キャスター (フラグメンツ)
- 真名:ヴァン・ホーエンハイム・パラケルスス
- サーヴァント階位:六位
『Prototype』の世界で行われた、八年前の聖杯戦争に登場する、「魔術師」のクラスのサーヴァント 。
白色のローブを纏った、女性と見紛いかねない長髪の美青年。
- 略歴
- 1991年2月に美沙夜の父によって召喚されたサーヴァント。真名は「パラケルスス」の名で広く知られる、錬金術師ヴァン・ホーエンハイム。
玲瓏館邸を「神殿」に作り変え、鉄壁の守りを敷く。その後、マスター間の約定によりライダー陣営と同盟を締結するが、同日夜、バーサーカーの襲撃と時間を同じくして現れた沙条愛歌と邂逅を果たす。そして根源接続者である彼女への興味、自らの目的を達成するのに強者に付いた方が賢明であるという合理的な判断に加え、自分どころか神々すら凌ぐ輝きを放つ彼女の器に魅せられ、玲瓏館のサーヴァントとして動きながら愛歌の元に付く道を選んだ。
複合神殿でのライダーとの決戦の際には、愛歌の命を受けてセイバーのサポートを行い、彼を勝利に導く。ライダー陣営にキャスターが敵対したことで、同盟の契約違反と見なされた美沙夜の父は強制(ギアス)のペナルティにより死亡。キャスターは愛歌をマスターとし、さらなる暗躍を続ける。
- 人物
- 生粋の魔術師であるが、人を教え導くことに喜びを感じる人物で、美沙夜の父や幼い美沙夜にも真摯に接する人格者。また効果や効率を重んじすぎる魔術師の中で、魔術に風情や情感を覚える一風変わった人柄。生前は「遍く人々を、愛し子を救うために成すべきことを成す」として、魔術師でありながらその研究成果を世間に広め、医療の発達に貢献した。そして、それを疎んだ他の魔術師の手によって最期を迎えたらしい。その聖人のような高潔さに美沙夜の父や美沙夜からは全幅の信頼を向けられる。
- 一方、姿隠しを見破られているのに不気味な人影の姿で美沙夜の前に現れ、彼女に透明で冷ややかな氷のようだと思わせている。また姿を現した後も、美沙夜は彼と話していると偶に「気圧されている」と感じる時があり、その思惑には不明な点があった。
- 実は美沙夜が出会った当初に覚えた不安は正しく、清廉ではあるが彼もまた「正しい魔術師」の一人であり、根源への到達には手段を選ばない。結果、玲瓏館を裏切って愛歌の元に付き、美沙夜を彼女に売って遠距離から呪詛を掛けられるよう細工を行っていた。
- 能力
- 伝説的な錬金術師にして、「土」「水」「火」「風」「空」の5つの属性を併せ持つアベレージ・ワンの魔術師。宝石魔術を操る。
- 玲瓏館邸を「神殿」に作り変え、数十の結界と呪詛の罠、各方角に独立した防御機構である「エレメンタル」を一体ずつ配置し、気配遮断を持つアサシンや突破力に優れたバーサーカーの侵入すら阻む強固な陣を敷いている。また魔力を込めた宝石やホムンクルス、エーテル塊の欠片など、短時間で高度な魔術品の生成を可能とする。
- 「エレメンタル」はキャスターの分身でもある宝石で、平時は空中での神殿の警戒を行い、キャスター戦闘時にはこれらを使役して魔力供給と術の強化、支援などを行わせる。
- 本人曰く「争いはさほど好きにはなれない」とのことだが、あらゆる元素変換を極め、大魔術級の威力を持った複数属性の魔術を同時に操り、なおかつそのコントロールも卓越している。
宝具
- ?
- 威力には自負があるものの、サーヴァント2騎以上をまとめて相手取って使用すべきと考えている。
登場作品と役柄
- Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ
- キャスターのサーヴァントとして登場。
人間関係
- 美沙夜の父
- マスター。偉大なる先人として尊敬されているが、キャスター本人はあくまで「主に根源をもたらす為のサーヴァント」として振る舞っていた。
- キャスターが裏切った事に薄々感づいているが、その可能性を直視できずに美沙夜を救いたいという思いもあって混乱に陥ってしまう。
- 後にライダー陣営と交わした同盟の契約を利用して謀殺する。
- 玲瓏館美沙夜
- 自分の教えを受け取った数多の子らの裔。魔術師としての器を認め、信頼の証として真名を明かし、アゾット剣を贈る。
- だが一度出会った愛歌への興味に比べればその感情も些末なもので、信頼を寄せていた彼女を裏切り愛歌が呪詛を仕込むのに協力する。
- ライダー
- 同盟を結んだサーヴァント。
- 沙条愛歌
- 突然、空間転移で神殿内部に現れた少女。愛歌から「ペットはもう間に合っているから、友達になろう」と持ち掛けられ、彼女の特異性に強い興味を持つ。
その後、彼女の異常とすら言える才能と器に敬服して、この世の万物を統べる絶対者と認め、美沙夜を売って彼女の元に付く。 - セイバー
- 愛歌のサーヴァント。美沙夜がバーサーカーから救われた際は純粋に「高潔な英霊」と呼んでいた。だが、愛歌と内通するようになってからは将来的にも彼の存在が邪魔になるため、「忌々しきセイバー」と呼んで嫌悪している。
- 愛歌の命令でライダーとの激闘で傷を負った彼の治療を行い、聖剣の輝きに興味を持つ。
名台詞
- 「火の元素変換はごく単純な力業の魔術と考えられがちですが、
極めれば、きっと、いつか太陽のもたらす炎そのものにさえ届くかもしれない。
無論比喩ではありますが、そう考えてみるのも――素敵だとは思いませんか?」 - 美沙夜に語った講義で。
- 魔術師は魔術に夢見がちな感慨を抱くべきものではないと考えていた美沙夜は、偉大な魔術師が「素敵」という言葉を使ったのに大きな驚きを覚える。
- 「エーテルの窮極は、失われた神代の秘儀に通じると私は考えているのです。
遥か古代、カルデアの賢者たちが到達した正しき星辰の輝きを、私は手にしたい。
それは宇宙に充ち満ちて瞬く窮極の光であって、
そして同時に、この星の光でもあるのでしょう」 - 美沙夜に語ったエーテル論。
- エレメンタル、錬金術、魔術基盤、それに星の光。彼は自分が生きていた時代より神秘が格段に薄まっている事を痛ましく思いながらも、サーヴァントとしての役目を全うしようと考えている。
- 美沙夜は「些か大言壮語(ボンバトゥス)が過ぎる気もするけど」と感じながらも、好感を抱くに足る真摯な回答を繰り返す彼に対する評価を更に上げていく。
- 「いつの時代も王とは厄介なものであると思っていましたが、どうやら、少しばかり評価を改めねばならないようですね。王を見出すかの如き王も、世に在る」
- 「魔術の器は魔術師が見抜くもの。王の器は、王が見抜くものなのでしょう。かの
大魔術師 ほどの人物であるならば、例外もあるのでしょうが」 - 自分が見抜けなかった美沙夜の「王の器」を見抜いたライダーへの素直な称賛。同時に美沙夜の評価もさらに上がり、「かつて自分が成し遂げられなかった事さえも彼女なら」と期待を寄せる。
- だがその直後、美沙夜どころか、全ての魔術師の頂点に立つ根源接続者がキャスターの目の前に現れる……。
- 「いいえ。世界のすべては貴方のものです。
その貴方がお決めになった事柄であれば、私の情などに何の意味がありましょう」 - 「我が主、万物を統べるべく生まれ落ちたる、根源接続者よ。
真なる星の光充ちた遥か過去の神々でさえ、貴方の輝きには敵うべくもない」 - 「──沙条愛歌さま」
- 交わされた最悪の契約。自分を信じて眠りについた美沙夜を尊き生贄として定め、一瞬憂いを帯びたが、そのような感傷は根源とそれに通じる少女のもたらす輝きに比べれば取るに足らない物だった。
- 「良いですか、小さなお嬢さん。 若き魔術師にして、未だ幼き王よ」
- 「過去もそうでした」
- 「現代も変わらない」
- 「──魔術師に、真の意味での友人などいませんよ」
- 全てが終わり、呆然とする美沙夜に。愛しい教え子の小さな不注意を注意するように、自身の裏切りと彼女に掛けられた死の呪いを肯定する。
- ひどく透明で冷ややかな声と、穏やかさを漂わせながら感情が感じられない不気味な様子は、美沙夜が初めて彼と出会った際に感じた「氷の魔」そのものであった。
メモ
- 「ヴァン・ホーエンハイム」は略した名前で、本名「テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ ホーエンハイム」。
- 本名が長すぎるので、真名に略した名前が使われているのはネロと同じ。
- 「パラケルスス」という通り名の由来に関する説は2つ存在し、「古代ローマの高名な医者・ケルススを凌ぐ」という意味を込めて自称した、または「ホーエンハイム」をラテン語化したと言われている。
- 『Fate/stay night』でも活躍したアイテムであるアゾット剣の本質的な意味での製作者にして所有者。
- 「根源への到達」と言う、「魔術師」として、恐ろしくまともな目的を持つサーヴァント。だが時期が近い『Fate/Apocrypha』に登場した、同じく「キャスター」で生粋の魔術師だったアヴィケブロンがあんな事をしでかしたので、登場した時から読者の間で不安は大きかった。その後美沙夜との交流で払拭されたかと思いきや、不安は最悪のカタチで的中した……。
- 「魔術師だが一般人にも有名」というTYPE-MOONの世界設定的には矛盾しかねない人物。と思いきや、魔術師でありながら世間に広く知識を広めたために他の魔術師に謀殺された、という解釈を取ることでその部分をクリアしている。
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 | 備考 |
美沙夜の父 | D | E | C | A | B | A+ |
保有スキル:陣地作成、道具作成、高速詠唱など
話題まとめ
- 史実のヴァン・ホーエンハイム
- TYPE-MOONのヴァン・ホーエンハイムは穏やかな紳士だが、史実のヴァン・ホーエンハイムはかなり傲慢でへそ曲がりな人物だったらしい。
- 自分に賛同しない学者達には「犬が後ろ足を上げるだけの価値も無い奴」と罵倒し、自分が「医学界のルター」と賞賛されると「私をあんな下らぬ異端者と一緒にするな」と言ったという。腐敗した医者と薬剤師の関係を暴露したり、既得権益にしがみつく人々を批判した彼の態度は血気盛んな学生達をひきつけ、市民の中にも支持者がいたが、この周りに毒を吐きまくる性格で度々裁判沙汰を引き起こし、敵も非常に多かったという。
- これらのことが示すように、彼も毎度お馴染み、英霊性格変更がされていると思われる。
- なお彼の弟子の1人オプリヌスは師について「学者としては天才、しかし人間としては三流」というコメントを書き残している。
- TYPE-MOONのヴァン・ホーエンハイムも後の裏切りを見ると、確かに魔術師としては兎も角、英雄としては間違いなく三流である。