アーノルド・ベックマン
アーノルド・ベックマン | |
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性別 | 男性 |
初登場作品 | Fate/Grand Order |
概要
『Fate/Grand Order』の登場人物。セラフィックス所長の秘書。事務官をしていた一般職員。
- 略歴
- セラフィックスが危機に陥った際に、キアラの思惑に乗せられる形でセラフィックスの暫定リーダーに担ぎ上げられ、職員を仕切ることになる。しかし、事件の責任を取らせる形で所長や副所長を処刑したことを皮切りに、次第に生き残ったメンバーを理不尽な理由で処刑していく独裁者と化していった[注 1][出 1][出 2]。
- 最初は比較的安全だった管制室内に立てこもっていたが、そこに突如現れた魔神柱に怯えて隠れていた。その後、主人公一行に管制室で遭遇してからは教会で保護されていたが[出 3]、しばらくしてマーブル・マッキントッシュの言葉で普段の調子に戻ると急に増長し出してトリスタンに管制室から通信機を持って来させ、センチネル討伐に向かった主人公一行に一方的にリーダーになる事を宣言して居丈高に振る舞うようになる[出 4]。
- しかし、メルトリリスがセラフィックス地下に墜落して助けに行こうとしている事を聞き、残り時間が殆どない事を理由にメルトリリスを見捨ててすぐに帰投して自分を天体室に連れていく事を優先するよう指図した所で主人公と意見が対立、卑怯な手段に訴えてでも主人公を従わせようとするが当人からは全く相手にされず、すぐさま通信を切られて無視される[出 5]。
- その後、通信を切られた事に逆上しながらトリスタンに主人公を連れ戻しに向かわせたものの怒りは収まらず、そのまま感情に任せて暴れ回りながら管制室近くに保管されている毒薬を使って主人公を脅迫してでも指示に従わせてやると喚いていたが、そこでセラフィックスの実験の秘密を闇に葬りに現れたエミヤ〔オルタ〕と遭遇、そのまま口封じの為に射殺された[出 5]。
- 人物
- 極めて傲慢でプライドが高く、強権的な性格。現状での自分の立場の優位性や権力を誇示して他人を強引に自分の支配下に置こうとし、立場や地位、学歴などが下だと見た人物に対しては上から目線で無礼な態度で接し、場合によっては名前すら憶えない[注 2]。
- その上、少しでも想定外の事が起こるとすぐに癇癪を起して苛立ち、味方にまで極めて攻撃的な言動を向けるなど、非常に器量が狭くて乱暴な一面も目立つ。しかも、自分の命や立場の保障が脅かされると考えるとなりふり構わない言動・態度で保身に走ろうとする身勝手な性格が顕著になり、酷い時には自分勝手な理由で味方の命まで平然と犠牲にしようとする事さえある[注 3]。
- また、「現状のリーダーとしての自分自身」に己惚れる余りリーダーという肩書や立場に異常な執着心を抱いており、救援に来た主人公を一方的かつ急に自分の手駒扱いし出したり、「自分には天体室に行く義務がある」などとにわかに得た知識から自分を特別な人間のように振る舞うなど、思い上がった言動をしばしば繰り返す。
- 念を押しておくと、アーノルドという男自体はあくまでも身の丈に合わない立場に祭り上げられただけの小人物に過ぎない。人類悪の顕現と言う事態においてこの事の存在は、セラフィックス内の秩序の崩壊、大量のサーヴァントの出現、生存者の全滅、という目も当てられない結果を招く事になった。
- 能力
- 戦闘能力は皆無であるため、攻性プログラムやサーヴァントが跋扈しているセラフィックスでの移動はマスターやサーヴァントの同伴なしでは不可能である。
- セラフィックスの知識や人生経験が主人公より豊かであると自認し、セラフィックスの地図に隠された天体室の場所やセラフィックスの潜行速度から計算した残り時間を自慢げに話してくるが、それはとっくにエミヤ〔オルタ〕が調べを付けているような事だったり、マーブルが計算したものをさも自分の知識のように話していただけの事であり[出 4]、作中で自分の知識や行動による固有の貢献が存在しなかった。
- それでも自分こそが主人公一行のリーダーだと主張して偉そうに振る舞うが、実力も人間性も全く伴わない彼には求心力や人望も皆無であり、最終的には完全に孤立することになる[注 4]。
登場作品と役柄
Fateシリーズ
- Fate/Grand Order
- イベント『深海電脳楽土 SE.RA.PH』に登場したキャラクター。殺生院キアラを除くならば、セラフィックス唯一の生存者だった人物。
人間関係
- 主人公 (Grand Order)
- カルデア本部よりやってきたマスター。アーノルド自身にとっては自分達が助かるために必要不可欠な人物だったが、自分より地位や経験などが劣っていると見なして自分の指揮下に置こうとする[出 4]。
- 最初の内は立場や状況を考慮して彼の非礼の数々を大目に見ていた主人公も、メルトリリスの救助とセラフィックスの制圧のどちらを優先するかという瀬戸際で自分達の意向を無視した命令を出してきた時には頑として受け付けず、ついにはメルトリリスを侮辱しながらしつこく噛み付いてきた彼を無視して拒絶した[出 5]。
- マーブル・マッキントッシュ
- 自分と同じセラフィックスの生き残り。(名門のロックフェラー大学出身である事を知らずに)一方的に格下と見なしており、カルデアに救援を求めようと捨て身の行動に出たトラパイン女史共々名前すら覚えていなかった[出 3]。
- 作中でも散々暴言を吐きながらこき使ったり[出 4]、主人公が自分の命令に逆らった際には八つ当たりで暴力を振るったりと非道な扱いをしていた[出 5]。
- メルトリリス、パッションリップ
- 自分達を陥れた張本人の仲間だと思い込んで強い敵愾心や警戒心を向け続けており、メルトリリスの救助で主人公と口論した際でも「いずれ始末しなければならなかった怪物」とまで言ってのける[出 5]。
- 主人公達がやってくる以前にも生存者を嗾けて彼女達に攻撃したり、何とかして強引に操って自分の駒にしようと大真面目に考えていたりといった対応を繰り返していたが、自分達の救援に来た主人公一行に協力している様子を見ても考えを改める事は無かった。
- 彼女達も彼に対して良い感情を抱いておらず、メルトは彼の小物ぶりや愚かさに呆れつつも、その性格を危惧して彼を天体室に連れていく事には強く反対しており、リップに至っては主人公への態度に怒りを顕にして彼が死にかねない方法で制裁しようとしていた[出 4]。
- ガウェイン
- 主人公一行に同行していたサーヴァント。
- 当初から身勝手な本性が滲み出ていたアーノルドに対しては終始冷ややかな態度を示しており、サーヴァントを率いてただ一人助けに来た主人公に悪態を吐いたり、手前勝手で現実が見えていない理屈で主人公の邪魔をしようとした彼に対し、有無を言わせない態度で厳しく突き返す[出 3]。
- 当の本人からは生意気なサーヴァントだと疎まれていたものの最も頼りになりそうだと期待もしており、何者かによってガウェインが殺されたときにはショックを受けていた[出 3]。
名台詞
- 「ああ、ちょっとちょっと!部外者が勝手に記録を見るんじゃない!
それに、なんだい?天体室?そんなものはないよ。だってこの私が知らないんだから!
セラフィックスの記録はカルデア所長……アニムスフィア当主の許可がないと閲覧できない決まりだ。
いくら救助部隊だからってキミたちに閲覧する権利はない。
大体、あとで私の管理責任を問われたらどう責任を取ってくれるんだい!?」 - 主人公がセラフィックスの記録を調べようとした時の発言。この期に及んでも自分の立場や責任問題の話ばかりである。
- だが、ガウェインに「主人公の任務はこの事態の解決であって、貴方の将来の保証ではない」と淡々と返されるとそれ以上何も言い返せず、引き下がるしかなかった。
- 「……君は黙っていてくれないかマーブル。前にもまして無駄飯食らいの役立たずが。
いいかね、○○。これからは私が指示を出させてもらう」 - 一方的なリーダー宣言。たった数時間前に「全責任をマスターが負う事を条件にマスターの指揮に従う」と宣言したにも関わらず、である[注 5]。この時から主人公に対して強気で高圧的な態度を隠さなくなり、マーブルに対しても罵詈雑言や暴力を浴びせる傍若無人ぶりを見せつける。
- サーヴァントやアルターエゴ達が彼の無茶苦茶な言動に冷め切った視線を向ける中、主人公だけは彼の態度を大目に見ながら話を聞いていた。だが……
- 「こちら礼拝堂、こちら礼拝堂! SE.RA.PH全土で振動を確認した!
あきらかに潜行速度が増している! グズだな君たちは!
相手は一騎だけなんだろう!? さっさと始末できないかね!?」 - センチネルである鈴鹿御前に苦戦する主人公やサーヴァント達に対して。
- コースターを開くには主人公とセンチネルを接触しなければならないという困難な状況の中、タイムリミットの厳しさにただ一人焦る彼は前線で苦戦する主人公へ空気も読まずにヤジを飛ばすなど、その態度は以前にも増して悪化していった。
- 「バカな発言はそこまでにしなさい。アルターエゴが下層に落ちた? 助けに行く?
いいじゃないか、手間が省けた!最後には処理しなければならない怪物だったからね!
そんなことはどうでもいい。どうもいいんだ。いいから私の判断に従いなさい。
少し考えれば分かるだろう? 君がどれほど功績をあげようと、外に出た時に報告するのは私なんだ。
ここまで死ぬ思いで戦ってきたのに、たった一度のミスで役立たずのレッテルを貼られたくはないだろう?
今の発言は私も聞かなかったことにしてあげよう。いいね、君は今すぐ―――」 - メルトリリスがセラフィックスの最下層に転落した時、「メルトリリスを見殺しにして教会に戻り、自分達を天体室に連れていけ」という彼の要求を毅然と突っぱねた主人公に対して。
- 自分の命令を拒絶し、自分達の救助よりもメルトリリスの救助を優先すると宣言した主人公に苛立つ彼は、メルトリリスを酷く侮辱する暴言を吐いた挙句、更には自分の立場を盾に主人公を脅迫するという卑劣な行為にまで手を出した。
- しかしその台詞を聞いた主人公から一方的に通信を切られてしまい[注 6]、この時点で「自称リーダー」は完全にカルデア本部一行から見放されることになった[注 7]。
- 「はあ!? 悪気は無かった、だって!? 切ったんだぞ!? 私からの通信を、一方的に!
カルデアのマスターだから礼儀正しく接してやっていたのに、何だあの態度は!
ここでは私の方が立場は上の筈だ!
所長も、副所長も、区間部長も、ドクターたちも、
みんな、みんなとっくに死んでいる! 始末した!
生き残った人間の中で、一流大と言えるものを出ているのは私だけだ! そうだろうマーブル君!」 - 殆ど自業自得な形で主人公からさえも見放された事に対する逆恨みと怒りに我を忘れて暴れ回り、それを見かねて宥めようとするマーブルに対して。
- この期に及んでもなお自分の立場の正当性を主張し、自分の今までの態度と行動を省みずに主人公を非難するが、彼が見下しているマーブルもまた一流大出身である事に気付いていない辺り説得力は皆無だった。
- 「……くそ。こうなるとお行儀良くはしていられない。時間もないんだ。あと4分もないんだろう、マーブル?
○○君には何としても私の命令を聞いてもらわなくては。
しかしどうすれば……いっそ相方がいればそちらを人質にできるのだが、単独行動ときた。
医務室から毒物を拝借してくるか ?しかし今から私だけで管制室に戻るのは……」 - 直後に主人公を強引に自分の手駒に引き戻そうと考え直すアーノルド。強力な毒薬を使って脅迫する事を考え始め、突然教会に戻ってきた黒いアーチャーを見て動揺しながらもいつもの態度で毒薬を取りに行くよう命令を下そうとする。
- だが、彼がセラフィックスの秘密の隠匿のために自分達の命を狙っていることを知らず、何も気づかないまま話している最中に銃殺されるという呆気ない最期を迎えた。
- まるで、自分の都合のために他人の命を当然のように奪ってきた男に対する報いと言わんばかりに。
メモ
- 序盤の早い段階から「ベックマン」の名字でセラフィックスを仕切っている様子が描写されていた事から、当初は「黒幕では」と疑う人間が続出。しかし、実際には彼もまたキアラの掌の上で踊らされていた駒に過ぎず、何にも良い所なしで終わってしまった。
あのワカメだってまだ見せ場があったのに…- 当記事でも解説している通り、勝手な理由で他人を見下しては無礼な態度で服従を迫り、自分の都合や保身のためにリーダーの立場や権力を振りかざして他人を酷使し、そのためであれば他人を命を奪う事さえも平気で「やらせる」自己中心主義の権化のような人物。だが、事件の核心に迫るのに必要な要素や役割を何一つ持っていなかったので本人が自称するような重要人物には成り得ず、目の前の事も分からない現状に翻弄されながら、事件の真相を知る事も生還する事も許されずに自業自得・因果応報な形で退場する事になる。…と憎まれ役・道化役としては非常に良く出来ていた。しかし、似たようなタイプの「人間のクズ」と違い、それを払拭しうるだけの覚悟や矜持、男気など、評価できる所は何一つ無かった。
- 更に言えば、彼を頂点とする「ミスト劇場」構造も主人公達が到着する前には完全に終わっていた。彼の立場を恐れて命令に従う職員は彼の暴政に耐え切れずに全員死に絶え(しかもただ一人無事だったと思われていた別の職員も正体は死者に化けていた黒幕であり、実際に生き残っていた職員は彼以外に誰も居なかった)、部外者で複数のサーヴァントが味方に付いていて自分の意志決定で行動する主人公はわざわざ彼の管理下に入って行動する理由も必要性も無い。そしてそうした事に全く気付かないまま最後まで「リーダー」の座に固執し続けていたアーノルドの立ち位置はまさに「裸の王様」そのもの。余りにも酷すぎる性格や言動故に彼をまともに相手にする者がそもそも最初から誰一人としておらず、「余計な事をしてますます状況を悪化させる」というパニック物のお約束さえ満足にこなせなかった。そういう意味ではTYPE-MOON歴代の小物キャラ・クズキャラと比較することさえおこがましい、「名前があるだけのただのモブキャラ」同然と言っても過言ではない。
- それでも、本来セラフィックスのリーダー職は別にいた事実もあり、またマーブルもなんだかんだフォローしていたりするところを見ると、「小人物が必要以上の役職に祭り上げられたが故の悲劇」と同情的な意見もある。
- 当記事でも解説している通り、勝手な理由で他人を見下しては無礼な態度で服従を迫り、自分の都合や保身のためにリーダーの立場や権力を振りかざして他人を酷使し、そのためであれば他人を命を奪う事さえも平気で「やらせる」自己中心主義の権化のような人物。だが、事件の核心に迫るのに必要な要素や役割を何一つ持っていなかったので本人が自称するような重要人物には成り得ず、目の前の事も分からない現状に翻弄されながら、事件の真相を知る事も生還する事も許されずに自業自得・因果応報な形で退場する事になる。…と憎まれ役・道化役としては非常に良く出来ていた。しかし、似たようなタイプの「人間のクズ」と違い、それを払拭しうるだけの覚悟や矜持、男気など、評価できる所は何一つ無かった。
- 彼が主人公に服従を強いる際に使おうとした毒薬「Bトキシン8型」というのは、おそらく高い致死率を持つ自然界で最も強力な毒物の一種であるボツリヌストキシンだと推測される。しかし主人公はサーヴァントさえも蝕む強烈な毒などにも耐えられるような強力な対毒スキル(仮)を持っているため、仮に主人公に服用させたとしても効果があったかは怪しいものだろう[注 8]。
話題まとめ
脚注
注釈
- ↑ 竹箒日記では「ベックマンによるミスト劇場」として、作中でもアーノルドに逆らった職員を外に追い出して攻性プログラムの餌食にしたり、SE.RA.PH内を見てまわっているメルトたちに攻撃を命じたりしたことが言及された。「ミスト」というのは怪生物が大量発生してスーパーマーケットに立てこもり、次第に内部がカルト化していく恐怖を描いたスティーブン・キング原作の映画「ミスト」になぞらえたのだろうか。
- ↑ 主人公たちに見つかるまで長く管制室に引き籠り続けていたせいか、最初の内は臆病で弱気な面が目立ったが、主人公の判断に従う代わりに何かあったら全責任を押し付けるなど、自己保身を優先している。
- ↑ 本編が始まる前でも、自分に逆らった職員を安全地帯の外に追い出して死なせたり、周囲を扇動して生き残ったメンバーを理不尽な理由で惨殺する、などの凶行を繰り返していた。
- ↑ 特にサーヴァント一同からはその性格や人となりを見透かされていたため、早い段階から冷ややかな目線を向けられ殆ど相手にされていない。最初の内だけは彼の言葉を聞いていた主人公も、メルトリリスへの侮辱を含んだ脅迫を受けた時点で容赦無く見捨てた。
- ↑ この時、主人公を人生経験やセラフィックスの知識が自分より劣っている、主人公達だけでは事態の収束は困難、などと理由付けて一方的にリーダーを名乗り出したが、この時点で既に主人公の経歴や人物像を全く見誤っている事に彼が気付く由もなかった。
- ↑ 本来、主人公は見ず知らずの他人はおろか裏切り者などでさえ簡単に見捨てない人物である。そんな主人公でさえもこの時ばかりは彼を自分の意志で冷然と切り捨てた事も考えると、自身のスタンスや考え方とは全く相容れないこの台詞に主人公が何を思ったのかは推して図るべしである。
- ↑ なお、この台詞の直前に主人公が「メルトリリスを救出に向かう」と聞いたタマモキャットとパッションリップは大いに喜び、他のサーヴァント達も最初から彼の主張を無視してメルトリリスを助ける前提で話をしている有様だった。
- ↑ ただしバレンタインイベントでのセミラミスによると、この能力は食べ物の毒に対しては完全に無効化するのではなく、美味と毒の端境まで劣化させる形で作用するらしい。