スプリガン

スプリガン
性別 男性
種族 人間
初登場作品 Fate/Grand Order
テンプレートを表示

概要編集

Fate/Grand Order』に登場する妖精……と思われていた人間。
同ゲームのエネミーとして妖精「スプリガン」が登場するが、ここでは固有キャラクターとしてのスプリガンについて解説する。

略歴
Lostbelt No.6『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』で妖精國の都市のひとつ、ノリッジの君主にして「土の氏族」の氏族長として登場。
前編ではノリッジの『厄災』と『予言の子』をどうするかについての氏族長会議で女王モルガンに「水鏡」を使用させる事と、復興用の支援金として城の宝物庫にある汎人類史からの漂流物を提供してもらう約束を取り付ける。一方で『予言の子』については多少危険視こそすれどさほど脅威と見ておらず、捕縛を優先するよう言われたのを良い事に、ボガードの遺言を受け『厄災』を祓うべくノリッジへやって来た妖精騎士ギャラハッドこと記憶が戻らないままのマシュを『予言の子』として祭り上げ、彼女と面識がある主人公の事も交渉材料として利用しようと企むも、肝心のマシュが無視して出撃してしまい断念。
後編では彼女と主人公が合流して『厄災』を討ち祓い、マシュが居なくなった代わりに本物の『予言の子』が現れると打って変わって一行にも理解のある素振りを見せ、モルガンから招集通知が来た事を伝えてキャメロットへ送り出す。そして謁見を経てパーシヴァル達ロンディニウムの円卓軍と合流した一行が、反組織を抑え込んで欲しいという伯爵の頼みで再びノリッジにやって来ると金庫城を解放し主人公達を招き入れ、「鳴らすことを黙認する」という形で解決させノリッジの鐘を提供した。
実は彼は妖精ではなく『漂流チェンジリング』によって流れ着いた人間であり、汎人類史の幕末日本の薩摩出身の下級武士。「ナカムラ」というのが本名だと思われる。
外国交流や西洋文化に憧れて英国に留学を希望していたが叶わず、代わりに研修船の乗組員となって英国に渡り、交代の合間の休息を狙って辺りを散策していた所妖精國に迷い込んでしまい、以降は30年ほど奴隷として働き、「妖精は個体差が大きいため妖精のふりをすれば正体に気づかれない」という事に思い至り、「キャップレス」を名乗って土の氏族の一員[注 1]として活動し、最終的には先代のスプリガンを謀殺して「スプリガン」を襲名していた。最初の頃は自分の地位に満足していた様だが、次第にただ人間の技術や文化を模倣するだけで発展も交流も殆どない閉塞的な妖精國ブリテンと、そのように創り上げたモルガンを強く憎む様になり、『予言の子』と主人公一行が優勢になるとオーロラの策略に便乗する形でウッドワス妖精騎士トリスタンを利用してモルガンを戦意喪失させ、目的に王手をかけた。
だが、終編でノクナレアの戴冠式の際に彼女が毒殺されてしまった上に厄災が各地で勃発したため、早々にオーロラを見切り慌てて逃亡。そこでようやく彼女の本性に気づいて愕然となり、最期には兵士も領民も何もかもを見捨ててノリッジの本拠地に閉じこもって集めた芸術品に執着してたところ、窓越しに見た大厄災の実態を目にして我に返り、全てを諦観しながら崩落の中に消えた。
人物
いかつい顔つきにとがった耳を持つ中年男性。
土の氏族にも関わらず、見た目の特徴的には風の氏族に近いのでかなりの違和感があるが、上記のように正体は江戸幕末期の日本人であり実年齢100歳を超える人間で、妖精を解剖・研究して作った不老薬と化粧と整形による偽装でそれを補っている。
元々芸術品に興味があり、ノリッジの塔を百年かけて改修した「金庫城」と呼ばれる城塞に妖精國中から集めた芸術品を保管している。
権謀術数に長けているが、基本的には自分への損失が少なければより話が美味しい方へ転がればいいという日和見主義な性格で、裏を返せばモルガンはおろか周りの誰も信用しておらず、自分の野心の為に利用するだけ利用すればいいとしか考えていない。また、自身が余所者の認識が強い故に、領地のノリッジはおろか妖精國ブリテンにもさほど愛着がなく帰化する気もさらさらなかったが、かといって此処での長年の生活に慣れ過ぎた事から今更元の故郷へも戻れないと云う自覚があるためなのか、拠り所として安心出来る場所…ノリッジで云えば金庫城に居ることを重要視しており、自ら表舞台に出るよりは面倒な事は偉い者に押し付け、自分はそれを支援しつつ気ままに過ごせればいいという楽観思考を持つ。
その出自から人間に対しても理解があり、ノリッジでは「人間と妖精は対等である」という法が敷かれている…が、各地域の例に及ばず表上だけの事であり、その裏では妖精たちの純朴さにつけ込んで酷使する人間が特に多い傾向にある。
能力
人間であるため妖精と比べるとその実力は及ぶべくもないが、人間ゆえの陰謀力や経営能力、技術力で土の氏族とノリッジの頂点に君臨している。

登場作品と役柄編集

Fateシリーズ編集

Fate/Grand Order
Lostbelt No.6『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』で現地人として登場。

人間関係編集

Fate/Grand Order編集

モルガン (Grand Order)
妖精國ブリテンの女王。
自分の境遇と国の異様かつ悲惨な有り様を、彼女の偏った政策が原因だと決めつけ、オーロラと共謀して滅ぼしにかかった。なお、国そのものについては『理想の世界への憧憬』という根幹が似ていた為、多少なりとも共感出来る部分もあったのか、「少女の夢のようだった」とそれほど否定的ではない。
もともと彼女から「モルカー」の発注を受けていたり[出 1]、妖精國の思い出でも「どうかと思わないでもないが評価していた大臣」と認識されていたりと重用はされていたようである。
ちなみに謀反時には「長生きには飽いたのか?」と問われているため、モルガンは彼が人間であることはすでに知っていたようである。
妖精騎士トリスタン
モルガンを滅ぼすために利用した妖精。
擬似的な親子関係が、その実共依存状態であったことを唯一人だけ察知していた。
オーロラ
モルガンを滅ぼすために手を組んだ相手。ゆくゆくは彼女を傀儡の女王に仕立てあげ、裏から適当に操りつつ自身は芸術品を主とする貿易交流をしながら気ままに暮らす予定だった。
途中まではうまくいっていたのだが、ノクナレアの早すぎる毒殺が致命的な誤算となり、それによって彼女の驚愕すべき本性を遅くも思い知ることになる。
ノクナレア
モルガン亡き後に女王に即位するはずだった妖精。
最後には彼女も用済みとして始末するつもりだったようだが、戴冠式のタイミングで毒殺されたことは完全に想定外であった。
ボガード
かつてノリッジの領有権をめぐって争い、勝利した相手。
スカンジナビア・ペペロンチーノ
「ペペロン伯爵」の名でノリッジに潜伏していたクリプター。自身が運営していたデパートを閉鎖に追いやった商売敵の様なものだが、彼のデザイナーとしての技術力と製品が逆に利用できると考えていたのか、さほど脅威と見ておらず放置していた。
異邦の魔術師
予言の子同様に利用しようとした相手。ただ同郷でありはるか未来の日本出身という事もあり、興味を持っていた模様。

名台詞編集

Fate/Grand Order編集

「この顔立ち、ニホン人だね? では、君がベリルの言っていた……」
「アヴァロン・ルフェ第9節ノリッジⅠ」より。マシュを予言の子として民衆にお披露目をした際に、自身の演説を無視して壇上に駆け上がった主人公に対して。
すぐにノリッジの人間ではなく、ベリルと同じ異邦の魔術師と見抜いた。そして何より主人公の顔立ちから「日本人」である事を意識しており、彼の正体に関する伏線となっている。
「もしや……何も考えていない・・・・・・・・のか? 未来の展望も、権力への執着も、自分の思うまま国を運営する信念も――何もない、のか? ただ、‟自分がきらいなもの”を排除するだけの女だったと!?」
「――信じられん! そんな頭で2千年も生きていられるなぞ、物の怪にも程がある!」
戴冠式でのノクナレアの死をきっかけに、妖精國の各地で起こる戦争と災厄から逃れるべく、ノリッジへ退却する最中にオーロラの本質に気付いた際に。
彼は「技術」という概念に一定の信用と秩序が成り立っていた土の氏族の妖精たちに取り入る事で現在の地位を得る事が出来たが、それは人間である彼の理解の範疇に収まる性質を持った妖精であったため、そんな彼らを中心に接してきたが故にオーロラを始めとした他の妖精本来の性質を見誤る事となり野望はあと一歩というところで頓挫。オーロラがノクナレアを大災厄の対策を行う前に早々に毒殺するという暴挙に出た事で、彼はようやく協力関係にあったオーロラが極めて危険な存在である事に気付いたが、最早完全に手遅れであった。

メモ編集

  • 名前の由来は汎人類史の妖精「スプリガン」。古い遺跡とそこにある財宝を守護するとされている。
    • 「厳重な要塞に籠り、芸術品を失わせないように守り続ける」という彼の最期の在り方は皮肉なことにそっくりである。
    • その一方で最初に名乗っていた「キャップレス」には該当する妖精はいないが、名前が程近い汎人類史の妖精には「レッドキャップ」がいる。此方は赤い帽子を被った長い髪の老人の姿で、斧で無差別に人を殺害する悪妖精の一種。外見だけ見れば彼と類似している。
  • 正体判明後はプレイヤーの間では「中村」「中村スプリガン」「スプリガン中村」と中村呼びが完全に定着している。

脚注編集

注釈編集

  1. 土の氏族を選んだ理由は、「技術」という分かりやすい価値観を共通認識として持っているおかげで外部から食い込みやすかったため。

出典編集

リンク編集