アイリスフィール・フォン・アインツベルン

アイリスフィール・フォン・アインツベルン

  • スペル:Irisviel Von Einzbern
  • 誕生日:2月1日
  • 身長:158cm/体重:52kg
  • スリーサイズ:B85/W56/H84
  • イメージカラー:銀
  • 特技:練成魔術
  • 好きなもの:夫と娘/苦手なもの:節約、交通安全
  • 天敵:言峰綺礼
  • CV:大原さやか

アインツベルン家により錬成されたホムンクルス。衛宮切嗣の妻。

略歴
アインツベルンの手により第四次聖杯降霊儀式の聖杯の「器」として錬成されたホムンクルス。「冬の聖女」ユスティーツァの後継機にあたり、また究極のホムンクルスの母胎となるべく設計されたプロトタイプでもある。
精霊に近い存在である上、誕生前から様々な調整を加えられており、魔術師としての能力は高い。
切嗣がアインツベルンに入るのとほぼ同時期に練成された。切嗣を夫として迎え、一児を儲ける。
聖杯戦争では切嗣の代理でセイバーとともに冬木市に入り、表向きのマスターとして囮役となる。
人物
温和でありながら気高い、貴族の姫君然とした性格。一方で、非常に好奇心旺盛で無邪気。稼動時間は9年足らずで、冬木に入ったばかりの頃の態度はまさに子供のそれである。これはアインツベルンの冬の城に育ち、外の世界を知らなかったことにも起因する。貴族の姫君として、騎士であるセイバーを振り回す。外界を知らない彼女は切嗣が変えようとしてる世界の事も、その理想がどういうものかも完全には理解できてないと自覚しているが、切嗣の苦悩はあまさず知っていたため「夫の理想のためにただ死ぬ女」よりも、「同じ理想に死ぬ女」の方が切嗣の負担にならないと思い本人いわく「理解者のふり」をしていた。
また今回で聖杯を手に入れないと娘、あるいは孫が再び器として聖杯戦争の道具にされる事が決まっていた。それを避けるためにアインツベルンの妄執は自分で終わらせ、イリヤには人として生きてほしいと望んでいた。
玲瓏な美貌の中にあたたかな慈愛を湛えた女性であるが、必要とあれば普段の和やかな貞淑さを捨て傲然な女帝のような貫禄で相手を見下す態度をとることもある。(『プリズマ☆イリヤ』のカレンは「お嬢様モード」と評した)
ギャグテイストの派生作品や『プリズマ☆イリヤ』では天然でマイペースな言動が多く、タイころのアイリルートでは義理の息子に『KY』、実の娘には「流石自分の母親」と思われたりした。
一方でとてつもなく器が大きく、タイガーころしあむアッパーでは覚えがない息子である士郎を切嗣の養子と知らないままに「私の子供も同然」と受け入れたり、見た目巨大なマッチョで目が赤く光っているバーサーカーを「バサカちゃん」と呼んで仲良くなるなど、母性の強さが強調されている。なお料理の腕前は壊滅的らしく、タイころの切嗣ルートの切嗣は「料理のマズさ」で呪いではなく現実だと状況を把握した。
能力
アインツベルンの秘奥たる錬金術を修めている。
戦闘では貴金属の針金に魔力を通し、変幻自在の使い魔として行使。また、錬金術を使った治癒の魔術も使える。
ただし、この治癒の魔術は錬金術であるために「体組織の代用物を錬成する」ことで行っているため、言うなれば臓器移植の類である。よって被術者の肉体にかける負担が大きく、ホムンクルスなどが相手であれば問題は少ないが、生身の人間が相手の場合は即活動を再開させ得るような術ではない。
聖杯の器というが厳密には「器」を守るために施された、本来の機能には必要のない「外装」がアイリスフィールである。そのため、聖杯戦争が進み英霊の魂を吸収するごとに彼女は生体としての機能を喪失していく。
聖杯戦争が進むごとに不調になる傾向は第五次の聖杯であるイリヤと似ているが、心臓と肉体そのものが聖杯であるが故に英霊という強大な魂の負荷が掛かっているイリヤと違い、アイリはあくまで無機物である小聖杯を内臓に融かしているに過ぎないため、彼女の不調は完成に近づく小聖杯が「外装」であるアイリスフィールという余計な物を圧迫するが故である。英霊5体を吸収して小聖杯として完成した時、重要な「器」は、「外装」であるアイリの肉体を魔力の余波で焼き払いその姿を顕す。
英霊を3~4体ほど吸収した後ならばアイリの生死に関わらず完成していくが、それ以前のカタチになっていない段階でアイリが死んでしまった場合、聖杯も機能しないままで終了してしまう。

アイリ師匠

「おねがい!アインツベルン相談室」に登場。
第4次聖杯戦争で脱落した迷えるサーヴァントの悩みを聞いて導いている。何故か雁夜だけ「カリヤーん」と謎の呼び方をする。そして後期は雁夜のダメ人間さを聞き喜ぶ。ちなみに綺礼の事は前期は「綺礼神父」、後期は「外道神父」。そして時々黒い。正体は汚染された大聖杯の化身であり、うじうじ悩んでるサーヴァントの魂をさっさと聖杯にダイブさせるのが役割。
相談室は懺悔室であり、彼女は聖杯側の弁護士だった。格好は明治時代の女学生のような振袖に袴とブーツ、大きなリボンで髪をポニーテールにしている。獲物は薙刀。
時代がかった校舎を事務所にして、時代がかった格好をしているのは、あの空間内では時間軸が第3次聖杯戦争直後のものになっている影響。
空間内に迷い込んでしまって記憶喪失になっているTちゃんを助けて、弟子ゼロ号(ゼっちゃん)として立派なサーヴァントのマスターに教育するため用語解説などもした。

登場作品と役柄

Fate/Zero
セイバーのマスター代理、聖杯降霊の器の守人。
自身を聖杯戦争に関わる最後の器にするため、闘争の終焉を願って戦う。
フェイト/タイガーころしあむ アッパー
イリヤのため、明日の運動会のお弁当を作っていたはずのアイリスフィール。気づけばヘンな宝箱に入れられ、冬木市に放り出されていた。謎の携帯電話がかかってきたが、ぷちっと無視。さて、どうしよう?
限定版同梱ドラマCDでは腐女子として目覚めていたりする。
ルートによって境遇は違うらしく、自身のルートでは切嗣がマスターを狙撃したことを知っていたり、アンリマユと面識があるなど本編準拠だと思われる。イリヤルートでは聖杯戦争から逃走し、本家からは勘当されるものの親子三人平和に暮らしている世界のアイリが登場する。なお聖杯戦争から逃走することになった理由は、セイバーがあっさりやられてしまったかららしい。
Fateゼロカフェ~Fate/Zero Cafeに集う英霊達~
「ゼロカフェ」常連の奥様でセイバー店長がお気に入り。夫や娘と幸せに暮らしている。
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
Fate本編とは異なる並行世界の存在。夫(籍は入れていない)の切嗣と一緒に世界中を飛び回っており不在がちだが、唐突に帰ってきたりもする。離れている時間が長くとも愛娘のことは大切に見守っている……が、しかし敢えて空気は読まないエアブレイカー系ママ。

人間関係

Fate/Zero

衛宮切嗣
最愛の夫。初めて会った時は、染み付いた煙草の匂いがすごく不快であり、内面を理解するまで冷酷な顔は畏怖の対象だったがその複雑な内面に興味を懐いた。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
最愛の娘。別格に誰よりも愛おしい我が子。紛い物の母から生まれた紛い物の生でも、聖杯と縁のないまま「ヒト」として天寿を全うしてほしいと願っている。
久宇舞弥
第四次聖杯戦争開始前から面識はあったが、その無表情で感情を見せない人柄に苦手意識を持っていた。
だが聖杯戦争中、やって来るのが言峰綺礼だと告げた時に舞弥が感情を表しそれを目にした事で彼女への認識が変わり切嗣を護る為に共闘。
後に切嗣やセイバーに向ける感情とは異なる想いを懐いた。
セイバー
夫のサーヴァントであり、騎士の礼に則った主従の誓いを交わした相手。戦争中盤までは代理マスターとして、姫君とそれに傅く騎士のごとく行動を共にし信頼を寄せていた。
余計な気遣いさせないよう自身と聖杯の関係は話さなかった。
ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン
鋳造主。
ユスティーツァ・リズライヒ・フォン・アインツベルン
雛型。直接の面識はないが、魂のレベルで繋がっているらしい。
衛宮士郎
義理の息子。本編ではまったく面識がないが、タイころアッパーにて邂逅を果たす。
切嗣との血縁関係の有無を知らなかったために当初は複雑な表情をしていたが、「切嗣の息子は私の息子も同然」と考えを改め、母親として彼に接する。母親というものを知らない士郎は戸惑っていたが、EDなどを見る限り、仲良くやっている模様。
バーサーカー
第5次聖杯戦争にて愛する娘を守ってくれたサーヴァント。こちらも本編では面識がないが、タイころアッパーで初邂逅。
イリヤを大切に思ってくれている友達と判断し、「バサカちゃん」という愛称で呼ぶ。なお彼女はどう見てもバーサーカーに襲われている士郎がバーサーカーをいじめていたと判断して「弱いものいじめはダメ」と言い、士郎にドン引きされた。
弟子ゼロ号
「おねがい!アインツベルン相談室」にて、アイリを師匠と呼んで慕う弟子。

Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ

クロエ・フォン・アインツベルン
『プリズマ☆イリヤ』における、もう一人の娘。
セラリーゼリット
普段、家や娘のことを任せているメイドさんたち。色々と無茶を言ったりしたりで、よく(主にセラを)困らせている。

名台詞

Fate/Zero

「切嗣がアインツベルンの城に持ち込んできてくれた玩具の中でも、私はこれが一番のお気に入りなの。
 お城じゃ中庭をグルグル回るだけだったから、こんな広い所を走るのは初めてよ。もう最高!」
車を道路で走らせられる事に嬉々としてるが、「道路を走るのに法律がある」と知ってるかすら怪しい。何しろ赤信号で減速である。曲がりくねった山道を100km以上で走らせたりと、あまりにひどい運転で、同乗していたセイバーが恐怖に顔をひきつらせるほどであった。
「セイバー、キャスターを倒して」
ホムンクルスであろうと、その魂は人であり母である。子供が殺されるのを目の当たりにし、これ以上悩めるはずがなかった。
「わたしが取りこぼした幸せがあるなら……残りは全部、イリヤにあげて。あなたの娘に――私たちの、大切なイリヤに」
「いつかイリヤを、この国に連れてきてあげて」
「あの子に、私が見られなかったものを全部……見せてあげて。サクラの花を、夏の雲を……」
切嗣との最後の会話の中で。2人とも、言葉を交わせるのはこれが最後だろうと予感していた。
「願いは……いいえ、確かにある。私は切嗣とセイバーに勝ち抜いて欲しい。あの二人に、聖杯を掴みとって欲しい」
舞弥に自分自身の願いはないのかと問われての返答。自分の死であってもその祈りが彼女を内側から突き動かす源泉。
この願いがあるから、アインツベルンの森で言峰の圧倒的な強さを前にしても闘志が湧いた。
「違うわ。だってあなたの人生は夢じゃない。歴とした事実なんだから。
 それを闇に葬った上での平和なんて、それこそ罪深い欺瞞でしかないわ。
 私、思うの。本当に平和な世界っていうのは、ただ痛みを忘れていられる場所なんかじゃない。
 もし二度と痛みを生まずに済む世界まで辿り着いたなら、
 そのとき人間は、過去に置き去りにしてきた痛みや犠牲を、本当の意味で悼んで、偲ぶことができるようになるんじゃないかしら」
切嗣の理想が叶った世界に自分のような人間の居場所はないと言う舞弥に対して。
「イリヤ、あなたはきっと運命の枷から解き放たれる。
 私がすべてを遂げるから。お父さんが、きっと叶えてくれるから……」
本物のアイリスフィールではないが願望は本物だ。
最後まで愛娘を想い、その未来を嘆願しながら逝った母の祈りは彼女に受け継がれている。

フェイト/タイガーころしあむ アッパー

「イリヤ、これはどういうこと? キリツグの息子のシロウくんは……ずいぶんモテモテというか」
「駄目じゃないシロウくん! 女の子をたぶらかしてばかり! 気持ちがフワフワワウワウしちゃ駄目!」
「シロウくん! いえ、シロウ! キリツグの息子ということは私の息子も同然! これは母親として、教育的指導が必要ね!」
「もう!言い訳するのは男らしくないわよー。お父さんみたいにフラフラしてちゃ駄目なんだからねー」
知人の女性に声をかけられまくる士郎を見て、切嗣の隠し子(疑惑)という複雑な問題を脇に置き、ハーレム状態の士郎を教育するために母親として鉄拳を振るう。
イリヤも姉として加わり、バーサーカーも加わった。
「って、あら? あっちもセイバー?
 あらあら、こっちもセイバー?……の、着ぐるみ?
 ……この企画を考えた人は、何を考えてるのかしら?」
セイバーとセイバーオルタとセイバーライオンの口論を見て。メタ発言とか言わない。
(いけない、あの男は危険だわ、キリツグが びぃえる時空 に引きずり込まれちゃう!)
(今度こそ、今度こそ私が助けるの!)
言峰と対峙する切嗣を憂えるモノローグ。心配するポイントが明らかにおかしい。
「うふふ。それじゃ行きましょうキリツグ。今度こそ本当の新婚旅行なんだから。」
アイリが虎聖杯にかけた願い……それはついに夫婦として叶わなかった「新婚旅行に行きたい」というささやかな幸せであった。
「何言ってるのイリヤ!? 前回の戦いの結果、家族3人仲良く暮らすことになったじゃない!!」
イリヤルートで平行世界から来たアイリから明かされた驚愕の事実。
セイバーを初戦で失うという大ポカをやらかし早々に第四次聖杯戦争から脱落した切嗣一行は聖杯戦争のあり方そのものに疑問を抱き、ドイツに戻ってイリヤをアインツベルンから奪回して逃走、後は家族3人今でも平和に生活しているという。
万全を期して望んだ第四次聖杯戦争の無残な結果がよほど堪えたのか、アハト翁もアイリ達を「勘当」しただけでほったらかしにしているらしい。
セイバーの頑張りは一体…
「切嗣マーーーン!」
超必殺技「切嗣マン」の発動時の叫び声。この声と共に切嗣が現れて、相手を狙撃する。
「そう、やっと気がついた……あの神父が切嗣に抱く思いって、きっと♥」
特典ドラマCD『猫の手も借るケモノたち』より。切嗣に固執する言峰の妄執を疑問に思い、様々な文献を調べ、池袋のサンシャイン通りで合致する答えを見つけた結果腐女子と化してしまった。切嗣が何とか誤解を解こうとしたがアイリの妄想は拡大し続け「切嗣は受け」という爆弾発言が飛び出す事態となった(尤も切嗣が「穴を埋める」「互いに求め合う」など腐女子が反応する言葉を口走ったことも原因なのだが)。
なお、このアイリ衝撃の腐女子発言については、あまりにアイリ=腐女子設定が定着しためか、脚本家の九条ケント氏が『ごめんなさい、あれ書いたのは私なんです。(他のアンソロジー作家さんとの共著ですが)なので公式設定ではないです。』と非公式である見解を述べている。

とびたて!超時空トラぶる花札大作戦

「あら、おちびちゃんじゃない」
「うふふ、かーわいい。イリヤも可愛いけど、男の子も欲しかったなあ……」
「そんなの勿体ないわ!ウェイバーちゃんはいつまでも可愛いままでいいのよ!セイバーもそう思うでしょ!?」
『とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦』のライダーウェイバーチームのルートで中ボスとして登場した際の台詞。
天然系人妻の無邪気だが理不尽な言葉の暴力が魔術師見習い(19歳男子)を襲う。
「うふふふふ。こういう時どう言えばいいか。
 この間道で出会ったツインテニーソの女の子に教えて貰ったわ」
「――殴ッ血KILL!」
キャスター陣営シナリオ。セイバー曰く龍之介とキャスターは切嗣とアイリの地雷を踏んだらしい。
「だから勘違いよ。確かに私には娘がいるけど、もっと小さい子なの。大切な……世界一かわいい娘よ」
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ陣営シナリオにて。平行世界のイリヤはこの発言に怒るべきか照れるべきか分からなかった。
「うふふ、あははは~♪ 私とキリツグのスイートホームを荒らす賊は許さないんだから!」
「覚悟なさい、おしりの皮までむしって、無一文で放り出してさしあげてよ!」
Fate/Prototype陣営シナリオ。敷地内に入ってる綾香達に対して。酔ってるのはセイバーと同じく怪しげな少女が原因だろうか…。

Fate/Zero一期BD-BOX特典CD

「それは、生存の戦略ではない。こと自衛と言う観点に置いて比較するならば、衛宮切嗣、貴方は私より脆弱です」
必要なのは戦闘の能力で、殺されるより先に殺す素早さと正確さと破壊力だと言う切嗣に対して。
この発言に切嗣はイラッとしたのか「こいつ」というなど初会話は終始殺伐としていた。
「ねえ切嗣、今日は一体どんなものを見せてくれるのですか?映画?写真?それとも音楽?」
「貴方の与えてくれる知識は、確かに、聖杯戦争とは何の関わりもないものばかりだけれど、
 それでも、大変に驚かされる物ばかりです。世界というのが、こんなにも豊かで多彩な場所だったなんて。
 私の基礎教養だけでは、想像すら及びませんでした」
当初は声色も態度も淡々としていたが、声に感情が乗り態度も明るくなった。
「衛宮切嗣。貴方の方こそ、まるでたった一つの機能のみを設定された機械のように生きてきたのではないですか?」
すべてを捨てるか使命を取るか問われ、今日まで切嗣が見せてくれた知識や世界の在り方、人の生き方は彼が拒んできた諸々だと理解し問い返した。
かつて「幸ある人生」と「使命の重さ」を天秤に乗せて後者を取ったのかと。それとも、貴方には選択の余地がなかったのかと。
「それは――愛です。」
「人は、自らに仇なす者に対してだけ怒るのではない。
 家族の為、同胞の為、祖国の為に、猛々しく血を流してきた人々の記録を私はいくつも確認しました。
 野の獣ですら生まれたばかりの子を守るためには牙を剝き、身を挺して戦いに臨むのです。
 そもそも貴方が語る尊厳という概念も、つまりは自己に対する愛。
 私は怒りの感情を獲得するために、まずは愛について学習しなくてはなりません」
怒りという感情はより単純で包括的な衝動に端を発している、それは「愛」だと見解を導き出した。
「例えば…衛宮切嗣、貴方はとても興味深い。貴方が内に秘める複雑な内面は、どこまでも私の好奇心を刺激し続けます」
「貴方が私に要求する強さ、戦う意思の獲得を最も速やかに実現するなら、
 まず、貴方を愛情の対象とするのが適切ではないかと判断します。いかがですか?」
自分の事は既に把握してるから興味や関心を懐けない。けど他者を知ることの喜びは尽きない。特に切嗣に興味があるから愛情の対象にしていいか直球に問う。
切嗣を傷付けようとする者に対してなら、怒りを持って牙を剥くことが出来るだろうとも述べた。
「この身体の中に、貴方の希望を宿すなら。そしていつか、貴方に希望を齎す存在を、産み落とすことが出来たなら。
 それを成し遂げた自分自身を、私は誇り、愛する事が出来るでしょう。
 誰に憚る事も無く、私の命と、そこから連なる未来の運命の為に戦える。祈りを託して」
未来がないなら新しく作ればいいと子をなすことを提案した。一点の曇りもない純真さと真っ直ぐさである。
「貴方は、自らの破滅と他者の破滅に前後の序列を付けているだけに過ぎない。そんなものは、本当の強さではない」
「決して諦めないこと、どんな窮地にもそれを打開する策を見出し実行出来ること、自らの滅びの果てにまで達成の意思を継承すること。
 それが、アインツベルンの完璧なるホムンクルスの強さ。貴方がまだ手に入れていない真に強靭なる魂の力なのよ」
死に急ぐ中で敵の死を更に加速する手段でしかないと切嗣の強さを評した。聖杯戦争後、仮に生き延びても果てる心積もりだということも見抜いたりと察しがいい。
「素敵な名前を考えてあげてね。私の愛しい人」
イリヤの存在があったから人間と同じように自身を愛し、そして本当の意味で他者を愛することが出来るようになったのだろう。

お願い!アインツベルン相談室

「聖杯戦争に疲れた人を愛と興味で救う、いま売り出し中の法律事務所なの!」
愛と興味の割合はどのくらいなのだろうか。
「ゼっちゃんみたいないい子がこんなところに来ちゃったのは残念だけど、これも運命よね!」
「記憶が戻るまで、私がしっかり守ってあげるわ!」
サーヴァントしかこないはずの場所に人間が迷い込んでくるのだから確かに運命なのかもしれない。
「ライダーと同じように、国を治める為に自分を殺し続けたセイバーのあり方を嘆いたのよ。」
「それは人間の、少女の生き方ではないと」
ランスロットの行動は切れやすい若者の暴走だけど、その理由はこのうえなくセイバーへの愛に満ちていると述べた。
「ここは完璧な世界だもの。彼が願った恒久的な平和。誰も傷つかない理想の未来。」
「人間は誰も救えない、しみついた苦しみは拭えない。そう、これが彼の出した答え。」
「すべては救われないという事実を以て、すべてを救う平等の世界。」
アイリ師匠の正体は汚染された大聖杯の化身。
「あの人…衛宮切嗣の人生は間違っていたけど、衛宮切嗣の選択は正しかった。
 最後の最後で彼はそれまでの人生をすべて代償にして、生涯いちどきりの“正義の味方”になった」
「私の悩みはこれで解決。…ふふ、もう師匠はおしまいね。これからは私が貴方に弟子入りしなくっちゃ」
「さようならゼッちゃん。もし私の娘に会ったら、仲良くしてあげてね」
本編での聖杯の中の彼女と違いイリヤが無事だと把握してるためか、切嗣に裏切られたと悲しみはしても増悪は無い。
彼を救えなかった事を悔んでいた。けれどこの答えを得た事で悩みは解決した。

その他の作品

「私は、貴方を心から信じて、傍にいられて、本当に幸せだった」
『TYPE-MOON Fes』でFate/Zeroの楽曲前にあった切嗣とアイリの会話。自分といて幸せだったかと尋ねる切嗣への返答。
「ふふ、楽しみね。――お疲れ様でした、あなた」
上記の続き。士郎という希望を見いだせた。きっと想いを明日に繋げてくれると、まるで決意表明のように語る切嗣に対して。
一日目と二日目で台詞や声の演技が少し違う。
「その前に、お仕置きをしないとね」
「そうそう、喧嘩は両成敗よね」
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』にて。
魔法少女化しているイリヤ、英霊化しているクロエを二人共針金で作ったゲンコツでノックアウト。
ギャグ補正がかかっているとはいえ、『プリズマ☆イリヤ』のアイリはぶっ飛びすぎである。
「大漁大漁……ウフフ♪ 
 一方的に相手を蹂躙するのがこ~んなに気持ちのいいものだったなんて!」
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』DVD/BD第5巻特典、新作ショートアニメ「脱衣戦争」より。自作の脱衣人生ゲームで豪運を発揮し、自分はストッキングのみを犠牲にセラリーゼリットをあられもない姿(セラに至ってはパンツ一枚)にまで脱がせた後に。
彼女の貴婦人属性の暗黒面が現れた暴君振り。

メモ

  • 当初、『stay night』で語られていたところでは第四次の時は本国の城でイリヤと共に切嗣の帰りを待っていた設定だった。しかし『hollow ataraxia』にて実は切嗣と共に冬木へ来ていた事が明かされる。『hollow』製作時には『Zero』一巻は書き終わっていた事を考えると、後の整合性を取るため当初の設定から変更を受けたと思われる。
    • この際、モノローグで「妻子を置いてきた」と解説されていた箇所を、イリヤが「あれは嘘だった」と取り繕っているため、酷く苦しいフォローとなっている。
    • 作劇的なメリットを優先した結果の選択と思われるが、そもそも作品設定として"単なる物質としての小聖杯では戦いの余波に巻き込まれて破損する"点を危惧されて、"自ら危険を回避して逃走する等自衛策がとれる聖杯"を求めた結果、イリヤを造る決断をアハト翁は下した。つまり、最低でもサーヴァントが4体脱落するまでは自分で動けるスペックは不可欠である。
      その点を考慮すると、アイリは戦場に投入するには明らかにスペックが足りない。
  • 『Fate/Zero material』によると受胎の計画が発案されたのはアイリスフィールの鋳造後。本来アインツベルンのホムンクルスは「心身ともに役割に最適化された状態」で産まれる。だがアイリスフィールは「本来とは違う役割」である「母親」となった。これが彼女の情操面にアハト翁が予想しなかった影響を及ぼした。
  • 練成当初は感情に乏しく正に人形のような人格だったが、切嗣から情操教育を受け始めたことで情緒面が急成長。わずか数か月で当の切嗣がたじたじになる程の豊かな情感を身に着けた。
    • このあたりは『Fate/Zero Blu-ray Disc Box I』特典の原作者書き下ろしドラマCDに詳しい。アニメ二期のEDも、このドラマCDに準拠して作画されたものである。
  • 「根源への到達」には全サーヴァントを倒す必要があるが、切嗣とセイバーの願望を叶えるだけなら魔力は6人で充分と考えており、セイバーを自害させる気など無い。愛する2人にこそ聖杯を託したいと思っていた。
  • 第四次では非業の死を遂げているが、ifの世界である『タイころアッパー』や『プリズマ☆イリヤ』では別の姿が見られる。基本的に天然でマイペース。本人にそのつもりはなさそうだが、結果として周囲を好き放題巻き込むキャラ。
    • 性格にもかなりのアレンジが加えられているように見えるが、元々、ホムンクルスとして生まれ持ってる知識に比べて生きてきた年数が少なく、経験も偏ってるので、風雅と稚気の二面性のあるキャラだとされている。また本編とその他でキャラの性格が違ったりするのはどのキャラにもよくある事なので深く考える必要はないだろう。
    • 『プリズマ☆イリヤ』での衛宮家のヒエラルキーはアイリ本人によれば、アイリ>キリツグ>イリヤ>セラ・リズ>士郎、らしい(ツヴァイより)。なお、アイリとキリツグの間には「神の壁」が存在している。
  • 意外にもスピード狂で、切嗣が持ってきた玩具で車が一番のお気に入り。切嗣は近代科学啓豪という目的で彼女に買い与えた。その割にはクラシカルな車なのはおそらくアイリの好み。
    • なお、練習したのはアインツベルンの城の庭であり、そこは狭くて不満だった。日本に来て広いところを走らせることが出来て喜んでいるが、道路交通法はほぼ理解していない。
  • キャスター(第五次)は「人妻で姫君」というキャラクター性が被るためか、相性が悪いらしい。『タイころアッパー』では壮絶な舌戦を繰り広げた。
  • 『タイころアッパー』で夫の養子と対面した時は、イリヤの説明の仕方がマズかったせいで当初は微妙な雰囲気になったが、「切嗣の子供なら私の子供」ということで一発シバいて納得した。

話題まとめ

アイリの愛車
アイリが運転していた車は、メルセデスベンツ・300SLのガルウィングドア型で、1955年にダイムラーベンツ社がレース用に開発したものの市販モデル。最高時速は260kmにも達し、市販カーとしては当時世界最速の自動車であった。
洗練されたデザインや世界初の自動車用燃料噴射式エンジン等のシステムにより、現在では高額のプレミアが付いている(日本円でおよそ4000万円)。欠点としてはエンジンの構造上、頻繁にオイルを交換する必要があるなど、整備・維持に手間とコストが掛かってしまうところ。
また、エンジンの熱が室内に溜まり易い上にエアコンが無く、しかもガルウィングドア型は窓が開かない為に夏の運転は過酷を極めた。更に死亡事故が後を絶たなかった為、「ウィドーメイカー(未亡人製造マシン)」という不名誉なあだ名でよばれるようになった。
汚染聖杯とアイリスフィール
彼女の死後、聖杯の中で切嗣が出会ったのは、「この世全ての悪」が、「アイリスフィール」という殻を被ったモノ。生き返ったわけでも死んでいなかったわけでもない。言うなれば汚染聖杯によって練成された「反転・黒化したアイリスフィール」『Fate/Zero material』で虚淵氏が言うには『アイリのふりしたアンリで別物』
「この世に生まれ出たい」という望みを持った「聖杯の意思」が切嗣と対話するためにアイリの人格を殻として被った存在。切嗣を選んだのは彼の願望が聖杯の容として最適で『この世全ての悪』を担うに相応しい人間と判断したため。殻として被ったアイリの人格は本物であるため、イリヤを殺された絶望と慟哭、殺した切嗣への増悪は本当のアイリスフィールも懐いただろう本物の感情だった。切嗣はそれを直視し受け止めながら絞殺した。
本来聖杯は純粋無色の力で「過程を飛ばして結果だけを実現する」機能を持っていた。しかし「この世全ての悪」に汚染された結果、それは失われてしまう。聖杯に願いを掛ける人物が「願望を成就させる方法論(ビジョン)」を提示する必要が生じたうえに、どんな願いも殺戮という手段でしか叶えられない願望器になってしまった。
そのため切嗣の内側に問いかけた結果「多数のために少数を犠牲にする」方法論と「妻と娘をこの世の何よりも愛している」という事実と「全てを呪い叶える(殺害する)」という汚染聖杯の偏向思想によって拡大解釈された結果、あのような下手にリアリティを持った悪夢が上映されることとなった。
ちなみに余談だが『おねがい!アインツベルン相談室』におけるアイリ師匠もこの汚染された聖杯がアイリの殻を被ったモノであるらしい。相談室でよく切嗣へのおノロケ発言をするアイリ師匠が実際に切嗣に出会った時の反応が本編と考えると、少し切ないものがある。

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