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;史実関係
 
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*「イスカンダル」はアラビア語・ペルシャ語での呼び名。正しくは「アリスカンダル(Aliskandar)」なのだが、アラビア語では定冠詞に「al」を使うため(「アルジャジーラ」や「アルカイーダ」の「アル」)、「アル・イスカンダル(Al-Iskandar)」と勘違いされたことからこの呼び名が生まれた。<br />アレキサンダーやアレクサンドロスが西洋圏ではありふれた名前なのに対し、この呼び名はその由来から「ただ一人の英雄」を指すため、真名に採用されたと思われる。
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*「イスカンダル」はアラビア語・ペルシャ語での呼び名。正しくは「アリスカンダル(Aliskandar)」なのだが、アラビア語では定冠詞に「al」を使うため(「アルジャジーラ」や「アルカイーダ」の「アル」)、「アル・イスカンダル(Al-Iskandar)」と勘違いされたことからこの呼び名が生まれた。<br>「アレキサンダー」や「アレクサンドロス」が西洋圏ではありふれた名前なのに対し、この呼び名はその由来から「ただ一人の英雄」を指すため、真名に採用されたと思われる。
*父方のマケドニア王家は[[バーサーカー|ヘラクレス]]を先祖とし、母方のエペイロス王家はアキレウスを先祖としていた。<br />さらにゼウスへの供物であった「神威の車輪」を手に入れたことでゼウスの子孫と語られるようになり、本人もそう信じていたとされる。「神性」スキルを持つのはこのためである。
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*父方のマケドニア王家は[[バーサーカー|ヘラクレス]]を先祖とし、母方のエペイロス王家はアキレウスを先祖としていた。<br>さらにゼウスへの供物であった「神威の車輪」を手に入れたことでゼウスの子孫と語られるようになり、本人もそう信じていたとされる。「神性」スキルを持つのはこのためである。
 
**史実において先祖とされるヘラクレスについて敬意を払っていたのか獅子の皮を被り、彼のコスプレをしていたという逸話を持つ。アキレウスについても同様のようで、作中においてアキレウスが主人公の叙事詩「イリアス」を短い間に何度も読み直し、肌身離さず持ち歩いていた。
 
**史実において先祖とされるヘラクレスについて敬意を払っていたのか獅子の皮を被り、彼のコスプレをしていたという逸話を持つ。アキレウスについても同様のようで、作中においてアキレウスが主人公の叙事詩「イリアス」を短い間に何度も読み直し、肌身離さず持ち歩いていた。
 
*エジプトでファラオとして即位した際、ゼウスと同一視されるエジプトの最高神アメンの現し身ともされ、死後伝えられる図像などではアメン神の象徴である羊の角を持った姿に描かれるようになった。この意匠はペルシャを経由して後のイスラム世界にも広く知られ、二本の角を持つ王「イスカンダル双角王(ズルカルナイン)」として伝説化されることとなる。
 
*エジプトでファラオとして即位した際、ゼウスと同一視されるエジプトの最高神アメンの現し身ともされ、死後伝えられる図像などではアメン神の象徴である羊の角を持った姿に描かれるようになった。この意匠はペルシャを経由して後のイスラム世界にも広く知られ、二本の角を持つ王「イスカンダル双角王(ズルカルナイン)」として伝説化されることとなる。
*臣下の中で最も高名なのが、セレウコス、アンティゴノス、プトレマイオスの3人で、いずれもイスカンダルの死後の3つに分断された帝国で王となり覇を争っている。当然、この3人も「王の軍勢」で呼び出された英霊に含まれている。<br />他にも「親友」ヘファイスティオン、「最も信頼出来る男」ネアルコスなど部下の人材は枚挙に暇がない。
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*臣下の中で最も高名なのが、セレウコス、アンティゴノス、プトレマイオスの3人で、いずれもイスカンダルの死後の3つに分断された帝国で王となり覇を争っている。当然、この3人も「王の軍勢」で呼び出された英霊に含まれている。<br>他にも「親友」ヘファイスティオン、「最も信頼出来る男」ネアルコスなど部下の人材は枚挙に暇がない。
**ちなみに、キャスター戦で伝令役を仰せつかったミトリネスについては、史料がほとんど残っておらず、詳細な人物像は不明。<br />伝承では、元はペルシャ帝国の指揮官だったが、イスカンダルの軍勢に恐れをなして降伏。その後は地方都市の太守に任じられるが、以降は歴史から姿を消す。どうやら、あまり重用されなかった模様。
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**ちなみに、キャスター戦で伝令役を仰せつかったミトリネスについては、史料がほとんど残っておらず、詳細な人物像は不明。<br>伝承では、元はペルシャ帝国の指揮官だったが、イスカンダルの軍勢に恐れをなして降伏。その後は地方都市の太守に任じられるが、以降は歴史から姿を消す。どうやら、あまり重用されなかった模様。
 
**軍勢の中にはマハラジャ(インドにおいて「王」を意味する)もいるとの事。後にインドの大国となるマウリヤ朝を拓いたチャンドラグプタ王が、青年時代にイスカンダルの軍に加わっていたという逸話に基づくものと思われる。
 
**軍勢の中にはマハラジャ(インドにおいて「王」を意味する)もいるとの事。後にインドの大国となるマウリヤ朝を拓いたチャンドラグプタ王が、青年時代にイスカンダルの軍に加わっていたという逸話に基づくものと思われる。
*「ヘタイロイ」は古代ギリシャ語で「(王の)友、仲間」という意味から転じてマケドニア王国の重装騎兵部隊のことを指すが、原作の挿絵やアニメ版ではマケドニア独自のペゼタイロイ(歩兵ヘタイロイ)、その中でも更に選りすぐりの精鋭達であるヒュパスピスタイ(盾持ち部隊)が描かれている。<br />原作では明言されていないが、近衛兵団という設定上、呼ばれたのはヒュパスピスタイと思われる。
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*「ヘタイロイ」は古代ギリシャ語で「(王の)友、仲間」という意味から転じてマケドニア王国の重装騎兵部隊のことを指すが、原作の挿絵やアニメ版ではマケドニア独自のペゼタイロイ(歩兵ヘタイロイ)、その中でも更に選りすぐりの精鋭達であるヒュパスピスタイ(盾持ち部隊)が描かれている。<br>原作では明言されていないが、近衛兵団という設定上、呼ばれたのはヒュパスピスタイと思われる。
*身長2mを超える彼だが、ウェイバーからは「歴史だとすっげぇチビだったってことになってるぞ!」と言われる。<br />ウェイバーの読んだ本に、ダレイオス三世の玉座に座った時、足が届かず踏み台代わりにテーブルを使ったとの事。<br />それに対し彼は、「あの偉丈夫と比べられたんでは是非もない」と、まるで3mはあろうかという巨人を見上げるような仕草をした。
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*身長2mを超える彼だが、ウェイバーからは「歴史だとすっげぇチビだったってことになってるぞ!」と言われる。<br>ウェイバーの読んだ本に、ダレイオス三世の玉座に座った時、足が届かず踏み台代わりにテーブルを使ったとの事。<br>それに対し彼は、「あの偉丈夫と比べられたんでは是非もない」と、まるで3mはあろうかという巨人を見上げるような仕草をした。
**このダレイオス三世というのは、史実によると、アケメネス朝ペルシャ帝国最後の王。イッソスの戦いなど、兵の数では常にマケドニア軍を圧倒していたが敗北を重ねる。<br />最期は従兄弟の裏切りで無念の死を遂げる。なお、この従兄弟の不忠にイスカンダルは激怒し、捕縛すると直ちに公開処刑にした。その後、ダレイオス三世を勇者として葬ったという。
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**このダレイオス三世というのは、史実によると、アケメネス朝ペルシャ帝国最後の王。イッソスの戦いなど、兵の数では常にマケドニア軍を圧倒していたが敗北を重ねる。<br>最期は従兄弟の裏切りで無念の死を遂げる。なお、この従兄弟の不忠にイスカンダルは激怒し、捕縛すると直ちに公開処刑にした。その後、ダレイオス三世を勇者として葬ったという。
*イッソスの戦いでペルシャ軍を打ち破り敗走させた際、戦場に取り残された敵軍の物資や財宝と共にダレイオス三世の王妃と母后、二人の王女を捕虜としたが行軍の間も彼女たちには一切手を触れず、他の臣下にも姿を見ることすら許さずにダレイオスのもとへ送り返したという(王妃は帰りつく前に病死したとされる)。<br />このエピソードは後のヨーロッパ世界で広く人気を博し、貴婦人に対する騎士の模範として件の場面を描いた絵が数多くの城や館に飾られることとなった。いわば「人妻に手を出さない男」という評判が騎士道の界隈で一人歩きしている状態で、宝具の相性の点で彼を天敵としている[[バーサーカー (第四次)|あの英霊]]や[[ランサー (第四次)|あの英霊]]にとっては二重の意味で嫌な相手かもしれない。
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*イッソスの戦いでペルシャ軍を打ち破り敗走させた際、戦場に取り残された敵軍の物資や財宝と共にダレイオス三世の王妃と母后、二人の王女を捕虜としたが行軍の間も彼女たちには一切手を触れず、他の臣下にも姿を見ることすら許さずにダレイオスのもとへ送り返したという(王妃は帰りつく前に病死したとされる)。<br>このエピソードは後のヨーロッパ世界で広く人気を博し、貴婦人に対する騎士の模範として件の場面を描いた絵が数多くの城や館に飾られることとなった。いわば「人妻に手を出さない男」という評判が騎士道の界隈で一人歩きしている状態で、宝具の相性の点で彼を天敵としている[[バーサーカー (第四次)|あの英霊]]や[[ランサー (第四次)|あの英霊]]にとっては二重の意味で嫌な相手かもしれない。
*「聖杯問答」では'''樽ごと'''ワインを持参し、アーチャーとの最終決戦でも「王の酒」を飲み干してから戦おうとするなど、無類の酒好きに描かれている。<br />実際、酒に酔ってペルシアの宮殿ペルセポリスを焼き払う(考古学調査によれば宮殿への放火は入念な準備の上で計画的に行われており、酒の勢いでやった説は後世の脚色と目されている)、宴席で口論をこじらせた古くからの朋友を衝動的に殺害してしまうなど結構酒に祟られるエピソードがある。<br />『Zero/material』でも「聖杯問答」でのセイバーを「酔っぱらいに説教され」たと表現している。
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*「聖杯問答」では'''樽ごと'''ワインを持参し、アーチャーとの最終決戦でも「王の酒」を飲み干してから戦おうとするなど、無類の酒好きに描かれている。<br>実際、酒に酔ってペルシアの宮殿ペルセポリスを焼き払う(考古学調査によれば宮殿への放火は入念な準備の上で計画的に行われており、酒の勢いでやった説は後世の脚色と目されている)、宴席で口論をこじらせた古くからの朋友を衝動的に殺害してしまうなど結構酒に祟られるエピソードがある。<br>『Zero/material』でも「聖杯問答」でのセイバーを「酔っぱらいに説教され」たと表現している。
 
*紀元前323年6月13日、病によって死去。東方遠征からの撤退の途中、10日間の高熱に苦しんだのち、故国の土を踏まずにバビロンにて倒れる。享年33。
 
*紀元前323年6月13日、病によって死去。東方遠征からの撤退の途中、10日間の高熱に苦しんだのち、故国の土を踏まずにバビロンにて倒れる。享年33。
 
**一説によれば、命日は6月10日とされ、アニメ『Fate/Zero』で彼がギルガメッシュに葬り去られた23話の放映日(放送スケジュールでは9日の24時・ネット局の中で最も早い場合)と重なる。
 
**一説によれば、命日は6月10日とされ、アニメ『Fate/Zero』で彼がギルガメッシュに葬り去られた23話の放映日(放送スケジュールでは9日の24時・ネット局の中で最も早い場合)と重なる。
*彼の死後、帝国が分裂したのは、彼が死に際に発した「後継者は最強の男」という言葉が原因。武力で覇を唱えてきた彼らしいが、この言葉の為に家臣達は帝国全土を巻き込む内乱を起こす。<br />この内、有力な諸侯はギリシャ語で「後継者」を意味する「ディアドコイ」と呼ばれ、内乱はディアドコイ戦争と呼ばれた。
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*彼の死後、帝国が分裂したのは、彼が死に際に発した「後継者は最強の男」という言葉が原因。武力で覇を唱えてきた彼らしいが、この言葉の為に家臣達は帝国全土を巻き込む内乱を起こす。<br>この内、有力な諸侯はギリシャ語で「後継者」を意味する「ディアドコイ」と呼ばれ、内乱はディアドコイ戦争と呼ばれた。
 
**なお聖杯問答でセイバーも触れている通り、この戦争で彼の世継ぎ(と一族の殆ど)は命を落としており、大王直系の血筋は絶えてしまった。
 
**なお聖杯問答でセイバーも触れている通り、この戦争で彼の世継ぎ(と一族の殆ど)は命を落としており、大王直系の血筋は絶えてしまった。
    
;映画『戦車男』
 
;映画『戦車男』
 
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*TYPE-MOON公式サイトの2009年エイプリルフール企画の「ムーングループの映画館情報」の映画作品の1つ。元ネタは『電車男』。<br>本編での豪放磊落ぶりや貫禄が見る影もないほどのシャイなミリオタかつ喪男と化しており、相手役の「[[ウェイバー・ベルベット|エルメロイの女]]」や大型掲示板「英雄の座」住人の面々ともども原形からのギャップがすさまじいことになっている。
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*TYPE-MOON公式サイトの2009年エイプリルフール企画の「ムーングループの映画館情報」の映画作品の1つ。元ネタは『電車男』。<br>本編での豪放磊落ぶりや貫禄が見る影もないほどのシャイなミリオタかつ喪男と化しており、相手役の「[[ウェイバー・ベルベット|エルメロイの女]]」や大型掲示板「英霊の座」住人の面々ともども原形からのギャップがすさまじいことになっている。
 
*『Fate/Zero』のアニメ制作をしたufotableも、2期放送開始直前頃の2012年エイプリルフール企画に劇場版『戦車男』をやっている。
 
*『Fate/Zero』のアニメ制作をしたufotableも、2期放送開始直前頃の2012年エイプリルフール企画に劇場版『戦車男』をやっている。
  
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