22行目: |
22行目: |
| :すべてを救うそのためにすべて捨てる。そう誓った彼にとって情愛は己を責め苛むばかりのものだった。誰かを愛すたび、それを喪う覚悟を懐き続けなければならない呪い。それが理想の代価であり、情愛は決して己を癒すことはないと思っていた。なのになぜ、一人の女と、血を分けた我が子とを、こんなにも愛してしまったのか、自問しても答えを得れなかった。 | | :すべてを救うそのためにすべて捨てる。そう誓った彼にとって情愛は己を責め苛むばかりのものだった。誰かを愛すたび、それを喪う覚悟を懐き続けなければならない呪い。それが理想の代価であり、情愛は決して己を癒すことはないと思っていた。なのになぜ、一人の女と、血を分けた我が子とを、こんなにも愛してしまったのか、自問しても答えを得れなかった。 |
| :発掘された聖剣の鞘を触媒にセイバーを召喚。触媒である「全て遠き理想郷」は代理マスターとして戦地に送り込んだアイリに預けていた。 | | :発掘された聖剣の鞘を触媒にセイバーを召喚。触媒である「全て遠き理想郷」は代理マスターとして戦地に送り込んだアイリに預けていた。 |
− | :戦争の終結後、現場で唯一生き残っていた[[衛宮士郎|少年]]を発見。瀕死だった彼を「全て遠き理想郷」を体に埋め込むことで救い、脱出する。士郎を養子に迎えた後「世界旅行」と称して屋敷を離れて、我が子を迎えにアインツベルンを幾度も訪れたが、裏切者に[[ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン|アハト翁]]が結界を解くはずがなく娘と再会することは叶わなかった。 | + | :戦争の終結後、現場で唯一生き残っていた[[衛宮士郎|少年]]を発見。瀕死だった彼を「全て遠き理想郷」を体に埋め込むことで救い、脱出する。士郎を養子に迎えた後「世界旅行」と称して屋敷を離れて、我が子を迎えにアインツベルンを幾度も訪れたが、裏切者に[[ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン|アハト翁]]が結界を解くはずがなかった。体が衰弱し魔術回路も8割が駄目になった彼に結界を突破する術はなく凍死寸前まで彷徨うだけだった。 |
− | :聖杯戦争終結から五年後、士郎に看取られながら聖杯の呪いにより短い生涯を終える。享年三十四。 | + | :そんな何度目かの無理が原因か呪いで限られた寿命をさらに縮めることになり、死期を悟ってからは家で漫然と過ごしていた。 |
| + | :士郎の歪みと言えるほどの過剰な自己犠牲と正義感は切嗣に対する羨望が端を発しており同じ道を辿りたがっていた。それがどれほど愚かな行為なのかを論すことが出来なかったことが父子として過ごした日々での彼の唯一の後悔だったが、士郎は同じ道を歩もうと過つことはないと安堵して目を閉じた。 |
| + | :そうして、何かを成し遂げることも勝ち取ることもなかった男は最後に手に入れた安堵だけを胸に眠るように息を引き取った。 |
| + | :聖杯戦争終結から五年後、士郎に看取られながら聖杯の呪いにより短い生涯を終えた。享年三十四。 |
| | | |
| ;人物 | | ;人物 |
35行目: |
38行目: |
| :これまで犠牲にしてきた人々を無駄にしたくないという想い、自分が負ければ聖杯戦争の過程で死ぬ妻の命が無駄になってしまうこと、勝たなければ娘が次の聖杯戦争で聖杯にされてしまうこと、そういった情のために勝とうと非情で在ろうとする矛盾、その他諸々から精神は軋みを上げており、自分を保つだけでも精一杯であった。セイバーへの拒絶もその弱さ故である。 | | :これまで犠牲にしてきた人々を無駄にしたくないという想い、自分が負ければ聖杯戦争の過程で死ぬ妻の命が無駄になってしまうこと、勝たなければ娘が次の聖杯戦争で聖杯にされてしまうこと、そういった情のために勝とうと非情で在ろうとする矛盾、その他諸々から精神は軋みを上げており、自分を保つだけでも精一杯であった。セイバーへの拒絶もその弱さ故である。 |
| :第四次聖杯戦争を経てからは冷酷な戦闘機械としての顔は影を潜め、病院で初めて切嗣と会話した士郎から見た切嗣の第一印象は「とにかくうだつのあがらない、頼りなさそうなヤツ」であった。晩年は背広姿ではなく着物姿でいることも多く、穏やかな若隠居のような存在であった。 | | :第四次聖杯戦争を経てからは冷酷な戦闘機械としての顔は影を潜め、病院で初めて切嗣と会話した士郎から見た切嗣の第一印象は「とにかくうだつのあがらない、頼りなさそうなヤツ」であった。晩年は背広姿ではなく着物姿でいることも多く、穏やかな若隠居のような存在であった。 |
| + | :士郎は「じいさん」と呼ぶにはまだ若い切嗣をそう呼んでいたが、実際彼の中に残ってた活力と明日より先の日々に託す想いは老人と大差なかった。 |
| | | |
| ;能力 | | ;能力 |
102行目: |
106行目: |
| | | |
| ;[[アイリスフィール・フォン・アインツベルン]] | | ;[[アイリスフィール・フォン・アインツベルン]] |
− | :最愛の妻。初めて出会ったのは培養槽越しでその時目を開けた彼女の瞳の緋色の奥底に魅入られその瞬間が焼き付いた。 | + | :最愛の妻。初めて出会ったのは培養槽越しでその時目を開けた彼女の瞳の緋色の奥底に魅入られた瞬間は彼の中にまざまざと焼き付いた。 |
| :彼女を犠牲にすることは子が生まれる前から何度も二人の間で話され、そのたび泣き、呪う切嗣を彼女は赦し励ましてきた。 | | :彼女を犠牲にすることは子が生まれる前から何度も二人の間で話され、そのたび泣き、呪う切嗣を彼女は赦し励ましてきた。 |
| | | |
123行目: |
127行目: |
| :聖杯戦争終結時に助けた少年。身寄りがなくなった彼を自らの養子とした。 | | :聖杯戦争終結時に助けた少年。身寄りがなくなった彼を自らの養子とした。 |
| ;[[藤村大河]] | | ;[[藤村大河]] |
− | :近所に住んでいる少女。切嗣を慕ってしばしば家を訪れていた。 | + | :近所に住んでいる少女。切嗣を慕って衛宮邸に訪れては士郎とごたごたしてた。 |
| ;[[ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン]] | | ;[[ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルン]] |
| :アイリの創造者で、一応「舅」と呼べる存在。由緒正しい魔術師の家系であるため、アインツベルンに電話線と発電機を要求したときは一悶着あったらしい。 | | :アイリの創造者で、一応「舅」と呼べる存在。由緒正しい魔術師の家系であるため、アインツベルンに電話線と発電機を要求したときは一悶着あったらしい。 |
387行目: |
391行目: |
| **また士郎と違い切嗣はセイバーの境遇の件があるにしろ初戦のランサー戦時に「己の手駒」の力量を見極めておくのもいいかと思っており道具として使おうとしていた。 | | **また士郎と違い切嗣はセイバーの境遇の件があるにしろ初戦のランサー戦時に「己の手駒」の力量を見極めておくのもいいかと思っており道具として使おうとしていた。 |
| **それに加えて、第四次当時の切嗣に精神的余裕が少なかったこともある。「守るものがない」ことがかつての彼の強みの一つでもあったのに、アインツベルンで『家族』を得てしまったことで精神的に弱くなっていた。そのうえ、「危険な敵」言峰綺礼に狙われることで、セイバーとの妥協や説得すら受け入れられないほど追い詰められていた。 | | **それに加えて、第四次当時の切嗣に精神的余裕が少なかったこともある。「守るものがない」ことがかつての彼の強みの一つでもあったのに、アインツベルンで『家族』を得てしまったことで精神的に弱くなっていた。そのうえ、「危険な敵」言峰綺礼に狙われることで、セイバーとの妥協や説得すら受け入れられないほど追い詰められていた。 |
| + | **ホテルでコンテンダーを9年ぶりに握り締めた際には久しいと思えない馴染み過ぎた凶器の感触を前にして、ここまで完璧に妻と娘の感触を思い出すことができるのかと思ったり、ワルサーより軽い娘の身の上を思い苦々しい述懐を漏らしかけたりと精神的に鈍っていた。 |
| **セイバーから「若き日の本当の貴方は、『正義の味方』になりたかったはずだ」と指摘される以前に切嗣がセイバーに示してきた態度は黙殺か冷ややかな蔑視だけだった。<br>だがこの時初めてその二つ以外の感情を向けた。それは怒りの情念だった。 | | **セイバーから「若き日の本当の貴方は、『正義の味方』になりたかったはずだ」と指摘される以前に切嗣がセイバーに示してきた態度は黙殺か冷ややかな蔑視だけだった。<br>だがこの時初めてその二つ以外の感情を向けた。それは怒りの情念だった。 |
| **アインツベルン城でのセイバー同席の上での作戦会議の後は聖杯戦争からアイリを連れて逃げ出すことを提案するほどの弱さを見せ、ランサー消滅後のセイバーの糾弾にも英雄や正義への憎しみの感情を発露するなど、無視してなおセイバーと関わると激しい感情の揺さぶりを起こしている。 | | **アインツベルン城でのセイバー同席の上での作戦会議の後は聖杯戦争からアイリを連れて逃げ出すことを提案するほどの弱さを見せ、ランサー消滅後のセイバーの糾弾にも英雄や正義への憎しみの感情を発露するなど、無視してなおセイバーと関わると激しい感情の揺さぶりを起こしている。 |
413行目: |
418行目: |
| **書籍版の重刷及び星海社文庫版で訂正されているかどうかは不明。『Fate/Zero』アニメ版では「スクエア」のままであった。 | | **書籍版の重刷及び星海社文庫版で訂正されているかどうかは不明。『Fate/Zero』アニメ版では「スクエア」のままであった。 |
| *ナタリアの死後に舞弥と出会い、彼女を助手として本格的に使用するようになってから、呪的処理の行われた互いの髪の毛の一本を指に埋め込んでいる。死に瀕するほど生命力が衰えた場合にそれが燃焼して危機を知らせるという仕組みで、無線や使い魔で現状を伝える余裕すらない最悪の事態、つまり手遅れの結末を告げる信号である。 | | *ナタリアの死後に舞弥と出会い、彼女を助手として本格的に使用するようになってから、呪的処理の行われた互いの髪の毛の一本を指に埋め込んでいる。死に瀕するほど生命力が衰えた場合にそれが燃焼して危機を知らせるという仕組みで、無線や使い魔で現状を伝える余裕すらない最悪の事態、つまり手遅れの結末を告げる信号である。 |
− | **アニメでは描写が異なるが、原作ではこの仕組みで切嗣が舞弥が瀕死、すなわちアイリの危機と察して、速やかな援助のためにセイバーに令呪で土蔵に戻るよう命じた。 | + | **アニメでは描写が異なるが、原作ではこの仕組みで切嗣が舞弥が瀕死、すなわちアイリの危機と察して、速やかな援助のためにセイバーに令呪で土蔵に戻るよう命じることができた。 |
− | | + | *コンテンダーは魔術師殺しを辞めてからの9年間は舞弥に預けていた。 |
| + | *士郎が留守番できるようになると頻繁に家を空けていた。一ヶ月いないのはざら、半年に一度しか帰ってこないときもあった。いつも家で一人きりは寂しかったが、土産話で帳消しにできるほど士郎はその生活を好いていた。 |
| == 話題まとめ == | | == 話題まとめ == |
| ;父の日 | | ;父の日 |