聖杯の泥
聖杯をその力ごと汚染し、70年経過しようとも新たな聖杯を汚染する力を保ち続ける『人の悪性』。
泥の形をもった純粋かつ圧倒的な呪いであり、泥に触れれば皆狂気に囚われ、時には肉体ごと呑み込まれて消滅してしまい、衛宮切嗣もこの呪いによって死亡した。
実は人間ではなく、霊体であるサーヴァントの方がその呪いをモロに受けやすく、反英雄でも「通常よりマシ」な程度、ギルガメッシュでも手こずると認めていたことから、その危険性が伺い知れる。
それに耐えられたのは、圧倒的なまでの魂の輝きとこの世全てを背負った器の大きさを有しているギルガメッシュと、泥を浴びたギルガメッシュを通じて失われた心臓の代用とした言峰綺礼、己の精神に支配魔術をかけたことに加えて元から壊れていたバズディロット・コーデリオンである。
ケイオスタイド
ティアマトが持つ真なる権能。生命の海。原初の生命。混沌の海。侵食海洋。
ケイオスタイドという名称は魔術王が名付けており、後にカルデアもこれに倣っている。魔術世界においては聖杯の泥とよばれる。
生命を生み出す海そのものであるティアマトは地球創世記の真エーテルを循環させている為、この海の中では魔力は無限に供給される。
黒い生命の海を用いて自分の霊基を作り替え、頭脳体に当たる通常の霊基状態(ファム・ファタール)から、全長60メートルを超す竜体に成長した。黒く染まった海はティアマトの権能そのものであり、黒泥に囚われ海中に沈んだ者は侵食され、ティアマトが持つ権能を細胞に複写されて眷属と化してしまう。たとえ脱出したとしても、一度泥に取り込まれた時点で強制的にティアマトと塩基レベルで細胞強制(アミノギアス)され、自動的に人類の敵になってしまう。当然サーヴァントでも霊基汚染されてしまい、黒化してしまう。
これによる大地の侵食は海上でしか歩けないティアマトの通路を開く役割も兼ねている。その速度も非常に速く、海辺の崖の上に築かれた建造物が、平常な状態から僅か三時間で完全に水没するほど。
対処法としては、泥の接触を避けるしかない。が、ティアマトへ戦いを挑む場合は必然的に黒い海水の上で戦闘することになるため、触れる面積を最小限にして足に魔力障壁を展開するといった対処法をとることになるが、それでもダメージを負うのは避けられない。
泥に呑まれたものは権能である自己改造、生態変化、生態融合、個体増殖といったスキルがランダムに付加され、牛若丸の場合は「個体増殖」が付加された。
なお、生前のギルガメッシュはコレの名称を聞いて「見た覚えはないが、不愉快極まる単語」と述べている。
人物
人間
- 衛宮切嗣
- 第四次聖杯戦争で聖杯の泥に触れたが、狂気に囚われる事はなかった。ただし肉体は呪いに蝕まれており、五年後に息を引き取った。
- 言峰綺礼
- 第四次聖杯戦争でギルガメッシュを通して聖杯の泥を浴びたことにより、泥が切嗣に破壊された心臓の代わりとなって蘇生した。
- バズディロット・コーデリオン
- 己の精神に支配魔術をかけたことと、その精神は元から壊れていたために聖杯の泥に耐えきった。
- 同時にそれはこの男があまりにも危険な存在である事の証明でもある。
サーヴァント
- アンリマユ
- 冬木の聖杯が汚染され、内包するモノが変わり果てた原因。
- ギルガメッシュ
- 第四次聖杯戦争で聖杯の泥を浴びたが、自身の器と魂だけで汚染されることなく耐えきり、その際に受肉した。
- アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕
- 第五次聖杯戦争でセイバーとして召喚されたアルトリア・ペンドラゴンがHFルートで聖杯の泥に触れて汚染された姿。
- アルケイデス
- 偽りの聖杯戦争でアーチャーとして召喚されたヘラクレスが三画の令呪に加え、聖杯の泥、魔力結晶による尋常ではない魔力、東方の呪術によって変質した姿。
- ヘラクレスは第五次聖杯戦争でバーサーカーとして召喚された上にHFルートで聖杯の泥に触れても高潔な精神は失われなかったが、このアルケイデスは打って変わって外道と成り果ててしまった。
- 黒聖杯
- 『この世全ての悪』によって汚染された黒い聖杯。
- 正史における第四次聖杯戦争とは異なる物語を描いた『Fate/Accel Zero Order』にて登場。
- 牛若丸
- 『Fate/Grand Order』第七章でケイオスタイドに沈められ、ティアマトの眷属に変生させられてしまった。
- その際にスキル「個体増殖」が付加されており、劇中ではこれによるおぞましい効果を目の当たりにする事になる。
- 人間性も人間を斬り殺す残虐な性格へと変化しており、同時に内にあった全ての人間への怒りがケイオスタイドによって表面化している。
メモ
- 『マンガで分かる!Fate/Grand Order』ではリヨぐだ子がうどん生地を触媒にして聖杯の泥からサーヴァントの幼生を生み出している。……ギャグ作品なので深く考えてはいけない。
- この時、うどん生地に聖杯の泥を練り込むために全裸で泥に浸かっていたがまるで平然としていた。……繰り返していうがギャグ作品なので深く考えてはいけない。