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| ;略歴 | | ;略歴 |
− | :真名は輝く貌の騎士ディルムッド・オディナ。生前、主君であったフィン・マックールの婚約者であった姫君を、その魔貌によって誤って魅了してしまい、ゲッシュにより駆け落ちを強制されてしまう。名誉を試すゲッシュと忠義の狭間で思い悩んだ末、彼は姫を選ぶ。<br>出奔した二人に対し、怒り狂ったフィンは追っ手を差し向けるが、彼は恋人を守りながらその全てを打ち払い、切り抜ける。<br>後にフィンの方が折れる形で騎士団への復帰を許されるが、フィンの怒りは治まってはおらず、彼が致命傷を負った際、治癒能力をもちながらも使うことを躊躇った主君に結果的に見殺しにされる形でその生を終える。<br>第四次聖杯戦争においてケイネスによって召喚された際には、今回は愛でなく忠義を選ぼうと心に決めていたのだが、彼の生前を知っているケイネスは自らのサーヴァントを信用しきれず、ことあるごとに痛罵する。それでもなお、彼は献身的に主へと仕えようとした。<br>だが、ケイネスの婚約者である[[ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ|ソラウ]]が魔貌による魅了を受け入れてしまい、盲目的なまでの恋慕を寄せる。奇しくも生前と同じ状況に陥りながらも、彼はあくまでも忠義を貫こうとするのだが…… | + | :真名はディルムッド・オディナ。生前、主の婚約者から主への裏切りをゲッシュにより強制され、悩んだ末に愛に応えることを選んだことで主への忠義と騎士としての本懐を最後まで全うしきれなかった未練から、第四次聖杯戦争においてケイネスによって召喚された際には、今回は愛でなく忠義を選ぼうと心に決めて挑む。しかし彼の生前を知っているケイネスは自らのサーヴァントを信用しきれず、ことあるごとに痛罵する。それでもなお、彼は献身的に主へと仕えようとした。<br>だが、ケイネスの婚約者である[[ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ|ソラウ]]が魔貌による魅了を受け入れてしまい、盲目的なまでの恋慕を寄せる。奇しくも生前と同じ状況に陥りながらも、彼はあくまでも忠義を貫こうとするのだが…… |
| ;人物 | | ;人物 |
− | :忠義に篤く、名誉ある戦いを重んずる英霊らしい英霊。生前、向けられた愛情に折れて主君を裏切ることとり、それにより主君に見殺しにされた彼であるが、忠義より愛を選んだ己の行動に後悔はなく、自分を見殺しにした主への恨みもない。<br>しかし、二度目の生が与えられるならば、その時は忠義を選ぶ戦いを、という想いから聖杯戦争に参加した。サーヴァントには契約とはまた別に『[[聖杯]]を欲する理由』があるのだが、彼の場合は彼自身がほしがっているわけではなく「主君に聖杯を献上すること」がその理由。<br>ケイネスへ捧げる忠誠に偽りはないものの、騎士道精神に固執するあまり下される方針に不服を述べたり、魔術師であるケイネスとは相容れない騎士の道理を押し通したりと、やること為すことことごとく裏目に出てしまう。 | + | :忠義に篤く、名誉ある戦いを重んずる英霊らしい英霊。生前、向けられた愛情に折れて主君を裏切ることとり、それにより主君に見殺しにされた彼であるが、忠義より愛を選んだ己の行動に後悔はなく、自分を見殺しにした主への恨みもない。<br>しかし、二度目の生が与えられるならば、その時は忠義を選ぶ戦いを、という想いから聖杯戦争に参加した。サーヴァントには契約とはまた別に『[[聖杯]]を欲する理由』があるのだが、彼の場合は彼自身がほしがっているわけではなく「主君に聖杯を献上すること」がその理由。<br>ケイネスへ捧げる忠誠に偽りはないが、“騎士の誇りに則った、より価値のある誉れ”を主に捧げようとするあまり、下される方針にただ機械的に従うのでなく主への嘆願を申し出たり、命令にない部分で騎士の道理を通すが、魔術師であるケイネスの理念との相互理解が上手くいかなかったこともあってやること為すことことごとく裏目に出てしまう。 |
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| ;能力 | | ;能力 |
| :二刀流ならぬ二槍流の槍兵。それぞれが[[宝具]]で、右手の長槍「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」と、左手の短槍「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」の二つ。他の宝具のような圧倒的破壊力こそ持たないものの、同じ相手と長期に渡って戦うことに長ける、非常に実用的な宝具。<br>絶世の美男子としても知られる。頬にあるホクロには女性を魅了(チャーム)してしまう呪いがかけられており、これはランサー自身にもコントロールできる力ではない。<br>ゆえに彼の貌は「魔貌」と呼ばれている。「[[魔眼]]」が「相手を見る」ことで効果を発揮する能動的な能力であるのに対し、ランサーの「魔貌」は「相手に見られる」ことで効果を発揮する受動的な能力である。 | | :二刀流ならぬ二槍流の槍兵。それぞれが[[宝具]]で、右手の長槍「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」と、左手の短槍「必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)」の二つ。他の宝具のような圧倒的破壊力こそ持たないものの、同じ相手と長期に渡って戦うことに長ける、非常に実用的な宝具。<br>絶世の美男子としても知られる。頬にあるホクロには女性を魅了(チャーム)してしまう呪いがかけられており、これはランサー自身にもコントロールできる力ではない。<br>ゆえに彼の貌は「魔貌」と呼ばれている。「[[魔眼]]」が「相手を見る」ことで効果を発揮する能動的な能力であるのに対し、ランサーの「魔貌」は「相手に見られる」ことで効果を発揮する受動的な能力である。 |
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− | == [[宝具]] == | + | === [[宝具]] === |
| ;破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ) | | ;破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ) |
| : ランク:B<br> 種別:対人宝具<br> レンジ:2〜4<br> 最大捕捉:1人<br> 由来:ディルムッドが養父であるドルイドのアンガスより贈られた紅槍ゲイ・ジャルグ。<br>彼が持つ紅の長槍。刃が触れた対象の魔力的効果を打ち消す。基本的には、魔術的防御を無効化させるための能力を持った宝具。<br>セイバーの鎧のように魔力で編まれた防具や、魔術やあるいは宝具「騎士は徒手にて死せず」によって魔術的な強化・能力付加を受けた武具からその魔力的効果を奪い、物理的な防御力のみの状態にする。<br>打ち消される魔力の対象は防具に限った話ではないが、「刃の触れた部分だけ」「刃の触れている間だけ」効果を発揮するため、防御的な使い方には向かない。また、過去に交わされた契約や呪い、既に完了した魔術の効果を覆すことはできない。<br>「宝具殺しの宝具」と呼ばれる槍だが、この破魔の効果単独で宝具の破壊はできない。あくまで「刃の触れている間だけ」効果を打ち消す。<br>魔術を使わないものにはただの槍だが、サーヴァント同士の戦いに魔術的なものを使わないことはまずなく、派手さはないが実に有用な宝具。 | | : ランク:B<br> 種別:対人宝具<br> レンジ:2〜4<br> 最大捕捉:1人<br> 由来:ディルムッドが養父であるドルイドのアンガスより贈られた紅槍ゲイ・ジャルグ。<br>彼が持つ紅の長槍。刃が触れた対象の魔力的効果を打ち消す。基本的には、魔術的防御を無効化させるための能力を持った宝具。<br>セイバーの鎧のように魔力で編まれた防具や、魔術やあるいは宝具「騎士は徒手にて死せず」によって魔術的な強化・能力付加を受けた武具からその魔力的効果を奪い、物理的な防御力のみの状態にする。<br>打ち消される魔力の対象は防具に限った話ではないが、「刃の触れた部分だけ」「刃の触れている間だけ」効果を発揮するため、防御的な使い方には向かない。また、過去に交わされた契約や呪い、既に完了した魔術の効果を覆すことはできない。<br>「宝具殺しの宝具」と呼ばれる槍だが、この破魔の効果単独で宝具の破壊はできない。あくまで「刃の触れている間だけ」効果を打ち消す。<br>魔術を使わないものにはただの槍だが、サーヴァント同士の戦いに魔術的なものを使わないことはまずなく、派手さはないが実に有用な宝具。 |
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| ;必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ) | | ;必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ) |
| : ランク:B<br> 種別:対人宝具<br> レンジ:2〜3<br> 最大捕捉:1人<br> 由来:ディルムッドが妖精王マナマーン・マック・リールより贈られた黄槍ゲイ・ボウ。<br>彼が持つ黄の短槍。通常のディスペルは不可能で、この槍で付けられた傷は槍を破壊するか、ディルムッドが死なない限り癒えることがない。<br>いかなる治癒や再生でも回復できない仕組みはこの槍が与えるダメージは最大HP上限そのものを削減するため。それ故に回復や再生をしても「傷を負った状態」が全快状態であるためそれ以上治らない。<br>短期決戦であるとただの槍だが、同一の相手と長期に渡って複数回戦うことを前提に考えると、じわじわと、しかし確実に効いてくるボディブローのようなもの。<br>対象がサーヴァントでなければ、時間経過による出血死などのより致命的な効果が期待できる。<br>「破魔の紅薔薇」同様、派手さには欠けるが、非常に使い勝手のいい宝具。なお、使い手である彼はこの槍で傷つくことはない。 | | : ランク:B<br> 種別:対人宝具<br> レンジ:2〜3<br> 最大捕捉:1人<br> 由来:ディルムッドが妖精王マナマーン・マック・リールより贈られた黄槍ゲイ・ボウ。<br>彼が持つ黄の短槍。通常のディスペルは不可能で、この槍で付けられた傷は槍を破壊するか、ディルムッドが死なない限り癒えることがない。<br>いかなる治癒や再生でも回復できない仕組みはこの槍が与えるダメージは最大HP上限そのものを削減するため。それ故に回復や再生をしても「傷を負った状態」が全快状態であるためそれ以上治らない。<br>短期決戦であるとただの槍だが、同一の相手と長期に渡って複数回戦うことを前提に考えると、じわじわと、しかし確実に効いてくるボディブローのようなもの。<br>対象がサーヴァントでなければ、時間経過による出血死などのより致命的な効果が期待できる。<br>「破魔の紅薔薇」同様、派手さには欠けるが、非常に使い勝手のいい宝具。なお、使い手である彼はこの槍で傷つくことはない。 |
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| + | ==真名:ディルムッド・オディナ== |
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| + | ケルト神話におけるフィオナ騎士団の最盛期、癒やしの水を司る大英雄フィン・マックールが首領を務めた時代において最強とも言われる筆頭騎士。 |
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| + | 生前、主君であったフィン・マックールの婚約者であったグラニア姫を、その魔貌によって誤って魅了してしまい、ゲッシュにより駆け落ちを強制されてしまう。名誉を試すゲッシュと忠義の狭間で思い悩んだ末、彼は姫の愛に応える道を選ぶ。<br>出奔した二人に対し、怒り狂ったフィンは多数の差し向けるが、彼はフィオナ騎士団の騎士とは決して矛を交えず、フィンに呼び集められた外地の追っ手のみと戦い、その全てを切り抜ける。<br>結果として、皮肉にもかつてフィオナ騎士団の一員であった時よりも優れた武勇を立てる羽目になり、敵を切り裂くたびにディルムッドの心もまた切り裂かれ、相矛盾する忠節とゲッシュの板挟みに苛まされ続けた。 |
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| + | 後にフィンの方が折れる形で騎士団への復帰を許され、ディルムッドが願って止まなかった主との和睦を得るが、フィンの怒りは治まってはおらず、フィンと共に狩りをしていたディルムッドが猪の牙により致命傷を負った際、治癒能力をもちながらも使うことを躊躇った主君に結果的に見殺しにされる形でその生を終える。<br>過ぎし日の自身の末路を顧みてもディルムッドに後悔はない。ただ運命の巡り合わせがあまりにも悪すぎただけのことであり、彼と彼を巡る者達は精一杯前向きに生きたのだから。フィンと交わした杯も、グラニアと囁きあった睦言も、その末路が悲劇であったとしても今もかけがえのない記憶である。 |
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| + | 『ただ一度きりの、過ぎてしまった人生を否定はしない。』 |
| + | 『だが、もし仮に。』 |
| + | 『再び騎士として槍を執る、二度目の人生があったとするならば――』 |
| + | |
| + | 『前世では叶わなかった、騎士としての本懐に生きる道。』 |
| + | 『今度こそは忠節の道を――』 |
| + | 『曇りなき信義とともに、主に勝利を捧げる名誉を――』 |
| + | === 関連 === |
| + | ;フィオナ騎士団 |
| + | :フィアナ騎士団とも。アルスター神話の時代であるクーフーリンの赤枝の騎士団から約300年後ほど後の時代に活躍した、エリン(アイルランド)の守護を行う騎士団。一説には後のアーサー王の円卓の騎士、シャルルマーニュの十二勇士の原型であるとも。<br>この時期のアイルランドにはキリスト教はまだ入っていないので後のアーサー王伝説、シャルルマーニュ伝説のようにキリスト教観念は存在せず、その時代の「騎士」とは在り方が異なる。<br>だが騎士としての在り方が全く異なるかというとそうでもなく、フィアナ騎士団の団員は様々な制約や決まり事を課しており、「牛(この時代における富の象徴)を強奪してはならない」など、宗教感こそ無いもののフィオナ騎士団たちの在り方は後の時代に共通する部分がある。<br>騎士団というが実際は傭兵集団といったところで、エリンの上王(この時代4つの国が存在したアイルランドを統べる王様)とは雇い雇われの関係であった。それでも信頼と忠義で結び合うことで互いに発展し、また騎士団員も男性には寛大、女性には優しく民からの人気もあり、最盛期には首領であるフィンは上王と並び立つ権勢を誇ったとされる。<br>有名なのは入団試験の厳しさで、12冊の詩書に精通していること。すぐれた詩が作れること。地中に身体半分埋められたままで、ハシバミの楯と棒をもち、9人の騎士が投げる槍を防ぐこと。髪の毛を紐で結び、後ろから迫ってくる騎士に追いつかれないで、しかも、髪の紐もほどけず、森の枝を1本も折らずに逃げること。自分の額の高さの枝を跳び越えること。膝の高さに身をかがめて、坂を全力で駆けおり、駆けながら足のとげを抜くこと。 をすべてクリアして始めてフィオナ騎士団の一員となれる。 |
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| == 登場作品と役柄 == | | == 登場作品と役柄 == |
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| ;グラニア | | ;グラニア |
− | :主君の婚約者として出会い、魅了の黒子によって魅了してしまった女性。<br>ゲッシュで主への裏切りを強制する、恩人である巨人を殺させるなど何かとディルムッドを貶めた人物であるが、ディルムッドはその覚悟に敬意を持ち、彼女を恨むこと無く最後には愛するようになった。後の妻。 | + | :主君の婚約者として出会い、魅了の黒子によって魅了してしまった女性。後の妻。<br>ゲッシュで主への裏切りを強制する、恩人である巨人を殺させるなど何かとディルムッドを貶めた人物であるが、ディルムッドはその覚悟に敬意を持ち、彼女を恨むこと無く最後には愛するようになった。 |
| ;フィン・マックール | | ;フィン・マックール |
| :生前の主君であり、フィオナ騎士団の首領。ディルムッドとの遺恨を忘れることができず、最後は結果的に彼を見殺しにしてしまう。<br>謀殺されたも同然の破局を遂げたが、フィンの怒りを理解していたためディルムッドは死後も恨んでおらず、フィンと交わした杯はかけがえのない記憶として残っている。 | | :生前の主君であり、フィオナ騎士団の首領。ディルムッドとの遺恨を忘れることができず、最後は結果的に彼を見殺しにしてしまう。<br>謀殺されたも同然の破局を遂げたが、フィンの怒りを理解していたためディルムッドは死後も恨んでおらず、フィンと交わした杯はかけがえのない記憶として残っている。 |