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− | + | ロシアの[[異聞帯]]『[[永久凍土帝国 アナスタシア]]』に存在する人種。魔獣と人間の合成体。<br> | |
− | + | スラブ圏の伝承にある妖婆、人を食い殺す魔女「バーバ・ヤガー」が名前の由来である<ref group = "出">『永久凍土帝国 アナスタシア』第9節「ヤガの生誕」。</ref>。<br> | |
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:“強食”を理としており、強い者だけが食べて良いと考え、弱者は肉にすらならないと学んでいる。 | :“強食”を理としており、強い者だけが食べて良いと考え、弱者は肉にすらならないと学んでいる。 | ||
− | : | + | :故に弱肉強食の内「弱肉」が抜けており、かつて人間が持っていた他者に対する憐憫と共感を持てなくなったことを示している。基本的に未知のもの、わからないものに関しては不安に思う。 |
+ | :そういったヤガの在り方を[[タマモヴィッチ・コヤンスカヤ]]から「動物と人間を掛け合わせるなんて、愚策も愚策」「'''動物の無垢さも人間の豊かさも失われ、互いの良いところを打ち消し合っただけ'''」と侮蔑混じりに評されている<ref group = "出" name="Lostbelt No.1 第2節">『永久凍土帝国 アナスタシア』第2節「ヤガ」。</ref>。 | ||
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:不死身にほど近い頑強な肉体を持ち、零下100度の気温でも活動することができる。 | :不死身にほど近い頑強な肉体を持ち、零下100度の気温でも活動することができる。 | ||
− | : | + | :動脈が切れたら死ぬ旧種と違い、動脈を切断されてもすぐに血管が繋がり、外部に血が放出され続けるなら血管が自動的に生成される。脳か心臓を破壊されるか、首を完全に折られない限り死なず、旧種がよく殺された感染症にもならない。<br> |
− | : | + | :嗅覚が良く、アルコールにも強い。聴力も良く、音の反射で[[ミノタウロス]]の迷宮の構造を把握できるほど。魔獣との合成体であるため、生まれつき[[魔術]]に対する抵抗力も強く、通信機越しの暗示では効果が危ぶまれるほど。<br> |
− | : | + | :その代償として普通の人間の10倍は食べなければならないほど消費カロリーが極めて高く、人間であれば適切な環境下や十分な睡眠などで体力を温存すれば二週間近く、そうでなくても数日は水分だけでも耐えられるが、ヤガの場合は例え水分を補給出来ても食事が絶えれば三日ともたずに死んでしまう。極寒での生存に特化したことで燃費が悪くなり、食べて<ruby><rb>熱量</rb><rt>カロリー</RT></RUBY>を得なければ、たちまち氷漬けになってしまう<ref group = "出" name="Lostbelt No.1 第2節"/>。<br> |
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− | :ヤガの装備品は現代の最新技術ではなく、50年は前のものだが、現代に程近いもの<ref>[[イヴァン雷帝]]の時代では先込め式の銃が登場した頃。</ref>。 | + | :ヤガの装備品は現代の最新技術ではなく、50年は前のものだが、現代に程近いもの<ref group = "注">[[イヴァン雷帝]]の時代では先込め式の銃が登場した頃。</ref>。 |
:ボルトアクション式で、スコープが付いた猟銃。しかも現代にはない特性として撃った際に魔術が発動する。火薬を増量するのではなく、魔力を注入することで爆発力や貫通力を高めている。 | :ボルトアクション式で、スコープが付いた猟銃。しかも現代にはない特性として撃った際に魔術が発動する。火薬を増量するのではなく、魔力を注入することで爆発力や貫通力を高めている。 | ||
:ヤガが扱う事を前提とした、魔獣を殺すための銃。このような魔銃をヤガたちは当然のように持ち歩いている。猟銃の他にも弓や鉈も使用する。 | :ヤガが扱う事を前提とした、魔獣を殺すための銃。このような魔銃をヤガたちは当然のように持ち歩いている。猟銃の他にも弓や鉈も使用する。 | ||
− | : | + | :長距離を移動する際には、<ruby><rb>双角馬</rb><rt>バイコーン</RT></RUBY>に騎乗する。 |
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:ヤガたちが飲む酒は火酒、ほぼストレートのウォッカで、<ruby><rb>風味</rb><rt>フレーバー</RT></RUBY>もほとんどない物が大半である。 | :ヤガたちが飲む酒は火酒、ほぼストレートのウォッカで、<ruby><rb>風味</rb><rt>フレーバー</RT></RUBY>もほとんどない物が大半である。 | ||
:[[ビリー・ザ・キッド]]が作らせた強い酒を[[パツシィ]]が飲んだところ、美味いが酒精が足りないという感想が出た。一応、ヤガの先祖だからか、旧種に対しては食欲が湧かないらしい。 | :[[ビリー・ザ・キッド]]が作らせた強い酒を[[パツシィ]]が飲んだところ、美味いが酒精が足りないという感想が出た。一応、ヤガの先祖だからか、旧種に対しては食欲が湧かないらしい。 | ||
− | : | + | :主食は狩猟で得た肉が大半で、谷のような吹雪の影響を受けない場所にある隠し畑で栽培された穀物や、魔術師のヤガによって維持されている温室栽培の野菜が少しある程度。 |
+ | :生活が苦しい辺境では美食の追求はあまり行われていないが、都市部に住む市民や貴族の間では人間と変わらず、コーヒーに似た豆の煮汁に果糖を入れたもの<ref group = "注">アタランテ〔オルタ〕によると味はスパイスの効いた林檎の様な、コーヒーの様な不思議な味。</ref>等が存在している。 | ||
:食文化については上記のように乏しいが、他の文化も惨憺たる有様で、パツシィの父親の代くらいまでは「大道芸人」という職種も存在していたようだがそれも絶えて久しく、音楽に至っては概念すら消滅している。 | :食文化については上記のように乏しいが、他の文化も惨憺たる有様で、パツシィの父親の代くらいまでは「大道芸人」という職種も存在していたようだがそれも絶えて久しく、音楽に至っては概念すら消滅している。 | ||
+ | :住居についても昔からある建物を維持するのが手一杯で、辺境の寒村ではそれすらないので掘建て小屋で暮らす等、生活環境は非常に悪い。 | ||
+ | :大半のヤガは[[魔術]]は存在こそ知っているが身近な存在ではなく、[[魔術師]]のヤガは魔獣を飼いならし、飛行魔獣を連絡に使ったりしている。 | ||
;歴史 | ;歴史 | ||
:450年前に隕石の落下による氷河期だと言われる大寒波が発生し、地球上は何処だろうと分け隔てなく極寒の世界となった。最早“人間”という旧い種では生き残る事のできない環境となった。寒さに慣れていなかった国は、呆気なく滅び、元々常に寒さに対する備えがあり、わずかに余裕があったロシアでも、人口の九割近くが失われ、国そのものが消えてなくなる一歩手前までいった。当時ロシアを治めていた[[イヴァン雷帝]]は魔術師と一緒に対策を練り、ロシアの人間に魔獣と人間の合成術を施し、“ヤガ”を生み出した。 | :450年前に隕石の落下による氷河期だと言われる大寒波が発生し、地球上は何処だろうと分け隔てなく極寒の世界となった。最早“人間”という旧い種では生き残る事のできない環境となった。寒さに慣れていなかった国は、呆気なく滅び、元々常に寒さに対する備えがあり、わずかに余裕があったロシアでも、人口の九割近くが失われ、国そのものが消えてなくなる一歩手前までいった。当時ロシアを治めていた[[イヴァン雷帝]]は魔術師と一緒に対策を練り、ロシアの人間に魔獣と人間の合成術を施し、“ヤガ”を生み出した。 | ||
− | :『永久凍土帝国 アナスタシア』の時点で[[イヴァン雷帝]] | + | :『永久凍土帝国 アナスタシア』の時点で[[イヴァン雷帝]]は世界最初のヤガにして最古のヤガであり、450年もの間存命していた。魔獣を仕留める銃がなかった時代には、弱者は肉になるという時代が存在した。勝利者と敗北者を分析し、強者のみを尊んだ。魔獣の力に溺れた者、耐え切れなかった者、絶望した者を糧とした。その次には病気に罹る者、その子供を糧とした。更に次には純粋な弱者を糧とした。そこまでやって、ようやく魔獣と人間の合成体から“ヤガ”となった。弱者である<ruby><rb>旧種</rb><rt>ヒト</RT></RUBY>と決別した強き者として、ヤガを名乗った。或いは、「人を食い殺す魔女」という部分が重要だったのかもしれない。自分たちがやったことを絶対に忘れないため。誰かが名付けた。この事はヤガたちにとって、禁忌とされている<ref group = "出" name="Lostbelt No.1 第9節">『永久凍土帝国 アナスタシア』第9節「ヤガの生誕」。</ref>。 |
− | : | + | :人間の姿では最早生きていけない過酷な環境だったため、生き残った全ての人間はヤガとなったが、それは人間とは異なる生物を世界に産み落としたも同然であり、その過程で彼らは人間であったときに得た大切なモノを失った。精神も変容してしまった彼らは行き詰まりの人類史「剪定されるべき世界」と認識されてしまった。長く生きたヤガは記憶が曖昧になり、思い出だけに縋り付き、子供の顔すら分からなくなり、幻想の中で生きるようになる事が良くある。 |
==関連人物== | ==関連人物== | ||
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*『永久凍土帝国 アナスタシア』に登場した[[アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ]]は歪んだ召喚によって「外身は<ruby><rb>旧種</rb><rt>ヒト</RT></RUBY>だが、中身はヤガに近いもの」となっている。 | *『永久凍土帝国 アナスタシア』に登場した[[アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ]]は歪んだ召喚によって「外身は<ruby><rb>旧種</rb><rt>ヒト</RT></RUBY>だが、中身はヤガに近いもの」となっている。 | ||
== 脚注 == | == 脚注 == | ||
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+ | <references group = "注"/> | ||
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+ | ===出典=== | ||
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==リンク== | ==リンク== | ||
*[[小辞典]] | *[[小辞典]] | ||
*[[幻想種]] | *[[幻想種]] | ||
+ | *[[異聞帯]] | ||
+ | *[[永久凍土帝国 アナスタシア]] | ||
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+ | [[Category:ちびちゅき!]] |
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概要編集
ロシアの異聞帯『永久凍土帝国 アナスタシア』に存在する人種。魔獣と人間の合成体。
スラブ圏の伝承にある妖婆、人を食い殺す魔女「バーバ・ヤガー」が名前の由来である[出 1]。
- 考え方
- “強食”を理としており、強い者だけが食べて良いと考え、弱者は肉にすらならないと学んでいる。
- 故に弱肉強食の内「弱肉」が抜けており、かつて人間が持っていた他者に対する憐憫と共感を持てなくなったことを示している。基本的に未知のもの、わからないものに関しては不安に思う。
- そういったヤガの在り方をタマモヴィッチ・コヤンスカヤから「動物と人間を掛け合わせるなんて、愚策も愚策」「動物の無垢さも人間の豊かさも失われ、互いの良いところを打ち消し合っただけ」と侮蔑混じりに評されている[出 2]。
- 生態
- 獣人とヤガは外見は同じでも、進化基盤から異なる。
- 獣人であるウェアウルフ、ライカンスロープなどは、有り体に言って血の覚醒を伴う魔獣。
- 一方、ヤガは魔獣と人間の合成体。どちらかといえばキメラのような合成された幻想種に近いため、源流が異なる。
- 能力
- 不死身にほど近い頑強な肉体を持ち、零下100度の気温でも活動することができる。
- 動脈が切れたら死ぬ旧種と違い、動脈を切断されてもすぐに血管が繋がり、外部に血が放出され続けるなら血管が自動的に生成される。脳か心臓を破壊されるか、首を完全に折られない限り死なず、旧種がよく殺された感染症にもならない。
- 嗅覚が良く、アルコールにも強い。聴力も良く、音の反射でミノタウロスの迷宮の構造を把握できるほど。魔獣との合成体であるため、生まれつき魔術に対する抵抗力も強く、通信機越しの暗示では効果が危ぶまれるほど。
- その代償として普通の人間の10倍は食べなければならないほど消費カロリーが極めて高く、人間であれば適切な環境下や十分な睡眠などで体力を温存すれば二週間近く、そうでなくても数日は水分だけでも耐えられるが、ヤガの場合は例え水分を補給出来ても食事が絶えれば三日ともたずに死んでしまう。極寒での生存に特化したことで燃費が悪くなり、食べて
熱量 を得なければ、たちまち氷漬けになってしまう[出 2]。
- 装備
- ヤガの装備品は現代の最新技術ではなく、50年は前のものだが、現代に程近いもの[注 1]。
- ボルトアクション式で、スコープが付いた猟銃。しかも現代にはない特性として撃った際に魔術が発動する。火薬を増量するのではなく、魔力を注入することで爆発力や貫通力を高めている。
- ヤガが扱う事を前提とした、魔獣を殺すための銃。このような魔銃をヤガたちは当然のように持ち歩いている。猟銃の他にも弓や鉈も使用する。
- 長距離を移動する際には、
双角馬 に騎乗する。
- 文化
- ヤガたちが飲む酒は火酒、ほぼストレートのウォッカで、
風味 もほとんどない物が大半である。 - ビリー・ザ・キッドが作らせた強い酒をパツシィが飲んだところ、美味いが酒精が足りないという感想が出た。一応、ヤガの先祖だからか、旧種に対しては食欲が湧かないらしい。
- 主食は狩猟で得た肉が大半で、谷のような吹雪の影響を受けない場所にある隠し畑で栽培された穀物や、魔術師のヤガによって維持されている温室栽培の野菜が少しある程度。
- 生活が苦しい辺境では美食の追求はあまり行われていないが、都市部に住む市民や貴族の間では人間と変わらず、コーヒーに似た豆の煮汁に果糖を入れたもの[注 2]等が存在している。
- 食文化については上記のように乏しいが、他の文化も惨憺たる有様で、パツシィの父親の代くらいまでは「大道芸人」という職種も存在していたようだがそれも絶えて久しく、音楽に至っては概念すら消滅している。
- 住居についても昔からある建物を維持するのが手一杯で、辺境の寒村ではそれすらないので掘建て小屋で暮らす等、生活環境は非常に悪い。
- 大半のヤガは魔術は存在こそ知っているが身近な存在ではなく、魔術師のヤガは魔獣を飼いならし、飛行魔獣を連絡に使ったりしている。
- 歴史
- 450年前に隕石の落下による氷河期だと言われる大寒波が発生し、地球上は何処だろうと分け隔てなく極寒の世界となった。最早“人間”という旧い種では生き残る事のできない環境となった。寒さに慣れていなかった国は、呆気なく滅び、元々常に寒さに対する備えがあり、わずかに余裕があったロシアでも、人口の九割近くが失われ、国そのものが消えてなくなる一歩手前までいった。当時ロシアを治めていたイヴァン雷帝は魔術師と一緒に対策を練り、ロシアの人間に魔獣と人間の合成術を施し、“ヤガ”を生み出した。
- 『永久凍土帝国 アナスタシア』の時点でイヴァン雷帝は世界最初のヤガにして最古のヤガであり、450年もの間存命していた。魔獣を仕留める銃がなかった時代には、弱者は肉になるという時代が存在した。勝利者と敗北者を分析し、強者のみを尊んだ。魔獣の力に溺れた者、耐え切れなかった者、絶望した者を糧とした。その次には病気に罹る者、その子供を糧とした。更に次には純粋な弱者を糧とした。そこまでやって、ようやく魔獣と人間の合成体から“ヤガ”となった。弱者である
旧種 と決別した強き者として、ヤガを名乗った。或いは、「人を食い殺す魔女」という部分が重要だったのかもしれない。自分たちがやったことを絶対に忘れないため。誰かが名付けた。この事はヤガたちにとって、禁忌とされている[出 3]。 - 人間の姿では最早生きていけない過酷な環境だったため、生き残った全ての人間はヤガとなったが、それは人間とは異なる生物を世界に産み落としたも同然であり、その過程で彼らは人間であったときに得た大切なモノを失った。精神も変容してしまった彼らは行き詰まりの人類史「剪定されるべき世界」と認識されてしまった。長く生きたヤガは記憶が曖昧になり、思い出だけに縋り付き、子供の顔すら分からなくなり、幻想の中で生きるようになる事が良くある。
関連人物編集
メモ編集
- 『永久凍土帝国 アナスタシア』に登場したアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァは歪んだ召喚によって「外身は
旧種 だが、中身はヤガに近いもの」となっている。