沙条綾香 (氷室の天地)

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ここでは『氷室の天地 Fate/school life』における沙条綾香について説明する。
Fate/Prototype』での沙条綾香については「沙条綾香」を参照。

概要

穂群原学園の生徒で、クラスは2年A組。主人公・氷室鐘の他、蒔寺楓三枝由紀香遠坂凛美綴綾子らがクラスメイト。担任は葛木宗一郎

魔術師ではあるが、一般人である氷室視点で描かれている本作では、正体不明の不思議系森ガールと化している。

略歴
飄々と生きる謎の不思議系眼鏡ッ娘。本編開始当初は主人公の氷室鐘とは普通のクラスメイトという関係だった(球技大会や調理実習でチームを組むなど、決して疎遠だったわけではない)が、「他に適任者がいない」という理由によって氷室から「許嫁探し」の手伝いを頼まれ、次第に彼女と深く関わっていくことになる。
その正体は魔術師だが、「『氷室の天地』本編にて魔術サイドの話がメインになる予定は微塵もない」と作者から言われており、本編で謎が描かれることはない。コミックス6巻購入特典としてメロンブックス限定で配布された『氷室の天地 MINIMUM material』にて僅かに設定が語られている。それによると、遠坂凛が手放す羽目になった極上の龍脈上の土地を父親の沙条広樹が買い取り、引っ越して家を建てて暮らすようになり、とある縁でイギリス魔術協会にて「プロフェッサー・カリスマ」と呼ばれる人物に師事しているんだとか。彼女の過去は『Prototype』と何がどの程度共通していて何が共通していないのか、詳細は不明。ちなみに家族構成に関しては父の沙条広樹と姉の沙条愛歌とはあまり会えないが両者とも生きており、それなりに良好な関係性を築いている。そして、「いずれ聖杯戦争に強制的に参加せねばならない」というくびきからは解放されている、とのこと。
人物
眼鏡っ娘。基本的にはあまり他人と深くは関わることをせず、飄々と生きている……のだが、氷室の「許嫁探し」の頼みをはっきりと断れなかったり、本質的なところではお人好しな面を覗かせる。『Prototype』と違って劣等感・鬱屈感はほとんど見られない。
彼女の「不思議系キャラ」は基本的には「一般世界に対応したペルソナ」であり、多少ポカをしでかしたところで違和感を与える危険性が低いという理由で演じている。「痩せの大食い」タイプで、体育祭ではホットドッグ早食い選手権で優勝、文化祭では弓道部のお好み焼き屋の全メニュー制覇などの武勇伝を持つ。好物なのかどうかは不明だが、学外で氷室に会う時によくお好み焼き屋にいるところを襲撃される。行きつけの店は「鍾馗」。また、闇鍋に並々ならぬこだわりがある。
野草の採集を趣味と称しており、しばしば自分の体格をはるかに上回るサイズの大きなリュックが一杯になるほどの量を抱えているのを目撃される。採取している野草の内容は食用というよりは薬用であり、素人目に見ても怪しい。
能力
得意科目は生物と科学。また、ロンドンに旅行へ出かけたり、「英雄史大戦」のプレイヤーでイギリス国籍である「London☆STAR」の通訳を無難にこなすなど、英会話のスキルも高い。運動能力に関しては詳しい描写はないが、球技大会において必勝を期していた氷室がチームを組む程度にはある模様。
魔術師としては、魔女術(ウィッチクラフト)の使い手。氷室の婚約者探しで指輪の送り主を調べたり、柳洞寺裏の池での大物釣りで餌に呪いを付加するなど、こっそりと使用している。また、氷室達が陸上部の文化祭の出店について話し合っていたところに口を挟んで、蟲術の一種として古来の呪術を紹介する一幕(あまりに残酷な内容のため直接描写は避けられ、由紀香には「もう料理でもなんでもなくなった」と悲鳴をあげられる)もある。
『氷室の天地 MINIMUM material』によると、『Prototype』と同様に彼女の本来の適性は元素変換(フォーマルクラフト)であり、彼女の教師であるプロフェッサー・カリスマもそれを見抜いているものの、現在体得している魔女術をいきなりかなぐり捨てて方向転換させるよりも、ある程度は今のまま育てつつゆくゆくは元素変換へとソフトランディングで軌道修正し、最終的に魔女術と元素変換のハイブリッドな形に到達させようと目論んでいるらしい。……が、この教師が優秀すぎるためと、「生贄用の動物を殺すことに抵抗があるなら植物をメインにやっていく方向もある」という助言、そしてその助言によって罪悪感から解放されたことで「やれば出来る子」というもともと持っていた実力が発揮され、更には家が極上の龍脈直上の土地に建っている、という複数の要因が重なった結果、魔女術においてもメキメキと実力をつけて大成しつつあり、教師を悩ませている。今はプロフェッサーも「なんだかもう、これはこれで……」な気分になっているとか何とか。
基本的には一般人を装っているが、第109話で氷室に「予知夢」を見ると告白し、限定的ながら異能者であることを明かした。ちなみにこの発言は、一般人である氷室にわかりやすく説明するために行った方便にすぎず、実際に綾香がどのような術で未来を知るに至ったのかは不明。

登場作品と役柄

Fateシリーズ

Fate/strange Fake
最初に登場した「アヤカ・サジョウ」とは別にこの「沙条綾香」が存在している事が示唆されており、更なる謎を呼んでいる。
それによると一時的にエルメロイ教室に在籍した後に植物科で特異な才能を見せて名前を馳せ、「偽りの聖杯戦争」の時点ではルーマニアにいるとのこと。
実はアヤカ・サジョウが形成される一因となっており、9巻の過去シーンでその経緯が語られた。

Fate関連作品

氷室の天地 Fate/school life
氷室鐘や遠坂凛らのクラスメイト。正体を隠すため「つかみ所のない不思議少女」という性格を装っている。

人間関係

氷室の天地 Fate/school life

氷室鐘
クラスメイト。成り行きで彼女の許婚探しを手伝う事になる。
蒔寺楓
クラスメイト。プランニング能力の高さは評価しているものの、性格が壊滅的なため相談相手としては考慮に入れていない。
遠坂凛
クラスメイト。魔術師としての正体を互いに知っており、その事をネタに弄ったり脅される事も。
聖杯戦争の事後処理を巡って、その年の春から二人でロンドンの時計塔に行くことになった。
間桐慎二
同級生。コナをかけられそうになるが、彼女的にはアウトオブ眼中。
後に交際を巡って賭けゲームを行い、勝った賞品として頭を丸坊主にした。刈り取った頭髪は全て回収……彼女の魔術系統を考えると、手綱を握られたも同然である。
London☆STAR
イギリス国籍の知り合い。「英雄史大戦」のプレイヤーで、アレキサンダー王を主力にしたデッキを扱う。
実は時計塔における魔術の師であり、綾香が山ガール系魔女になった遠い原因でもある。
とある兄弟子
ロンドンは時計塔でプロフェッサー・カリスマに師事していた頃の兄弟子。
とてつもない才能に恵まれているものの人間性が(正の方向に)振り切れすぎていて魔術師としてどうなのかと思うような人物だが、その感覚的になんとなく行使されるチート性能で綾香の持っていたヴォイニッチ手稿を解読した上、そこから得た知識を綾香に伝授したとかなんとか言う噂もあるが真相は闇の中である。
沙条愛歌
Prototype世界同様に姉だが、彼女がプロトセイバーに巡り会わなかった為に駄目人間化しており、彼女の起こすトラブルに振り回されることが多いものの険悪な関係には至っておらず、「バカお姉ちゃん」「バカ姉」などと呼ぶぐらいには仲が良いようである。
綾香が自動車の運転ができる年齢に達した頃には、「バカお姉ちゃんの尻拭いのためにルーマニアに飛んで」たりするようである。
シエル
どういう縁で知り合ったのかは不明だが、第五次聖杯戦争の裏で共通の目的の為に暗躍している。
江里口
龍造寺四天王の一員。英雄史大戦の大会の一回戦で危なげなく撃破した。
化野菱理
時計塔で師匠関連で知っていた為、「英雄史大戦」の大会に出てきたのを見て震えていた。直後に二回戦で戦う事になり、念話で大会に参加した目的を聞いた直後に失神した[注 1]
ラニ=Ⅵ
聖杯戦争後に穂群原にやってきた教師であり、同じ魔術関係者。
角隈が修学旅行中に巻き込まれたトラブルを解決するために一時的に手を組んだ。

Fate/strange Fake

「A」
蝉菜マンションの怪談「玄木坂の赤ずきん」の主役である大学生。
『氷室の天地』の時に暗躍していたタイミングで保険の一つとして彼女に暗示をかけ「赤ずきんが困っていたら、命を賭けろとは言わないから、手を差し伸べてほしい」と予め刷り込んでおいた。
命令が些細なことからして本気で巻き込むつもりはなかったようだが、結果的にそれが運命を大きく変える結果となってしまった。

名台詞

氷室の天地 Fate/school life

「まさかのときのスペイン宗教裁判!」
唐突に現れる時の決め台詞。元々は氷室が綾香を襲撃する時の台詞だった。
元ネタはイギリスのコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』から。綾香とイギリスとの関連性をさりげなくアピールしていると言えなくもない。
「『雑草』などという名前の草などない!!」
野草採集の帰りに氷室に会い、「……しかし年頃乙女が雑草集めとかどうなのかね……」と言われた際の台詞。元ネタは漫画「覚悟のススメ」で、更にその元ネタには植物学者の牧野富太郎と昭和天皇の発言がある。綾香には珍しい、真面目な怒りの表情と口調で反応する。氷室も気圧され、「え!? あ…うん すまぬ取り消そう……」と謝罪の言葉を返した。
「そろそろ寒くなってまいりました!」
「お鍋の恋しい季節ですね!」
「てなわけで闇鍋パーティやりませう」
珍しくノリノリの綾香。この発言のせいで、闇鍋と粘土細工という色々アレな女子会が開催される。
後々考えると、この時点で色々仕込みをしていたようである。
「叶わないかも、そもそも関わる必要すらないかも……」
「なんて弱い考えを完全封殺できるほどに私は強くないけど……」
「『やれることをやらずに逃げた過去』―――」
「―――そんな重荷を一生抱えて生きれるほどの強さも持ち合わせてないっぽいのよ これが!」
凛から「期間中は逃げててもいいのよ?」と勧められての返答。「氷室の天地」では数少ないマジの発言である。
おちゃらけた口調だが、来る「戦争」にて後悔する選択だけはしたくないようだ。
綾香「その認識の甘さが、今回の第五次のすったもんだの原因でしょうがキチャマーッ!!」
凛「あんなイレギュラー過ぎる完璧に把握できるもんかコンチクショー!!」
化野菱理がゲーム大会に出てきた事の理由を考察しているときに凛から「土着の魔術師はいない」と言われて、認識の甘さにキレる。なお、このやり取りから第五次聖杯戦争の経緯をだいたい把握しているのが伺える。

メモ

  • 現行作の世界観で描かれている氷室の天地に旧Fate主人公の綾香が登場しているのは、以降のFateシリーズに旧Fateの世界観がリンクする……という訳ではなく、単に「ドリフターズのメンバーをモデルにした西遊記の人形劇『飛べ!孫悟空』に、西遊記とは全く関係ないキャラ『カトー』が何の違和感もなく登場するようなもの(単行本2巻カバー下漫画より)」であるらしい。
    • 更に言えば、眼鏡っ娘大好きな作者の磨伸映一郎が「鐘以外にも眼鏡っ娘を出したい」と考えた事が最大の理由であろうが。
    • 6巻巻末の後書きで、この発言(ドリフの西遊記のカトー云々)が読者間で唯一無二の正解のような捉えられ方をしたために『ちゃうねん…あれはあくまでネタやねん…』と申し訳ない気分になったと語られている。
  • 普段は口の部分が省略されているが、マジになった場面でのみ口が描かれているなど、他キャラと差別化が図られている。
  • 前世占いによると、前はクラゲ大好きな眼鏡っ娘で、その前は手から日本刀を出す眼鏡っ娘で、その前はパフェ大好きツンデレ海賊眼鏡っ娘………どんだけ眼鏡で繋げる気だ。ちなみに、全て中の人繋がり。来世の千葉県のサーバーの中にいる情報生命体や、オカルト大好き憑依体質眼鏡ッ娘(雑誌連載時の柱の文章)、マキジが適当に言い放った「がしゃどくろ」も同様。
    • なお、これらのうち「手から日本刀を出す眼鏡っ娘」は、『Fate/strange Fake』の作者である成田良悟のキャラだったりする。
  • 氷室版は現在の所、聖杯戦争に関わりを持たない唯一の魔術師である。ただし聖杯戦争に向けて裏で何らかの活動をしている節もあり、彼女が五次においてどういう立ち位置に納まるかは現在の所不明となっている。
    • 「しきりに青汁を振る舞う」「執拗に闇鍋することを勧め、その中に『アメリカンジョーク食材』と称した謎の発光物質を混ぜる」など氷室たちに自作の何かを摂取させる行為が多い事も「何か」をしていることを疑わせている。氷室の天地の単行本特装版10巻付録「Himuten/material」において氷室たちの魔力抵抗値を高めさせ、聖杯戦争における影響を防ぐ狙いがあったと説明されている。
  • 遠坂凛との関係は、最悪とまでは言わないもののあまり良くはない(基本的に学校では見せない裏の関係なので、氷室達には気づかれていない)。理由は主に二つある。一つは土地の問題で、綾香の家はかつて遠坂家が手放した極上の龍脈直上の土地であり、プライベートで事ある毎に凛から「土地を返せ」と言われていること(この件に関して綾香は凛を「泥太坊か」とか思っている)。もう一つは、綾香が自身の演じている「不思議キャラ」に比べて凛が演じている「完全無欠のお嬢様キャラ」のことを「なにあれ効率悪い、ばーかばーか」とうっかり馬鹿にしたことが過去にあること(前述のように、綾香はポカミスをしても周囲に違和感を与えにくいという理由で不思議キャラを演じている)。この他、氷室を始めとする周囲の一般人にみだりに魔術を行使したりするので、その度に凛からお仕置きされている。
    • なお聖杯戦争の顛末を巡って凛といっしょに仲良くロンドンまで召喚されて査問会にかけられたが、凛が規格外の乱入者のために責任がうやむやになったのと同様、綾香の側も規格外の乱入者のために責任はうやむやになったようである。
  • 『Prototype』と違って、眼鏡を外して性格スイッチなどという技能はない、パーフェクトナチュラル眼鏡ッ娘。彼女が眼鏡なのは単純に視力が弱いため。薄暗い地下室で植物関連の書籍を読みまくったせいだとか。極度の眼鏡っ娘好きで「眼鏡を外すと美人」という設定には憎悪に近い感情を抱いている磨伸作品の登場人物であるためであろうか。
  • プロフェッサー・カリスマの下で学ぶ、とある兄弟子が、『ヴォイニッチ手稿』(もしくはその原典)を「なんとなく」で解読して綾香に伝授した……という話もあるとか無いとか言われているが、まったくもって真相は闇の中である。(コミックス7巻メロンブックス購入特典『植物魔術のひみつ』より)
    • なお、『ヴォイニッチ手稿』なる奇書は作者の磨伸映一郎やTYPE-MOONの創作ではなく、実在する古書。1912年にイタリアで再発見され、発見者に因んで名付けられた。その内容は誰にも解読できない未知の文字と、誰も見たことが無く地球上には存在しないであろう未知の植物、そして天文学らしき記号や図形、裸の人などがただひたすらに記されている、というもの。何者かが悪戯で書いた意味の無いもの、ではなく、何らかの言語もしくは暗号で書かれているであろうことは言語学的見地から定説となっている。現在に至るまで解読には成功しておらず、その内容はインターネット上でも完全無料公開されている。

脚注

注釈

  1. 後に判明した理由は「ロード・エルメロイⅡ世に優勝賞品のレアカード獲得を頼まれたため」。魔術関連の事情かと気をもんでいた彼女からすれば、そりゃ気が抜けて失神もするだろう。

出典


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