110行目:
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:カルナも弓を構える際に微笑んでいた。無論、それはアルジュナへの嘲笑ではなく、ルールを破ってまで己を倒すことへの喜びであったが、それを彼が知ることはなかった。
:カルナも弓を構える際に微笑んでいた。無論、それはアルジュナへの嘲笑ではなく、ルールを破ってまで己を倒すことへの喜びであったが、それを彼が知ることはなかった。
:果たして、アルジュナの弓は太陽を撃ち落とした。
:果たして、アルジュナの弓は太陽を撃ち落とした。
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:しかし戦士としての道義に反してまで宿敵の打倒を成し遂げたことで、彼は途方もない虚無にとらわれる。そこに充足感はなく、勝利したという歓喜もない。戦いが終わったという安堵すらもない。<br>──これは勝利なのだろうか。──これは敗北ではないだろうか。<br>放つべきではなかった矢を放ったことは、やがてはアルジュナが生涯に渡って『悔恨』を抱くことに繋がった。
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:宿敵を討ったことに後悔はない。しかし、戦士としての道義に反してまで宿敵の打倒を成し遂げたことに、彼は途方もない虚無にとらわれる。そこに充足感はなく、勝利したという歓喜もない。戦いが終わったという安堵すらもない。<br>──これは勝利なのだろうか。──これは敗北ではないだろうか。<br>放つべきではなかった矢を放ったことは、やがてはアルジュナが生涯に渡って『悔恨』を抱くことに繋がった。
:あの日引いた弓の結末に、“人として”、“戦士として”未練を残すがゆえに──。
:あの日引いた弓の結末に、“人として”、“戦士として”未練を残すがゆえに──。