通り、「魔力の保有量」と「魔術回路の本数」、「魔術回路の質」は別である。魔術回路の機能は魔力の生成、出力などで貯蔵する機能はないため。また、魔力の生成効率や一度に出力できる限界値は「魔術回路の本数」×「魔術回路の質」である。そのため魔力量がいくら多くても回路の数が少なく、質が悪ければ一度に行使出来る魔力は少ないということになる。
    • 例1:UBWルートで凛の魔力を使えるようになった士郎は、投影出来る回数は増えるが一度に投影出来る本数は増えていない。
    • 例2:HFルートで黒桜は大聖杯によりとてつもない魔力量を持つが、魔術を行使する桜自体の魔術回路の限界で一度に扱えるのは凛と同等。
  • 『Fate/stay night』において、凛が柳洞寺の説明をするに際し「ここにはいない」と前置きした上で、「実践派の僧侶」という、術を使う者の存在があることに僅かに触れている。はっきりと名前が出ているわけではないが、これも殺生院キアラのダキニ天法、時任次郎坊清玄の修験道などと同じ「日本の魔術」の一派かと思われる。
  • 魔術は神秘を再現するが、神秘はより強い神秘にうち消されるという理がある。
    • 在り方そのものが神秘である幻想種に、通用しない魔術があるのはそのため。
    • 絶対に折れない剣でも、ソレを上回る神秘を持つモノとぶつかれば、折れることもある。
  • 十の力の浮遊する神秘があったとして、一人なら十の力を使えるが、二人で五と五の力に分けられて使用されると、事実上力が弱くなる。
  • 『Fate/Apocrypha』でカウレスが行使していた残留思念の再生。
    術式自体は簡単だが「拷問死とか極端な死の状況じゃないとうまく再生できない」「強大な魔術師なら死後に秘術を盗まれないようプロテクトしてる」「わりと早く薄らいでしまう」など幾つか欠点がある[出 19]
  • 2015年の時計塔』によれば、(少なくとも蒼崎橙子レベルの魔術師であれば)「計算にしろ通信にしろ、携帯端末で出来る程度の処理は魔術回路で行える」。高位の魔術師ほど電子機器を軽んじているのは「そういったものに頼るのは未熟者だと公言しているようなもの」だから。
    • ....結果として機械オンチの魔術師が続出する事態になり、現代社会に適応出来なくなって神秘の漏洩に繋がりかねない事件を起こす魔術師までが現れる始末となっている。

話題まとめ編集

脚注編集

注釈編集


出典編集

  1. 1.0 1.1 「Fate用語辞典-魔術」『Fate/side material』p.73
  2. 「空の境界設定用語集-魔術」限定愛蔵版『空の境界』付属小冊子
  3. 「月姫用語辞典-魔術」『月姫読本 Plus Period』p.188
  4. 4.0 4.1 「Fate用語辞典-洗礼詠唱」『Fate/side material』p.65
  5. 「魔術」『Fate/complete material III World material.』p.40
  6. 6.0 6.1 「土地と魔術」『Fate/complete material III World material.』p.43
  7. 「ロード・エルメロイII世の事件簿用語辞典-魔術基盤」『ロード・エルメロイII世の事件簿 material』p.109
  8. 8.0 8.1 「Fate用語辞典-魔術回路」『Fate/side material』p.73
  9. 9.0 9.1 「月姫用語辞典-魔術回路」『月姫読本 Plus Period』p.188-189
  10. 「空の境界設定用語集-魔術回路」限定愛蔵版『空の境界』付属小冊子
  11. 11.0 11.1 「魔力」『Talk.』
  12. 「月姫用語辞典-魔力」『月姫読本 Plus Period』p.189
  13. 13.0 13.1 「空の境界設定用語集-呪文詠唱」限定愛蔵版『空の境界』付属小冊子
  14. 14.0 14.1 14.2 14.3 「詠唱」『Fate/complete material III World material.』p.43
  15. 15.0 15.1 15.2 15.3 「Fate用語辞典-詠唱」『Fate/side material』p.56
  16. 第2回月姫キャラクター人気投票画面
  17. 「沙条綾香」『Character material』p.14
  18. 「Fate用語辞典-魔術協会」『Fate/side material』p.74
  19. 三田誠Twitter2017年10月21日8時17分

リンク編集

  • 小辞典
  • 魔術師 - 「根源」へ至ることを渇望し、そのための手段として魔術を用いる者。
  • ウィザード - 神秘の崩壊に伴い、電脳世界での活動に適応した魔術師の進化形。
  • 起源 - 魔術師に限らず、あらゆる存在が持つ、原初の始まりの際に与えられた方向付け、または絶対命令。あらかじめ定められた物事の本質。